ナツメグの基本情報
代表的な香辛料のひとつ
ナツメグは私たちの生活の中でも比較的身近な調味料です。肉や魚料理の匂い消し、またクッキーやケーキなどのお菓子にも利用されます。この他にも乳製品や卵料理との相性もよいです。ナツメグは、上品な甘い香りに味はほのかな苦味があります。
世界4大スパイスにも数えられる
ナツメグはコショウ、シナモン、クローブと共に世界4大スパイスにも数えられています。料理を美味しくするハーブやスパイスの代表格のひとつと言えるでしょう。また、食用としてだけでなく、健康効果を期待したさまざまな商品も展開されています。
健康効果の反面で毒性も
ナツメグは健康効果もさまざまありますが、その一方で大量摂取を気をつけなければいけない香辛料でもあります。ナツメグには毒性があり、さまざまな副作用があるほかナツメグの大量摂取の副作用による死亡もこれまでに2件報告されています。
ナツメグを使いこなそう
ナツメグの健康効果と、気になる副作用や致死量のラインもあわせて紹介します。ナツメグはさまざまな料理とも相性のよい香辛料で、上手に使えるようになれば料理の幅も広がります。ナツメグのメリット・デメリットを知り、ナツメグを使いこなしましょう。
ナツメグの採取
成長は比較的遅い
ナツメグはニクズク科に分類されます。また一年中緑の葉をつけて樹高が高いという特徴の常緑高木になります。 ナツメグの樹高は約20メートルにもなります。種を撒いてから7年後以降に実を作ると成長は比較的遅いです。この木の実がナツメグのもととなります。
もうひとつの香辛料メース
ナツメグとは木の実の中を割って種の殻からも取り出したものになります。ちなみにこのナツメグが取れる木の実からはもうひとつメースという香辛料もとれます。メースは種の皮の部分で、ナツメグよりも上品な風味を持っていると言われています。
山椒もさまざまな使いみち
ナツメグのように種や種の皮部分などいくつかの部位が使用できるものは他にもあります。山椒などもそのひとつで、山椒は実がスパイスになり、葉はハーブになります。さらに山椒は花なども使用できるそうです。
ナツメグの由来
香りのする豆
ナツメグは名前の由来からも香りのよいスパイスであることがわかります。ナツメグはNut(豆)とMeg(ムスク)という2つの言葉が由来だと言われています。
ムスクとは香料、生薬の一種で非常にエキゾチックな香りとして知られています。ナツメグはムスクのような香りのする豆という意味があるようです。
ナツメグの学術名
なおナツメグには学術名もあり、Myristica fragransと呼ばれています。今では知らない人のいないであろうナツメグですが、ナツメグが広く流通するようになった歴史は最近のことになります。大航海時代にはナツメグもその他の香辛料同様に激しい奪い合いがありました。
ナツメグの歴史
モルッカ諸島が原産
ナツメグはインドネシアのモルッカ諸島が原産です。ちなみにモルッカ諸島は香辛料諸島としても知られ、歴史的には各国入り乱れての争奪戦が繰り広げられた場所でもあります。この内ナツメグの原産地でもあるバンダ諸島の原樹民は6000人以上が殺されたと言われています。
長くオランダが独占
ナツメグは17世紀以降の長くの間をオランダが独占していました。オランダの独占によりナツメグを他の土地へ移植することは許されていませんでした。オランダの独占からナツメグの栽培が自由化されたのは1864年のことで、歴史的にはまだ200年に満たないものになります。
大航海時代に価値が激変
大航海時代以前にはナツメグが注目されることはあまりなく、香辛料として使われていたのかもはっきりはしていません。ちなみに、12世紀のころはナツメグよりもメースの方が価値が高かったとも言われています。まさに大航海時代によって世界の見る目が変わった香辛料です。
ナツメグの成分
カロリーは高め
ここからナツメグの成分や健康効果について紹介していきます。ナツメグは100グラムで559カロリーとカロリー量は大きなものです。しかし、ナツメグを100グラムも摂取することはありえないのでカロリー量を意識することはほぼないといっていいでしょう。
ナツメグの主な成分
ナツメグにはビタミンB1やビタミンB2が多く含まれています。また銅やマンガンも多く含みます。なお、ナツメグの独特の香りの成分はピネンと呼ばれる成分などから発せられており、ヒノキやスギなどの森林の香り成分と同様だとも言われています。
ナツメグの健康効果1
口臭予防の効果
ナツメグの健康効果にはさまざまなものがあります。有名なものとしては口臭予防の効果が期待されています。これはナツメグに含まれるオイゲノールという香り成分の働きによるものです。オイゲノールの殺菌作用によって口臭を予防することができます。
市販の口臭対策商品にも
ナツメグに含まれるオイゲノールの口臭予防効果は市販されている製品にも採用されているほどです。オイゲノールを含む口臭予防のマウスウォッシュなども販売されています。市販製品にも採用されているほどなので、口臭が気になる方にはナツメグはおすすめです。
ナツメグの健康効果2
胃からの口臭予防にも
オイゲノールによる直接的な口臭予防と関連して、ナツメグには消化をサポートするという効能もあります。ナツメグの中のピネンという成分が胃の消化をサポートし、胃の正常化を促す働きをしてくれます。胃からの口臭の予防にもつながります。
胃腸系を正常に保つ効果
またナツメグには、食べ過ぎや胃もたれを正常化しようというする効能も期待されます。こういったことから便秘の改善や、胃腸の症状緩和などといった効能もあるようです。ナツメグで胃腸系の機能を正常に保ってくれるので、胃腸の弱い人にもおすすめです。
食欲増進も期待
この他にもナツメグには胃腸系を正常に保つだけでなく、食欲不振に対しても効能があります。これはナツメグに含まれるミスチリンの効能で食欲を増進させる働きが期待されています。この効能は夏場の食欲があまり出ないときなどに特に効果が期待されています。
ナツメグの健康効果3
リラックス、疲労回復の効果も
ナツメグにはリラックス、疲労回復などの効能も期待されています。これらの効果はナツメグを食用とするのではなく、アロマとしての利用でも重宝されているようです。ナツメグが含まれるエッセンシャルオイルなども販売されています。
快眠効果も期待
ナツメグの効能としては身体を暖めてくれる作用による快眠効果も期待されています。快眠効果を期待する場合にはナツメグをホットミルクなどに入れて寝る前に飲むなどの方法もよく取られています。不眠でお悩みの人などには特におすすめです。
ナツメグの健康効果4
痛みの緩和効果
この他のナツメグの効能としては痛みの緩和などもあります。古代中国においては鎮静剤としてナツメグは定番だったとも言われています。使い方も簡単で患部に直接ナツメグを塗るというものです。炎症や腹痛などに対して特に効果を発揮すると言われています。
白血病やアルツハイマー病にも
またナツメグは白血病やアルツハイマー病などの大病への効果も期待されています。アルツハイマー病にはミリスチシン、白血病にはメタノール性化合物が効果を発揮すると言われています。このあたりもナツメグの見逃せない効能です。
ナツメグの毒性1
大量摂取は要注意
このようにさまざまな健康への効能が期待されるナツメグですが、使用時には注意があります。それはナツメグの副作用とも言うべき毒性です。ナツメグを大量に摂取しすぎると最悪の場合には死に至ります。見過ごせないナツメグの毒性について紹介します。
5グラム以上の摂取で副作用
ナツメグを摂取しすぎるとマリファナにも似た幻覚作用が訪れると言われています。幻覚症状が出るまでの摂取量はあまり多くはなく、5グラム以上でこういった副作用が現れると言われています。わずか5グラムと油断すると簡単に摂取してしまいそうな量になります。
致死量はナツメグ2個
5グラム以上の摂取による幻覚症状よりも恐ろしい副作用が死です。ナツメグの過剰摂取が原因と見られる死亡者が過去に2名出ていいます。この致死量の最小と言われるラインがナツメグ2個です。幻覚症状の出る大量摂取ライン同様に致死量のラインも注意しなければいけません。
大量摂取ラインと致死量ライン
ちなみに普通に料理などでナツメグを使用する量として、家庭料理で肉などの臭い消しとして使用する場合の量は0.2グラムから0.5グラムほどが一般的です。通常にナツメグを使用している分には大量摂取ラインや致死量のラインにはほど遠いです。
ナツメグの毒性2
幻覚症状以外の副作用
このようにナツメグには注意すべき毒性があります。ナツメグの副作用としては幻覚症状以外にもいくつかの種類があります。ナツメグの大量摂取による他の主な症状と対策の方法を紹介します。
ナツメグの幻覚以外の副作用
ナツメグによる副作用は接種後の1時間から8時間後に症状が出ると言われています。幻覚症状以外には、低血圧になったり、呼吸が不規則になったりなどがあります。また胸部の圧迫を感じることもあるようです。また神経系には興奮や不安、多幸感などのさまざまな症状があります。
家庭での対処法
家庭で出来る大量摂取による副作用の対応としては、嘔吐するという方法が効果的なようです。また可能であれば医療機関での診断も受けたほうがよいでしょう。医療機関では胃洗浄などの処置を受けることもあります。
致死量ラインは子供が根拠
ナツメグの最も気をつけるべき毒性として致死量があります。これは先にも触れたとおりナツメグ2個が致死量ラインとされています。このナツメグ2個の致死量というのは8歳の子供の死亡が根拠とされています。大人以上に子供はナツメグの摂取には気をつけた方がよいです。
ナツメグの栽培
ナツメグの栽培を紹介
少し怖いナツメグの毒性について説明しましたが、基本的に大量に摂取をしなければ問題ありません。大量に摂取せずに通常の使用であればむしろ健康効果の方が大きいです。健康効果の大きいナツメグを日本で栽培できるのか、ナツメグの栽培について紹介します。
日本での栽培は難しい
ナツメグは寒さに弱く10度以下の環境では栽培に適しません。逆に言うと年間を通じて10度を下回らない環境であれば栽培は日本でも不可能ではありません。しかし、日本ではナツメグの栽培は難しいと考えられているようです。その理由は大きく2つにわけられます。
ナツメグは雌雄異株
ナツメグの栽培が日本で難しい理由として雌雄異株というナツメグの特徴があります。雌雄異株とは雌花と雄花が別の株になることを言います。つまりナツメグに木の実を作るためには最低でも2つの株が必要になります。
木の実が20メートル以上のところに
そしてもうひとつが先にも触れた常緑高木という特徴です。ナツメグの実は地上から20メートルほどのところにできます。株が2つ以上必要であることと、木の実が上空になることからナツメグの日本での栽培は活発には行われていないようです。
ナツメグの料理1
ナツメグの料理での活用法
ナツメグの料理での活用方法として代表的なものは肉料理での匂い消しです。特にひき肉料理、その中でもハンバーグではナツメグは重宝します。ナツメグをどのタイミングで加えると効果的なのか、ハンバーグを作るときのナツメグの上手な使い方を紹介します。
ナツメグを加えるタイミング
ハンバーグでのナツメグを加えるタイミングは、ハンバーグがタネの段階です。料理で調味料や香辛料を加えるタイミングとして加熱をするときが多いですが、ナツメグを匂い消しとして使用する場合はタネの段階で加えましょう。
ちなみにハンバーグだけでなく他の肉料理でも加熱前の段階で加えます。
匂い消しの効果の代用品
ナツメグの毒性が気になる場合や、小さな子供がいて心配な場合はナツメグではなく代用品を使用するという方法もあります。肉の匂い消しの代用品としてはショウガやにんにく、またシナモンなどの各種ハーブが使われることもあるようです。
ナツメグの料理2
お菓子作りでのナツメグ
肉料理の匂い消し以外でのナツメグの利用としてはクッキーなどのお菓子作りがあります。お菓子作りにおいてもナツメグを入れるタイミングは粉などを混ぜ合わせるタイミングです。お菓子作りのかなり初期段階でナツメグを加えてしまいます。
仕上げのナツメグ
ナツメグを仕上げに加えると美味しい料理として乳製品があります。ホワイトソースの仕上げとしてさっとナツメグを加えると味が引き締まりさらに美味しくなります。またホットワインなどにナツメグを少量加えて飲むという方法もあります。
ナツメグについてまとめ
口臭予防などのナツメグの効果
ナツメグについて健康効果や口臭予防について、まと毒性や致死量についても紹介しました。ナツメグの毒性や致死量は怖いですが大量に摂取したりなどしなければ問題ない量ではあります。適切にナツメグを使いこなしましょう。
ハーブの栽培の情報はこちら
記事中でも紹介したようにナツメグの栽培は日本では難しく、家庭での栽培となると不可能に近いでしょう。しかし、日本でも栽培できるハーブはさまざまあります。
日本で栽培できるハーブや育て方の情報などがわかる記事を紹介します。チェツクして家庭でのハーブづくりに挑戦してみましょう。
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