すずらんってどんな花?
すずらんは、日本の本州中部以北に自生している宿根草のひとつです。蘭という名前がついていますが、蘭の種類ではありません。なお、すずらんには大きく2つの種類があり、日本に自生する種類を「二ホンスズラン」、園芸種として広まっている種類を「ドイツスズラン」と呼びます。すずらんは耐寒性に優れ、北海道など寒い地域では、すずらんの群生を見ることができます。また、すずらんは、ヨーロッパで「5月の花」と呼ばれていて、人々に愛されているお花です。例えば、フランスでは5月1日を「すずらんの日」とし、すずらんの花をプレゼントしあう風習があるのだそうです。
すずらんには毒がある
すずらんには、葉っぱや根、花など、その全草に有毒物質が含まれている植物です。自生しているすずらんの葉っぱと野草を見間違えて口にしてしまうと言った事故が、毎年起こっています。犬や猫など身体の小さなペットが、誤ってすずらんを口にしてしまうと、最悪の場合は、死に至ることもあります。また小さな子供が、知らずに葉っぱをちぎったりして遊ぶのもとても危険です。すずらんは有毒植物なので、ガーデニングなどで取り扱う際にも、しっかりとした手袋を装着するなどの注意が必要でしょう。
すずらんの花の特徴
すずらんを漢字で書くと「鈴蘭」。その名前のとおり、茎に鈴のような小さな花を10個ほどつけます。すずらんの花の色は真っ白で、とても清楚なものです。すずらんの花姿はぷっくりとしていてとても可愛らしく、ガーデナーに愛されている花のひとつです。
すずらんの葉の特徴
すずらんの葉っぱの形は細長く、10センチくらいのものです。一本の茎に対して2~3枚の葉っぱがつきます。すずらんの葉っぱの色は、濃いめのグリーンで、表面はややつるりとしています。
すずらんの花言葉
花言葉1・「再び幸せが訪れる」
フランスでは、すずらんを贈る風習があり、すずらんをもらった人には幸せが訪れると言われています。そうした風習に由来してつけられた花言葉です。
花言葉2・「謙遜」
すずらんは、山のなかなどでひっそりと可憐な花を咲かせます。花はとても可愛いのに、主張しすぎることなく咲く特性から生まれた花言葉です。
花言葉3・「純粋」
すずらんの花の色は真っ白。なんの混じり気もないホワイトです。すずらんの花色からイメージされて純粋という花言葉がつけられました。
すずらんの基本データ
科名属名
キジカクシ科スズラン属
学名
Convallaria majalis
和名
鈴蘭(すずらん)
別名
君影草(きみかげそう)
英名
Lily of the valley
原産国
アジア、ヨーロッパ
すずらんの種類
すずらんは、日本に自生している「ニホンスズラン」と、園芸品種として一般的な「ドイツスズラン」の2種類に分類されます。両者の種類の見分け方は花のなか。花のなかを覗くと、赤い点があるのがドイツスズランです。二ホンスズランには赤い点はありません。また、ドイツスズランの方が、二ホンスズランより少し大きいです。
ドイツスズラン・白
オーソドックスな白い花のすずらんです。
ドイツスズラン・ピンク
ドイツスズランには、こんな可愛らしいピンク色のものもあります。
すずらんの育て方・土づくりと肥料
育て方のポイント1・土づくり
すずらんは、水はけのよい土壌を好む植物です。また弱酸性の土地を好みます。鉢植えの場合、小粒の赤玉土に腐葉土や軽石を少し混ぜたものを準備しましょう。市販の草花用培養土を利用してもよいでしょう。地植えの場合には、植えたい場所の土を少し掘り起こし、腐葉土を混ぜ込んでおきます。
育て方のポイント2・肥料
すずらんには、花が終わったあとにお礼肥を施すと良いでしょう。すずらんにお礼肥を与えると、次の年のすずらんの花つきが良くなるでしょう。すずらんには、緩効性の化成肥料もしくは液体肥料を施しましょう。地植えの場合には、有機肥料を少しあげてもよいでしょう。ただし、すずらんは過度な肥料を必要としません。あまり肥料を与えすぎると、枯れてしまう要因にもなりますので注意しましょう。
すずらんの育て方・水やりと場所
育て方のポイント3・水やり
すずらんは、やや水を好む植物で、乾燥を苦手とします。鉢植えの場合、植えている土の表面が乾いたら、しっかり水をあげましょう。地植えの場合も同様です。地植えの場合には、はじめに植えつける際に、少し湿っぽい場所に植えつけてあげるのがベストです。なお、すずらんは冬のあいだ休眠期にはいるので、冬のあいだは春から秋ほどの水やりは必要ありません。
育て方のポイント4・場所
すずらんは、少し湿っぽく直射日光が当たらない、明るい日陰を好む植物です。鉢植えの場合、少し日陰になる風通しのよい場所に置いてあげましょう。地植えの場合、大きな樹木の木陰など、木漏れ日が当たる少し湿っぽい日陰に植えてあげるとよいでしょう。また、すずらんはもともと高山地帯や北海道に自生する植物なので、梅雨時期などの多湿の環境を苦手とします。とくに梅雨のじめじめしたあいだは、なるべく風通しのよい場所で管理してあげましょう。すずらんを長く育てる大きなポイントです。
すずらんの育て方・植えつけと植え替え
育て方のポイント5・植えつけ
すずらんの植えつけに適した時期は10~12月もしくは4~5月です。鉢植えの場合には、植えたい苗よりひとまわり大きな鉢を準備しましょう植えたい苗をポットから取り出したら、根っこについた土を軽く落とすのがポイントです。またすずらんの苗は少し浅めに植えましょう。植えつけたあとは、根がしっかり張るまで水やりをたっぷり続けましょう。
育て方のポイント6・植え替え
すずらんの植え替えに適した時期は、10~12月もしくは4~5月です。鉢植えの場合には、1年に一度くらい定期的に植え替えをおこないましょう。地植えの場合にも4~5年に一度植え替えてあげるとよいでしょう。また、植え替えの際に一緒に株分けすると便利です。
すずらんの増やし方
すずらんは球根植物。ですが、すずらんの球根は分球しません。すずらんは球根から地下茎を伸ばします。すずらんの増やし方としては、球根を分けるのではなく、種を採取して種まきをする、もしくは地下茎を切り分けて株分けする方法が一般的です。
増やし方1・種まき
すずらんは、花が咲き終わったあと赤茶色の実をつけます。実のなかにすずらんの種がはいっていますので採取しましょう。なお、すずらんは有毒植物なので、種を採取する際にははじめから最後まで、しっかりしたビニール手袋を使用しましょう。素手ですずらんを触ると、かぶれなどを引き起こします。実の皮をむいて中の種を取り出します。種のまわりについている果肉を水できれいに洗い流し、その水分が乾かないうちに種まきします。種まきしたものからは、次の年の春に新芽がでてきます。苗がしっかり育つまで管理して、好きな場所に植えつけましょう。
増やし方2・株分け
すずらんの株分けに適した時期は、10~11月です。植え替えの際に一緒におこなうとよいでしょう。すずらんんは地下茎を伸ばして成長する植物です。土のなかからすずらんの地下茎を掘り起こして、ついている古い土を軽く落とします。そして、清潔なハサミやナイフで適度な大きさに切り分けましょう。ひとかたまりの地下茎にだいたい5つくらいの花芽がつくように切り分けるのが目安です。地下茎には、花芽と葉芽がついています。小さくてやや細長いのが葉芽で、ぷっくりと大きく膨らんでいるのが花芽です。
すずらんの育て方のコツを知って、栽培してみよう
なんとも言えず可憐な花模様が魅力的なすずらん。ですが街のお花屋さんにはあまり出回らないこともあるようです。すずらんを鑑賞するには、自分で育てるのが一番です。すずらんは鉢植え、地植えどちらでも育てられる植物です。すずらんはもともと山林に自生する植物なので、それに近い環境を作り出すことが、すずらんを上手に育てるポイント。明るくて少し湿った木漏れ日のあたる日陰に置いてあげましょう。春になれば、可愛らしい鈴の形をしたお花が咲き、見るものを楽しませてくれることでしょう。
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