ヒオウギとは?
学名が変わったヒオウギ
ヒオウギとは、アヤメ科アヤメ属の多年草を指します。以前はヒオウギ属という属だったのですが、2005年に研究によってアヤメ属だと判明して変更されました。結構最近のお話しですね。また、ヒオウギは漢字で「檜扇」と書きます。檜扇とつけられたのは、花ではなく葉が扇のように見えることからつけられました。後述しますが、ヒオウギには沢山の豆知識、お話しがあります。
自然に自生する大きな多年草
ヒオウギは草地や海岸などに自然に自生している大きな植物です。高さは最大で1m20㎝にもなります。檜扇の名前の通り、葉が画像のように扇形となりますので、一度どんな植物かが分かったら、草地などで見かけた際にはすぐに分かりますね。別名では烏扇(からすおうぎ)という呼び方もあります。生け花に使われても恥ずかしくない、素敵な名前ですね。また、実にも色々な読み方があります。
ヒオウギの種類
ヒオウギの種類は五つ
ヒオウギの園芸品種には主に5つの種類があります。赤色の斑点が入る「真竜」、黄色の花で斑点の無い「黄竜」、橙紅色に紅色の斑点が入った「緋竜」、ピンク色の「桃竜」、ダルマヒオウギの品種の一つである「ブルー・サファイア」などです。どの品種の名前も厳かでかっこいい名前がついていますね。自然に自生するヒオウギですが、重宝されてきたことが伺えます。
主に生産されるのはダルマヒオウギ
ヒオウギの種類を紹介させて頂きましたが、生け花用に使われるヒオウギの栽培品種は主にダルマヒオウギです。他のヒオウギが使われることもあるようですが、やはり栽培量が少ないと使い辛いですよね。現代では減っていますが、今もヒオウギの栽培は行われています。
ヒオウギの花
夏咲きの花
ヒオウギは夏咲きの花で、生け花では7月初旬の代表的な花材として知られています。京都の祇園祭などでは軒先によく飾られていますね。葉が扇形をしており美しく、花は鮮やかで可愛らしいので、とても重宝する花です。また、後述しますが生命力もとても強いため、育てやすいのも大きなメリットだと言えますね。
次々と咲く花
ヒオウギの花は一度咲いてしまったら終わりという訳ではなく、次々と咲きますのである程度の期間楽しめます。それも嬉しいポイントですね。また、ヒオウギの花は午前中に咲いて夕方にしぼんでしまいますので、花を楽しむなら早めの時間帯に見なければいけません。
ヒオウギの実・種子
花後にさやが出来る
ヒオウギは種子にも特徴があります。ヒオウギは花を咲かせたあとにさやが出来るのですが、そのさやの中には真っ黒な種子が入っています。さやはそこまで特徴的ではないのですが、画像のように種子はとても特徴的です。この真っ黒な種子は「ぬばたま」と呼ばれており、和歌では「黒、夜」などの枕詞としても使われていました。
種子には様々な呼び方がある
種子は「ぬばたま」と呼ばれていますが、他にも「ぬぼたま・むばたま」とも呼ばれます。また、漢字では「烏羽玉」、「野干玉」、「夜干玉」と書くなど、色々な読み方があるのです。ヒオウギの種子を模した和菓子も作られており、昔からどれくらい愛されてきた植物なのかが伺えますね。
ヒオウギの育て方
育て方①日当たりなど栽培環境
ヒオウギはとても丈夫で、栽培が容易な植物です。暑さや寒さにも強いので、ガーデニング初心者でもかんたん育てることが出来ます。日当たりなどの栽培環境としては、ある程度日当たりがあり、水はけがしっかりしていれば場所を選ばない植物ですね。あまり植物を育てたことがない方も、是非チャレンジしてみましょう!
育て方②用土
ヒオウギを育てることにしたら、まずは用土を用意しましょう!鉢植えでヒオウギを育てる際は、水はけのことを考慮して用土を選びます。赤玉土を7割、腐葉土を3割で作ってもいいですし、そのまま使える観葉植物用の培養土を使っても大丈夫です。多少の違いがあっても、ヒオウギは丈夫なのであまり心配はいりません。
育て方③植え付け
用土を用意して苗も用意したら、次は植え付けです。因みに苗は楽天市場などのネットでも販売されています。お近くで苗が見つからなかったらネットショップを見てみましょう。苗の価格はあまり高くありません。苗を植え付ける適期は春と秋。特に気をつけることもありませんので、苗を優しく植えてあげましょう。
育て方④水やり
苗を植え付けたらあとは水をあげて育てるだけです。ヒオウギは多湿にしてしまうと病気になる可能性がありますので、用土の表面が乾いてから水を与えるようにしましょう。苗を植えて時間が経ち、根がしっかり伸びたあとはかなり乾燥に強くなります。しかし、乾燥させすぎると葉先から枯れてしまいますので、乾燥させすぎないようにしましょう。
育て方⑤肥料
ヒオウギは丈夫な植物ですが、しっかりと花、実をつけたいのであれば肥料は欠かせません。鉢植えでヒオウギを育てるならなおさら肥料はあげたいですね。春、夏、秋に一回ずつ緩効性肥料をあげるか、または液体肥料を1~2週間に一回あげましょう。これですくすくと育って、実をならしてくれます。
育て方⑥植え替えと増やし方
ヒオウギは大きくなる植物ですので、根詰まりもします。2~3年ごとに植え替えをしてあげましょう。その際は、根についている古い土を落として、新しい土に優しく植え替えてあげます。また、ヒオウギの増やし方は株分けか種まきがおすすめ。種まきであれば、種を春か秋にまいて育てましょう。2~3年ほどで花が見られるようになります。
ヒオウギを育てる時の注意点
主な病気と対策
ヒオウギは丈夫で育てやすい植物ですが、いくつかの種類の病気にかかることがあります。主にさび病や軟腐病にかかるのですが、原因は多湿。梅雨時期にかかってしまうことが多いので、水はけを良くすること、また風通しを良くすることを心がけましょう。画像はネギのさび病です。外見がかなり悪くなってしまいますので注意して下さい。
害虫被害はあまり無い花
ヒオウギは病気になってしまうことはあるものの、害虫被害をあまり受けない植物です。その点はとても嬉しいですよね。観葉植物を室内で育てている際に、害虫被害に合うと困ってしまう方がとても多いんです。虫が嫌いだけどなんとかしなければ…という悩みを持たなくてすみます。
ヒオウギを生け花に
生け花用に神山町が生産している
ヒオウギは生け花によく使われる、美しい植物です。その生け花用に、徳島県神山町が生産をしています。1955年から生産が始まり、徳島県の特産品にまでなりました。最盛期には70軒も生産農家がいましたが、現在は10軒程度。高齢化の波が押し寄せているようですね。
ヒオウギの生け花例
家で決まって食べる料理じゃないですが、祇園祭と言えば「鱧の湯引き」なんです!
— らん✺◟(∗❛ัᴗ❛ั∗)◞✺ (@run_sd) July 25, 2017
夏の京料理に欠かせないのが鱧ですねぇ。
あと、祇園祭の生け花として定番なのが「ヒオウギ」です!写真はネットで頂きました:pray: pic.twitter.com/k3wCE6MZYv
ヒオウギがどのように生け花に使われているのか、イメージ出来ない方もいるかもしれません。ですが、こちらの画像を見たら、「見たことある!」と思う方も多いのではないでしょうか。ヒオウギはこのように、葉が分厚くてとがった剣のような形をしており、生け花によく使われます。
ヒオウギの花言葉
ヒオウギには花言葉もあります。ヒオウギの花言葉は二つあり、一つ目の花言葉が「誠意・誠実」。二つ目の花言葉が「個性美」です。どちらの花言葉も美しさを感じますね。真面目な方に贈る花としても使えますし、個性的でおしゃれな方に贈るのにも使えます。是非花言葉の意味も理解して贈り物をしましょう。
ヒオウギに関してのTwitter
知る人ぞ知るヒオウギ
今週の池坊の生け花です。
— 朝日カルチャーセンターくずは教室【公式】 (@asakaru_kuzuha) September 8, 2016
アマランサスとヒオウギと菊です
アマランサスはひもけいとうとも呼ぶそうですがヒユ科の植物で種子はスーパーフードとして注目をあびています。ヒオウギは「桧扇」、葉っぱが桧でできた扇に似ていることから名付けられたそうです。
こちらのツイートでは、ヒオウギに関する情報が書かれています。ヒオウギを「桧扇」と書いていますが、ヒオウギは実・種子に関しても様々な書き方、読み方があるので、どれが正解という訳ではありません。ヒオウギのことをあまり知らない方も多いのですが、こちらの方のように、生け花に触れている方なら馴染みのある植物です。
昔の言葉って
ヒオウギの種の殻が破れてようやく種子=ぬばたまが現れた。「ぬばたま」は黒、夜、髪などの枕詞として知られており、漢字では「射干玉」「野干玉」「夜干玉」「烏玉」「烏珠」と書く。だが、いずれの表記も、古代語であっても「ぬば」とは読めそうにない。 pic.twitter.com/rp1LiKA7yT
— bun (@POKEPEEK2011) December 11, 2017
こちらのツイートでは、ヒオウギの実・種子の読み方について詳しく書かれています。ぬばたまの漢字は沢山あるのがよく分かりますね。しかし、書いてあるように「ぬば」と読めるのかがよく分からない感じばかりです。昔の言葉、読み方にはこういうことがよくありますよね。昔の方なら普通に読めたのかもしれません。こういった豆知識も面白いですよね。
オタク受けが良い?
レイヴンスフィアは烏羽玉。烏羽玉っつーのは、ヒオウギと呼ばれる植物の実だ。だがそれと別に、烏羽玉ってのは、闇、夜、夢、黒とかに掛かる、枕詞にも用いられている。オレとしちゃあ、後者のほうがかっこいいと思ってるんだよなぁ。
— 鴉羽 文斗 (@humito_bot) March 27, 2018
こちらのツイートでは、ヒオウギの実についてちょっとオタク目線で書かれています。ヒオウギの実は和歌の中で、闇や夜、黒などの枕詞に使われていたこともあり、ちょっとダークな世界観を愛するオタクの方にとってはとてもかっこよく感じられます。是非ヒオウギの実の豆知識を学んで、ちょっと詳しいことを知っている方になりましょう!
日の出の如き赤い花
次に「ヒオウギ」は「日の出の如き赤花と扇状の葉を持つ植物」。日の出の如き赤い花が終ると真っ黒な種を結ぶ。これは昼が終れば夜が来るという、日・月(陽・陰)の循環を象徴する植物。「汚穢の根本は陽陰の節の乱れによる」との思想から、ヒオウギをその乱れを直す物実としている。
— 御預二号 (@gejirin1) March 17, 2018
こちらのツイートでは、ヒオウギのが何を象徴する植物なのかについて詳しく書かれています。ヒオウギは赤い花と真っ黒な種子を持っていますよね。それが日と月を表しており、陰陽を象徴しているとあります。ヒオウギは陰陽の乱れを直す物実と書かれていますね。ヒオウギは自然に自生する多年草ですが、実はこんなに深い話しもあったのです。
ヒオウギは本当に扇だった
「おしくさ(押草/押し腐)」とは「ヒノキ製の扇にヒオウギの花葉を貼り付けてあおぐこと」であった。「ヒノキ」は「放の木」で、本来は「(匂を) 放つ木」の意と思われるが、この木を「(汚穢を) 放つ」という言霊の物実としている。その扇の羽は四十八神の48枚とした。
— 御預二号 (@gejirin1) January 31, 2018
こちらのツイートでは、ヒオウギの葉を本当に扇にしていた話しが書かれています。ヒノキにも神聖な意味があり、またヒオウギも先述したように陰陽を整える神聖さがありますので使われていたようですね。ヒオウギの葉を48枚も使っているとのことですから、かなり立派で分厚い扇だったことが伺えます。こんな豆知識も知っておきたいですね。
まとめ~ヒオウギの育て方~
今回の「生け花でも有名な植物「ヒオウギ」とは?その種類や育て方をご紹介!」はいかがでしたでしょうか? ヒオウギはいくつか種類がありますが、どれも丈夫で育て方が簡単なので、是非ガーデニング初心者にもチャレンジして頂きたい植物です。育てる時は水はけに注意して、病気にならないよう育てましょう。また、花言葉も紹介させて頂きましたが、花言葉の内容にこだわりすぎる必要もありませんので、綺麗なヒオウギの花を、是非大切な人に贈ってあげて下さい。
ガーデニングが気になる方はこちらもチェック!
今回はヒオウギに関してまとめさせて頂きましたが、当サイト「暮らし~の」には他にも沢山のガーデニングに関する記事があります。下記に一部を用意させて頂きましたので、気になる方は是非見てみて下さい。
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