スモークチップ
スモークウッド
ピートスモークパウダー
燻製器(スモーカー)
燻製について
燻製は食材を燻煙(木材から出る煙)でいぶしたもの、またはその作り方のことを言います。燻製することをスモークするとも言いますが、まさにスモークサーモンは名前のとおりスモークされたサーモン、つまり燻製なのです。燻製は珍しいものではありません。ほとんどの人が1度は口にしたことがあるものです。身近なもので言えば、ベーコンやかつお節も燻製したものになります。
食材を燻製にする利点
保存性が高まる
燻製は食材の保存性を高めることができます。これは、燻煙の中に含まれる殺菌成分による働きと、燻製により食材の水分が低下するからです。今の時代は冷蔵庫があるので食材の長期保存は容易にできますが、それが難しい昔の時代は、食材の保存性を高めることはとても重要なことでした。そのため、燻製という作り方が生まれたのです。
食材のうまみが増す
燻製は保存性を高めるだけではなく、食材のうまみを増やしてくれる効果もあります。これは、燻煙に用いられる木材の香りが、食材の風味としての役割を果たしているからです。また、燻煙に含まれる殺菌成分が、燻製の深い味わいを引き出すのに関係しているとも言われています。
食材を燻製にする3種類の方法
燻製の方法は、燻煙の温度が高い順に、熱燻、温燻、冷燻の3種類に分けられています。それぞれの方法により、燻煙の温度はもちろん、燻製させる時間も異なっています。また、食材の保存性の高さや、うまみなどにも影響します。
熱燻
熱燻は80度以上の高温で燻製する方法です。燻製時間は10〜60分と短いので、手軽に行うことができます。保存性は低いですが、その分、食材の水分が残っているので、ジューシーさを感じられます。手軽にできることから、キャンプやアウトドアでも人気の燻製方法です。
温燻
温燻は30〜60度の温度で燻製する方法です。燻製時間は数時間から1日程度と、やや長めです。一般的に言われる燻製は、この温燻法のことを指します。燻製時間が長いので、その分、食材の水分を減らし、保存性を高めてくれます。ベーコンやソーセージなどの身近な食材も、この温燻法を用いて作られています。
冷燻
冷燻は15〜30度の比較的低い温度で燻製する方法です。燻製時間は1〜4週間と長めの期間です。その分、食材の保存性は1番高めてくれる方法です。燻煙の温度は通常、冷燻の温度よりも高いため、燻煙の温度を冷やし、低温に保つ工程が必要になります。そのため、冷燻は大型の燻製器(スモーカー)が必要になります。また、外気温にも左右されやすいので、夏場や温かい地域での冷燻は、初心者の方には難しい方法です。一般的に、スモークサーモンはこの方法で作られています。
食材を燻製にするのに必要な道具
燻製器(スモーカー)
燻製を作るためには燻製器(スモーカー)という道具が必要です。燻製器は食材をいぶすために、燻煙を閉じ込めておく道具です。石やレンガで作られた本格的なものから、市販で販売されているものまで種類は様々です。また、ダンボールやドラム缶などでも代用することができまし、100均グッズを使ったアイデアなども紹介されています。
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燻煙材
食材をいぶすための道具として、燻煙材が必要になります。燻煙材は主に木材を使用しますが、茶葉を使った燻製の種類もあります。木材は小枝や木くずなどを用いることもありますが、一般的には市販のスモークチップやスモークウッドと呼ばれる燻煙材を使用します。
熱源
燻煙材から煙を出すための道具として、電熱器などの熱源が必要になります。熱源は、直接燃焼させるタイプの燻煙材には不要です。ダンボールを燻製器として代用する際は危険ですので、熱源の利用は避けてください。ドラム缶などの燃えにくい素材の道具を使うようにしましょう。
食材を燻製にする燻煙材の種類
スモークチップ
スモークチップは、木材を細かく砕いてチップ状の形にしたものになります。使い方は、鉄製などの燃えない皿の上にスモークチップを敷き、それを電熱器などの熱源の上に乗せて、燻煙を発生させます。
スモークチップ
スモークウッド
スモークウッドは、粉状の木材を植物性の樹脂によって固めたものになります。スモークチップと違い、それ自体に火をつけて燻煙を発生させることができます。そのため、熱源を必要としないので、冷燻では必須の道具となります。スモークウッドは1本の燃焼時間が決まっているので、燻製時間の管理がしやすいです。
スモークウッド
ピートスモークパウダー
ピートスモークパウダーは、ピート(泥炭)を粉状にしたものになります。スモークチップやスモークウッドに混ぜて使用します。強烈なスモーキーフレーバーが特徴で、燻製に味の深みを与えてくれます。くせが強いので、人により好みが分かれるかもしれません。
ピートスモークパウダー
燻煙材に使われる木材の種類6選
1.サクラ
サクラは、香りが非常に強い木材です。そのため、肉類などのくせがある食材を燻製するのに適しています。
2.ナラ
ナラは燻製の色づきが強くなる木材です。くせがなく、魚などの燻製に適しています。
3.ブナ
ナラと同様に色づきがいいのが特徴です。主に魚などの燻製に適していますが、ヨーロッパではベーコンやウインナーなどの肉の燻製にも使われています。
4.ヒッコリー
ヒッコリーは、北アメリカ原産のクルミ科の樹木です。肉、魚問わずに使えるので、初めて燻製にチャレンジしようという方におすすめです。アメリカではよく使われる燻煙材です。
5.クルミ
くせがない燻煙材なので、肉や魚はもちろん、チーズや練り物など、幅広く使うことができます。クルミの木は固くて脂肪分が多いので、燻煙時間が長く、煙も多いのが特徴です。
6.リンゴ
リンゴの木も燻製に人気の燻煙材です。煙はほのかに甘い香りがします。食材をマイルドにさせたいときや、魚などの淡白な食材におすすめです。
食材を燻製にする基本的な工程
下ごしらえ
下ごしらえは、食材の腐敗を防ぐために必要な工程です。肉類は血管やスジ、魚類は内臓やエラ、血合いの部分を取り除きましょう。
塩漬け(味つけ)
塩漬けは、味付けと腐敗を防ぐための工程です。塩漬けには、大きく分けて「ふり塩法」と「たて塩法」の2種類の方法があります。ふり塩法は、塩を食材に直接すり込む方法です。塩を直接すり込むので保存性は高くなるメリットがあります。たて塩法は、ソミュール液(塩水)やピックル液(塩水と調味料を加えた液体)などの燻製液に食材を浸す方法です。ふり塩法に比べて、味が均一につきやすいというメリットがあります。
塩抜き
塩抜きは、食材の余分な塩分を取り除くことと、雑菌などの汚れを取り除くための工程です。基本的には流水で洗い流します。塩の抜き加減は食材やレシピによって変わってくるので、あらかじめ調べておくことをおすすめします。実際に、食材の一部を焼くなどの調理をして、塩加減を確認するのもいいでしょう。
乾燥
乾燥は、塩抜きで食材に付いた余分な水分を減らすための工程です。食材を乾燥させることで保存性が高まるのと、燻製時に煙が付きやすくなるという効果もあります。乾燥のやり方は、風乾と温熱乾燥の2種類の方法があります。風乾は直射日光の当たらない戸外でやるのが一般的です。温熱乾燥は、燻製器(スモーカー)の内部を電熱器などの熱源で温めて行います。風乾に比べ短時間で食材を乾燥させることができます。
燻煙
燻煙は、食材の保存性を高めるためと、うまみを引き出すための工程です。燻製器(スモーカー)とスモークチップやスモークウッドなどの木材で、燻製を行います。燻煙の工程で1番大事なことは、温度管理です。燻製器の中の温度が一定に保つように、温度計などを使ってこまめにチェックしましょう。
燻製器(スモーカー)
燻製におすすめの食材8選
1.チーズ
チーズは下準備をする手間がかからないので、簡単に燻製にすることができます。まさに、キャンプやアウトドアで燻製を作るのにうってつけの食材です。熱燻での燻製は温度が高いので、溶けにくいチーズを用いるようにしましょう。
2.ゆで卵
ゆで卵の燻製も簡単なのでおすすめです。作り方は、ゆで卵を作ったら味付け卵を作る要領で、漬けだれに1日漬け込みます。そして、漬け込まれたゆで卵を取り出し、2〜3時間乾燥させます。乾燥したら燻製して完成です。卵の淡白な味に深みが加わり、よりおいしくなること間違いなしです。
3.ホタテ
ホタテも燻製にぴったりの食材です。塩漬けにし、乾燥させてから燻製にします。ハープやスパイスなどをまぶしてから燻製にするのもおすすめです。干してあるホタテを買ってくれば、そのまま使えるので、簡単に燻製にすることができます。ホタテ以外にもカキやアサリなどの貝類は、燻製にしてもおいしい食材です。
4.豚バラ肉(ベーコン)
ベーコンは定番中の定番ですが、自分で作るのもまた、おいしさが倍増します。その味わいは、ハーブやスパイスではもちろん、燻煙の木材によっても変わってきます。いろいろな作り方を試してみるのもおすすめです。
5.ミックスナッツ
ミックスナッツも燻製にするとおいしさがアップする食材です。燻製することでナッツの余分な脂が落ち、燻煙の風味がプラスされます。お酒のおつまみとしておすすめです。
6.イカ
イカの燻製もお酒のおつまみとして定番の食材です。塩漬けの際に、醤油などの調味料を混ぜてもいいですし、ハーブやスバイスを効かせるのもおすすめです。刺身用のイカを買ってくれば、下ごしらえの手間が省けて、簡単に燻製が作れます。
7.ししゃも
ししゃもも燻製にするとおいしくなる食材です。特に子持ちししゃもの場合は、卵のつぶつぶ感とうまみを感じられます。ししゃもは干物を使えば、塩漬けや乾燥といった工程を省けるので、手間いらずです。
8.豆腐
豆腐の燻製と聞くと、意外だと驚かれるかもしれません。しかし、豆腐は燻製させることで、チーズのようなまろやかさになります。水気を切るのに一手間かかりますが、豆腐とは思えない食感と風味を一度味わってみてください。
燻製にした食材を使ったおすすめレシピ3選
1.トビウオの燻製にだし茶漬けをかけたレシピ
トビウオの燻製を使っただし茶漬けのレシピです。ごはんにトビウオの燻製を乗せて、その上からだし汁をかければ完成です。お好みで、ネギやのりを加えてお召し上がりください。トビウオの燻製の風味豊かな味わいが、だし汁のうまみと合わさって、おいしいこと間違いなしです。作り方も簡単なのでおすすめのレシピです。
2.燻製した食材を使ったグラタンのレシピ
このグラタンの材料であるバター、塩、チーズ、チキンは、すべて燻製させたものを使用しています。普通のグラタンに比べ、燻製の風味豊かな味わいを楽しめるレシピです。
3.燻製したチキンとベーコンを使ったパスタのレシピ
燻製にしたチキンとベーコンを使ったオイルパスタのレシピです。舞茸とエリンギも加えて、きのこの風味も味わえます。茹でたパスタにチキンとベーコンを加えて、調味料で味を調えるだけの簡単な作り方なのでおすすめです。
まとめ
燻製は、自分でやるのは難しいと思っていた方も多いかと思われます。必要な道具さえあれば、誰でも簡単に作ることができるので、お好みの食材でいろいろと試してみてください。食材の新たな食感と風味を感じられるでしょう。キャンプやアウトドア、自宅などで、燻製にぜひチャレンジしてみてください。