小さな高級魚「タカベ」
タカベは日本固有の魚で伊豆諸島で主に漁獲されるほか、茨木から九州までの沿岸にも生息しています。全長は20センチから30セントと非常に小ぶりな魚ですが、タカベの塩焼きよりも美味しい魚の塩焼きを食べたことがないという人がいるほど味は絶品です。
由来は岩礁域の魚
タカベという名前はタカとべという2つの言葉から作られています。タカというのは漁村で岩礁域を指す言葉で、ベは魚を指すそうです。岩礁域の魚というタカベの生態が名前の由来となっています。その他にも地域によって、しょか、べんと、ほたなど様々な呼び方がある魚です。
背から尾にかけての色が特徴
タカベは身体の中心が最も太く、頭と尾に向かうに連れて少しずつ細くなっていきます。背の部分は青っぽく腹部は銀に近い色になります。タカベの特徴として背の部分から尾にかけての色の変化で、この部分は黄色から金色に近い色をしています。
群れを作って生息
タカベは風通しのいい岩礁域で動物プランクトンを捕食して生息しています。群れを作る魚のため、定期網にかかると大量に漁獲されます。伊豆諸島の北部の海域だけで年間に160トンから360トンほどが漁獲されるそうです。
タカベの産卵と成長
秋が産卵期
関東地方のタカベの場合は8月から10月にかけての秋が産卵期にあたります。受精後60時間ほどで孵化するそうです。水温は16度から17度位が好ましいと考えられています。孵化したばかりは2.3ミリほどの大きさです。
成長が緩やか
タカベの生態の特徴として緩やかな成長があります。半年で5センチ前後まで成長し、2年で20センチ程度まで大きくなりますが、以降の成長は非常に緩やかになります。タカベは20センチから程度から30センチ程度になるには7年ほどの歳月が必要です。
タカベとウメイロの見分け方
タカベはウメイロというフエダイ科の魚とよく似てます。ウメイロには沖タカベという別名もあるほどです。しかし、タカベとフエダイは生態も違う全く別の魚です。この2つの魚の見分け方を紹介します。
ラインと大きさで見分ける
タカベとウメイロの見分け方としては背から尾にかけての黄色から金色のラインの長さがあります。ウメイロの方がラインは大きく身体の中心部付近までの伸びていることもあります。また、大きさでの見分けもわかりやすく、ウメイロは成長するとタカベの倍程度の大きさになります。
タカベの旬
季語にもなっている夏が旬
タカベは夏の季語になっているくらいで、夏が旬の魚です。産卵前の夏のタカベは脂が乗っており、美味しいと評判です。タカベは旬の時期でも刺身より塩焼きとして食べられることが多いです。タカベの鮮度が落ちやすいことと関係があるようです。
タカベの塩焼は夏の風物詩
タカベは特に関東ではよく食べられている魚です。タカベの塩焼きと言えば、関東の夏の風物詩のひとつとも言えるでしょう。ちなみに市場には夏の前から並びますが、出始めの時期が好まれるという関東でも旬の方が人気が高いそうで、夏の魚としてのタカベの定着が伺えます。
タカベの釣り方
高級魚としても知られるタカベですが、実は釣りやすい魚でもあります。しかも群れで泳いでいるため、当たりを見つければ何十匹と釣れることもあるようです。タカベの釣り方を紹介します。
釣りベストシーズンは夏
タカベは磯、沖のいずれでも釣ることができます。船釣りのほうが大物を狙いやすいとも言われてます。伊豆諸島近海においては水深50メートルよりも浅い海域に生息しています。釣りのベストシーズンは旬の時期と同じ夏で産卵期を控えて食い気がついたタカベを釣ることができます。
浮き釣りが一般的
タカベを釣る時はウキ釣りが最も一般的です。オキアミなどをコマセにして、釣り竿を降ろします。このときコマセが切れてしまわないようにするのがポイントです。一度タカベが釣れると入れ食いになることも珍しくありません。釣り人が多い場所などでは既に釣れられている可能性もあるので注意です。
タカベのおいしい食べ方
タカベは塩焼きが定番料理ですが、もちろんそれ以外の方法でも食すことができます。魚料理としては焼く以外では、刺身と煮付けが代表的です。この2つの料理のタカベの美味しい食べ方を紹介します。
タカベの基本的な料理1:刺身
新鮮なタカベは刺身やたたきにして食べることもできます。刺身にするときの美味しい食べ方としては、鮮度と脂に気をつけるということがあります。タカベは鮮度が落ちやすく、また脂の多い魚です。鮮度が落ちないうちに食べることと、脂が気になるときはバーナーなどで炙るという方法もあります。
タカベの基本的な料理2:煮付け
タカベを煮付けにするときにも脂をどのようにするかが大きなポイントになります。タカベの脂のクセを消すために濃い目の味付けの方が美味しいという声もあります。もちろんタカベは美味しい魚なので、いつも通りの味付けをしても美味しいですが少し濃い目を意識してみるのも良いかもしれません。
タカベの基本的な料理3:干物
家庭料理としては少し敷居が高いかもしれませんが、タカベの食べ方として干物も一般的です。特に伊豆諸島においては有名でお土産品としても名前があがります。伊豆諸島を訪れる機会があったらお土産として購入すると魚好きの人には喜ばれるかもしれません。
タカベの基本的な料理4:ムニエル
タカベの洋風レシピでおすすめなのがムニエルです。作り方も難しくなく、塩とコショウで下味をつけて小麦粉をまぶしてフライパンでこんがりと焼き上げます。フライパンにはにんにくを炒めておき、バターを溶かすと美味しいムニエルの出来上がりです。
タカベの基本的な料理5:唐揚げ
小ぶりなタカベの場合は唐揚げとして食べると美味しいです。小麦粉と塩とコショウでタカベを包んで揚げます。水分をよく切って、身を開いて揚げるのがおすすめです。よく揚げると骨まで食べることができます。
タカベの基本的な料理6:味噌をプラスした塩焼き
定番の塩焼きをアレンジすることでさらに美味しくなります。味噌をタカベの腹部に詰めて焼くのが代表的なアレンジレシピです。タカベに優しい味噌の味が加わります。その他、薬味を加えたり醤油を垂らしたりという方法もおすすめです。タカベの塩焼きをさらに美味しく食しましょう。
おいしく塩焼きにするコツ
タカベの代表的な食べ方は何と言っても塩焼きになります。特に旬のタカベは塩焼きはどの魚の塩焼きよりも美味しいと言われるほどの絶品です。タカベの塩焼きをさらに美味しく食べるための料理時のコツをいくつか紹介します。
ウロコは取り、内臓は好みで
タカベを塩焼きにするときの下準備としてウロコを取って、内蔵を取り出すという作業があります。ウロコは他の魚と同じような方法で取り、内臓は腹部から尾ひれに向かって包丁を入れて取り出します。ちなみに内蔵を取らなくても塩焼きにすることができ、内臓のある方が美味しいという人もいます。
塩をふり水気を取る
タカベの塩焼きを美味しく食べるコツとして塩があります。タカベに塩をふりかけた後に少し置いておくのがコツです。塩を置いてしばらくするとタカベから水が出てきます。この水を拭き取ってから塩焼きにするとタカベがさらに美味しくなります。
まとめ
タカベの魅力や生態、美味しい食べ方についてまとめました。タカベは夏の風物詩とも言われる魚で、塩焼きが絶品の魚です。鮮度の良いタカベが手に入ったら刺身もおすすめで、その他煮物などにしても美味しいです。
またタカベは関東圏を中心に生息しているので、比較的釣りのターゲットにしやすい魚と言えるでしょう。夏にはタカベを釣りに伊豆諸島に向かうのもおすすめです。上手くいけば入れ食いのようにタカベを釣ることができるかもしれません。
タカベを釣ってみたい方はこちらもおすすめ
高級魚でもあるタカベは是非とも釣ってみたい魚です。タカベはウキ釣りが一般的な釣り方になります。タカベを自分で釣ってみたいという方には、ウキ釣りについて紹介したこちらの記事もおすすめです。旬のタカベを大量に釣りましょう。

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