BRIWAXについて
「BRIWAX」は「ブライワックス」と読みます。イギリスで作られた木材用のワックス塗料です。誕生したのは西暦1860年と歴史があり、現在でも木材用塗料として高い人気をほこります。ヨーロッパにおいては一番優秀な木材用塗料とされているのです。また、英国王室に認められていて、指定の塗料になっています。このことからもBRIWAXの効果のほどが分かることでしょう。DIYをおこなう人たちにとっては定番の塗料です。
BRIWAXの主な原料
BRIWAXは半固形のカラーワックスで、二つの蝋(ろう)が配合されています。天然蜜蝋(てんねんみつろう)は主に蜂の巣から採取したもので、木材を保護しツヤを与えるために使われている蝋です。カルナウバ蝋は、植物のカルナバヤシから採取できる蝋になります。カーワックスとしても使われる蝋です。こうした自然系の蝋に加えて、オイル、着色剤、有機溶剤などが原料として含まれています。
BRIWAXのメリット
数多くの塗料があるなかで、BRIWAXが昔から高い人気を保っているのには理由があります。それはBRIWAXを使うことで得られるメリットがあるからです。これはBRIWAX特有のもので、他の塗料では真似ができません。そのメリットとは使い方が簡単、仕上がりが美しいということです。DIY作業のうち特に塗装は楽しめますが、簡単にこしたことはありません。それに慣れていない人でも基本的な使い方ができれば、上手に塗れます。
メリット内容
BRIWAXのメリットを大きく三つに分けてみます。一つ目はワックスの光沢をだすことに加え、塗料として着色できることです。二つ目は半固形のため使い方が簡単で、そのままの状態で塗装できる点になります。三つ目は、塗装することで手軽にアンティーク調の仕上がりにできる効果です。何の手も加えていない無垢材(むくざい)などを塗装によって保護と着色する場合、塗料に迷ったらBRIWAXをおすすめします。
BRIWAXの色
BRIWAXは1色だけでなく、14色のバリエーションがあります。数色だけでも迷ってしまいそうですが、これだけの色数になると選ぶのは難しいです。最初は大まかな違いだけで選び、それを基準に他の色も増やしながら、実際に使って色の違いを覚えるしかありません。それでも主に使うのは数色程度でしょう。先にどんな色にしたいかをはっきりしておくと、イメージしている色と使うBRIWAXの色が、大きく違ってしまうことは避けられます。
ナチュラル系の色
木材本来の色合いを活かすなら、ナチュラルな薄めの色があいます。木材の保護を主な目的にしていて、あまり色はつけたくない場合にもちょうどいいです。まず「クリア」は無色の扱いで、ワックス効果を得るために塗装します。蜜蝋を多く配合しクリアに比べて深みを持つのが「ハニー」です。「アンティーク・ブラウン」と「アンティーク・パイン」はナチュラルテイストな家具に適しています。
アンティーク系の色
アンティークな家具によくみられる色が、赤みのある茶色です。この赤みのおかげで高級感のある深みが生まれます。「アンティーク・マホガニー」は、ほのかに赤みの加わった薄い茶色です。「スパニッシュ・マホガニー」はアンティーク・マホガニーよりも強い赤みがあります。「チーク」は赤みと茶色ともに濃い色です。「チューダーオーク」は、上質なアンティークオークの重厚さを演出してくれる色になります。
ブラウン系
アンティークというよりもヴィンテージ感を表現するのに適しているのが、ブラウン系です。ナチュラル系の家具やカフェ風空間の演出、流行りの男前インテリア、アジアンテイストの家具にもあいます。BRIWAXの色で一番人気なのが「ジャコビアン」で、濃いチョコレートのような色が特徴的です。他にも「ダーク・オーク」「ミディアム・ブラウン」「オールド・パイン」「ラスティック・パイン」「ウォルナット」があります。
BRIWAXとステイン
木材への塗料の塗り方として、BRIWAXだけを塗る方法でもアンティーク調の家具に仕上げることができます。そこへオイルステインを加えると、さらに素敵な仕上がりになるのです。BRIWAX塗装に慣れた人がおこなう使い方ですが、この使い方を知ってるか知らないかの違いだけなので、DIY初心者でも簡単に挑戦できるでしょう。ステインを組み合わせることで、よりよい色をだせるだけでなく、BRIWAXが木材とよくなじむようになります。
ステインについて
ステインは木材に浸透して色をつける塗料で、その木材を保護する効果はありません。なのでニスやワックスで仕上げ処理をおこなう必要があります。この仕上げ処理にBRIWAXを使うと、上記のような相乗効果が得られるのです。
シーラー効果
ステインは、下地処理として下塗りに使われるシーラーのような役割を期待できます。なので先にステインを塗り、BRIWAXを上塗りするという使い方をしてください。
BRIWAXの使い方
BRIWAXの使い方を簡単に説明します。具体的な塗り方は下項より確認してください。まずBRIWAXを開封しないといけません。プラスチック製の緑色のフタを外すと、金属製のフタがでてきます。この金属製のフタは素手で外すことが難しいです。プラスチック製のフタを利用すれば外せられます。塗装が終わり、BRIWAXが残っている場合に必要となる処理は、またフタをしっかりとしめて保管することです。
温度の影響
BRIWAXは、温度が20度以上になると液体、20度より低い温度だと個体になります。おおよそ20度が基準になる温度です。液体や個体といっても、その中間である半個体の状態であったりもします。温度で変化するということは、季節や気候でも変わってくるのです。いずれの状態でもBRIWAXの効果に変わりはないので安心してください。ただし若干ですが塗りやすさに関わってきます。保管場所に気をつけましょう。
屋外で塗装する
BRIWAXは特有の臭いがあります。ガソリンに近い臭いです。人によってガマンできる、できないがわかれることでしょう。ガマンできたとしても、長い時間この臭いをかいでいると体調に悪影響を与える可能性があるので、なるべく外で作業するようにしてください。
室内は換気が必要
やむなく室内での塗装になってしまう場合は、部屋の窓をあけて換気をしながらおこなうようにします。これは他の塗料も含めた、基本的な使い方です。
BRIWAXの塗り方①
BRIWAXを塗る前に、木材へ下地処理をほどこします。それは研磨(けんま)加工です。サンドペーパーを使って表面を磨いていきましょう。デコボコやザラつきだけでなく、汚れ、保護膜などをすべて落とします。
目のあらさ
使うサンドペーパーは番号を確認してください。小さな数字は目があらく、大きな数字は目が細かいです。先に180番ぐらいでざっと研磨し、240番〜400番ぐらいでなめらかにします。500番以上はなめらかすぎです。
BRIWAXの塗り方②
サンドペーパーで研磨をすると、木屑(きくず)や木の粉がたくさんでます。これが少しでも残っている状態へBRIWAXを塗っても、上手に仕上がりません。美しい家具をDIYするためには、下地処理の段階でちゃんときれいにしておく必要があるのです。
木の粉に注意する
研磨をしている最中に木の粉が舞って、目に入ったり吸い込んだりしてしまいます。メガネかゴーグルをかけ、マスクも着用して作業をおこなってください。
BRIWAXの塗り方③
BRIWAXだけでも素敵な出来映えになりますが、先項で説明したようにステインを下塗りし、より美しい家具に仕上げましょう。DIY初心者でも初めてとは思えない色合いを表現できます。加えて下塗りによって木目がはっきりとする加工効果があらわれるので、木材ならではの模様として映え、高級感が増すのです。それにステインのおかげで、BRIWAXをムラなく塗れるようになるうえ、BRIWAXの使用量は少なくすみます。
BRIWAXの塗り方④
BRIWAXを塗り始める前に、ゴム手袋を装着した方がいいです。ワックスが手に付くと、なかなか落ちないので苦労します。布などにBRIWAXをつけて塗っていきますが、使い古したタオルなどがおすすめです。新品だと塗りづらいですし、毛羽立ちがあって塗った表面が汚くなってしまいます。塗り方のポイントは、木目にそうことです。そして木材へBRIWAXをよく浸透させるように塗ってください。
スポンジでも塗れる
使い古したタオルのほか、着古したシャツでも大丈夫です。布地以外ではスポンジが適しています。布地と塗り方に違いはありません。ですが夏場の作業や、温度の高い場所でBRIWAXを保管していた場合、液体状になっています。そのため、スポンジの奥まで染み込んで塗りづらくなることが問題です。このDIYに慣れれば、逆に液体状のおかげで塗りやすくなる場合もあります。初心者には固形の方が塗りやすいです。
BRIWAXの塗り方⑤
BRIWAXの利点の一つが乾きの速さです。塗り終わってから15分、遅くても30分ぐらいで乾きます。BRIWAXがちゃんと乾いたら最後の仕上げです。きれいな白いタオルで、全面をよく磨き上げてください。木材にBRIWAXをよく浸透させることと、ツヤだしの目的があります。それに白いタオルなら、色落ちしていないかの確認が簡単です。タオルに色がつく状態なら、ふれた時に服などへ色がついてしまいます。
BRIWAX加工のコツ①
以上がBRIWAXの基本的な塗り方です。これだけでも十分すぎるぐらいですが、いくつかの加工をほどこすことで、さらに素敵な家具に仕上げられます。簡単な加工方法を三つ紹介しますので、イメージにあう加工があれば試してみてください。まずは木材にあえてキズをつけるという加工です。ジャンクなヴィンテージ感を演出できます。やりすぎると汚いだけになってしまうので気をつけないといけません。
キズをつける加工
キズをつけるのは簡単で、たたけばいいだけです。カナヅチやバールなどで打ちキズを作ったり、クギを打ってから抜いて穴のキズをつけたりします。カッターやハサミで切りキズをつける方法もありです。キズの部分はBRIWAXが濃く反映されます。これがヴィンテージ感を演出してくれるのです。家具をDIYするための木材ではなく、いらない木板で練習し、実際の状態を確認しておきましょう。
BRIWAX加工のコツ②
BRIWAX塗装による加工の基本になりますが、重ね塗りがおすすめです。ペンキなどを重ね塗りしても色が変わるだけですが、BRIWAXの場合は木が元から持つ美しい姿をさらに引き出してくれます。色が重なるほど濃い色になっていき、重厚なアンティーク感を演出できるのです。でもただ重ね塗りをすればいいわけではありません。一回塗るたびにタオルでよく磨き上げます。こうすることでツヤも増し、深みのある家具に仕上げられます。
BRIWAX加工のコツ③
BRIWAXを塗ったあと、きれいなタオルで磨き上げますが、先にタワシでこするといった加工方法があります。木材には木目があって多少なりともデコボコしていますが、それをタワシでこすり強調させるのです。この結果、自然の中で時間が経過した古材のような雰囲気を表現できます。タワシの次にタオルで磨いて仕上げてください。これも重ね塗りと組み合わせることで、深みをさらに加えられます。
BRIWAX塗装後の処理
BRIWAXを塗ったり拭き取ったりした布は、そのまま捨てると自然発火し、火事の原因になる恐れがあります。夏場など暑い時期は特に危ないです。そのため、BRIWAXのついた布は水に濡らしてから捨てるようにしてください。これで自然発火を防げます。布だけでなく、BRIWAXを塗る際に使っていた道具すべてにおいても、自然発火の可能性を念頭において片付けをおこなわないといけません。
BRIWAXのまとめ
アンティーク調の家具が簡単にDIYできるようになるBRIWAXについて、詳しく解説してきました。DIYの仕上げ塗料として使うだけで大丈夫です。ステインとの組み合わせや加工のコツを参考に、より美しい木材へとDIYしてください。BRIWAXは色の種類が多い分、自分好みの色と出会えるはずです。色の組み合わせや重ね塗りもおすすめなので、いろいろ試してみましょう。
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今回はBRIWAXについて解説しましたが、木材をアンティーク調に仕上げられる塗料についてもっと詳しく知りたいという方は、下記のリンク記事を読んでみてください。
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