サクラソウとは
サクラソウ科サクラソウ属に分類される多年草の植物です。日本や中国、朝鮮半島が原産で、山間部の湿地帯や草原に自生しています。日本では、江戸時代から園芸品種として親しまれ、現在までの品種数は300種を超えます。
名前の由来
学術名は、Primula sieboldii。属名の「Primula」は、ラテン語の「Primos(真っ先に)」が語源となっていて、早春に花が咲き始めることから名づけられました。 和名の「サクラソウ」は、花が桜に似ていることが由来になっています。
プリムラとの違いは?
日本以外の国で作り出された品種は「プリムラ(西洋サクラソウ)」と呼び、日本固有のサクラソウとは区別されています。日本の原種や、原種をベースに品種改良された種類は「二ホンサクラソウ(日本桜草)」と呼ばれています。
開花時期
4~5月に見ごろを迎えます。葉の中央部から1本の細い茎をだし、その先に直径2~3センチ程度の花を複数つけます。花の色は、ピンク・白・紫・複色などがあり、背丈は15~20センチになります。 プリムラは、12月ごろから咲き始め、4月まで花を楽しむことができます。
サクラソウの花言葉
花言葉は、「初恋」「純潔」「憧れ」などがあります。花びらの形がハートのように見えることや、清楚な花姿から恋愛に関する花言葉がつけられました。儚さを感じるような、若い頃を思い出させる言葉が多くなっています。
サクラソウの種類
・サクラソウ八重 八重咲タイプは、ひらひらした花びらがとても華やかな印象を与えます。
・紫雲竜 抱え込むような花姿が美しいサクラソウ。江戸時代に作出された趣のある品種です。
・ウィンティ(ピーチ) 花穂が多く、ふんわりとした花姿が特徴的です。花色がイエローからピンクへと移り変わり、優しいアンティークカラーが人気です。
・プリムラ ジュリアン 11月頃から園芸店の店頭に並び始め、花の少ない冬の時期でもどんどん花を咲かせてくれます。背丈は低く、コンパクトな株姿です。八重咲き、バラ咲きなど種類が豊富なのも魅力です。
サクラソウの育て方
成長期・休眠期がはっきりとしているのが、サクラソウの特徴です。 育てる場所や日常の手入れの仕方も季節で変わるため、状況に応じた管理をすることが重要になってきます。
サクラソウの育て方①栽培環境
山や森林の中に自生するサクラソウは、湿った環境を好みます。寒さには強いのですが、暑さには弱い性質があります。落葉樹の下のような、冬は株元に日が当たり、夏は日陰になる場所が適しています。 また、雨で花や葉が痛みやすいので、あまり雨が当たらない場所が理想的です。
夏の管理・手入れ
開花期が終わり、葉が黄色くなってきたら、日陰で風通しのいい場所へと移動します。日差しが強くなってくる6月頃がいいでしょう。夏にはすでに来年の芽がついているので、乾燥しすぎないように管理しましょう。
乾燥が進むと、芽が枯れてしまい、翌年に花を咲かせることができなくなってしまいます。 鉢植えの場合は、地面に直接触れないようにポットフィート使用するのも効果的です。
サクラソウの育て方②水やり
土が少し乾いてきたら、たっぷりと水を与えます。開花期の春先は、気温がそれほど高くなくても、花や葉がたくさん茂っている分、意外に乾きやすい時期でもあります。 サクラソウは季節によって、株の状態が変化するので、水やりのポイントを押さえて、次の開花に備えましょう。
夏
水やりは、土の表面の温度が高くなる前の午前中に行います。土が乾かないよう注意が必要ですが、やみくもに水を与えてしまっては根腐れを起こしてしまうので、株の状態を確認しながら水やりをしましょう。
7月くらいから休眠期に入り枯れ始め、地上部に何もない状態になります。もし、水やりのタイミングが分かりにくいようであれば、近くに他の植物を植えると、潅水の目安になります。
冬
休眠期の冬の間は、水やりは控えめにします。肥料も施すなどの手入れも必要はありません。冬に寒さにあたり、しっかりと休むことで、発芽の準備をする時期です。
サクラソウの育て方③肥料
休眠があけて、芽吹き始めた時期から開花が終わるまでの期間に与えます。液体肥料を2000倍程度に希釈し、2~3週間に1度、施します。肥料によって、葉が大きくなる可能性もあるので、サクラソウの可憐な風情を保つためにも、薄めに希釈しましょう。
植え替えや、植え付けの際には、置肥タイプの緩効性肥料を与えます。
サクラソウの育て方④植え替え
時期
植え替えは、10~2月が適期です。期間が長いので、いつ植え替えをしていいのか迷ってしまう場合は、2月に行ってみてはいかがでしょうか。冬の寒さが緩みはじめる時期に植え替えを行うことで、霜による根の痛みを防ぐことができます。
植え替えの方法
深めの鉢を用意し、底に大きめの軽石を敷き、土を入れます。 鉢から取り出した根は、古い土を落とし、1~2芽づつに分けます。この時、黒くなった根があれば、取り除きましょう。次に、根を軽く広げにふんわりと鉢に沿うように横に流すように植え付けます。最後に、水を与えて完了です。
植え替えのポイント
・用土 土を配合する場合、赤玉小粒と腐葉土を6:4の割合で、水はけと水持ちのいい土になります。用土を作るのが不安な方は、サクラソウ専用の土を使うと安心です。
・植え付け 芽が上を向くように調整し、芽から2㎝程度の深さで土をかぶせます。ウォータースペースは、2~3㎝程度確保するようにしましょう。
・植え替えの頻度 鉢植えの場合、毎年植え替えが必要です。地植えの場合でも、3~4年に1度は植え替えをしましょう。
サクラソウの育て方⑤増し土
開花時期が終わると、新しく成長した根が地表にでてきます。この根茎から翌年の開花の芽が出てくるので、2㎝程度土をかぶせ、芽を覆います。この作業は「増し土」と呼ばれ、根を乾燥から防ぐために行う大事な作業です。
サクラソウの育て方⑥日常の手入れ
一見地味な作業に思われがちですが、病気を防ぎ、元気な株に成長させる大事な作業でもあります。日々手入れをすることで、小さな変化にも気づくことができます。
花がら摘み
花が終わったら、茎の付け根からハサミで切ります。そのままにしておくと種がつき、栄養分を取られてしまいます。次に咲く花のためにもなるべく早く花がらを摘みましょう。
雨よけ
開花している間は、雨が降ったら軒下などに移動させると、花も痛まず、長く花を楽しむことができます。
サクラソウの増やし方①種まき
サクラソウは宿根草ですが、花が終わった後にできる種でも増やすことができます。6月頃にできる種を採種し、種まきから花を育ててみましょう。
種まきの時期
種まきは3月頃に行います。 採種した種は、乾燥させないように湿った土の中に入れて、冷蔵庫で保存します。乾いてしまうと、発芽率が低下するので、注意が必要です。
種まきの方法
湿った土に、重ならないように種まきし、種が覆われる程度に薄く土をかぶせます。発芽するまでは、土が湿った状態を保ち、柔らかな光があたるような場所で管理しましょう。 発芽後は、日当たりと風通しのいい場所に移動します。本葉が2~3枚くらいまで増えたら、生育の良いものから鉢上げをします。
サクラソウの増やし方②株分け
サクラソウの増やし方の中で、最も簡単な方法で、休眠期の冬に行います。 鉢から苗を取り出し、土を落としながら軽く根をほぐすと、自然に株が分かれます。株は1芽ごとに分け、植え替えと同じ要領で、鉢に植え付けていきます。
株に、芽が複数ついている場合は、芽が出ている根を切って1個に小分けしましょう。 4号鉢で3芽、5号鉢だと4株程度まで鉢植えが可能です。
サクラソウの増やし方③根伏せ
地下茎でを伸ばし、株を大きくするサクラソウは、根伏せでも増やすことができます。 植え替えや株分けの際に、太くて元気な根があったら3~4センチくらいの長さに切ります。切り口を上にし、浅めに植えます。 根伏せで増やす場合、開花までは2年程度時間がかかります。
サクラソウの楽しみ方①庭植え
春の訪れを教えてくれるサクラソウは、4月上旬に見ごろを迎えます。チューリップなどの球根植物との開花も合わせやすく、お庭を華やかに彩ってくれます。
サクラソウの楽しみ方②鉢植え
品種数の多いサクラソウは、選ぶ種類によって雰囲気が大きく異なるのも魅力の1つです。 花つきが良い品種は、1種類で鉢に植えても、たくさんの小花がふんわりと咲くため、豪華な雰囲気を楽しむことができます。
寄せ植えにする場合は、渋めの色やフリル型のような個性的な花を選ぶと、ワンランク上の寄せ植えを作ることができます。
鉢植え
小さな花が集まって咲くサクラソウは、株全体が花で覆われるように咲きます。単一で鉢植えにしてもボリュームがあり、見ごたえがあります。
寄せ植え
・ニュアンスカラーでまとめると、おしゃれな雰囲気の寄せ植えに仕上がります。ビオラと一緒に合わせることで、冬から春にかけて花を楽しむことができますが、花がらつみなどの手入れも忘れないようにしましょう。
・リース型を使った寄せ植え
色味を抑えた品種は、葉物を中心とした寄せ植えとも相性がいいです。特に背丈が低いプリムラは、成長しても咲き姿が乱れにく、手入れの手間もあまりかからないので、リース型の寄せ植えでも長く鑑賞することができます。
サクラソウを見に行こう
サクラソウの群生
埼玉県さいたま市にある「田島ケ原サクラソウ自生地」では、4月上旬から中旬にかけて、たくさんのサクラソウを楽しむことができます。ここは、国の特別天然記念物に指定されている場所で、日本で唯一、サクラソウの群生を見れる場所でもあります。
サクラソウ展
開花期になると植物園だけでなく、公園や神社など日本各地でサクラソウ展が行われます。 希少価値の高い品種や、ひな壇に鉢植えを並べる「桜草花壇」という江戸時代の鑑賞方法も見どころです。楚々とした雰囲気がより一層引き立つ、和の空間の中で楽しんでみてはいかがでしょうか。
サクラソウの育て方~まとめ
湿気のあり、涼しい環境を好むサクラソウ。自宅で楽しむときも、暑さと乾燥から守る管理が大事でしたね。ちょっと難しそうだなという方は、鉢植えから初めてみるのがおすすめです。
季節のサイクルで手入れの方法も変わるのが、サクラソウの面白さでもあります。育て方のポイントをおさえて、種まきから挑戦してみてはいかがでしょうか。芽吹いた時の感動や、成長の過程をみることで、サクラソウがもっと好きになること間違いなしです。
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