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高級魚「ベラ(キュウセン)」とは?見た目以上に美味しい味と食べ方をご紹介!

観賞魚のようなカラフルな見た目のベラ。この魚はキュウセンという名前でも知られています。東日本ではほとんど価値のない魚であるベラですが、西日本では高級魚として取引されていることをご存知ですか?ベラの生態から美味しいと噂の味と食べ方、さばき方までご紹介します!
更新: 2024年2月17日
石倉
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高級魚「ベラ(キュウセン)」とは?

スズキ系スズキ目ベラ亜目ベラ科キュウセン属

ベラは美しい体色をした海水魚です。この魚は日本の各地域で広く漁獲される種類のもので、地方でいろいろな名称で呼ばれます。

主に市場では科名の「ベラ」か、あるいは属名の「キュウセン」で呼称され、高級魚として販売されています。ただ、スーパーなどの一般的な小売店ではあまり扱っていない種類のものですね。皆さんのなかでもベラを店頭でご覧になられた方は少ないでしょう。

名前の由来

属名でもある「キュウセン」という名前は体の模様に由来があります。画像に見られるようなベラの体色は実にカラフルなものです。色鮮やかな体色に、いくつかのラインが走っているのが確認できますね。このラインはメスの個体では9本存在します。ここから「九線」という漢字があてられました。

ベラとキュウセン以外の名称は?

例えば特徴的な別名としては「ベンゴシ(弁護士)」というものがあります。主に富山県の漁協組合では、ベラはこの名前で呼ばれます。チヌ狙いの外道としても有名で、「エサ取り」という意味合いを込めて「エトリ」とも呼称されます。海釣りを趣味としている方ならばベラは頻繁に目撃していることでしょう。

ベラ(キュウセン)をご紹介!

今回はこのカラフルな高級魚、ベラについてご紹介しましょう。生態から見た目、そして気になる味や食べ方までをふれていき、この魚の正体を解明します。

高級魚「ベラ(キュウセン)」の生態

ベラの形態

サイズについては雌雄で差があります。雄の個体が成熟したもので30センチほどにまで成長するのに対して、雌の個体は20センチ前後です。分布が広い魚なので体色には地域差が存在しますが、概ね体色は下地に黄色みをおびた茶色をしており、そこに太めの黒いラインが走ります。

さらに、その黒い太線の周囲に赤く細めのラインが数本。前述したようにこのラインが計9本あることから、キュウセンと呼称されます。この呼称は神奈川県の地域名が日本全体に広まり定着しました。

ベラの口唇と食性

上記した画像にあるようにベラの口はハゼやシーバスなどと違って小さくしか開かない「オチョボ口」です。大きくガバっと開いて獲物を捕食するという芸当はベラにはできません。

そのため、ベラは孵化してから老衰するまで水生の小型生物、例えばプランクトンや小エビなどを少しずつ啄ばんで食べるわけです。ただ食欲自体は旺盛で、釣り人が垂らすエサはベラにとってはご馳走。貪欲に小さい口でパクパクと食いつき、釣り人を困惑させます。

ベラは性転換する魚

ベラの産卵期は晩春から初夏にかけてです。そして、この魚の特に有名な特徴として性転換があげられます。雌雄でサイズに差がある魚ですが、実は子供の頃にはまだ雌雄の差が存在しません。孵化したばかりのベラはそのほぼ全てが雌で、サイズにも差はほとんどありません。成長していくにつれて雄へと変貌を遂げる個体が出てきます。

雌性先熟(しせいせんじゅく)とは?

ベラのような孵化してしばらくは雌、そして成長するにつれて雄へと変貌する個体は雌性先熟(しせいせんじゅく)と呼ばれます。

過酷な自然競争のなかで雄は雌を奪い合って激しく争い傷つけあいますが、成熟して最低限の大きさに成長するまで性別を雌で統一しておけば不要な争いを避けられ、種の保存という目的を達成しやすくなります。ただ、ごくまれに生まれながらの雄のベラも存在します。

高級魚「ベラ(キュウセン)」の生息場所

ベラが好む環境

ベラは水深の浅い岩場や砂地を好み、生息場所として選ぶ魚です。砂地に潜む小型の甲殻類などを捕まえ食べることで知られ、夜になり眠る際には砂を体にかけてカモフラージュしてから睡眠に入ります。また、季節が冬に変わり寒くなってくると少し深めに砂をかぶり、冬眠することでも有名です。

ベラの分布


ベラは分布が広くほぼ日本の全ての都道府県を網羅しています。水温の差にもあまり関係なく、日本海側と太平洋側を問わずに目撃される魚です。北海道の南部から九州地方まで幅広い湾内で漁獲されます。主に国内で高級魚として漁獲され流通しているベラは瀬戸内海に生息していた個体が多いですね。

ベラが主に漁獲される瀬戸内海って?

瀬戸内海は本州と四国、そして九州の間に位置しています。ベラを高級魚として扱っている地方は主に西日本です。そのため、東日本ではあまり漁獲されませんし、市場に出回る量も少なくなります。

東の地方、例えば東京に住んでいる人のベラという魚の評価はあまり芳しいものではなく、その味についても「まずい」と評する方が少なくないことでも有名です。ベラの味についての真相は後述します。

ベラは日本以外の国でも漁獲される

ベラは日本では関西などの西日本を中心に漁獲されている魚です。ただ、この魚を食用として利用している国は日本だけではありません。 例えば美食の国である中国でもベラは食味のよい魚として知られ、古来よりさまざまなレシピで調理され、愛されています。台湾や朝鮮半島でもベラは現地の人たちにとっての貴重なたんぱく源です。

高級魚「ベラ(キュウセン)」の美味しい味

ベラの旬

ベラの旬の時期は7月から9月です。そのなかでも特に日差しが強くなる8月、すなわち真夏の時期がベラの一年でもっとも美味しくなるタイミング。西日本では旬のベラは特に高値で取引されます。東日本では、やはり旬の時期でも流通量はわずかで、ほとんど見ることはありません。

ベラの身は赤身?白身?

ベラの身は上品でクセのない白身です。タイ科の魚ほど弾力のある身ではなく、口のなかでホロリとほどける少し柔らかい身質が特徴的で、刺身はもちろん煮付けなど加熱した食べ方でも絶品の味わいがあります。

「まずい」という評判があるのはなぜ?

ベラは雑食で、小さい口ながらプランクトンから小型の貝やカニまでその土地にあるものは何でも食べる悪食な魚です。そのため、漁獲される場所の水質やエサによっては磯臭さが増していき、食味がガラリと変わります。

また、「まずい」という評価をつけたのは、主に釣り人で外道として頻繁にエサを奪うベラに対して日ごろから悪感情を抱いていたことも、悪い評判がある原因の一つだと言われています。

高級魚「ベラ(キュウセン)」の食べ方

おすすめの食べ方はお刺身

ベラの白身を食べるならやはりお刺身がおすすめです。ただ、この魚は成熟してもせいぜい30センチほどにしかならないため、お刺身として食べるのなら型のよい新鮮なものが欲しいところ。旬の時期なら関西の魚市場で広く見られるベラですが、もしも流通していないのなら釣りで狙ってみるのも手ですね。

お刺身以外の食べ方では

ベラの白身はクセが少ない味わいのものです。そのため、食べ方はお刺身以外でも煮たり焼いたりとレパートリーに富んでいます。特に西日本ではベラは価値の高い魚で、料理方法も地域によってさまざまなレシピが開発されています。

広島県の郷土料理「ハブテ焼き」とは

例えば、広島県には「ハブテ焼き」というレシピが広く郷土料理として知られ、ベラを美味しく食べるための調理法として古くから愛されています。この料理は一旦甘辛く煮付けた魚を一晩置き、味が染み込んだ後で炭火により焼いたもので、クセのないベラの白身にとてもマッチした一品です。

高級魚「ベラ(キュウセン)」のさばき方

知っておこう!ベラの上手なさばき方


お刺身で食べるにせよ、他のレシピで食べるにせよ、まず覚えなければならないのはベラのさばき方です。この魚の入手方法は西日本であれば魚市場で購入することも可能ですが、地域によっては一般に流通していないため釣りでの入手も視野に入ります。そのため、新鮮な釣りたてほやほやのベラのさばき方を知っておいて損はありません。

ベラのさばき方.1

ベラは表面にヌメリがあることで有名です。そのため、作業の際には手元に十分に注意してください。まず、ベラから鱗を落としていきましょう。片手でしっかりとベラの頭をもち、固定してから包丁でコソギ落としていきます。鱗落とし用の調理器具を使用するとより簡単にできますのでおすすめです。

ベラのさばき方.2

鱗が十分に落とせたなら、次は頭部を切り離していきましょう。そして、腹部を包丁で切り開き、内臓を取り除きます。

ベラのさばき方.3

内臓を取り除けたなら、包丁をベラの身と背骨の間に置き、身を骨から剥がすように切断していきましょう。片面が終われば、その反対側の身も同じ要領で切り離していきます。最後に、皮を引けばベラの三枚おろしが完成です。お刺身にしてもよいですし、他のレシピで料理しても美味しいですよ。

ベラの三枚おろしを動画で紹介

さばき方をより実践的に理解していただくために、実際にベラを三枚にさばいている過程の動画をピックアップして上記で掲載しております。三枚おろしはベラ以外の魚のさばき方としても大変重宝する技術ですので、是非これを機会に習得しておきましょう!

高級魚「ベラ(キュウセン)」の料理3選

西日本では高級料理

ベラほど日本の東西で評価が分断される魚は他にいないでしょう。西日本ではベラはタイなどと並んで食されるほどの高級な素材です。そして、そのベラを使用した料理も一流の料亭などで提供されるほどの、まぎれもない高級料理と言えます。

美味しいベラ料理を3選ご紹介!

今回はベラの美味しい食べ方を3選ピックアップしてご紹介しましょう。一般のご家庭で料理できるような複雑すぎないレシピのものを特に皆さんに知っていただき、外道として知られるベラを西日本以外の地域の方たちにも是非味わっていただきたく考えております!

高級魚「ベラ(キュウセン)」の料理①

ベラのムニエル

ムニエルはクセのない白身ほど美味しいレシピですね。ただ、確かにベラの身はクセがない白身ですが、旬の時期のものでは少しだけ話が違ってきます。芳醇な脂が白身の間にたっぷりと詰まっているので、まるでカレイやヒラメなどのプリプリの白身と比較しても遜色ないほどの深いコクと味わいを生むのです。

レシピを簡単紹介

ポッカサッポロ ポッカレモン100

出典:楽天

材料は下記に表記してあります。ムニエルのレシピはとても簡単。切り身にしたベラに塩コショウを適量ふって下味を付けたら小麦粉をまぶしてたっぷりのバターで焼き上げるだけです。レモンなどの柑橘系果汁と一緒にお口に運べば爽やかな酸味でさらに美味しく食べられますよ!

【材料】ベラ、塩・こしょう、小麦粉、バター、醤油、レモン、つけあわせの野菜

高級魚「ベラ(キュウセン)」の料理②

ベラの塩焼き

ベラはお刺身などのシンプルな料理が本当によく合います。塩焼きはお刺身と並んでベラの食べ方としておすすめできる美味しい料理です。飾り塩をヒレにまぶして軽く焦げ目がつくまで焼き上げましょう!なぜ海の魚はここまで塩とマッチするのでしょうか。クセのない上品な白身がホロホロと口内でほどける食感はたまらないものがあります。

レシピを簡単紹介


材料は同じく下記を参照してください。塩焼きは手順としては単純ですので、特にポイントとなる部分をご紹介しましょう。ベラに限らず魚の塩焼きを上手に焼き上げるコツは火加減です。

焼き始めは弱火から中火で魚の芯までじっくりと焼き上げます。そして、身の内側までしっかりと火が通ったら、最後の仕上げに強火にして少しだけ焦がすのです。塩焼きは多少焦がすことでより美味しく仕上がります。

材料ギザミ(ベラ)お好きなだけ 料理の塩適宜 大根おろし&醤油お好みで

高級魚「ベラ(キュウセン)」の料理③

ベラの南蛮漬け

南蛮漬けはベラのような上品な白身を料理する際には特におすすめのレシピです。一年を通して夏場がもっとも美味しい旬の時期であるこの魚を、南蛮酢で爽やかに酸味をもたせて料理すれば夏バテ防止にも最適ですよ。ベラの筋肉は良質のたんぱく源で精力がつくこと間違いなし!今年の夏はウナギではなくベラで猛暑を乗り切りましょう!

レシピを簡単紹介

チョーコー醤油 長崎南蛮酢 300ml

出典:Amazon

材料はまた同じく下記を参照してください。南蛮漬けは、塩焼きや煮魚などと比較してあまり馴染みのないレシピですよね。ただ、作り方は本当に簡単です。さばいたベラに小麦粉をまぶして170度程度の油でじっくりと3分ほど揚げます。小骨まで食べられるようにじっくり揚げたなら、あとはアツアツのうちに南蛮酢をかけていけば完成です。

材料と分量/4人前 ベラ9~10匹 小麦粉適量 揚げ油適量 南蛮酢

南蛮酢の作り方

南蛮酢は市販の既製品を使用してもよいですがお家で簡単に自作できますのでチャレンジしても面白いですよ。作り方は下記の材料をしっかりと割合をはかって混ぜ合わせるだけです。ビンに入れて冷蔵庫で管理しておけば1週間程度は保管できます。ベラなどの魚以外でもチキン南蛮などでも利用できますのでおすすめですよ!

材料 (割合)酢2 醤油2 砂糖1 酒1

高級魚「ベラ(キュウセン)」のまとめ

見た目に劣らぬベラの味わい

ベラは美しい色合いをしており、食用以外にも観賞用としても大変人気の魚です。ただ、釣りの外道として一部の釣り人たちには蛇蝎のごとく嫌われている魚でもあります。なかにはせっかくベラを釣り上げても持ち帰らずにリリースしてしまう人もいるほど。

今年の夏は、見た目の美しさに劣らぬ美味しさをもつベラを是非料理して食べてみましょう!

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当サイト「暮らし~の」には多くの高級魚についての情報が掲載されております。それらの情報も是非チェックして食卓のレパートリーに絶品の魚料理を増やしていきましょう!