はじめに
比較基準
シャマルウルトラがなぜ軽いと魅力的なのかはもちろん、ホイール比較でわかる軽さとその他性能、ヒルクライムやロングライドといったレース面も考慮したインプレになります。そこで、シャマルウルトラと比較するホイールは、アルミクリンチャー、現在主流のワイドリムホイールの「C17」、「軽さ」が基準です。
他メーカーのホイールが比較対象
シャマルシリーズというシャマルウルトラでも重さや性能が違うものや、シャマルミレという1グレード上のものもあります。しかし、これらで比較するといささか基準がぶれるため、他メーカーのホイールが比較対象です。シャマルシリーズの中で一番シンプルなシャマルウルトラC17 クリンチャーを基準にインプレしていきます。
カンパニョーロのシャマルウルトラ
カンパニョーロはイタリアの自転車部品メーカーで、大手三社のうちの一つです。自転車の本場イタリアとあって、技術面やデザイン面でも評価が高く、ブランド力の大きい人気メーカーです。そのカンパニョーロが生み出したシャマルウルトラホイールは、アルミクリンチャーの中でも軽い部類に入り、その他の性能でも初心者から上級者まで幅広いニーズに応えています。一般的な愛称は「シャマル」です。
●重量:1495g ●リムタイプ:クリンチャー/WO●リム素材:アルミ製トリプル切削●リム高:F:26mm, R:30mm ●リム幅:22.6mm C17●スポ●スポーク素材:アルミ●ニップル素材:アルミ●ハブ素材:カーボン(ボディ)、アルミ(フランジ)●ベアリング:USBセラミックベアリング ●ホイールサイズ:700C
シャマルウルトラの立ち位置
カンパニョーロ製ホイールの中でも、シャマルウルトラと同じ分類のホイールが四点あります。シャマルミレ、シロッコ、ゾンダ、ユーラスがあり、このうちシャマルミレが最も価格が高く・高性能です。その次点にシャマルウルトラがいます。
シャマルウルトラとシャマルミレの違い
シャマルウルトラはシャマルミレほど価格は高くなく、構造はほぼ同じなのです。しかし、シャマルミレにはリム加工にプラズマ電解酸化処理が施されているので雨の中の走行が可能であるということ、僅かに漕ぎだしと登り坂に強いといった利点があります。滑りやすい雨の中で比較的リスクを抑えられるのは、やむおえずに走らなければならない場合には嬉しい機能でしょう。そのような機会がなければシャマルウルトラで問題ありません。
シャマルウルトラの比較対象
シマノ WH-R501
シマノは日本の自転車部品メーカーかつカンパニョーロと同じ大手三社の内の1社で、技術力の高い信頼の厚いブランドです。このホイールはロードバイクの完成車によく使われており、重量約2㎏級のホイールなので、よく「鉄下駄」と呼ばれています。しかし、同じ価格帯の中ではトップクラスのコストパフォーマンスを誇っているホイールでもあるのです。
●重量:1900g●リムタイプ:クリンチャー ●リム素材:アルミニウム ●リム高:F:24 mm, R:24mm ●リム幅:20.8mm ●スポーク:F:20本, R:24本 ●スポーク素材:ステンレス ●ニップル素材:ブラス ●ハブ素材:F:スティール, R:スティール ●ホイールサイズ:700C
レーシングゼロC17
レーシングゼロC17は、カンパニョーロの姉妹ブランドであるフルクラムが製造した、レース用ホイールです。シャマルウルトラとは、同グレードであるためよく比較されています。この2社のホイールの違いはスポークの張り方にあり、それによる性能差が自転車競技者たちを沸かせています。愛称は「レーゼロ」です。
●重量:1518g ●リムタイプ:クリンチャー/WO ●リム素材:アルミ(6082プリ・エイジド) スクエア切削 ●リム高:F:27mm, R:30mm ●リム幅:22.5mm、C17 ●リムプロファイル:ロー ●スポーク:F:16本, R:21本(左7&右14) ●スポーク素材:アルミ ●ニップル素材:アルミ ●ハブ素材:F:カーボン(ボディ)/アルミ(フランジ), R:アルミ ●ベアリング:USBセラミックベアリング/カップ&コーン/アジャスタブル/アルミアクスル ●ホイールサイズ:700C
シャマルウルトラとのホイール比較項目
重量
自転車部品のうち、重量に差がつくのがフレームとホイールです。重さ400g差のあるホイールを手に取って比べてみると、その差は歴然です。重ければそれだけ接地における安定感はありますが、速さを求めてロードバイクに乗る以上は重荷でしかありません。いかに速く快適に、自分の望むように走るかにおいて重要な項目の一つです。
剛性
ホイールの硬さは、素材と張り方によって重量も剛性も変わってきます。剛性が高いと、重く足が疲れやすい反面、ぺダリングに対する反応が鋭いです。それゆえ、踏んだ分だけよく進む、頑丈という利点があります。剛性が低いと、しなりの良さから踏み込んだ力が逃げてしまう分、加速性の面では剛性の高いものに比べると弱いです。しかし、快適性があり、漕ぎだしや踏みこみが楽というメリットがあります。
回転性能
回転性能は主にリムとハブ、スポークによって左右されます。ハブは摩擦抵抗をスポークは空力性能に優れたものが好ましいです。高速度の維持がしやすく、ぺダリングにおいての負担も軽いといったメリットがあります。
シャマルと比較対象のインプレ
それぞれの利点・長所・短所などから語っていきますが、主にシャマルについてのインプレになります。比較対象については、エントリーモデルから同性能までが対象です。それでは、シャマルウルトラと比較するホイールとのインプレをしていきます。
シャマルウルトラとWH-R501
重量
1495gのシャマルウルトラに対しWH-R501は1900gで、その差は驚きの405gです。手に持つとさらに明らかな重量の違いを感じます。やはり軽い分踏み込みの際にかかる負担は、シャマルの方が少ないです。それは特に登りで顕著に表れるので、速さかつ快適な走行を楽しむなら圧倒的に軽いシャマルに軍配が上がります。
剛性
シャマルウルトラとWH-R501ではスポークの素材から本数まで違います。ステンレススポークは、アルミスポークよりも重量と加速性の面で劣勢ですが、快適さと頑丈さでは勝っています。しかしアルミは重量と剛性のバランスの良さが最大の売りであり、やはり「走る」ことにおいてはステンレスよりも軽いアルミの方が有利です。シャマルの方がスポークの本数も少ないため、素材の重さも含めてWH-R501よりも断然軽く、しなやかです。
回転性能
回転性能は、やはりUSBセラミックベアリングハブを使用しているシャマルウルトラが明らかに上です。回した際のインプレとしてもシャマルの方がWH-R501よりも速度維持がかなり楽で、ペダルを回さなくても前に進む距離も速度も伸びる、という結果となりました。
シャマルとWH-R501のインプレ
シャマルウルトラとWH-R501の走りよさと快適性においては、シャマルが圧倒的に上でした。やはり、エントリーモデルとハイエンドの差でしょうか。シャマルに換えてペダルがよく回るのは楽しいですし足の負担が少なく済むので、一層ロードバイクに乗りたくなります。もちろん、WH-R501の頑丈ゆえの重さも、破損しにくいという利点があるので恐る恐る乗る必要がない、といったメリットはあります。
シャマルウルトラとレーシングゼロC17
重量
シャマルウルトラとレーシングゼロC17は同じアルミクリンチャーで、重量差は23gです。重量差が巡航速度に大きな影響を与えていませんが、スポークの張り方やリム高によっての性能差はありますので次項で後述します。フルクラムのスポークの張り方が2to1、リム高は27㎜、カンパニョーロのスポークの張り方はMega G3でリム高26㎜です。
剛性
前述したように、スポークの張り方によって剛性に違いがでます。シャマルウルトラは他のメーカーとも違うスポークの張り方をしており、人気のあるデザインです。レーシングゼロC17に比べると剛性が低く、軽くて柔らかい、快適性と空力性能に長けている、といったメリットがあります。レーシングゼロC17の2to1は、シャマルウルトラよりも剛性が高く、踏み込みにおける反応の良さと加速性で優れています。
回転性能
シャマルもレーゼロもUSBセラミックベアリングなので、先ほど述べたリム高の1㎜差による性能の違いをインプレします。1㎜差でも性能的には侮れず、これが重量23g差を生み出した要因でもあるのです。リムが高い・大きくなるとそれだけ重さも増えますが、回転性能も向上します。よく回るため慣性での速度維持・巡航性が良くなるのです。しかし、軽さ・スポーク・ハブも考慮して比べると、シャマルとレーゼロの優劣はつけがたくもあります。
シャマルとレーゼロのインプレ
シャマルウルトラとレーシングゼロC17はメーカーの関係上性能が非常に似ているので、大きな性能差を語りにくい点がありますが、それだけに僅かな性能差の重要性に気づける結果になりました。優劣つけがたくも確かにその個性は強く、各々の向き不向きが表れています。手ごたえの強く、短距離でより速さを求めるならレーゼロC17で、気軽な快適さのんびりとした走りを楽しみとするならシャマル、という一種の顔が見て取れます。
シャマルウルトラの魅力
軽さ・剛性・デザイン
シャマルウルトラはアルミスポークの中でも重量が軽いだけでなく、漕ぎだしや登りのぺダリングが軽く、よく回り、快適であることは大きな魅力です。独自のスポークの張り方による軽さとデザイン性には定評があり、他の同性能のホイールよりもデザインを取ってシャマルを選ぶ人もいるほどで、実際他のバイクとの個別化ができるというのは魅力的です。
シャマルとヒルクライム、ロングライド
シャマルとヒルクライム
ヒルクライムは高低差のある道を走るため、登りの負担を少なくするには重量面での軽さは必須です。このステージにおいて剛性の低いホイールはしなり過ぎて前に進みにくくなるため、剛性の高いホイールが適しています。この条件に適した素材がアルミです。軽さと剛性がつり合いが取れているシャマルはヒルクライム・ロングライド共に活躍できますが、ヒルクライムではより剛性の高く反応の鋭いレーシングゼロC17の方が向いています。
シャマルとロングライド
ロングライドでは200kmほど走るために、頑丈さと乗り心地の良さが必須です。ヒルクライムよりは平地を走るので、回転性能の高さによる安定した疲れにくい走りが求められます。そのため、柔らかく、よい乗り心地・剛性も回転性能もよしなシャマルは、ロングライドに適したホイールと言えるでしょう。
シャマルウルトラの総合的なインプレ
シャマルはアルミホイールの中でも軽量で、乗り心地とデザイン性、漕ぎだしのよさが魅力的なホイールです。使用シーンによってはそれらがメリットとならない時もあるでしょう。シャマルはオールラウンダーな性能ですがヒルクライムよりロングライド向きです。しかし、適したシーンでは真価を発揮しその軽さや走行性能は、エントリーモデルのものとは歴然の差があります。初めてホイールを換える人には特にシャマルはおすすめです。
まとめ
シャマルウルトラが軽いことによる効果というのは、エントリーモデルからステップアップする人には魅力的だったことでしょう。シャマルは、重さゆえに日ごろからフラストレーションが溜まっている・もっと楽に走りたい・ロングライドがいい、といった人には満足できるホイールと言えます。この記事のインプレとしてはここまでですが、ご自身で実際のシャマルのよさを体感して、さらに新たな発見をされてみてはいかがでしょうか。
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シャマルウルトラを製造しているカンパニョーロのホイールや各部品などを詳しく知りたい方におすすめの記事や、有名なアメリカの自転車メーカートレックのパーツブランドであるボントレガーのホイールについての記事も載せています。また、スイスのメーカーDT Swissのホイールと部品の精巧さ・完組できる点などを紹介した記事もあります。ホイールについてさらに知識を深めたい方はぜひこちらもご覧ください。

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