薊(アザミ)について
薊(アザミ)の基本情報
薊(アザミ)は、キク科のアザミ属に属する多年草の植物です。多年草なので、毎年花を楽しむことができます。学名を【Cirsium japonicum】といいます。薊(アザミ)の種類は多種多様で、日本にあるものだけでも60種類近くあるといわれています。また、その形状がどれもよく似ていることから分類が難しいのが特徴です。
薊(アザミ)の花名由来
多年草で花を楽しめる季節が長い薊(アザミ)の花名由来は、薊(アザミ)をとろうとしたものがそのとげに驚き興ざめしてしまうという意味合いの「あざむ」が語源だといわれています。また、沖縄の一部の地方では、トゲのことを「あざ」と呼ぶことからトゲの多い木という意味合いの「あざぎ」が由来だとも言われています。
学名【Cirsium japonicum】の由来
薊(アザミ)の学名につけられている「Cirsium」は、「cirsion」というギリシャ語が由来とされています。この「cirsion」は、静脈瘤を意味する「cirsos」言葉から来ています。薊(アザミ)の花が、静脈瘤の症状に効果があるとされた植物に似ていたことからつけられたようです。
薊(アザミ)の種類
キク科の多年草である薊(アザミ)には、いろいろな種類があります。日本で最も大きな花を咲かせるのが特徴のフジアザミや東北地方から近畿・四国地方にまで幅広く生息するナンブアザミ、日本で一番多く栽培されているノアザミなどがあります。切り花などでよく見かけるのは、ノアザミが品種改良されたドイツアザミです。日本には、約60ほどの種類があるといわれる薊(アザミ)ですが、世界にはなんと300種類もあるといわれています。
薊(アザミ)の特徴
薊(アザミ)の代名詞ともいえるノアザミは、海岸沿いから山間にいたる地域の日当たりのよい草原や道端に生育しています。花の開花季節が長く、春から秋の季節にかけて楽しめるのが特徴です。花は、直径2~3cmになります。総苞が粘ることも薊(アザミ)の特徴の1つです。薊(アザミ)は、他の種類の薊(アザミ)と交雑することが多く雑種を多く生み出します。そのため、分類するのがとても難しい植物なのです。識別の方法としては、花の大きさや総苞の形、総苞片の形とつき方など細かく見極める必要があります。
薊(アザミ)の花言葉と意味・由来
薊(アザミ)の花言葉
薊(アザミ)の花言葉には、次のようなものがあげられます。 ●独立(英語の花言葉:independence) ●報復 ●守護 ●満足 ●触れないで ●人間嫌い ●厳格(英語の花言葉:austerity)
花言葉「独立」「報復」の意味・由来
薊(アザミ)の花言葉である「独立」は、英語の花言葉からきています。その昔、スコットランドがノルウェー軍の侵攻を受けた際に薊のトゲを踏みしめる音で敵軍の進行を素早く知ることができ、スコットランドが勝利したことが由来だとされています。このことから、薊(アザミ)は、スコットランドの標章であり国花となっているのです。「報復」という花言葉も、このスコットランドの逸話に由来するといわれています。「守護」や「満足」も勝利したスコットランドの歴史物語に由来するのかもしれませんね。
花言葉「触れないで」「人間嫌い」の意味・由来
薊(アザミ)の花言葉でよく知られているのが、「触れないで」という意味です。この花言葉は、やはり薊(アザミ)の特徴であるトゲに由来するといえるでしょう。人を寄せ付けない薊(アザミ)の姿は、見るものに「触れないで」と言っているように思えます。「人間嫌い」という花言葉は、そんな薊(アザミ)の姿から来ているのかもしれません。
色によって違う花言葉
薊(アザミ)の花言葉は、色によって違ってきます。例えば、白色は「ひとり立ち」や「独立」などを意味します。紫には、「気品」や「厳格」などの意味があります。黄色の薊(アザミ)は、「別れ」を意味するので花束などを贈る際には気を付けておきましょう。赤色は、「報復」の意味をもつのでプレゼントには向かないかもしれませんね。
薊(アザミ)の誕生花
薊(アザミ)が誕生花とされる主な月日は次の通りです。 ●3月19日 ●4月19日 ●7月1日 ●7月9日 ●9月18日 ●10月21日 誕生日に誕生花をプレゼントするのは、おしゃれな演出になりますね。紫の薊(アザミ)なら花言葉も素敵なのでおすすめの誕生日プレゼントだといえるでしょう。英語で独立を意味する花言葉を持つ白色の薊(アザミ)なら進学や就職でひとり暮らしを始める子供へのエールにもなる誕生花ですね。
薊(アザミ)を楽しめる場所
小田代原のアザミ群落
小田代原は、湯ノ湖から流れでている湯川の西側に広がる草原です。戦場ケ原ほど広くはありませんが、周囲は2キロ近くあります。この小田代原は、栃木県日光市奥日光あり、アザミの満開の季節ではまるで紫色のじゅうたんのように広がるすばらしい光景を楽しむことができます。薊(アザミ)の見頃は、7月~8月頃です。こちらの薊(アザミ)は、ニッコウアザミと呼ばれているようですね。小田代原では、草原の真ん中に「貴婦人」と呼ばれる美しい白樺がはえていて、カメラ好きに人気のスポットになっています。
ヨコスト湿原(海岸草原)
ヨコスト湿原は苫小牧の西部に位置する白老町にある湿原です。詳しい住所は、北海道白老郡白老町日の出町になります。こちらの湿原は、原生の花園ともいえるほどいろいろな自然の植物を楽しむことができます。また、日本の重要湿地500にも選ばれている場所です。この場所には、約465種の植物と64種類もの野鳥を観察することができます。入場料などもなく、自由に見て歩くことができるのがいいですね。
薊(アザミ)は食材にもなる?
青森ではスーパーでも売られている
薊(アザミ)は、青森などの東北地方の一部や長野県などで食材として使われています。おもに使われるのは、おみそ汁の具としてです。青森の津軽地方では、春先にスーパーなどで薊(アザミ)の新芽が普通の食材と一緒に売られているようですね。薊(アザミ)の新芽や根の部分は天ぷらにしたり、ゴマ和えなどにしても食べることができます。
薊(アザミ)を使ったレシピ①【アザミ汁】
作り方は、普通のおみそ汁を作るのと同じ要領です。アザミにはトゲがあるので、葉をちぎる際に気を付けましょう。鍋の水が沸騰してきたら、準備した食材を入れて火を通します。食材に火が通ったら、お味噌を加えて出来上がりです。自宅でも簡単にできるので、おみそ汁の具材にちょっと変化を持たせたい時にチャレンジしてみるのもおすすめですね。分量などは、下の通りです。
材料 (4人分 あざみ(葉)(冷凍の場合は200g)280g 豚肉80g うち豆大さじ2 味噌24g だし汁または水2~3カップ
薊(アザミ)を使ったレシピ②【あざみの茎と牛肉の旨煮】
ゆでたアザミの筋と皮を取って30分程度水にさらします。充分に水気を切ったアザミを油で炒めます。この時、ココナッツオイルとゴマ油を使うと風味が良いようですね。炒めたアザミに細く切った牛肉を加え炒めてから、少し水を加えてひと煮立ちさせます。その後、出汁と砂糖を加え5分ほど煮て残りの調味料を加えます。後は、汁けがなくなるままで煮れば完成です。分量は、次の通りです。
材料 (3人分) あざみの茎10本 牛こま切れ肉90g 塩ひとつまみ ■ 水 砂糖大さじ2 醤油大さじ2 酢大さじ2 みりん 大さじ1 鰹だしの素小さ1 ごま油 小さじ2 ココナツオイル 小さじ2 七味 少々
まとめ
薊(アザミ)は、花ひとつひとつをみると華やかさに欠ける素朴な植物です。でも、群生地などで色鮮やかに咲き誇る姿は、なかなか圧巻なもの。紫色に誇らしく咲く姿は、まさに「気品」「厳格」という花言葉がピッタリだといえるでしょう。
プレゼントするときには気を付けて
スコットランドの国花としても知られる薊(アザミ)は、スコットランドの独立の歴史には欠かせない花として語り継がれています。そのため、花言葉にもスコットランドの独立を思わさる意味の言葉が多いですね。色によっても花言葉に違いがあり、茎にトゲがあることからプレゼントをする場合は気を付けておく必要があります。夏の季節に見頃を迎える薊(アザミ)を楽しむなら、小田代原などの群生地がおすすめです。