スポーツチャンバラとは？使う武器やルール、大会情報まで徹底紹介！

はじめに

幼少時のチャンバラごっこ

皆さんはチャンバラごっこをしたことがあるでしょうか。昭和生まれの方のなかには、神社や野原で新聞紙を丸めた棒を使い、合戦さながらの白熱した剣戟(けんげき)を交わしていた方もいることでしょう。

子供を取り巻く環境の変化

最近の子供たちの遊びといえば、もっぱらテレビゲームや携帯ゲームなどのインドア向けのものが多いですね。ただ、そもそもの話、チャンバラごっこを楽しめるだけの神社や公園、野原などが昔と違って存在していないというのも子供たちがゲームにのめり込む要因のひとつになっています。

怪我の原因にもなる

仮に公園などが近所にある場合でも、子供たちだけでルールもなくチャンバラごっこをやらせると木の枝などで怪我を負う、あるいは負わせてしまう危険がありますよね。周囲の方たちから暴力的だという批判も出てくるかもしれません。

スポチャンの略称で愛されるスポーツ

スポーツチャンバラは安全に十分に配慮したルールを規定しており、かつ安全性の基準に適合したさまざまな種類の用具を自由に選べるので子供から大人まで世界中の人たちに愛されています。今回は「スポチャン」の略称で愛されている競技、スポーツチャンバラの魅力についてご紹介しましょう。

スポーツチャンバラとは

田辺哲人氏が考案した競技

スポーツチャンバラとは田辺哲人氏が作り出したスポーツです。日本には古くからチャンバラごっこが子供たちにとっての遊戯として行われていましたが、それと護身術を合体させて、さらに安全性を確固たるものとするためにルールや用具に工夫を重ねていきこの競技は生み出されました。

最適化されたチャンバラごっこ

また最近ではチャンバラごっこを怪我の原因になると忌避する風潮があり、現実に木の枝などでルールも防具もなくチャンバラごっこに興じた子供たちが負傷する事故が多数、見受けられました。

安全に楽しめるスポーツ

そこで、そのような事態を防ぐために武器となる剣はエアー式の怪我の危険性が少ないものを採用。そして防具も頭部をアクリルのフェイスガードで覆うようにして万が一の負傷まで徹底して予防し、子供でも安全に楽しめるスポーツへと発展していきました。

スポーツチャンバラの基本

ルールは簡単

簡単にスポーツチャンバラのルールを説明するなら「相手の体をどこかでも打てれば勝ち、逆に自分の体のどこかでも打たれれば負け」というのが基本的な勝敗の付け方と言えます。

有効打は音でわかりやすく判定される

スポーツチャンバラに使用されるエアー式の武器はいろいろな種類が存在します。小剣をはじめ、両手剣や盾＋小剣、二刀流などです。これらの用具はどれを使用しても相手の体を強く打てば「パン」と分かりやすい音が出るように設計されているため、有効打の判定は子供でも容易にできます。

相手の体にしっかりと打ち込もう

相手の体をしっかりと力をこめて打ち、「パン」と音が鳴れば勝利。逆に、自分の体を相手に打たれて「パン」と音が鳴れば敗北というのが基本のルールです。

子供でも大人と十分に戦える

体のどこでもしっかりと当てられれば有効打となるので、例えば大人と子供で対戦しても小柄な子供がフットワークを生かして大人の脚部などを狙えば十分に勝ちを狙えます。また、武器のリーチも他競技と比較して圧倒的に自由度が高いので、身長差などのハンディキャップを武器による工夫で埋めることも可能です。

世界中に愛されるスポーツチャンバラ

スポーツチャンバラは今や競技人口40万人以上、競技国は40カ国以上とまで言われるほど幅広い方たちに愛されているスポーツです。ここまでこの競技が発展するに至った理由の一つには「子供がお父さんやお母さん、周囲の大人らと対等に戦える」という要素も働いていたことでしょう。

スポーツチャンバラの用具.1

スポーツチャンバラの用具は2種類

スポーツチャンバラに使用する用具としては、大きく分けて二つの種類が存在します。防具と武器です。

防具はフェイスガードのみが基本

まず防具について説明していきましょう。スポーツチャンバラに使用する防具は基本的に顔を保護するためのフェイスガードのみです。

いろいろな種類のフェイスガードが

ただ、このフェイスガードにもいろいろと種類が存在します。値段も1万円前後のものから2万円以上のものまで多種多様です。

通販でも購入できる

スポーツ用品店で実際に手にとってみてから購入するのがおすすめですが、通販でもお手軽に購入できるのでご自身のご都合に合わせた購入方法を選択しましょう。通販で購入する際にはサイズにだけは注意が必要です。

スポーツチャンバラの用具.2

エアーソフト剣

防具の準備ができれば、後はいよいよ武器です。スポーツチャンバラで使用される武器はスポーツチャンバラ公式協会の用語では「エアーソフト剣」と呼称されます。

いろいろな種類の武器がある

スポーツチャンバラにおいては小剣以外にも、よりコンパクトな「短刀」、よりリーチのある「長剣」、さらに長さに利を持たせた「杖」や「棒」、そして「槍」などの種類の武器が存在します。

リーチの長いものほど高価

基本的にリーチの長い武器の方がより値段が高く、「棒」や「槍」のタイプの場合には2万円程度の価格帯で販売されており、短刀や小剣タイプではその半額の1万円程度の価格帯で販売されています。

最適な武器を選択しよう

リーチの長さ、取り回しの容易さ、そして何よりその武器がご自身のスタイルに合うのかどうかをよく考慮した上で、最適な武器を選びたいところです。各武器の使用者のみで行われる種目別の大会も開催されますので、実際に試合をご覧になって決めるのも一つの手ですね。

スポーツチャンバラの武器解説.1短刀と小剣

スポーツチャンバラ武器解説.短刀

短刀は長さ45センチでリーチがもっとも短い種類の武器です。他の武器との相違点としてけん制の目的で蹴り行為が許容される場合がありますが大会によりルールが違いますので注意が必要です。

腕前の差を埋めるためのハンデとしても

また、熟練者と初心者が試合する場合にはハンデとして熟練者側が短刀をあえて利用するといった使い方がされます。

スポーツチャンバラ武器解説.小剣

小剣は長さ60センチで初心者がまず手に取る基本の武器です。取り回しのしやすさが特徴で、初心者から熟練者まで広く愛されています。また、長剣との二刀流は種目のひとつに数えられます。

スポーツチャンバラの武器解説.2長剣と杖

スポーツチャンバラ武器解説.長剣

長剣は長さ100センチで小剣と同じく初心者がまず手に取る武器です。小剣よりもリーチがあり遠方から一気に踏み込んで切りかかる戦法をとれますが、反面モーションが大振りになるため隙が大きくなりカウンターで迎撃されやすい武器です。

スポーツチャンバラ武器解説.杖

杖は長さ140センチで両端に刃に当たる部分があるのが特徴の武器です。スターウォーズのダースモールが使用するライトセーバーのような性質を持ちます。

テクニカルな武器

トリッキーで予測不能な攻撃が可能ですが、扱いが難しく玄人向きの武器です。

スポーツチャンバラの武器解説.3棒と槍

スポーツチャンバラ武器解説.棒

棒は長さ210センチとかなりのリーチを誇りますが持ち手が中央にあり、杖と同じく両端の刃部分で戦うので下記で紹介する槍よりもリーチで劣り、取り回しでは長剣と小剣の二刀流に劣る器用貧乏な印象がある武器です。ただ、攻防をワンモーションで行える棒は熟練した使い手ならば他武器の使用者を圧倒できるだけの強さがあります。

スポーツチャンバラ武器解説.槍

槍は190センチで刃相当の部分が片方のみのためリーチで他武器を圧倒できます。遠方から踏み込みを生かして飛び込んでいく「突き」は非常に強力です。

協会公認の用具を使おう

スポーツチャンバラの用具は厳正な安全試験のもとで協会が公認したもの以外はルールにより使用が認められていません。もちろん、改造などはもってのほかです。ご自身の負傷を防ぎ、対戦相手に怪我を負わせないためにも公認されていない用具や改造した武器の使用は絶対にやめましょう。

スポーツチャンバラのルール.1

試合場は平坦な場所

スポーツチャンバラのルールはシンプルなものです。試合は一辺が6メートルから9メートル程度の平坦な場所で行われます。ただし、試合会場や参加人数の違いに応じて多少の変更が生じる場合がありますのでその点だけは注意してください。

スポーツチャンバラの試合形式

基本は剣道や他の武道競技と同じく、試合時間は3分。そして3本勝負で勝敗を決していき、2本先取した者が勝ちです。決着しない場合には延長して戦っていきます。

個人戦は3本勝負で団体戦は1本勝負

また、1本勝負という試合形式もあり、その場合には試合時間は1分。先に1本先取した者が勝者です。個人戦では3本勝負で行われ、団体戦では1本勝負で行われるというやり方が主流です。

協会公認の審判員が3人

公式の試合はスポーツチャンバラ協会が公認した審判員が担当して進行していきます。主審が一人に副審が二人、試合場を三方向から目視して有効打などを判定していきます。試合の判定に対する異議申し立てなどがある場合には彼らを通して行うわけです。

先に相手の体に有効打を

先述したとおり、武器で相手の体のどこかにきちんと力の込められた有効打を打ち込めれば1本。逆に打たれれば相手に1本が奪われます。

スポーツチャンバラのルール.2

スポーツチャンバラの反則行為

スポーツチャンバラにおける反則は大きく分けて三種類が規定されています。まず、試合場の場外に両足を出してしまうこと。次に、武器の柄の部分を相手に当ててしまうこと。最後に故意による暴力行為です。

武器を落としても試合は続行される

剣道の場合には竹刀が試合中に手から離れた場合には基本的に審判員により「待て」がかかります。そして、竹刀を落とした方に反則が取られますが、スポーツチャンバラの場合には武器を落とした場合でもそのまま試合は続行されます。

1回だけなら場外に出られる

反則行為のうち、場外に両足を出してしまう反則行為は二回やった時点で反則負けです。このルールを逆手にとって武器を落とした選手が場外まで一旦退避して反則を一つ貰う代わりに落とした武器を拾い体勢を立て直すという戦法がよく取られます。

スポーツチャンバラの道場や教室

道場や教室へ行ってみよう

スポーツチャンバラは用具を購入すれば誰でも気軽に始めることができる競技です。ただ、本格的に始めたい場合にはお近くの道場や教室などに問い合わせてみましょう。

全国に約200ヶ所の道場や教室が

スポーツチャンバラの公式サイトには全国にある道場や教室の連絡先が一覧で記載されています。協会が公認しているスポーツチャンバラ教室や道場の数は日本全国で約200前後の数が存在しており、そのどの教室や道場も初心者の方を常に歓迎しています。

道場や教室でより強くなろう

スポーツチャンバラは勝敗よりもフェアプレイを遵守し、互いに楽しむことこそ重要です。ただ、そうは言うもののやはり競技、やはり戦いです。勝ちたい、強くなりたいと考えるのは至極当然の発想でしょう。

武器に応じた基本動作を学ぼう

スポーツチャンバラの道場や教室では子供から大人まで、いろいろな世代の方たちがお互いに楽しみながら切磋琢磨を続けています。また、いろいろな武器の種類が存在するスポーツチャンバラでは、それぞれの武器の種類に応じたより強くなれる基本の動作が考案され、研究されています。

腕前を磨き上げよう！

道場や教室に通いながらご自身が愛用する武器の基本動作をマスターして、さらに同じ種類の武器を使用する他の教室や道場の仲間と試合を行えばより腕前を磨けることでしょう。

スポーツチャンバラの大会情報

スポーツチャンバラ協会公認の大会

教室や道場で腕前を磨いたなら、是非スポーツチャンバラの大会に出場して全国の猛者たちと腕前を競ってみましょう。大会にはスポーツチャンバラの公式協会が主催するものと、非公式なものが存在しますが、今回は協会が主催する大会について解説します。

スポチャン段位保有者と公認審判員

スポーツチャンバラの協会が公認する公式大会とは、協会が認めた段位の保有者と、同じく協会が認めた審判員によって行われる大会を指します。

さまざまな場所で開催されるスポチャン大会

公式大会は日本全国のさまざまな場所で行われます。各都道府県で選抜される地方大会をはじめ、市町村の名を冠する大会や、レクリエーション大会などいろいろな種類の大会が年を通して開催されています。

いろいろな種類の大会が開催される

他にも子供たちが参加する大会、障害のある方が参加する大会、女性の方が参加する大会など、幅広い方たちがより楽しめる形式で開催されています。これらの情報は、先述したスポーツチャンバラ協会の公式サイトで確認できますので、是非チェックしてみましょう。

スポーツチャンバラ世界選手権

また、最大のスポーツチャンバラ公式大会は冬に行われる「世界選手権」です。各メディアでも取り上げられるほど規模の大きな大会で、世界最高峰の腕前をもつ猛者たちが一同に集い、まさに白熱した攻防を繰り広げます。

純粋に「強さ」を競う戦い

性別の区別もなく、そして日本だけでなくフランスやロシアの選手も出場するほどの大会で、会場は毎年かなりの活気に満ちています。

スポーツチャンバラと剣道の違い.1

スポーツチャンバラと剣道は似ているが

スポーツチャンバラはしばしば剣道と似たようなものであると認識されてしまう競技です。確かにスポーツチャンバラと剣道では似通った点が多く存在します。

安全に稽古するために用具を工夫した

例えば、剣道は竹刀を使用して練習や試合を行いますが、この竹刀はもともと「いかに安全に稽古をするか」を試行錯誤した結果、生まれた用具です。

竹刀は画期的な用具であった

適度な柔軟性と剛性をあわせもち、かつ安価な「竹」という素材を生かして相手を死傷させずに剣術の実践的な稽古を行うために竹刀は考案されました。

スポーツチャンバラも同様の工夫をした

スポーツチャンバラにおいて使用される用具はエアー、すなわち空気の入った小剣型の武器が主で、同じくエアー式のさまざまな用具が生み出されていますが、「対戦相手に怪我を負わせない」という前提はどの用具も同じです。この点は、剣道における竹刀と類似した点と言えましょう。

スポーツチャンバラと剣道の違い.2

武器の違いが差異を生じさせる

ただ、やはりスポーツチャンバラと剣道は完全に別物です。武器が竹刀とエアー式の用具であるという違いはこの両種の競技に明確な差を生じさせます。

竹刀は本物の刀より安全ではあるが

剣道においては竹刀であっても防具を外れたむきだしの体に打突が決まればその相手は負傷してしまうことでしょう。

エアーソフト剣で自由度を確保

しかし、スポーツチャンバラではエアー式の負傷の危険性がほとんどない用具で相手の体に向けて打ち込んでいきます。怪我の心配がほぼ存在しないため、防具は最低限、目をガードするためのフェイスガードに限定され、有効打は基本的に体のどこでも認められています。

勝敗の判定が客観的に分かる

加えて、剣道における有効打は心技体揃ったものでなければいけません。これは試合においては審判が主観的に判断しますが、スポーツチャンバラでは有効打は音などで客観的に対戦相手、審判、そして観客にも分かりやすく示されます。

スポーツチャンバラは体の接触が少ない

また、剣道には「鍔(つば)ぜり合い」など、激しく体をぶつけ合う場面が頻繁に見られますが、スポーツチャンバラは基本的に小剣などの用具同士による剣戟が主で体をぶつけ合う場面はほとんど見られません。

剣道より必要なものが圧倒的に少ない

そして、剣道は初心者の方が始めようと考えた場合には、竹刀だけでなく面や小手、胴などの防具類から胴着、袴(はかま)、竹刀袋に防具入れなど必要なものがいろいろと出てきますが、スポーツチャンバラの場合にはお好みの小剣などの用具と防具のフェイスガードだけで始められます。

お手軽に始められるスポーツチャンバラ

総じて両競技の違いを表すなら、スポーツチャンバラは剣道よりも怪我の心配が少なく予算をかけずに始められ、それでいて試合の観戦を含めて初心者の方でも分かりやすく楽しめる「スポーツ」としての要素が強い競技であると言えるでしょう。

まとめ

スポーツチャンバラを楽しんでみましょう！

スポーツチャンバラは子供から大人までさまざまな世代の方たちに楽しまれている競技です。皆さんもご自身に合ったお気に入りの武器を手にとり、スポーツチャンバラを楽しんでみてはいかがでしょうか。

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