歴史のある保存食ペミカンとは
古くからある食材の保存法
ペミカンはカナダ、アメリカの先住民の伝統的な食材の保存方法と携帯保存食です。アメリカヘラジカシカの肉やクランベリー、ブルーベリーなどさまざまな食材が保存できます。言語の由来はカナダの古い言語のクリー語の「ピミーカーン」に由来し「脂肪」を意味します。ペミカンはその作り方から高カロリー食品になるので気温が低く激しい運動を伴う高山への登山や極地探検家の間でも利用され、現在の日本でも少し違いますが登山部などで利用されてる保存食です。
現在でのペミカン
現在ではレトルト食品の登場もあり保存食として意味はあまりなく現地での調理の手間、燃料の節約を目的に作れていてアウトドアをする人が趣味などを兼ねて作っている場合がほとんです。そのため自分で野菜や肉をペミカンに加工しない限り手に入らない、またはよく似た製品が手に入るかもしれませんが本物ペミカンは流通していません。しかし最近は再びアウトドアや登山を楽しむ人の中で注目されるようになりました。
ペミカンの魅力:余分な荷物(食材)が必要ない
徒歩なら荷物の厳選が大事
主に登山で使われることが多かったペミカンは本来は携帯保存食だったため持ち運びしやすいのが特徴です。作り方は後述しますが自分の好きな食材をひとまとめにできるので自分の体一つで山頂目指す登山では荷物の軽量化、余分な食材を持ってくことがなくなりバックパックが軽くなります。ペミカンは脂で保存するので料理をする時に油が必要ないので油も減り調味料もたくさん持っていく必要が無くなるのでまさにアウトドア向けの食材になります。
ペミカンだけで調理するとゴミはほぼ無し
野菜の皮、肉の包装などのゴミはあらかじめ食材の下ごしらえをしているのでペミカンを使った場合余分なゴミが発生しません。特にゴミの削減の効果があるのが魚介類で普通に料理すると生ゴミがかなり発生してしまいますがペミカンなら発生せず、山頂でも魚介類を食べることができます。そしてゴミの持ち帰る量もへり結果的には荷物も減ります。
ペミカンの魅力:自分の好みの食材で大丈夫
肉、野菜、ドライフルーツなど保存食に
ペミカンは昔からある保存食なので作り方は簡単です。そして当時のペミカンも肉、野菜、ドライフルーツ(クランベリーは水分が元から少ない)を保存していたので突拍子もない食材じゃない限り殆どの食材がペミカンのに加工できます。脂で保存するので向かない食材というと納豆、漬物などの発酵食品は不向きです。なんの加工もされてない食材なら幅広く保存でき特に脂と相性のいい肉類、肉類と相性のいいピーマン、玉ねぎなどの野菜なら美味しいペミカンになります。
ペミカンの魅力:現地での料理が時短できる
保存食からすぐにスープができる
ペミカンの作り方はあらかじめ下ごしらえをした食材を脂で固めるだけなので登山やアウトドアで疲れた時、すばやく料理をすることができます。そのままでペミカンを使うだけで食材は下ごしらえされているので調味料をあまり使わずにスープやシチューにもなりかなり時短が可能です。また肉や野菜の旨味も落ちること無く家庭でも作れるので気軽にチャレンジできるほかアウトドアや登山以外にも家庭で使うことができます。
ペミカンの魅力:番外編
高カロリー食で冬のアウトドア向け
現地ではレトルト食品が多く普及しているのであまり冬のアウトドアでのペミカンによるエネルギー摂取はあまり必要ないかもしれませんがペミカンは作る時に脂を使うので非常に高カロリー食です。アウトドアで一気にエネルギーが補給できます。
ペミカンの作り方・レシピについて
レシピは一つ覚えるだけで大丈夫
ペミカンは基本的にはどんなものも加工できるのでレシピも一つのもの覚えると後は自分の好みの調味料で味をつけたりアレンジすることができます。ペミカンのできる大まかな流れは野菜や肉などの食材に火を通す。湯煎などで液体になるまで温めたバター温める。火を通した野菜や肉を密封できる容器(フリーザーバッグなど)にいれそこに液体になったバターを流し込みあとはよく冷やして完成です。どのペミカンのもだいたいこの手順は同じです。
ペミカンの作り方・レシピ:野菜や肉の下ごしらえ
肉は特にしっかりと火を通す
調味料を使わないシンプルな作り方です。まず具材を大きすぎると火が通りににくく食べづらいので1センチぐらいの大きさにします。切り終えるとフライパンに油と野菜を入れて焦がさないようにやや中火で炒めてしっかりと火を通します。野菜がしんなりしてきた頃に肉を入れ同じようにじっくり火を通し生焼けにならないように気をつけることがポイントです。この工程でしっかりと火を通すことで殺菌し保存食になるように加工しています。
ペミカンを作る時のポイント
しっかりと加熱することで殺菌することも大切ですがもう一つ大切なのは、野菜の中の水分を飛ばすことです。水分が多いと保存する時に邪魔になるのでレシピによっては5~8時間煮込むようにするレシピもあります。うまく炒めるコツは普段の料理と同じように野菜を炒める時は熱の通りにくい根菜からいれて最後に葉物類を入れます。
使用する肉の種類
使用する肉の種類はなんでも大丈夫ですが肉の部位によって炒める時間を変えないとパサパサ担ったりします。特に鶏肉の脂分が少ない胸肉などを使用する時は気をつけてください。肉類に限らず海老などの魚介類もしっかりと火を通すことでペミカンで保存することが可能です。ただし魚介類は普段食べるように下処理(海老ならば背わたを処理など)をしないと風味が悪くなりやすく少し手間がかかります。
加工されて肉でも大丈夫
ハム、ベーコンやビーフジャーキーなど加工された肉類も使えます。加工された肉類はもともと薄かったり細かくカットされているものあり扱いやすいです。ビーフジャーキーはすりこぎで粉々にして使います。
ペミカンの作り方・レシピ:湯煎したバターを流し込む
脂が固まることで保存食に
食材を容器に入れた時に全部浸かるような量が必要なで一箱をそのまま使用し湯煎や電子レンジで加熱します。バターを温めている間に先程炒めた野菜や肉類をタッパーやフリーザーバッグにいれて、液体になったバターを入れ後は、フリーザーバッグなら極力空気を抜き粗熱が取れるまでは常温で冷まし冷蔵庫でしっかりと冷やして完成ですバターが冷えることで再び個体になり食材と空気が触れるのを遮断するので傷みにくくなります。
本来はラードを使う
バターで作るとどうしても常温では溶けたりかなり柔らかくなります。ペミカンは本来は動物性油脂(ラード)を使う保存食で特に常温でも溶けにくいシカのラードを使用するので常温でもある程度長持ちします。日本でペミカンを使う場合冬のキャンプや登山など気温が低い時のみしか使えないので気をつけてください。バターが溶けなければ問題ないのでクーラーボックスをうまく活用すると夏でも1日ぐらいは使用できます。
ペミカンのバリエーション
調味料を使って味もしっかり入れたレシピ
作り方は基本的に同じですが先程のレシピでは調味料を使いませんでした。今度は調味料をいれたレシピです。基本的にたくさんの調味料で味を付けるのではなくペミカンはシンプルに塩コショウを使います。バターを使用した場合無塩のものでない場合は既に塩が入ってるので加減してコショウまたは好きなハーブなどを入れていくことで味付きのペミカンができます。
ペミカンに合う食材
野菜類:ピーマン、玉ねぎ、人参をベースにすると作りやすくなります。 キノコ類:しめじ、エリンギなど。 魚介類:海老など 肉類:なんでも大丈夫です。火が通りやすいように一口大にします。 果実:ドライフルーツを入れます。好みによりナッツ類も使えます。 ※舞茸はタンパク質を分解する酵素がありますが、しっかりと加熱することで酵素が働かなくなります。
ペミカンの注意点
清潔な容器を使う
保存食を手作りする場合はどれもいつもより一手間掛けて熱湯で消毒するようにしましょう。特に保存容器がタッパーなど煮沸消毒ができるものは消毒してから保存すると安全です。
気温に気をつける
ラードなら幾分マシですがバターの場合常温では柔らかくなり夏では溶け出します。そのため低温で管理できない状況での使用はさけ冬に使うようにしましょう。夏に使う場合は凍らせてクーラーボックスの中で保存するなど工夫が必要です。
ペミカンの食べ方
ペミカンで料理:スープ
ペミカンを利用してスープを作ります。基本的しっかりと沸騰したお湯にペミカンを溶かすだけでも即席のスープになりますが少し調味料を足すとより本格的なスープにもなります。例えば出しリ味噌を足すだけで具沢山の味噌汁になり、ペミカンに入れた肉が豚肉ならそれだけで豚汁のできあがりで野菜の皮などのゴミを削減できます。食べる時脂肪の部分だけ上の方にあるようなら削ぎ落としたほうが脂っぽくなくて食べやすくなります。
ペミカンで料理:ラーメン
インスタントラーメンのスープにペミカンを足すだけでラーメンが美味しくなります。ラーメンに足すのであれば味付けはしない方が美味しいです。味噌ラーメンにペミカンを足すと味噌バターになるので冬の寒い時にピッタリの濃厚な味に仕上がります。
ペミカンで料理:スパゲティー
茹でた熱々のスパゲティーとペミカンをあえるだけでも簡単なスパゲティーができます。ペミカンの風味が強くて食べにくい茹で汁を少し足しても大丈夫です。バターを使ったペミカンは汎用性が高く食べやすいです。
ペミカンで料理:カレー
ペミカンを作る時にじゃがいもなどカレーに入れる野菜を使うと現地でカレーのルーを入れるだけで具沢山のカレーができます。まずペミカンを鍋で溶かしそこに分量のお湯を入れカレールーを溶かしとろみが付けば完成です。じゃがいもが入っているとデンプンが溶け出してとろみが付きやすくなります。
ペミカンで料理:シチュー
カレーと同じようにシチューの具材をペミカンに加工し現地でルーと一緒に溶かすだけでシチューが作れます。バターが多いので濃厚なシチューになりやすいのでシチュールーは固形のものより粉末のタイプを使って味見をしながら足していくと美味しくいシチューが作りやすいです。作りたい料理に応じてレシピを変えたり食べ方もスープに溶かす以外にもありアイデア次第でいろいろな料理に使えます。
ペミカンのまとめ
登山で一番役立つ
ペミカンは現在でも大学の山岳部が登山の前日に作って持って行くようで大学の山岳部公式HPにも記録が残っています。家庭でも作れる保存食ですが夏場では使えないのであまり作るメリットは無いかもしれませんが冬になると保存ができるようになるので冬キャンプで活躍しそうです。そしてなにより一番活躍するのがやはり登山です。キャンプの場合荷物に制限があることが少ないのですが登山自分の体で背負える量しか持っていけないので荷物を減らせるペミカンは役立ちます。
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