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「クリンソウ」とは?気になる群生地などの特徴から、育て方までご紹介!

「クリンソウ」という植物をご存知でしょうか?この花は山間部の渓流付近に古くから自生している日本の原産種です。ピンクや白などの可愛らしく美しい花を咲かせるこの植物はガーデニングでも人気があります。今回はクリンソウの生態から群生地、育て方や増やし方までご紹介!
2020年8月27日
石倉
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はじめに

クリンソウは山野草

「山野草」という言葉をご存知でしょうか。野山に自生している観賞価値のある植物を総称し、山野草と呼びます。クリンソウは、山野草のなかでも特に美しく可愛らしい花を咲かせる植物として知られています。

クリンソウをご紹介!

今回はそんな野山に咲く美しい花、クリンソウの生態と育て方、増やし方についてご紹介しましょう。厳しい野生の環境に自生しているクリンソウは頑強な性質を有しているため、正しい育て方さえ知っておけば毎年、自宅の庭先を可憐な花びらで彩ってくれますよ。

クリンソウとは?①:クリンソウの概要

サクラソウ科サクラソウ属の多年草

クリンソウとは日本の原産種です。サクラソウ科サクラソウ属の植物で、多年草の性質を有しています。

多年草とは?

多年草とは年をまたいで生育する草のことです。一年草がその年だけで枯れてしまうのに対して、多年草は冬を越して次の年にもそのまま生長を続けます。

漢字では「九厘草」

クリンソウは漢字では「九厘草」と書きます。この名前は、クリンソウがその花を茎から一段、二段と重ねて咲かせる姿がお寺の「九厘」に似ていることから付けられました。

「九厘」とは?

「九厘」とは、お寺の屋根の上に伸びる棒状の金属部分のことです。この形状が開花時期のクリンソウによく似ています。

寺院に由来した名前

他にも「宝塔草」や「七重草」など、基本的に寺院に由来した名前を付けられています。

クリンソウの花言葉

クリンソウの花言葉は「物思い」「幸福を重ねる」「少年時代の希望」「物覚えのよさ」の四つがあります。どの言葉も、クリンソウの美しく愛らしい花びらによく似合うワードですね。

クリンソウとは?②:サクラソウとの違い

サクラソウも美しい植物

クリンソウと似た草として、サクラソウがあります。この草もクリンソウと同じく可愛らしい花を付ける草として知られ、古くから栽培され愛されています。

違いは背丈

クリンソウとの違いはまず背丈です。クリンソウはサクラソウと違い倍近い高さにまで生長します。

花の咲き方にも違いが

葉や花の形状にも違いがあり、クリンソウが一段二段と階層に分けて花を咲かせるのに対して、サクラソウは茎から直接、複数個の花を咲かせます。

江戸時代から栽培されるサクラソウ

また、品種の数にも違いがあります。サクラソウは日本では江戸時代からその可憐な花びらに見惚れた者たちによって広く栽培され、品種もかなりの数が生み出されました。

クリンソウは原種が基本

クリンソウは欧州で栽培用の品種が開発されていますが日本での知名度は低く、それでいてサクラソウほどのバリエーションはありません。

神職と武士

そして、クリンソウはその名前のとおり、神社仏閣の職につく者によって愛でられてきた草ですが、サクラソウは武士階級の者によって観賞され栽培されてきた種類のものです。

栽培の歴史が長いサクラソウ

どちらの植物も大変美しく、ガーデニングに利用される草ですが、クリンソウと違いサクラソウの方が栽培の歴史はずっと長いので、その意味ではサクラソウの方が育てやすいと言えるかもしれませんね。


クリンソウの気になる生態

サイズと葉の特徴

クリンソウは成熟した個体では高さが最大で90センチほどにまで伸びます。葉は外縁にギザギザの切れ込みが入っており、その葉をバラの花状に地表に生やします。

花びらはピンクやホワイトなど

そして、地表の葉から茎を太陽に向けて伸ばしていき、開花時期になるとピンクやホワイトの優しい色合いの花を咲かせるのです。

分布と生育環境

クリンソウの分布場所は北海道から四国地方です。分布場所から分かるように、あまり暑い気候は好まず、涼しい場所を生育場所として選ぶ植物です。

稀に群生地がある

この草は山間部の美しい水流が存在する場所に、群れをなして自生している場合があります。

開花時期は春

クリンソウの開花時期は4月から6月です。桜が花開く4月からアジサイが顔を見せる6月まで、この草はその花を咲かせるのです。前述したように北海道から四国地方までの山間部。その場所のなかでも比較的暖かく、湿度のある地域に自生しています。

クリンソウの気になる群生地

群生地をご紹介!

クリンソウの群生地として知られている場所も、そんな環境を有している土地です。国内ではいくつかの場所が「クリンソウの名所」として知られています。今回はそんなクリンソウの名所をいくつかご紹介しましょう。

クリンソウの群生地「ちくさ湿原」とは?

国内でもっとも規模の大きなクリンソウの群生地として「ちくさ湿原」が有名です。この場所はちくさ高原キャンプ場の向かい側にあり、開花時期にはキャンプ目的で訪れた方たちの目を喜ばせます。

国内最大級、天然クリンソウの群落/群生地全域 15ha、遊歩道総延長 2.5kmを一般公開/開花期間:5月中旬~6月中旬

ちくさ湿原で豊かな自然を満喫!

この場所は兵庫県宍粟市千種町西河内に位置しており、冬場になるとスキー客でも賑わう人気のレジャースポットです。開花時期は4月から6月なので、もしその時期に兵庫県にお立ち寄りの際にはクリンソウの群生地であるこの場所を訪れてみるとよいでしょう。

クリンソウの群生地「くりん草園」とは?

九十九谷公園にある「くりん草園」は、長野県の下伊那郡喬木村に位置しているクリンソウの群生地です。この園が位置する村落の「村花」として選ばれている草が何を隠そうクリンソウで、この園には実に5万株ほどの圧倒的な数の株が管理されています。

時間9:00~16:30(天候により変わります)/料金 入場無料/その他 バス駐車場有/場所九十九谷(くじゅうくたに)森林公園/問合せ たかぎ農村交流研修センター0265-33-3999

くりん草園の遊歩道から広がる絶景

自由に散策できる遊歩道もきちんと整備されており、春にはクリンソウ目当てにやってくる写真家や画家、ガーデニング愛好家の方らで賑わいます。さまざまな色のクリンソウで彩られた通路をただ歩くだけでも十分に楽しめますので、長野に用がある方は是非お立ち寄りください。

クリンソウの群生地「ノンノの森」とは?

「ノンノの森」もクリンソウの群生地として有名な観光名所です。この場所は森林浴による心理セラピーの効果が顕著であるとして、NPOから公認されるほどの名所中の名所として知られます。場所としては北海道の網走郡津別町字上里に位置しています。

体験メニューと料金※価格は全てお一人様料金です/お申込はノンノの森ネイチャーセンター:080-8178-6120までお電話下さい。

ホットドリンクサービス付きのガイド付きセラピープランも多数用意してありますので、入場の際には事前に予約しましょう。

ノンノの森で最高の森林浴を!

北海道の広大な土地を利用したノンノの森は、クリンソウはもちろん他の美しい動植物まで観賞できる北海道の知る人ぞ知る癒しスポットです。春の木漏れ日のなかでクリンソウを眺めながら歩けば、セラピー効果もきっと向上することでしょう。

国道240号線から道道588号線に入る交差点は5差路になっています。お間違えの無いようご注意ください。

クリンソウの育て方①:育てる場所

ご家庭でクリンソウを

クリンソウはガーデニングにも利用される人気の植物です。この草の育て方を簡単にご紹介しますので、是非ご家庭でこの草を育ててみましょう。

高温多湿を嫌う


クリンソウは頑強で耐寒性の高い草ですが、その反面、高温多湿を嫌います。そのため、沖縄などの天候環境ではほとんど自生していない植物です。

地植えの場合は水場の周辺に

クリンソウを育てる際に、一番注意したいのがこの草をどこに植えるのかということです。本州の天候環境であれば屋外に地植えしても基本的に育てることは可能ですが、その場合は池などの水場の周辺に地植えした方がよいでしょう。

夏の直射日光は厳禁

問題なのは8月の猛暑です。春と秋のシーズンではクリンソウは適度に太陽光が当たる場所で土を乾燥させないように水やりを小まめに行えば元気に育ちますが、8月の照りつける日差しを直接クリンソウに当ててしまうのは厳禁です。

いかに夏の日差しから守るか

そのため、屋外に地植えする育て方では、夏の日差しからクリンソウを保護するための対策を講じる必要があります。

おすすめは鉢植えやプランター

お手軽で管理しやすい育て方は鉢植えやプランターを利用した方法です。春、秋は屋外の適度に太陽光が当たる場所に設置して、夏の間だけは直射日光の当たらない日陰に避難させるようにしましょう。

クリンソウの育て方②:水やり

完全に乾燥させるのは厳禁!

クリンソウは耐寒性がありますので冬の防寒対策は基本的に行わなくても大丈夫です。冬になると地上の葉や茎はしおれてしまいますが、地中の根は休眠状態なだけで無事です。ただ、それでも乾燥は大敵ですので、しっかりと水やりを行いましょう。

生長する時期には十分な水分を

もともと山間部の渓流域や清流域の岸辺に自生していた草ですので、乾燥は大敵です。特に開花時期で一番葉や茎を生長させる春先や、冬の休眠前の生長期である秋口には十分な水分を与えましょう。

土が変色したなら水やりのサイン

土が乾燥して変色したなら水やりのサインです。十分に湿気を帯びるまで水を与えます。

水受け皿を設置するのも効果的

完全に土を乾燥させきってしまうと、クリンソウはどんどん弱っていき、そのまま放置すれば枯れてしまいます。春や秋でも天候のよい日が続く場合には鉢やプランターの底に水受け皿を設置して、土の底から常に水分が染み込むように工夫しておけば万全です。

クリンソウの育て方③:肥料と害虫

肥料は生長期に少量を

もともと野生種ですので肥料はそこまで必要とはしません。市販の培養土で育てる場合には基本的に肥料を使う必要はないのですが、鹿沼土と軽石砂を7対3の割合でブレンドして土作りから挑戦する場合には、春先と秋口に少量の液体肥料を土に混ぜておけばすくすくと生長します。頻度は2週に1回の割合で十分です。

害虫はアオムシとヨトウムシ

育て方において他に注意したいポイントは害虫です。クリンソウは春の開花時期から害虫が付きはじめます。この草によく見られる害虫としては、アオムシとヨトウムシの二種類があります。

害虫対策のポイント

この両種はともに葉を食べる害虫です。殺虫剤を用いるか、水やりの合間に手で取り除いておくとよいでしょう。アオムシもヨトウムシもチョウや蛾の幼虫ですので、「いかに葉に卵を産み付けられないようにするか」「孵化する前にいかに卵を取り除くか」の二点を重視して対策を講じましょう。

クリンソウの育て方④:植え替え

植え替えは必須作業

クリンソウは1年に1度か、もしくは2年に1度は植え替えを行う必要があります。この草は地中に根をどんどん伸ばしていく品種です。そのため、鉢植えやプランターで育てている場合には、2年で土の部分のほとんどに根を張り巡らせてしまいます。

土のメンテナンス

そのままですと、土の保水力がかなり低下して水切れを起こしやすくなります。クリンソウは乾燥が大敵ですので、植え替えを定期的に行い土のメンテナンスを行う必要があるのです。

植え替えに適した時期

植え替えは開花時期の春になる前に行うのがベストです。もしも、その時期を逃したのなら秋に行いましょう。具体的には2月から3月、あるいは9月から10月が植え替えを行える時期です。

性質に合わせた作業を


植え替え作業は他の植物の場合と同じです。根に付いているもともとの土を3割ほどの残しておき、新しい鉢と新しい土に植え替えていきます。クリンソウは根を上方向に伸ばす性質がありますので、上からかぶせるように土をかけてあげましょう。

クリンソウの増やし方①:種まき

種まきによる増やし方

クリンソウの増やし方としては種で増やす方法と、株分けして増やす方法が存在します。まず、種での増やし方をご紹介しましょう。

クリンソウは6月から種を採取可能

クリンソウの種は開花時期の梅雨あけ、6月後半から採取できます。このクリンソウの種は間を置かずにすぐに土に撒いておきましょう。

種まきは採取後すぐに

種をすぐに撒くのには理由があります。クリンソウの種はある一定の低温環境に晒されないと発芽しない性質を有しているのです。

発芽まで時間を要する

そのため、例えば7月に種を採取してすぐに土に撒いたとしても発芽するのは冬の時期を過ぎた後の年明けです。少し時間がかかりますが、気長に待ちましょう。

クリンソウの増やし方②:株分け

株分けによる増やし方

株分けによる増やし方は、前述した「植え替え」の際に一緒に行います。クリンソウの地中に埋まっている部分をよく注視しましょう。株が増えている場合には株分けが可能です。

株分けは丁寧に

クリンソウの株は他の頑丈な植物と違い、刃物やナイフで丁寧に切り分ける必要があります。切り分けた株の数だけ鉢やプランターを用意して、植え替え作業の時と同じように土をかけていけば完了です。

植え替えと一緒に株分けを

クリンソウの増やし方は種よりも株分けの方が簡単だとされています。また、この草は植え替えを定期的に行う必要があるので、その作業ついでに株分けにトライしてもよいでしょう。

まとめ

古くから愛されてきた花

クリンソウについてはいかがでしたでしょうか。もともと野山に自生していた可憐な花、クリンソウは古来より日本の大地に根をはり続け、見る者の目を楽しませています。

クリンソウを育ててみよう!

ガーデニング用に改良が施された栽培品種ではなく、天然の野生種であるクリンソウ。それでいて栽培品種に負けず劣らず可愛らしく花を咲かせるこの植物を、皆さんも育ててみませんか?

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