刺身が美味しい「スマガツオ」とは?
はじめに
今や日本の寿司や刺身は国内だけにとどまらず、世界中で愛食される料理にまでなっています。結果、マグロの数が急激に減少を始めていますね。 そんな現状で、われわれ日本人が目を向けるべきはカツオです。
そのなかでも特に美味しいと評判の魚がスマガツオ!このカツオは「全身が大トロ」と評されるほど脂がたっぷりのっているのが特徴です。
スズキ目サバ亜目サバ科スマ属
一般のカツオ(ホンガツオ)が「サバ科マグロ族カツオ属」という分類なのに対して、この魚は「サバ科スマ属」という独自の属目を持っており、体色もどちらかと言うとマグロやカツオよりもサバに近いものがあります。
名前の由来
もともとはカツオの体色に現れているタテ縞模様に対して、横向きの縞模様が見られるカツオである本種は「ヨコシマガツオ」の意味を込めて「シマガツオ」と呼称されていました。
これが年を経るごとに定着、および訛っていき、「スマガツオ」という名称へ変わったのです。
まるで大トロ!スマガツオをご紹介!
上記の画像は、旬のものを刺身にした一品です。ショウガや九条ネギなどを添えて食べられるこの料理は、まさに大トロ以上の脂と風味があることで知られ、多くのファンを生んでいます。今回は、この絶品の食材、スマガツオをご紹介しましょう!
刺身が美味しい「スマガツオ」の生態
スマガツオの形態
この魚のサイズは、成熟した個体で100センチ以上となかなかの大きさで、引きの強さから釣りの対象として人気があります。背びれの間隔が他のカツオよりも狭いことでも知られ、胸ビレもシャープで尖っています。
背側の後半部分がサバのような不規則な横縞模様であることも特徴的です。
スマガツオの生息域
日本国内の分布として、太平洋側では神奈川県から鹿児島県の湾内。日本海側では兵庫県から九州地方で、沖縄諸島でも目撃されます。温暖な水域を好み、太平洋の他にもインド洋などの暖かい海域に広く生息している種類のものです。
ただし、天然の個体数はそこまで多くはありません。
スマガツオの食性
他の魚を追いかけ捕食する食性をしており、セーリングなどのレジャー中にこの魚の捕食場面に遭遇することもあります。他にもイカなどの軟体類も好物として挙げられます。
釣りの際には、カツオの釣り方として知られる一本釣りの他にルアーを利用して釣る方法もあります。
スマガツオの繁殖期
産卵の期間が長い種類のものとしても有名で、水温の環境にも左右されますが、長い場合では年の八ヶ月あまりを繁殖のための期間とします。主に夏場の水温が特に上昇する時期を狙って産卵を行います。
マグロやカツオなどと比較してそこまで大きな群れを作らずに回遊している種類のものです。
刺身が美味しい「スマガツオ」の特徴
別名「ホシガツオ(星鰹)」
背中側の模様以上にこの魚を特徴付けているところは腹部の斑点模様です。上記画像をご覧ください。胸ビレの下側、腹部にいくつか黒い斑点があるのを確認できますでしょうか。
この斑点模様が、この魚とその他の種類のカツオを区別する際の重要な目印です。この特徴からこの魚は別名「星鰹」とも呼称されます。
ホシガツオ(星鰹)以外の別名
広く日本の各地域で漁獲される種類のものはいろいろな別名を持ちます。この魚も例に漏れず、名前が多いことで知られ、例えば、沖縄県では「マーガチュー」と、神奈川県では「エイトンボ」と呼称されます。
他によく知られている名称としては三重県や和歌山県の漁協で呼ばれている「ヤイト」という名前が有名で、この別名は腹部の斑点模様がまるでお灸(ヤイト)をした部分のように見えることに由来があります。
腹部の星で価格が変わる
この魚を釣り上げる際には、他の種類のカツオもよくハリにかかります。
まず見るべき特徴は腹部に斑点模様があるかどうかです。魚市場では、腹部に斑点があるカツオは特に高値で取引されることで知られており、斑点がないカツオとの間でキロ数倍の価格差が付けられることも珍しくありません。
刺身が美味しい「スマガツオ」の見分け方
カツオの種類はたくさんあるが
「カツオ」と一口に言っても今回ご紹介しているスマガツオはもちろん、一般的なカツオ(ホンガツオ)にハガツオ、ソウダガツオといろいろな種類が存在します。
海釣りを趣味としている方でも、なかなか見分け方に苦慮するこれらの魚たちですが、実は特徴さえ掴めば区別は簡単です。 以下で各カツオの画像をまじえながら見分け方を解説しましょう。
カツオとの見分け方
スマガツオとカツオ(ホンガツオ)との見分け方は比較的簡単です。カツオ(ホンガツオ)の場合には腹部に星のようは斑点模様がないのはもちろん、横向きに走る数本のラインを確認できます。
上記画像にあるのがカツオ(ホンガツオ)です。どことなく顔つきもキリっとしているような気がしますね。
ハガツオとの見分け方
ハガツオとの見分け方は、背の模様にあります。ハガツオの場合はある程度均等な間隔を保った平行線が数本入っています。上記の画像にあるのがハガツオです。よく見比べると違いが分かることでしょう。
ソウダガツオとの見分け方
この画像にあるのがソウダガツオです。この魚はスマガツオとよく似た外見をしています。スマガツオと同じく背に不規則な模様を描いており、体が平たいヒラソウダと丸みを帯びたマルソウダの二種が存在します。
両種の決定的な違いはやはり腹部の模様です。ソウダガツオの腹部に斑点模様はありません。この特徴さえ知っておけばすぐに見分けがつきますね。
スマガツオはカツオの王様
カツオにはさまざまな種類のものがありますが、この魚はそんなカツオのなかでもとびきり濃厚な脂をたくわえた、まさに「カツオの王様」です。
例え旬の時期からはずれても、他のカツオと比較して全く見劣りしない芳醇な味わいは一度味わえばクセになる美味しさ!
ナブラ打ちでスマガツオゲット!
— 奄美つりんちゅ (@amami_turinchu) September 26, 2017
刺身美味すぎる。
♯奄美 ♯釣り ♯スマガツオ https://t.co/WobOopH49A
刺身が美味しい「スマガツオ」の旬
旬の時期は秋から春
旬の時期は長く、紅葉が色づく秋から、翌年の春まで続きます。冬の時期のこの魚は身が締まっていてとても絶品です。ただ、旬の時期に関わらず、味が安定している食材としても有名で、漁獲量も一年を通して時期による影響は少ないとされています。
スマガツオの身質
カツオというと、初ガツオはさっぱりと爽やかな味わいで、戻りガツオならば脂がたっぷりのった濃厚なものという評価が一般的ですが、この魚の場合は通年でよく脂がのっていることで知られ、身質も通常のカツオよりもマグロのトロに近いと言われています。
旬のスマガツオの味は?
この魚は内陸部ではまだあまり馴染みがない食材ですが、漁港に近い町などでは大変人気の食材です。この魚の味は、マグロのトロに近いものでありながら、カツオ特有の旨みもあり、一度口に運べばクセになることでしょう。
スマガツオ見るとクッソお腹減る
— 柾(釣り) (@highbar_fishing) March 4, 2018
定期的な高知県民の発作
寿司ネタとしても極上の一品
この魚の身は、寿司ネタとしても大人気です。身の全体に編み込まれた脂がまるで本マグロの中トロのような上品な味わいを生み出します。酢飯との相性も抜群で、これを食べたら「もうマグロには戻れない」とすら言われるほどの極上の一品です。
養殖スマガツオも市場に出荷中!
和歌山県と愛媛県の研究機関がスマガツオの養殖技術を確立し、それぞれが市場にこの魚を出荷しています。
和歌山県は「海の三ツ星」という名称のブランドで、愛媛県は「伊予の媛貴海(いよのひめたかみ)」という名称のブランドでそれぞれが競いながら販売をしており、味のほうも好評で大変人気があります。
これから先、さらに養殖技術が発展していけば、日本全国のスーパーなどでお手軽に購入できるようになるかもしれませんね。
刺身が美味しい「スマガツオ」の食べ方
料理の仕方はさまざま
この魚の身は生のまま刺身や寿司ネタにしても美味しいですが、加熱調理にも向いています。
大型のものほど身質がしっかりとしており、加熱しても身崩れを起こしにくいので「たたき」にすれば歯ごたえのある食感とジュワリと口のなかに広がる脂を楽しめることでしょう。 また、カツオの名に恥じぬ上質なダシが出るので煮込み料理にしても絶品です。
レシピを3選ご紹介
今回は、この食材を使用したレシピのなかから、ご家庭でもお手軽に調理できるおすすめのものを3選ピックアップしてご紹介します。是非、スマガツオ料理をご家庭の献立レパートリーに加えてください!
刺身が美味しい「スマガツオ」のレシピ①
スマガツオの竜田揚げ
竜田揚げというとサバを使用したレシピが有名ですが、カツオを素材として使っても美味しい料理ができます。下味を付けて片栗粉をまぶし、香ばしく揚げるだけ。お手軽に作れるのも嬉しいポイントですね。
特にこの魚は脂に独特の甘みがあるので、カリッと揚げればより旨みが凝縮して美味しく仕上がりますよ!
動画でレシピをご紹介!
ポイントはしっかりと下味を付けることです。動画では隠し味としてカレー粉を使用していますね。カツオには独特の風味がありますのでご家族に苦手な方がいるのであればこのような工夫をしてもよいでしょう。
この魚は旬のものなら動画で使用しているカツオ(ホンガツオ)よりも臭みはずっと少ないので下記の材料のようにシンプルな味付けでも十分に美味しく食べられるでしょう。ご家庭に合わせた味を追求したいところですね!
材料 (2人分) 刺身用カツオ1さく 生姜 1かけ(30g程) ●醤油大さじ2 ●みりん 大さじ1 ●酒大さじ1 片栗粉 適宜 揚げ油 適宜 レモンお好みで
刺身が美味しい「スマガツオ」のレシピ②
スマガツオの角煮
ショウガの香りを加えて醤油でコトコトと煮込んだ角煮もおすすめ料理として欠かせない一品!身崩れを起こしにくいこの魚は煮込み料理との相性もよく、ダシが染み渡ったタレはそれだけでも白米がすすむほどの美味しさです。
動画でレシピをご紹介!
鮮度のよいものを使うのがベストですが、多少鮮度落ちしたものでも角煮ならば美味しく調理できます。ポイントは煮込む前に軽く塩をふっておき、その後でザルにあげて湯通しすること。
これだけで魚特有の臭みを激減させられますので割引された魚などを利用する際には是非、試してみてください!
材料 (2人分) スマ(カツオでもOK)2柵 生姜 3かけ 酒200cc みりん 100cc 砂糖(サトウキビ)大さじ7 醤油100cc
刺身が美味しい「スマガツオ」のレシピ③
スマガツオのたたき
カツオの美味しい食べ方をご紹介する以上、このレシピをはずすことはできません。「たたき」は他の魚や肉でも活用される料理法ですが、やはりカツオを使ってこその「たたき」と言えましょう。
この魚は炙ってもしっかりと身の形を保てるので「たたき」にしやすい食材です。
動画でレシピをご紹介!
動画では串に刺してからコンロで焼き上げる方法をご紹介していますが、身に塩をふりフライパンで軽く焼き目を付けてから氷水で冷やす「なんちゃってたたき」でも十分に美味しいですよ。
スマガツオはカツオ(ホンガツオ)と比較して臭みがずっと少ないのでワラなどで焼かなくても絶品の味わいを楽しめます。 また、串は100均などで安く手に入るので串を刺す料理法にチャンレンジしてもよいでしょう。
材料 (3人分) かつお刺身150g 新玉ねぎ1/2個=100g にんにく 5かけ 青しそ10枚 ■ <タレ> 酢大さじ1 しょうゆ大さじ1
刺身が美味しい「スマガツオ」の釣り方
釣り方はカツオと同じ
スマガツオは狙って釣るのが難しい魚です。食性などは通常のカツオとほぼ同じなので、狙う場合にはカツオの釣り方をそのまま活用して、釣り場を探っていきます。
釣り場情報
この魚を狙う際には釣り場は、主に堤防や防波堤などの陸です。スマガツオは回遊する魚なので、場所と時期によってはそもそもこの魚自体がいない場合があります。おおよその目安では日本列島の太平洋側ならば8月から10月の時期であればこの魚を狙えるでしょう。
ショアジギング
スマガツオは主にイワシなどの小魚を好んで捕食する中型の魚です。そのため、ルアーはジグなどの小魚ライクのものを使用します。ショアジギングと呼ばれる釣り方で海中を探っていき、スマガツオを狙っていくわけです。
この魚が生息している水域ではヒラマサなどの他の高級魚も一緒に泳いでいることが多く、スマガツオと一緒に思わぬ大物がかかることもあります。下記リンクからショアジョギングの釣り方についての関連記事を参照できます。
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刺身が美味しい「スマガツオ」のまとめ
旬のスマガツオ料理を食べてみよう!
マグロの数が激減している現状で、マグロに代わる美味しい食材を探求することは必然的な行動と言えましょう。
スマガツオは一時期「幻の魚」とまで称されたほどの絶品の食材ですが、数年前から養殖産のものが市場へと出荷され始めたのを皮切りにどんどん知名度を上げています。
「本当にマグロ以上に美味しいの?」と疑問に思われた方は、是非その味を体験してみましょう!
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