コナガとは?
体長約6mmのチョウ目昆虫
大根の葉に着いてた青虫はコナガという蛾の幼虫でした(;o;)蛾も7ミリくらいしかない小ささです。外にサヨナラしてもらおう #コナガ pic.twitter.com/tWoG9OsjLZ
— ひめお (@hime_croco) March 5, 2018
コナガとは画像のような灰褐色をした、チョウ目(鱗翅目)に属する昆虫です。成虫の体長は約6~7㎜程度で、羽を広げると12~15㎜ほどの体長になります。このコナガが大量発生することにより、作物は大きな食害を受け、更に病気になってしまうこともよくあります。作物を育てている農家にとっては天敵中の天敵と言えますね。コナガの食害を受けると、見た目が悪くなるだけではなく病気になる可能性もあります。
アブラナ科が大好きなコナガ
コナガによく食害を受けてしまうのは、アブラナ科の植物です。アブラナ科と言えば白菜やキャベツ、大根や葉野菜など、私たちが食べている野菜はアブラナ科がとても多いのです。アブラナ科にはカラシ油成分が入っており、このカラシ油成分が害虫や病気を対処してくれるのですが、コナガはこのカラシ油成分を解毒する力を持っています。
コナガの生態
全世界的に分布
コナガの生態からまず知っていきましょう。コナガは西アジア原産の害虫ですが、繫殖力や適応力も高かったために、今では全世界的に分布しています。つまり、世界的に困っている害虫なのです。農業をする上で必ず当たる壁であり、多くの農家がコナガ対策に四苦八苦していますね。後述しますが、農薬が効きにくい一面がありますので、ただ農薬をばらまけば済むという問題でもありません。
成長・繁殖が速い!
彼を知り己を知れば百戦殆うからず、ということで読みました。よく知ればコナガが可愛らしく思えてきました。今日畑で出会ったらら微笑みながら潰しますね:kissing_heart: pic.twitter.com/Sh1IPjAxwG
— nagao_京都長尾ファーム (@masanorinagao) March 8, 2018
コナガの怖いところは、成長・繁殖がとても早いことです。時期にもよりますが、寒い地域では年に5回、暖かい地域では年に10回以上も繁殖します。もちろん1匹が一回に産むのは1匹という訳ではありませんので、放っておいたら1年でどれくらい増えてしまうのか、なんとなく想像がつくところですね。蛹になることで越冬も出来ます。
コナガは薬剤に抵抗を持っている!?
薬剤抵抗を素早く持つコナガ
少し先述しましたが、コナガは薬剤に対して抵抗を持つことが出来る害虫です。この生態が農家を困らせる一番の要因ですね。現在、多くの農家は農薬に頼って野菜を作っていますので、農薬が効かないとなると大規模な農業がしづらくなってしまいます。特に、同じ薬剤を何度も使っているとその薬剤が効かなくなってしまいますので、農薬を使うならちょっと工夫がいります。
使い分けることで薬剤を効かせる
コナガは農薬に対して抵抗を持ちますが、全く効かない訳ではありません。同じ農薬を何度も使ううちに抵抗性を持つコナガが生まれてしまいますので、色々な農薬を使い分けることで防除することも出来ます。ただし、現存しているコナガはもう色々な農薬を受けてきていますので、他の害虫達に比べて、農薬での対策をしづらくなっているのが現実ですね。
コナガの幼虫
紡錘形をしたコナガの幼虫
コナガの幼虫。こういう虫は虫屋という感覚では見過ごしてしまいがちであり、かといって農業者や研究者として見た場合一転して憎き存在になってしまいがちという。すばやくコミカルな動きが素敵とも憎たらしいともいえます。 pic.twitter.com/CxOh5K1ZnJ
— さばライアン (@sabazushi3844) March 10, 2018
実際にアブラナ科作物に被害を及ぼすのはコナガの幼虫です。コナガの幼虫が食害をすることで、作物が痛み、また病気になったりします。上記ツイートに写っているのがコナガの幼虫。ツイートにもありますが、コミカルな動きをしており、食害被害さえ受けていなければ可愛らしい幼虫です。しかし、作物の見た目を悪くし、病気の可能性を作る困った昆虫です。
色が少し変わっていく
コナガの幼虫は成長するに従い、少し色が変わっていきます。生まれて間もない幼虫は綺麗な緑色をしていますが、成長するにしたがって緑色が濃くなっていき、褐色っぽくなっていきます。ですので、幼虫の外見を見れば、どれくらい成長した状態なのかが分かりますね。もちろん、まだ幼くても成長していても、見つけたら作物の為に殺すべきです。
コナガによる食害
コナガによる食害例①
キャベツにコナガ https://t.co/BK7n87FsLM pic.twitter.com/WCrGnHyNvA
— 五十嵐透 (@iga3farm) April 6, 2018
コナガの幼虫に食害を受けたキャベツの例です。コナガの幼虫がキャベツの新芽部分を食べているのが分かりますね。大きな葉にも大きな穴が開いていますが、新芽のうちに開けた穴かもしれません。新芽はやはり柔らかいため、よく食害される部分です。また、外見から新芽の中は見にくいため、コナガの幼虫がいるかどうか見にくいという部分もあります。
コナガによる食害例②
こちらはコナガに食害を受けた大根の葉と、コナガです。尺取虫のような動きをしているコナガが写っていますね。コナガの食害を受けると、作物が写真のように穴だらけになってしまいます。こうなってしまうと作物が病気になりやすくなり、成長も遅くなり、商品としての価値も下がってしまいます。早め早めの対策を打たなければいけませんね。
コナガの防除方法
粒剤を最初に撒く
コナガの対策としてまず行いたいのが、作物を定植した際に粒剤を撒いておくことです。有名な粒剤として、オルトランやアルバリン、モスピランなどがありますね。天敵である益虫をなるべく殺さない薬剤を選ぶことで、より効率的にコナガ対策をしましょう。アブラナ科の定植時に撒くだけですので、対策としてはかなり簡単です。
7~10日ごとにローテーション散布
アファーム乳剤などの粒剤ではない農薬を使う場合は、7~10日ごとにローテーション散布を行いましょう。同じ農薬を使い続けると抵抗性を高めてしまいますので、他の農薬と組み合わせながら農薬を散布していきます。幼虫の生態的に、例えばキャベツなどだと中に潜り込んでしまったりしますので、農薬を全体的にかけたからと言って安心は出来ません。
コナガの無農薬防除方法①シルバーマルチ
光の反射でコナガを忌避
コナガ対策は農薬を使うことだけではありません。例えば画像のようなシルバーマルチも効果的です。シルバーマルチは普通のマルチと比べてちょっと値段がかかりますが、シルバーマルチをすることによって太陽光を反射し、コナガの感覚を狂わせることが出来ます。通常は上から光を浴びていたのに、下からも強い光を浴びてしまうと、昆虫は混乱するという仕組みです。
シルバーマルチだけでは心許ない
シルバーマルチをしたから害虫対策は完璧、という訳にはいきません。農薬やシルバーマルチを使ってもまだまだコナガは防ぎきれないのです。もちろん効果はありますので、色々な対策方法を併用して使っていきましょう。シルバーマルチはキャベツや白菜などの大きな作物で使った場合、影が出来てしまいますので、そこからコナガが来てしまいます。
コナガの無農薬防除方法②ネットを使う
防虫ネットで侵入阻止
無農薬での害虫対策の定番、ネットも有効です。ネットを張ってしまえば、卵を産みにきたコナガの成虫が入れませんので、一番分かりやすい対策方法ですね。無農薬で野菜作りをする際はネットが欠かせません。ですが、元々ネットの中に害虫がいるという可能性もあります。無農薬にこだわりがなければ、ネットをする前に、一度農薬散布をするといいですね。
0.4mm以下の防虫ネットを使用
コナガの対策の為にネットをする方は多いのですが、よくある失敗として「ネットの網目が大きすぎる」ということがあります。ネットはよく1㎜程度や0.7mm程度のものが使われますが、コナガの体長が小さいため、それくらいのネットでは通ってしまうことがあります。ネットを使うのであれば、0.4mm以下のネットを選びましょう。かなり細かいネットですね。
コナガの無農薬防除方法③天敵
コナガの天敵たち
全世界を困らせるコナガですが、そんなコナガを食べている天敵もいます。とても身近な例で言えばゴミムシもその一つです。上記画像の昆虫がゴミムシで、土の上の石をどかした時なんかによく出てくる虫ですよね。このゴミムシは肉食性ですので、コナガの幼虫を食べてくれます。また、ゴミムシは僅かに毒を持っていますので、既で触らない方が無難です。
天敵を殺さないように防除する
ゴミムシの他にクモなどもコナガの天敵です。こういった天敵を殺さないようにすることで、コナガを効率よく撃退し、アブラナ科作物の病気を防ぐことが出来ます。強い農薬を沢山使ってしまうと天敵もいなくなってしまいますので、なるべく無農薬で対策するよう心がけたいですね。ネットやシルバーマルチなどを掛け合わせることで、少しずつ減らしていくことが出来ます。
コナガの無農薬防除方法④雑草処理
雑草を処理してコナガの発生を防ぐ
コナガは畑のみを狙う生態を持っている訳ではなく、ただコナガのいる場所にアブラナ科の作物があったから食害をしているだけです。ですので、コナガの居場所を無くしてしまえば、コナガは減ってくれます。畑に雑草が沢山生えている場合は雑草処理をしましょう。雑草を減らすことで、コナガだけではなく、その他の害虫を減らすことも出来ます。
周辺の雑草まで処理する
作物の付近だけではなく、周辺の雑草も出来れば処理してしまいましょう。雑草を綺麗に処理した畑では害虫被害がグッと減り、病気にもなりにくくなります。雑草の処理はとても手間がかかりますが、それだけの価値はありますね。もし問題ないのであれば、除草剤を使うのももちろん手です。ただし、除草剤が作物にかかってしまうとすぐに枯れてしまいますので注意して下さい。
コナガの無農薬防除方法⑤散水
コナガは水に弱い
コナガ対策として実は有効なのが、散水です。コナガは生態的に水に弱く、雨にあたって水たまりに落ちてしまうだけで死んでしまうのです。ちょっとした水滴でも溺死したりしますので、散水での対策も行いましょう。ハウスの中でも手動シャワーや、スプリンクラー設置で水を浴びせることが出来ますね。ただし、水をかけすぎて作物が病気にならないよう注意して下さい。
散水で幼虫駆除
散水をすることにより、成虫はもちろん、食害する幼虫を退治していきましょう。定期的にスプリンクラーか手動でシャワー水を浴びせます。時間は大体15分ほどが目安です。かける量・時間が少なければ溺死しない可能性もありますので、少ない水の量でもある程度の時間をかけたいですね。無農薬の対策として、とても良い方法です。
コナガの無農薬防除方法⑥フェロモントラップ
フェロモントラップとは?
無農薬で出来る対策として、コナガの生態を利用するフェロモントラップというものがあります。フェロモントラップはコナガのメスが持つフェロモンを使ってオスを引き付けて捕まえます。無農薬ですし、一度設置すれば三ヶ月ほど使えるのがメリットですね。また、捕まえてしまいますので農薬のような抵抗性を持たれることもありません。
フェロモントラップでコナガのオス対策
フェロモントラップで捕まえられるのは、フェロモンにつられる生態を持つオスだけです。ですので、フェロモントラップではメスは捕まえられません。しかし、オスだけでも捕まえてしまえば繁殖を防ぐことが出来ますね。農場のサイズによりますが、広い農場であればいくつもフェロモントラップを置いて対策をしましょう。
コナガの無農薬防除方法⑦物理的対処
実は効果の高いバキューム
散水をしたりフェロモントラップを使ったりなどをしてもコナガを全滅させられない時は、物理的対処がおすすめです。コナガが飛んでいるのは普通に見えますので、バキュームを使って吸い取ってしまいましょう。手動ですのでもちろん根気のいる作業ではありますが、もう既に色々な対策を打って数を減らしていれば、出来ないことはない作業です。
かけ合わせれば効果絶大
バキュームは見えるコナガをどんどん殺していくことが出来ます。ですが、バキュームだけではコナガには勝てません。ですので、他の対策も完璧に行った上で使いたいですね。農薬を使っても構わない方であれば、定植時に撒く粒剤からはじめ、シルバーマルチ、防虫ネット、フェロモントラップなどを用いた上でバキュームを使っていきましょう。
コナガに関するTwitter
小さい穴が命取り?
モンシロチョウが飛び始めてたので
— 暗黑翡翠同盟:神 (@Kurusuniku0) March 24, 2018
防虫ネット掛けました
穴小さく開けたのでコナガが来ないこと祈るw pic.twitter.com/JiY5mJuCeT
こちらのツイートでは、モンシロチョウ対策に防虫ネットをかけています。しかし、コナガが入る可能性がある穴があるようですね。これくらいなら大丈夫かな?という予想を覆してコナガは攻めてきますので、出来るだけ完璧に対策をするのがおすすめです。もし入ってしまったら、散水やバキュームなどを使って対策をしていきましょう。
ネットは0.4㎜以下で
クレソンの防虫ネット、去年は1ミリ目のを使用してたけど、1ミリだとコナガの成虫が入りこめちゃうらしいので、今年は0.75ミリ目でチャレンジ。
— いくぽん (@IKU_PON) March 20, 2018
プラスでコナガやモンシロチョウが臭いを嫌がるミントの鉢植えを近くに置く予定。
こちらのツイートでは、コナガ対策に0.75㎜の防虫ネットを使うことが書かれています。しかし、コナガは0.75㎜の防虫ネットでは中に侵入する可能性があります。ですので、防虫ネットを購入する際は、0.4㎜以下の網目の防虫ネットを購入しましょう。せっかく手間をかけたのに、コナガにとっては全然邪魔にならない防虫ネットを張ってしまっていることはよくあるようですね。
コナガの英語名
コナガ Plutella xylostella:
— ふとん最高 (@huton_saikou) January 13, 2018
背中にダイヤモンド模様があるので英語名がDiamond-back-moth。カッコイイ。
菜っ葉なら何でも食べるので、農業上 重要害虫と呼ばれている。ワルだぜ。
電気の傘の中で勝手にしんでるでおなじみ。
キーボードきたないな #蛾 #moth pic.twitter.com/aivCPl0yTv
こちらのツイートでは、コナガのちょっとした豆知識が書いてあります。コナガは英名でDiamondback mothとなっていますが、その由来は背中の菱状斑紋からです。見た目に特徴がありますので、分かりやすい害虫ですね。また、コナガは漢字で書くと「小菜蛾」と書きます。小さい菜につく蛾、ということですね。
まとめ~コナガを防除~
コナガがたくさんいたので島流しの刑に処しました。#家庭菜園 pic.twitter.com/eTylpJRzlF
— マナ (@km3rn) October 28, 2017
今回の「コナガの生態と防除方法をご紹介!食害や病気の対策・駆除のやり方は?」はいかがでしたでしょうか? コナガの生態から防除方法などについてまとめさせて頂きましたが、なかなか対策がとりづらい害虫であることが伝わったのではないでしょうか。アブラナ科作物を育てている方で、まだ行っていない対策がありましたら、効果参考に行ってみて下さい。コナガの被害を受けると作物の見た目が悪くなるだけではなく、病気になる可能性もありますので、一つ一つ対策をして防いでいきたいですね!
ガーデニング・害虫が気になる方はこちらもチェック!
今回はコナガに関してまとめさせて頂きましたが、当サイト「暮らし~の」には他にも沢山のガーデニングや害虫に関する記事があります。下記に一部を用意させて頂きましたので、気になる方は是非見てみて下さい。
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