バオバブは不思議な見た目の木
アフリカ、マダガスカルのバオバブといえば、その奇妙で独特な外見に目を奪われてしまいます。まずは観葉植物として育てたいバオバブの、外見的特徴の疑問点をまとめました。
根っこのような形状の枝葉
バオバブ「グランディディエリ」の見た目の特徴としては、幹の太さの割には葉っぱが少なすぎて、上部だけにもっさりとした枝が、まるで木の根っこのような外見が最大の特徴です。マダガスカルの現地の人は「神さまが地面から引き抜いて逆さまに植えたのがバオバブだ」との話しが伝わっていますが、本当のところが気になります。
木の幹が異様に太いのはなぜか
日本人がバオバブを見れば、まるで巨大過ぎる大根が並んでいるようにしか見えません。他の樹木では類を見ないほど、これほど幹が異様に太く特徴的なのは、どうしてなのか不思議です。その答えを知っていますか?
バオバブが不思議な見た目の理由
ではバオバブが不思議な見た目をしている、本当の理由の答え合わせをしてみましょう。そこにはマダガスカルの気候と合わせた進化が関係していました。
マダガスカルは乾季が長い
熱帯に属するマダガスカルは、乾季と雨季に明確に分かれる熱帯気候や乾燥した気候です。11月~4月にかけては高温で雨量が多い反面、5月から10月にかけては比較的に気温は下がり、雨量が極端に減って乾燥します。このことが、サバンナに生育しやすいバオバブの見た目に影響することになりました。
枝葉が少ないのは水分蒸発を防ぐため
枝葉が極端に少なすぎることも、乾燥した気候と関係していました。葉っぱが多いと水分の蒸発量も多くなるために、限界ギリギリまで枝葉を落とすことで、水分を減らさぬよう調節をしているのです。
幹が太いのは水タンクだから!
乾季が長いマダガスカルで、水が貴重なのは人間もバオバブも同じでした。人間が乾季に水をタンクに蓄えるように、バオバブの木々も幹の中に水を大量に蓄えているのです。そのために奇妙なほどずんぐりむっくりとした外見が備わったというわけです。
幹で光合成して葉の少なさをカバー
葉っぱの光合成量が足りなければ、普通の植物は水を地面から吸い上げることができず、枝葉を伸ばせず枯死してしまいます。バオバブもそんな心配がされますが、幹を葉っぱのように光合成ができる構造にしているため、生育にはまるで問題がないのです。バオバブは木なのに、とても賢いのですね。
バオバブの木のサイズと寿命
自宅で鉢植え観葉植物として育てるにしても、途轍もないほど大きくなるバオバブだから、屋根を突き破るのではないかと心配です。どのくらいのサイズになり、そして何年生きるのでしょうか。
高さは最大30メートルを超える
マダガスカルのサバンナに生えているバオバブは、高さが優に30メートルを超えています。最大の種類は南アフリカのリンポポにあり、高さ47メートル、直径15メートルに達します。幾つもの巨大なバオバブが立ち並ぶ姿は、日本で言えば天然記念物の杉の巨樹が立ち並ぶ姿に比較されるでしょう。
バオバブの樹齢は長い
南アフリカ・リンポポのバオバブの巨樹は、樹齢6,000年と言われています。日本の屋久島の縄文杉に匹敵する樹齢を持っているのです。マダガスカルの平均的なバオバブは、樹齢300~500年と言われています。種類や環境によってかなり樹齢も変わってくるようで、高齢になるほど内部が空洞化します。
鉢植えならば大きくならない
とんでもない巨樹に成長するバオバブですが、日本の気候ではそれほど巨大化はしません。それに鉢植えで育てる方法なら、小さければ50センチ以下、大きくても2メートル以下に抑えることができます。
バオバブの不思議な名称
バオバブは見た目と共に、名前も奇妙だからますます興味を引かれます。しかもバオバブは、色んな別名を持っている植物なのです。
バオバブってなんて意味?
アラビア語で「ブー・フブーブ」は「種がたくさんあるもの」という意味です。これがバオバブの名の由来だと言われています。また、世界で最初にバオバブの名を記録したのは、日本が安土桃山時代だった16世紀、マダガスカルに旅立ったイタリア人の植物学者でした。バオバブの学名「adansonia」は、フランスの自然学者ミシェル・アダンソンの名を元にしています。
バオバブの木の別名
バオバブの名は、世界的にも知られています。しかしアフリカの各民族の言語では、バオバブは様々な名称で呼ばれてきました。スワヒリ語で「ムブユ」、ハウサ語で「クーカ」、モシ語で「トゥエガ」などなど。日本でバオバブを育て始めたら、名前を付けたくなってしまいますね。
バオバブの花と木の実
バオバブを育てるために必須な種ですが、木の苗として発芽させる以外に、木の実は食用にも使うことができます。
バオバブの木の奇妙な花
種を付ける前、バオバブは花を咲かせますが、品種によって花の色や形状は異なります。グランディディエリのバオバブの花も、どことなく奇妙な形をしています。電球のように吊り下がり、花びらを広げた下に、ちょうちんのようなオシベとメシベをぶらさげた2段構造をしたものがあります。やがて受粉すると巨大な実をつけるのです。
バオバブの実は食材や油になる
不思議な花を咲かせたあとには、徳利のような、30~40センチにもなるほどの木の実を付けます。種は指の先ほどのものが複数詰まっています。果肉はセネガルでは猿のパンと言われるように食用で、酸味がありビタミンCやカルシウムに富み、ダイエットフードとしても販売され注目の的。観葉植物としてバオバブを育てて実を付けたら、料理に活用してみたくなります。
バオバブの木の生育環境
日本とマダガスカルの気候は全然違うから、日本でバオバブの育て方を発揮できるのか心配です。日本ではどんな生育環境にちゃんと適応できるのかを確認しておきましょう。
日本なら屋内で育てるのが基本
日本のほとんどの土地は雨が多く、真夏はアフリカのような猛暑にはなるとは言え、真冬はマイナスの気温にまで下がります。したがってバオバブの苗が日本列島の地面で育つには気候が合わず、霜や雪で枯れてしまう可能性があります。苗を育てるなら水や温度の管理ができやすい、屋内が一般的です。
実は東京の屋外でも育つ?
日本の本土の屋外では、厳寒の土地だと生育が難しいとされています。沖縄や奄美大島など南西諸島ならば、バオバブは外の大地に根を張って無理なく育つことができます。気温が一年中温暖で、バオバブに適合していることが最たる理由です。しかし東京の上野公園の不忍池には、屋外のバオバブの姿があります。十分に成長すると、意外と定着するのかもしれません。
バオバブはどこで購入できるのか?
日本で育てるという意味では、馴染みのないバオバブです。だからバオバブを確実に販売しているショップを見つける必要があります。
種を販売している場所
バオバブの種を購入するなら、地元の園芸店で販売しているのを見つけることもあるでしょう。しかし日本でバオバブの種を販売している園芸店が、普通にあるとは限りません。種の販売なら、ネット通販を利用するのが一番確実です。1粒数十円から100円程度の安いお値段で販売しています。
苗として購入する
園芸店では、バオバブの種から発芽した苗を、観葉植物の鉢植えとして販売している場合があります。それに木の苗の場合も、園芸店のネット通販で買い求めることが可能です。1本あたり1,000円もしないので、他の観葉植物と比較しても買い求めやすい販売価格です。
盆栽として購入する
バオバブの鉢植えは、観葉植物を扱う園芸店では人気商品です。盆栽なので育つとしても、小柄な体型のままを維持できるのがメリットです。種を発芽させることや、苗から育てることに不安を感じるのなら、成長した姿からです。鉢植えはネット通販でも、安ければ1本数千円程度で販売していますが、高価なものは10万円を超える値段も付いています。
バオバブの木の育て方①
種を発芽させる方法
バオバブを育てるなら、種を発芽させるところから始めれば、生育の嬉しさが何倍にも膨らみます。バオバブは熱帯の植物なので、種の発芽の方法も気温25度以上の暖かさが必要です。日本では特に連日真夏日を記録する、7月から9月にかけてが発芽に最適です。逆に20度以下の気候では、種はうんともすんとも言いません。
種を発芽させる下準備
バオバブの種は硬い外殻に覆われています。そのため硬い外殻をなんとかして弱らせ、発芽しやすい環境を作ってあげる必要があります。仮に殻が付いたままで土に埋めても発芽することはありますが、発芽率は低下し、時間もかかってしまいます。
初心者も安全な発芽の促進法
種の一部だけ鉄ヤスリで削って、硬い殻を薄くする方法が最も安全です。殻の中の白い胚の部分がうっすら見えるまで削ります。白い部分を完全に外側に露出すると、細菌とカビに感染して育たないことがあります。一晩から丸一日水に漬けてから、濡れティッシュに置いておくと、気温が高ければ3日程度で発芽します。
濃硫酸や熱湯を使う発芽の促進法
上級者向けの方法で、濃硫酸に2時間浸す方法があります。種の硬い殻が柔らかくなるので発芽がうまく行くし、他の種と発芽時期を合わせられるメリットが大きいです。熱湯を使う方法は、80度ほどの熱湯にバオバブの種をひたして丸2日置く方法です。この方法も殻が柔らかくなります。濃硫酸は通販でも販売していますが、危険を伴うので、安全に配慮する必要があります。
バオバブの木の育て方②
発芽した種を播く
うまく発芽した種は、鉢などの適切な場所の土で成長を促すことになります。しかしただそのへんの土に埋めただけでは、きちんと育たない場合があります。適切な土を準備する必要があるのです。
ピートモスを苗床にする方法
植物が堆積した泥炭を主原料とするピートモスは、播種や苗床には最適と言われています。バオバブの発芽した種は、PH調整をしたピートモスの土に植えるのが、初心者でも間違いない方法です。PH調整していない酸性の土壌では、苗は成長できないので気をつけてください。観葉植物を扱う園芸店、ホームセンターでも販売しています。
バオバブの木の育て方③
苗を育てるのに最適な場所とは
2枚の黄緑色の葉っぱを出したバオバブの小さな苗ですが、気候が大きく変化する日本では、育て方を間違えると枯死してしまうかもしれません。鉢植えで最適な育て場所を、自宅で検討してください。
真夏なら屋外での育て方も可能
気温が25度を上回っている日本の真夏であれば、鉢で育つバオバブの苗も本能的にマダガスカルの気候を思い出してくれるでしょう。夏が大好きな観葉植物のバオバブは、この時期に成長のスピードを加速させます。
育て方の基本は室内に置くこと
とは言え1年の半分が気温20度以下な日本列島なので、バオバブの鉢植えは室内置きが基本になります。真冬は室温もぐっと下がる状態が続くと、枯死する可能性が高くなります。できれば観葉植物としては、室温は冬でも10度以上を維持できるのが望ましいです。
バオバブの木の育て方④
雨季と乾季に合わせた水やり
マダガスカルのサバンナは、高温の雨季、低温の乾季で別れた気候であり、そんなところで長い年月、バオバブの遺伝子が受け継がれてきました。バオバブの殆どの種類は、日本で育てるなら雨季・乾季に合わせた管理をしてこそ万全になります。
春から夏にかけては水やりも自由
暖かさが出て猛暑が訪れる春から夏の時期は、バオバブの葉が芽吹き、成長をする時期です。だからバオバブには毎日水をあげても問題はありません。
秋から冬にかけては水を控える
日本は乾季と呼べる時期は無いですが、秋から冬にかけてはバオバブを乾季の状態にしてあげる必要が出てきます。水はまったくあげないか、あげても1ヶ月に数回、僅かな量で控えます。もし乾季や低温に関係なく、毎日水やりを続けていると、バオバブには過度のストレスです。苗の場合、いつの間にか樹勢が衰えて、枯死することが考えられるのです。
バオバブの木の育て方⑤
バオバブの害虫
苗を屋外に置く時、特に気をつけておきたいのがアブラムシやカイガラムシです。これらの害虫が付くと、葉っぱに病気がもたらされる場合があります。また、屋外では発芽して小さな葉っぱを出したばかりのバオバブは、ナメクジに食べられてしまうこともあります。こまめに害虫チェックと駆除をすることが大切です。
バオバブの害虫対策
アブラムシ対策なら、ハッカ液、木酢液、マラソン乳剤などを薄めて使う方法があります。ナメクジ対策には、植木鉢の周囲を塩で取り囲んでおくことや、ビールを近くに置くという方法もあります。
バオバブの木の育て方⑥
バオバブの病気
バオバブの木で、特に気をつけたい病気はすす病やモザイク病です。すす病はアブラムシやカイガラムシがもたらすカビの一種です。害虫が付いて放置したり、風通しの悪い場所にずっと置いていると、すす病が進んで致命的なことがあります。もし病気になったら原因菌を除去する対応をします。
バオバブの病気対策
アブラムシやカイガラムシをまず駆除して、表面を木酢液などで殺菌しておけば、病気が治る可能性が高いでしょう。自然治癒を進めるなら、日光に当てて風通しの良い場所に置くこと、水をあげすぎないこと、土壌を酸性にしないことも大切です。
バオバブの木の育て方⑦
バオバブの管理方法
自分で枝を落として体調管理をするバオバブですが、ある程度成長したら、人間にとっては枝葉がじゃまになることがあります。バオバブの管理はどのようにしたら最適か、考えてみましょう。
枝葉切りすぎると致命的
バオバブは元々枝葉が少なく、乾季になるとさらに最小限まで減らす植物。だからバオバブの枝葉はあまり切りすぎると、致命的なダメージを与えることがあります。特にまだ小さい時、葉を旺盛に茂らせる春から夏は、あまり剪定しすぎないよう注意してください。
屋外の育て方では場所に注意
温暖な気候なら、屋内の鉢植えじゃなく、太陽の下の地面でも育つのがバオバブの木。しかし屋外で育てるとき、植える場所には気をつけたいものです。成長すると、幹だけでも数メートルのスペースが必要だからです。成長したら邪魔になって切り倒すなんて悲しいことです。
大きくなると管理が大変
日本の気候風土では、マダガスカルほど成長不可能とは言え、それでもバオバブの幹は天高くまで伸びる可能性があります。後々に管理が大変になることも当然念頭に置いて、バオバブを庭の土に植樹してください。もし大きくしたくない気持ちがあるなら、やはり観葉植物として鉢のなかに植えるのがおすすめです。
バオバブの木を育てて楽しもう
観葉植物の趣味を持つ人、まだ持ってないひとも、是非とも鉢植えで欲しいのがバオバブの木です。日本で一般的な植物とは、外見も育て方もこんなに違いがありました。鉢植え状態で購入し育てるも良し、種から買って発芽させて育てるも良しな魅力がありました。お部屋を不思議な魅力で飾りたい人も、バオバブの個性には大注目です。
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