アカンサスとは
個性的な葉と大きな花穂が特徴で、株が大きく1.5mほどにもなる存在感のあるアカンサス。日本の環境でもとても丈夫に育ってくれる多年草で、初心者も栽培しやすい植物です。 アカンサスは歴史が古く、その魅力的な葉を表した模様が世界各地で装飾に使われています。そんなアカンサスの基本情報をはじめ、名前の意味や種類なども含め詳しくご紹介いたします。
アカンサス / 科名
科:キツネノマゴ科 属:ハアザミ属 キツネノマゴ科の多くは熱帯に見られ、キツネノマゴとは日本各地に多く見られる雑草です。この科の園芸種として代表的なのがアカンサスです。
アカンサス / 学名
学名:Acanthus アカンサスとは、キツネノマゴ科ハアザミ属の学名でもあります。日本ではハアザミと言われますが、葉がアザミに似ているためにつけられたと言われています。
アカンサス / 原産地・名前の由来
アカンサス / 原産地
原産地:地中海沿岸 ギリシャの国花にもなっているアカンサス。その歴史は古く、アカンサスの葉を図式化した模様が古代ギリシャの「コリント式建築」の柱頭装飾で見られました。
アカンサス / 名前の由来
アカンサスとはギリシャ語でトゲを意味する「akantha」が語源です。アカンサスの花の付け根の苞にトゲがあることからつけられたと言います。
アカンサス / 開花時期・花言葉
アカンサス / 開花時期
開花時期:6月〜8月 晩春から初夏にかけて高さ2mほどの花茎を出し、6月中旬頃から花を咲かせます。穂状に花をつけ、紫がかった萼から白っぽい花を出します。花後も紫がかった萼が残るので、長く鑑賞を楽しめます。
アカンサス / 花言葉
花言葉:美を好む・芸術・芸術への愛・技巧・離れない結び目・信じがたい生命力 古代ギリシャ建築で装飾に使われたことから、芸術に関連した花言葉がつけられています。このことからか、日本でも東京藝術大学の徽章などにも使われています。 またギリシャではアカンサスの強い性質から、不死を象徴する花とされていました。そこから由来して「信じがたい生命力」や「離れない結び目」などの花言葉がつけられました。
アカンサス / 品種
アカンサスの品種 / 1.アカンサスモリス
もっともよく出回っている観賞用園芸種はアカンサスモリスです。 藤色に近い紫色の額から白いお花を咲かせ、そのコントラストが美しい品種です。葉は大きく濃い緑で艶があります。「モリス」には柔軟毛をもついう意味があります。
アカンサスの品種 / 2.アカンサスモリス・アルバ
緑色の額に、真っ白な花を咲かせるのがアカンサスモリス・アルバです。アカンサスモリスは葉や花色が違う種類がいくつかあり、アカンサスモリス・アルバもそのひとつです。ほかにも、花の色はアカンサスモリスと同じですが葉の色が明るいライム色のアカンサスモリス・ホーランズゴールドなどもあります。
アカンサスの品種 / 3.アカンサスモリス ・タスマニアン エンジェル
こちらもアカンサスモリスの種類のひとつですが、葉に斑が入り、花も淡いピンク色です。近年はこのような斑入りの葉でピンク色の花を持つ品種が出回るようになってきました。クリームの斑が入る葉は葉だけでもとても美しく、どんどん人気が出ています。
アカンサスの品種 / 4.アカンサス スピノサス
こちらはアカンサスモリスと同じく柱頭装飾にも使われていた古い品種ですがモリスよりも葉の切り込みが鋭く尖っているのが特徴です。アカンサスモリスよりも小型のため、コンテナなどにも向いています。
アカンサス / 基本情報
形態:草花・多年草 草丈:60〜150㎝ 耐寒性:強い 耐暑性:強い
アカンサス / 育て方
アカンサスは初心者向け!
アカンサスは環境が合えばほとんど手をかけずに毎年育ってくれる強い植物です。栽培の難易度は低く、初心者向けの植物。ぜひ挑戦してみてくださいね。
アカンサスの育て方 / 1.日当たりと置き場所
アカンサスは不死を象徴する花でもあるように、耐寒性も耐暑性もあり乾燥にも強い植物です。 アカンサスは根が太く直根なので、根が地中深くまで入り水はけがよい場所での栽培が適しています。半日陰で湿り気のある場所を好みますが、日当たりの良い場所でも日陰でも根が張れば強く育ってくれます。
アカンサスの育て方 / 2.水やり
アカンサスは乾燥に強いため、特別気をつけることはありません。 ■庭植えの場合 ほとんど必要ありません。 ■鉢植えの場合 土の表面が乾いたらたっぷり水をあげましょう。成長期の春と秋には、乾かしすぎないよう気をつけましょう。
アカンサスの育て方 / 3.植え付け
大きくなりますので、鉢植えよりは庭植えのほうが向いています。最適期は開花時期を避けた春と秋ですが、周年通して植え付け可能です。 ■庭植えの場合 大きく広がるのでしっかりとスペースを取れ、また根が深くまで入るような水はけの良い土壌が良いでしょう。 ■鉢植えの場合 用土は市販の草花向けの培養土で栽培できます。水はけが良い土で育てましょう。
アカンサスの育て方 / 4.植え替え
適した場所に植えつければ雑草のように強いのがアカンサスの魅力です。 ■庭植えの場合 植えっぱなしでも毎年花をつけてくれますが、うまく生育していなかったり、土が固くなってきたりしたら植え替えてあげると良いでしょう。 その際、太い根を傷つけると弱ってしまいますので気をつけましょう。 ■鉢植えの場合 株が大きくなってきて、鉢に根が回っているようなら鉢増ししてあげましょう。
アカンサスの育て方 / 5.肥料
肥料はあまり必要ありません。 ■庭植えの場合 植え付ける際に緩効性肥料を混ぜ込んでおくと良いでしょう。 ■鉢植えの場合 春と秋の成長期に少量追肥をしてあげると良いでしょう。
アカンサスの育て方 / 6.お手入れ
アカンサスはあまり手入れすることがありません。花が終わったら花茎を切りましょう。 また、アカンサスは害虫や病気もあまり見られません。まれにセンチュウという虫が根に寄生し、弱らせることがあります。肉眼ではほとんど確認できない害虫ですので、おかしいな?と思ったら植え替えたり土を入れ替えたりすることをおすすめします。
アカンサスの育て方 / 7.増やし方
アカンサスの増やし方は、主に株分けと根伏せです。 ■株分け 株が大きくなってきたら株分けすることができます。太い根が折れないように気をつけましょう。時期は早春か秋が適期です。 ■根伏せ 早春か秋に、赤玉土に太い根を5〜10㎝切り取って寝かせて植えます。
アカンサス / おすすめの楽しみ方
ボーダーガーデンで楽しむ
草丈が高く手のかからないアカンサスは、ボーダーガーデンの背景にぴったり。 イングリッシュガーデンの代表的なスタイルのボーダーガーデンは、手前から奥にかけて背が高くなる様式です。ボーダーガーデンは多年草やこぼれ種で増える植物で枠組みを構成すると作りやすいので、アカンサスを使ってみては。
アカンサス文様を楽しむ
「アカンサス文様」とは、アカンサスの葉をモチーフにした模様です。 アカンサスはギリシャでは不死を意味する聖なる植物として扱われました。アカンサスの葉を模様としたのは、紀元前5世紀のアテネでコリント式建築の柱頭装飾が初めとされています。
コリント式建築柱頭装飾を考案したのは古代ギリシャの彫刻家カリマコスと言われています。 カリマコスが住んでいたコリントスという街である少女が病死してしまい、乳母がそのお墓のそばに遺品を入れたかごを供えました。春になってカリマコスがその前を通ると、墓の上に伸びたアカンサスの若葉がバスケットに美しく絡みついているのを見つけ、そこからアカンサスの柱頭装飾を思いついたと言います。
日本でもアカンサス文様が施されている明治建築の洋館がたくさんあります。各地に残っているものも多いので、ご覧の際はぜひ柱の装飾などに注目してみてください。 また、現1万円札にもアカンサス文様が印刷されています。「10000」の表示の横の模様がそうです。そのほか賞状などにも使われており、アカンサスの葉は意外と普段から見ているものだったのですね。
その後も「アカンサス文様」として建築・彫刻・家具や工芸品など美術の広い範囲で用いられ代表的な植物模様のひとつにもなっています。 お気に入りのアカンサス文様を見つけて集めてみるのも良いですね。
まとめ
アカンサスは日本の気候にも合いやすく、初心者でもとても育てやすい植物です。 近年はお花屋さんでもよく見られ、日本でも流通する種類が増えてきました。ぜひ見かけたら気軽に挑戦してみてくださいね。
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