干し芋の基本情報
全国で作られている干し芋
干し芋は一般にサツマイモを天日干しして乾燥させた食品のことを指します。長期保存も可能で栄養も豊富と、古くから私たちの食に親しまれてきた加工食品です。地域を問わず日本全国で作られています。
茨城県が生産1位
干し芋は全国で作られていますが、産業としては茨城県が盛んです。流通されている干し芋の8割以上が茨城県産のものになります。なお正式名称は甘藷蒸切干と言います。この他、静岡県や長崎県においても干し芋の生産が盛んです。
1800年代から生産
現在の形の干し芋の生産は1800年代に静岡県で始まったと言われています。なお茨城県での干し芋の生産は1908年に始まったという説が有力です。そのため歴史としては約100年とあまり長くはありません。また、日露戦争のときには戦地での食料として重宝され軍人いもとも呼ばれていました。
自家製干し芋をつくる
干し芋に自宅で挑戦
干し芋は専門的な道具などがなくても作ることができます。そのため、方法さえ覚えれば自宅でも干し芋を作ることは十分に可能です。自分で作った干し芋は愛着もわくので、おすすめです。
作り方やアレンジレシピを紹介
干し芋の作り方を紹介します。また干し芋は作った後のアレンジレシピなどを楽しむことも魅力のひとつです。お菓子だけでなく、おかずにもつまみにもなるおすすめのアレンジレシピやその他保存方法なども紹介します。
干し芋を作る時期
干し芋を作る時期
はじめに干し芋を作る時期を紹介します。干し芋はサツマイモを使って作るので当然といえば当然ですが、サツマイモの収穫の時期と干し芋を作る時期はほぼ重なります。サツマイモは9月から11月が収穫の時期なので干し芋作りはこの少し後になります。
天日干しの関係も
干し芋づくりは晩秋以降から初冬くらいまでが良い時期です。これは収穫後の時期ということもありますが、別の理由もあります。干し芋づくりには天日干しさせて乾燥という工程があり、そのため雨が降りにくい冬に近い時期の方が適しています。
自家製干し芋の作り方1:お芋選び
芋の選び方を紹介
ここからいよいよ干し芋の作り方を紹介していきます。干し芋作りにおける最初の工程では干し芋にするサツマイモを選ぶことになります。サツマイモの選び方としては大きく品種での選び方、品種の中での選び方と2つの工程があります。それぞれの工程での干し芋に適した芋の選び方を紹介します。
品種の選び方1
サツマイモの品種にはさまざまあり、品種によって干し芋の味も違います。ちなみに干し芋の日本一の産地である茨城県では「玉豊」「いずみ」「玉乙女」という3つの品種が主に使われているようです。これらの品種を見つけられるようだったら自家製干し芋でも利用するとよいでしょう。
品種の選び方2
もちろん「玉豊」「いずみ」「玉乙女」といった品種以外でも干し芋を作ることは可能です。一般に広く流通している品種の中では「紅はるか」「安納芋」が干し芋に向いていると言われています。いわゆる蜜芋と言われる高濃度のサツマイモが干し芋には向いているようです。
品種の中での選び方
品種を決めたら、次に品種の中での選び方です。干し芋にはあまり凹凸や傷がなく、また皮の色もきれいなものが向いていると言われます。品種の中でも干し芋に特に向いている形のものを選んだほうがよいでしょう。品種・品種の中での形、この2つが干し芋にする芋の選び方のポイントです。
自家製干し芋の作り方2:保管
美味しい干し芋を作るコツ
美味しい干し芋を作るためのコツとして保管があります。収穫してすぐや、買ってきたばかりのサツマイモは干し芋にするにはまだ適していない状態です。サツマイモは時間を置くことにより、サツマイモの中のでんぷんが糖化して甘みが出るようになります。少し待つ、これが干し芋を美味しくするコツです。
それぞれの保管期間
干し芋の保管期間は収穫したものか、購入してきたものかでも分かれます。例えば自分で収穫したサツマイモであれば1ヶ月もしくはもう少し長い期間を保管しておいた方がいいと言われます。購入する場合は保管の期間は収穫したものよりも短くします。
保管のコツ
サツマイモの保管についてもう一点コツがあります。サツマイモは寒さに弱い作物です。そのため、冷蔵庫などに入れずに常温で保存するようにしましょう。この工程によってサツマイモは熟成され、甘みが増して美味しくなります。
自家製干し芋の作り方3:蒸し方
サツマイモを蒸す
サツマイモの保管が終わったら、サツマイモを蒸していきます。サツマイモを蒸す方法にはいくつかありますが、最もオーソドックスな方法は蒸し器を使うというものです。蒸し方としてはじっくりと時間をかけてサツマイモを蒸していきます。
簡単な蒸し方1
サツマイモの蒸し方としては、蒸し器を使わないもっと簡単な方法もあります。その一つが炊飯器の使用です。炊飯器にカップ二杯分くらいの水とサツマイモを入れて炊飯することでサツマイモを蒸すことができます。蒸し器よりも簡単な方法の一つです。
簡単な蒸し方2
炊飯器以外での簡単な蒸し方としては電子レンジの使用もあります。方法としては電子レンジでサツマイモをチンするだけととても簡単です。炊飯器同様に蒸し器がないときの蒸し方として簡単で重宝するのでおすすめです。
美味しい蒸し方のコツ
どの蒸し方でも美味しい干し芋の作り方のコツとしてしっかりと蒸すという点が共通しています。蒸し具合を竹串で刺してみるなどして確認しましょう。竹串が簡単に刺さるくらいの柔らかさがよいです。また切ってみて中心部分を確認するという方法もあります。中心が白い場合も蒸しが足りません。
自家製干し芋の作り方4:皮むき
皮を剥いていく
サツマイモを蒸し終えたら、皮を剥いていきます。この時のポイントはまだサツマイモが熱いうちに皮を剥くということです。火傷に注意しながら皮を剥いていきましょう。このときにサツマイモをキッチンペーパーなどで包んで、竹串やつまようじを使うと剥きやすいです。
スライスのコツ
サツマイモの皮を剥いたら、サツマイモを乾燥させやすく食べやすい大きさにスライスしていきます。この時にもコツがあり、サツマイモの繊維を切断しないようにスライスすることです。繊維を切るとサツマイモの形が崩れてしまいます。縦方向から繊維に気をつけながらスライスしていきましょう。
味見も美味しい
ここまできたら干し芋を作る下準備は終了で、あとは乾燥させて干し芋を作る工程へと入っていきます。ちなみにこの状態でのサツマイモも甘みがあり美味しいです。味見程度にサツマイモを食べてみるというのも家庭で作るときの楽しみ方の一つでしょう。
自家製干し芋の作り方5:乾燥
天日干しにして乾燥
あとはいよいよサツマイモを天日干しにして乾燥させます。はじめにかごや網などにサツマイモを乗せていくのですが、このときのコツとしてサツマイモが重ならないように並べることがあります。また並べる時に形が崩れないように注意するのも重要です。
上下を変えて両面を天日干し
天日干しにする期間は3日から5日、長ければ7日ほどになります。雨の振らなさそうな天気の良い時期を狙ってサツマイモを天日干ししましょう。また乾燥させる過程で両面を上手に乾燥させるために時々引っくり返すことも上手に干し芋を作るコツになります。
雨と鳥は要注意
サツマイモを天日干しにするときには雨は要注意です。雨に濡れてしまうとサツマイモにカビが生えてしまうこともあります。また鳥などにサツマイモを取られることも注意しなければいけません。100円均一で鳥に取られにくい干し網も売っているので、そういったものを使うとよいでしょう。
自家製干し芋の作り方のまとめ
作り方のまとめ
以上の工程で自家製干し芋を作ることができます。干し芋を作る工程は、サツマイモを選ぶ、保管して甘さを増す、サツマイモを蒸す、皮を剥きスライスする、天日干しで乾燥させるというのが大きな流れになります。
家庭でも美味しい干し芋を
サツマイモは方法さえわかれば家庭でも美味しい自家製干し芋を作ることは十分に可能です。作り方も簡単で、蒸し器がなくても炊飯器や電子レンジで代用できるので、ぜひ挑戦してみてください。
もっと簡単な自家製干し芋風の作り方
干し芋風の作り方を紹介
ここまで自家製干し芋の作り方を紹介してきました。干し芋にはさらに簡単なサツマイモを干し芋風にする方法があります。この方法ではオーブンを使い、天日干しさせて乾燥という工程を省略することができます。要は1日でサツマイモを干し芋風にすることができます。
干し芋風の作り方1
干し芋風の作り方は天日干しで乾燥させる方法と蒸す工程までは同様です。蒸し器や電子レンジなどでサツマイモを蒸して、皮を剥き好みの大きさにスライスします。この次の乾燥させる工程でオーブンを使います。
干し芋風の作り方2
蒸してスライスまで終えたサツマイモをオーブンに並べていきます。そしてオーブンで100度から110度ほどでサツマイモをじっくりと焼いています。サツマイモを焼く時間は45分から50分で両面とも焼きます。オーブンの中で冷まして干し芋風の完成です。
干し芋の美味しい食べ方
完成した干し芋もしくは干し芋風を美味しく食しましょう。干し芋の食べ方にはいくつか種類がありますが、最も手軽な食べ方はそのまま食べることです。甘い干し芋のそのままの味を楽しむことができます。お菓子感覚で干し芋を手軽に食べることができます。
炙っても美味しい
干し芋をストーブなどで軽く炙って食べる方法も人気です。炙ることにより甘い干し芋がさらに甘みを増します。また、炙ることによって甘い干し芋になるだけでなく、こんがりとしたサツマイモの味も楽しめるようになります。寒い冬におすすめの干し芋の食べ方です。
干し芋のアレンジレシピ
そのまま食べる、炙るというお手軽な方法だけ以外の干し芋のおすすめのアレンジレシピを紹介します。定番のレシピから変わり種のレシピなど、干し芋の魅力がさらに広がること間違いなしのおすすめのアレンジレシピです。
定番のアレンジレシピ
干し芋のアレンジレシピの定番として干し芋のバター焼きがあります。甘い干し芋とバターは相性がバッチリの組み合わせです。干し芋をバターと一緒に焼きましょう。さらにここに塩を少し加えると風味がましてさらに美味しくなります。間違いなくおすすめの定番アレンジレシピです。
おかずにも出来る役立ちレシピ
干し芋をスナック感覚で楽しめるアレンジレシピが干し芋の天ぷらです。普通の天ぷらの作り方通りに干し芋に天ぷら粉をつけて揚げましょう。干し芋の天ぷらはお菓子としてだけでなく、料理の一品としても食べることが出来るのでおかずとしてもおすすめです。
チーズが美味しいお手軽レシピ
干し芋とチーズを合わせる食べ方もおすすめのアレンジレシピです。作り方も非常に簡単で、干し芋にチーズを乗せてトースタなどで焼き上げます。チーズが程よく溶けて美味しいです。甘い干し芋ですが、黒胡椒などをかけることでつまみとしても楽しめます。
干し芋を食べるときの注意点
干し芋は高カロリー
甘い美味しい干し芋はついついたくさん食べてしまいそうです。しかし干し芋の食べ過ぎには注意が必要です。干し芋は100グラムで約303カロリーと高カロリーな食べ物になります。甘いからと、ついつい食べ過ぎるてしまうと太ってしまいます。
干し芋のダイエット効果
高カロリーな干し芋でありますが、ダイエット食品としても注目されています。干し芋は栄養をたっぷり取れるため、干し芋で栄養を上手に吸収することができます。しかし、ダイエット食品として食べる時には1日に2枚などとごく少量になります。甘い干し芋に何枚も手が伸びそうになりますが我慢が必要です。
干し芋の保存方法
干し芋の賞味期限
干し芋の保存方法について紹介します。市販されている干し芋で60日という賞味期限のひとつの目安があります。市販の干し芋の賞味期限は短くなっている傾向があるようで、これはしっとりと甘い干し芋の方がより好まれるため乾燥の度合いを弱め、水分を多少残すようになっているからだそうです。
しっとりと甘い干し芋が人気
このことから鑑みると自家製干し芋の賞味期限は、乾燥の度合いにもよるとも言えます。水分が多い状態の方が賞味期限は短く、少ない方が賞味期限は長いと言えるでしょう。しっとり甘い市販品のような干し芋を作るか、長く食べられる干し芋を作るか、必要に応じて変化させるのもよいかもしれません。
冷凍保存で長持ち
干し芋を長期間保存したい場合には冷凍庫の使用がおすすめです。冷凍庫であれば半年程度の保存が可能です。冷凍庫を使用するときの注意点としては、使用するときに急激に解凍しないことです。結露でせっかく保存していた干し芋にカビが生えてしまうことがあるようです。保存時には注意しましょう。
干し芋を作ろう!
自家製干し芋を作るときの選び方から乾燥までの工程を紹介しました。その他、おすすめのアレンジレシピ、保存方法も覚えておいて損はないでしょう。甘い干し芋はおやつにもおかずにもつまみにも大活躍の食材です。ぜひ自宅で干し芋づくりにチャレンジしてみましょう。
サツマイモの栽培方法等の情報はこちら
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