ワトコオイルについて
ワトコオイルは木材向けの塗料です。色をつける役目と、木材の劣化をおさえてくれる効果があります。塗料といえば、木材の表面をおおうように塗るペンキなどを思い浮かべるかもしれません。
でもワトコオイルは、木材の中の繊維(せんい)に染み込んでいくオイルフィニッシュです。そのため塗装しても木材の質感や見た目が損なわれないうえ、着色によってワンランク上の資材へと仕上げられます。
オイルフィニッシュとは
ワトコオイルは名前の通り、植物由来のオイルが主成分の塗料です。フィニッシュとは仕上げという意味があります。
つまりワトコオイルに限らずですが、オイル仕上げをするための塗料がオイルフィニッシュです。加えてオイルフィニッシュは、木材の中に染み込んでから固まるといった、オイル特有の塗装過程とその塗装方法をさします。
使い方が簡単
木材をよりよい資材にする効果がありながらも、使い方は簡単です。正しい塗り方を知ることで、塗装の初心者でもきれいに塗れます。ペンキなどの塗料でおきやすい、塗りムラやハケのあとが発生しません。
その理由はオイルフィニッシュという塗装の種類によるものです。間違った使い方をしなければ、失敗することはまずないでしょう。塗装DIYをしたことがない、以前やったけどうまく塗れなかったという人でも問題ありません。
カラーは全8種類
ワトコオイルは8色ものバリエーションがあります。ペンキなどのようにはっきりとした色の違いではありませんが、木材の見た目や質感を活かすなら十分な色数です。どの色のワトコオイルを塗るかで印象が変わってきます。仕上げたいテイストから色を選びましょう。
一色だけを塗るのもいいですが、違う色を重ね塗りすることもおすすめです。それぞれの色の特徴について簡単に説明します。
ナチュラル系の色
木材ならではのナチュラルな雰囲気がでる色は二色です。まずは「ナチュラル」で名前の通りですが、素のままよりも深みが感じられ、木材本来の色合いを活かせます。木材保護のためにもオイルフィニッシュは必要なので、好みの色がなければナチュラルがいいでしょう。もう一色は「ホワイト」です。
白っぽい色になるため、明るさをだしたり、あえて色あせたように見せたりする場合に適しています。
アンティーク系の色
木材に赤みのある色を加えると、アンティーク感を演出できます。ワトコオイルで該当するのは二色です。オイルフィニッシュの上からニスを塗ることで、ツヤがでて高級感が増します。こういった組み合わせもできることをふまえてください。
「チェリー」はブラウンベースに赤みが混ざっていて、木目を際立たせます。「マホガニー」はチェリーよりも赤が強く、より熟成したようなイメージです。アイアン素材ともよくあいます。
ブラウン系の色
重厚な質感をかもしだすブラウン系は四色です。「エボニー」は暗い色合いで、流行りの男前テイストやアジアンな雰囲気にあいます。「ドリフトウッド」はヴィンテージ感があり植物との相性がよく、カフェのような空間の演出におすすめです。
「ミディアムウォルナット」はライトブラウンで、ナチュラル系でも問題ありません。「ダークウォルナット」は高級感のあるブラウンで人気の高い色です。
ワトコオイルの塗り方
必要なもの
容器とハケ
ワトコオイルを塗るDIYを始める前に、塗装するための道具をそろえてください。一度の塗装ですべてのワトコオイルを消費するわけではないため、使う分量だけを別の容器に取り分けます。まずその容器が必要です。
塗る道具はハケになりますが、ハケは幅によって種類が分かれています。大きすぎると細かい部分が塗りづらいですし、小さすぎると広い部分を塗るのが大変です。塗る範囲によって変えるので、大小でそろえましょう。
研磨用の道具
ワトコオイルだけでなく塗料を木材へ塗る際には、表面をみがく研磨(けんま)をしないといけません。研磨にはサンドペーパーを使います。普通タイプと耐水タイプを用意しますが、240番で大丈夫です。
この番号はサンドペーパーの目のあらさをあらわしています。そして大きい木材の場合は、サンドペーパーを手に持って研磨すると時間がかかるため、ハンドサンダーなど専用の道具があると作業がラクです。100均でも売られています。
ふき取り用の布
ワトコオイルを含めオイルフィニッシュには、塗った塗料をふき取る工程があり、このための布が必要になります。ですが新調した布ではいけません。未使用〜あまり使っていない布だと毛羽立ちがあって、美しく仕上げられないのです。
何度か使ってクタクタになったぐらいのタオルであれば、毛羽立ちがなくきれいにふき取れます。なので雑巾として使いまわそうと思っていたようなタオルがちょうどいいです。
研磨処理
ワトコオイルの塗装DIYをおこなうための道具がそろったら、木材の研磨をします。まずは表面についているゴミなどを取り除いてください。基本的には最初から240番以上のサンドペーパーでみがいていきますが、深いキズを持つ場合は、100番ぐらいの目のあらさで研磨します。
番号が少ないほど目が粗いのです。そしてだんだんと目の細かいサンドペーパーで磨き、こまやかな表面に仕上げます。
目の粗さに注意する
番号が少なく目の粗いサンドペーパーで磨くのは、あくまでキズを消すためです。ワトコオイルは木の中へ浸透します。木材の表面が粗い仕上がりのままワトコオイルを塗ると、その粗さが木目と同じように際立ってしまうので注意が必要です。
研磨用の道具として電動のサンダーがあります。電動サンダーは早くラクに磨けますが、慣れていないと粗くなってしまうので、ハンドサンダーにしておきましょう。
塗布方法
木材を研磨したらワトコオイルを塗っていきますが、その前にハケの準備をしないといけません。これが塗装DIYの基礎で意外と重要です。新しいハケは毛の中に、ゴミやホコリなどが入り込んでいたり、毛が抜け落ちたりします。そのままの状態で塗装すると、塗った表面にそれらが入り込んでしまうのです。
その都度取り除くのは大変ですし、きれいに仕上がりません。使う前に毛の部分をはたいたりもんだりして、落としておきます。
塗装のポイント
ワトコオイルは誰でも簡単に塗れますが、塗り方にちょっとしたコツがあります。ハケにたっぷりとつけて塗り始めると、まんべんなく塗装できません。塗装の厚みによって乾燥時間も変わってきてしまいます。
なのでハケにワトコオイルをつけたら、いったん容器にあてて落とし、ちょうどいい量にして塗ってください。全体的にもあまり厚く塗らないようにしましょう。なお、木目にしたがって塗装するのが美しく仕上げるポイントです。
乾燥時間
ワトコオイルを塗り終わったら、そのままの状態で乾燥させます。時間は30分ぐらいで大丈夫です。塗ったワトコオイルのすべてが木材へ染み込むわけではありません。乾燥後、表面に残っている分と木材から浮きでるオイルや汚れを、布できれいにふき取ります。
そこからさらに1時間ほど乾燥させてください。湿気の多い時期は2時間が目安です。この範囲内で湿度にあわせて乾燥時間をアバウトに決めます。
重ね塗りがおすすめ
上記までで一回目の塗装は完了です。一回目ということは、二回目があります。一回の塗装だけでも美しく仕上がりますが、ワトコオイルは重ね塗りしてこそ本領を発揮するのです。
メーカーも重ね塗りをおすすめしています。そのため二回目の塗装を含めるのが、ワトコオイルの正しい使い方です。せっかくワトコオイルを使うなら、重ね塗りまでおこないましょう。
重ね塗り
一回目の塗装を終えて、二回目の塗装をおこないます。塗り方の注意点として量を少なくしないといけません。ごくうすく塗るというわけです。
一回目の量に比べて、三分の一以下の量が目安になります。軽く塗ったら乾燥させずにそのまますぐ研磨しますが、使用するのは耐水タイプのサンドペーパーです。ワトコオイルがまだ乾かずに、濡れている状態でみがいていきます。乾いている時よりも研磨しやすいです。
仕上げ
二回目の塗装と研磨が終わったら、また布でふき取りです。しっかりふき取らないと木材の表面に残ったワトコオイルが固まり、油汚れのようにベタつきがでて汚くなってしまいます。その後1時間ぐらいたつと、木材の中からオイルや汚れが浮きでてきますので、これも十分にふき取ってください。
そこから時間をかけて乾燥させます。丸一日、24時間以上は待たないといけません。乾燥後、ワトコオイルの塗装DIYは完了です。
ふき取り用の布の捨て方
木材の表面に残ったワトコオイルをふき取るために使っていた布は、水に濡らしてから捨ててください。そうしないと自然発火する危険があります。それとワトコオイルは臭気を放ちます。二週間ぐらいたてば消えますが、それまでは換気できるところに置いておいた方がいいでしょう。
耐久性
ワトコオイルも耐久性を持ちますが、一度塗装したからといってその効果はずっと続きません。耐久性をふまえてメンテナンスをおこないましょう。
塗装直後の状態と比べて、数ヶ月で見た目が変わってきます。そこまでがワトコオイルの耐久性です。変化に気づいたらまた重ね塗りをしてください。
耐久性は延びる
耐久性は数ヶ月ということになりますが、決まった間隔ではありません。表面の見た目は耐久性に応じて変化するものの、木材の内部に染み込んだワトコオイルは消えていません。
メンテナンスによる重ね塗りを繰り返すうちに、耐久性が延び、味わい深くなっていきます。この育てていくような作業も含めて、使い方をマスターしたといえます。
まとめ
ワトコオイルの塗装DIYについて、色の種類や使い方を解説してきました。塗り方は簡単なため、初心者にも使いやすい塗料です。安い木材でもワトコオイルを塗ることで、高級感のある資材へと簡単に変えられます。
塗装は見た目の印象を左右することから、DIYで重要な作業の一つです。木材を扱う場合には、ワトコオイルを使ってみましょう。
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