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いわしの生態や基本情報まとめ【魚図鑑】

イワシは、人間や魚や海に隣接する生き物の、重要な蛋白源で古くから日本では食卓に上る大衆魚です。秋には沿岸に押し寄せ、防波堤でファミリーの良い釣りの相手で、過去に大漁を経験した人も多いのではないでしょうか。親しみ深い「イワシ」を詳細にご紹介します。
2020年8月27日
adanokinawa83
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イワシの分類

ニシン目、ニシン亜目、ニシン科、マイワシ属、マイワシ

イワシは「ニシン目、ニシン亜目、ニシン科」でマイワシ属、カタクチイワシ属、ウルメイワシ属にそれぞれ属します。イワシという名は総称で呼ばれる事が多く、日本ではイワシ=マイワシ、ウルメイワシ、カタクチイワシを指します。本章ではこの3種をご紹介します。

イワシの外国名

Sardine

英名で、「Sardine」と呼ばれオイルサーディンは有名な美味しい料理ですね。「Spotline sardine」はマイワシで側面の綺麗な斑点を指しています。ウルメイワシは「Japanese sardine」と呼ばれ日本に多いのでJapaneseが付きます。カタクチイワシは「Half mouth sardine」で口が小さく、下顎だけよく動くのでHalf mouth と命名されています。

イワシの学名

Sardinops melanostictus

イワシ3種の学名は下記の通りです。 マイワシは「Sardinops melanostictus」 ウルメイワシは「Etrumeus teres」 カタクチイワシは「Engraulis japonicus」 となっています。

イワシの名前の由来

鰯 イワシ(漢字名・和名)

イワシは漢字で「鰯」で魚偏に弱で陸揚げするとすぐ弱る事から来ているといわれます。賤し=卑しいとの説もあり、鮮度がすぐ落ちる魚なので昔は高貴な人が食べなかった事から由来する説もあります。マイワシは鰯類の中で立派で代表的な種の意味、ウルメイワシは目が大きく、潤んでいるように見える事から由来し、カタクチイワシは、口が小さく下顎だけよく動く事から由来しています。

イワシの地方名

種や大きさで地方名が様々

「マイワシ」 ナナツボ(北海道)ヒラゴ(三重県中部)イワシ(市場全般) 「カタクチイワシ」 ジヤミイワシ(北海道)ヘシコ(千葉県)シコイワシ(神奈川県東部)マルイワシ(静岡県東部)エタレ、ヒシコ(三重県中部)セグロイワシ(千葉県銚子、徳島県) マイワシの大きさ 20㎝以上オオバ 15㎝前後チュウバ 10㎝前後コヒラ、コバ(関西地方)

イワシの分布

温帯から熱帯域まで

出典: http://3.bp.blogspot.com/-xQNOYwWqg0c/UguJadClyhI/AAAAAAAAXa0/OkBpN_x_SNM/s400/nihonchizu.png

3種とも日本の沿岸に多く生息します。冬は日本の南岸に降り、夏は北海道でよく見られ季節回遊をしています。沖縄では3種とも分布せず、ヤクシマイワシや、ミズンなどイワシの近縁種が分布しています。また日本近海の海外では朝鮮半島沿岸から南シナ海に分布しています。

イワシの生息域

生息場所

イワシは外洋では無く沿岸性の魚で生息場所は浅い海域です。マイワシは日本では4つの生息群が確認されていて、太平洋群(関東~紀伊半島)四国群(瀬戸内海~四国沿岸)九州群(九州西岸~山陰沿岸)日本海群(東北~北陸沿岸)の4群です。幼魚はシラスとして沿岸の浅瀬の表層を群れで漂いながらプランクトンを食べながら成長します。成魚もプランクトンが主食なので、沿岸の栄養豊かな海域の表層を回遊しながら捕食しています。

イワシの形態

マイワシ

マイワシは30㎝に達する意外と大型なイワシです。側偏し細長いのがイワシの特徴ですが、イワシ類の中では肉付きが良く、丸々している個体も見られます。体側に黒いスポットが入り不均一に入り、体表は青く背は紺色の非常に美しいカラーリングです。

ウルメイワシ

ウルメイワシは全長30㎝を超え、3種の中では最も大きくなります。名前の通り目が大きく口に特徴が無い事からカタクチイワシと区別が出来ます。マイワシより細長く、斑点が入らないのでマイワシと区別出来、シンプルなイワシに感じます。体色は銀色の腹面に側面から背にかけて青から紺色の美しい発色です。

カタクチイワシ

カタクチイワシは全長15㎝程で上記2種より小さい種です。口が小さく下顎が上顎より後退しているのが特徴的です。体色はウルメイワシよりさらに地味で、銀白色に背中が濃紺色で渋い色合いです。体形も2種より細長く、カマスの様な細長い体形です。

イワシの生態

イワシの群生


イワシは群れを作って回遊します。プランクトンを主食にするイワシは捕食の為に群れを作るマグロやサバと違い、群れを作る理由は外敵から身を守る為です。捕食者が来た時に群生を集結させると、捕食者は一旦躊躇します。ボールや盾のような形を形成し、大型の生物を模して躊躇させます。これによって生存率を上げるといいます。ですがクジラなどの大型の捕食者は躊躇しないので、逆に捕食されやすくなりますが、この場合は群れを別けて逃れる手段を取るといわれます。

サーディンラン

イワシの大きな魚群を指し、その数は「最大で10億匹」ともいわれ、インド洋などの各地で「サーディンラン」と呼ばれてホエールウォッチングのように観察するツアーがあります。その群れの長さは沿岸に沿い、5kmにも及ぶ規模で回遊します。それを待ち構える捕食者(クジラ、イルカ、海鳥)の捕食が観察できるという訳です。地球上で最大の食事会です。

イワシの産卵

イワシは生まれてから一年半で産卵が可能な成魚になります。産卵の時期は晩秋から初夏と言われますが、場所によって差がある様です。東北では1月から6月、東海では3月から6月、四国では11月~4月、山陰では3月から6月、九州西岸では12月から4月です。産卵に適する水温は13℃~16℃で冷たい海域で産卵します。産卵の粒数は1匹のイワシから1万~10万粒です。

イワシの回遊

イワシもサバやカツオのように季節で適温に海に移動する、南北回遊する魚です。関東でいうと春先に回遊が始まり、夏には東北、北海道の沿岸に達し、9月頃Uターンし秋口に南下して11月頃再び関東に戻ります。カツオ、サバも同じ回遊ルートと時期が重なり、イワシを捕食しています。

イワシの食性

草食系

イワシの胃の中の内容物を調べた所、イワシは5㎝までの成長期だけ動物系のプランクトンを捕食し、それ以降はケイソウなどの植物系プラントンを摂取しています。イワシは口を開けて回遊しながら海水と一緒にプランクトンを摂取します。口腔内に、鰓耙(サイハ)と呼ばれるエラの様な器官があり、プランクトンを濾し取ります。主食は植物系プランクトンですが、回遊で見つけたエビやカニの幼生の群れや動物系のプランクトンを捕食しますが、成体はほぼ草食系の雑食です。

イワシの捕食者

食物連鎖の底辺にいるイワシですが、海の生態系を保つ重要な役割を担っています。捕食者は人間をはじめ、沿岸に生息する様々な魚類、イルカ、クジラ、サメ等の遊泳型の大型哺乳類、アシカなどの鰭脚類の哺乳類など様々な生物に捕食される、地球上で最も数が多い、偉大なるベイト(餌の小魚)です。

イワシの釣り情報

魚種図鑑なので概要を記載します。 釣りの詳細情報は下記のリンクを 御参照下さい。

イワシ釣りのシーズン

イワシは水温が上昇する初夏から晩秋までが沿岸を回遊するシーズンです。初夏のイワシは当歳魚の小さなものが多いですが、晩秋の10月以降になると15㎝位の良型が狙えます。回遊性の魚なので、群れの接岸情報が釣果の一番大事な鍵です。

イワシの釣れる場所

沿岸なら何処でも釣れる可能性がありますが、一番釣りやすいポイントは水深がある外洋向けの港湾の内湾です。大きな群れが定期的に回遊し、堤防の上からサビキ仕掛けで楽に釣る事が出来ます。

イワシを釣るタックル

釣り竿は足場の高い防波堤なら4m前後の磯竿、低い場所なら3m前後のちょい投げ竿でも結構です。リールは中型のスピニングリールでナイロンの3号の道糸を100mセットします。

イワシを釣る仕掛け

サビキ釣りが釣果も期待出来、楽なのでおすすめします。サビキ仕掛けは様々ありますが、ピンク色や白のゴム系、ビニール系の物で針は4号~7号を魚のサイズに合わせ使用します。サビキ仕掛けの上部にはコマセ袋かカゴをセットし、これにコマセのアミエビを入れ、集魚します。また、コマセは直接撒く必要もあるので、ひしゃくも用意しましょう。オモリは水深に合わせて4号~10号を使い分けます。

イワシの釣り方

サビキを魚のいる水深に合わせ投入します。竿をしゃくって、アミエビを海中に撒き、アミエビのタナにサビキを合わせアタリを待ちます。アタリが無い場合はもう一度仕掛けを落とし、コマセを撒き、サビキのタナを合わせます。この作業の繰り返しとなります。

イワシ釣りの動画

【サビキ釣り入門】簡単!真冬のイワシ釣り

横浜市の本牧の釣り堤防での、貴重な1月の釣り情報です。初心者向けの入門動画で、仕掛けやタックルの紹介から実釣まで撮影しています。カタクチイワシの当歳魚が入れ食いの動画です。


【海釣り】新潟釣り サビキでイワシを狙う

新潟県の大きな港湾の湾奥での、初夏のサビキ釣りの動画です。良型の美味しそうなマイワシを簡単に釣っていきます。何故か持って帰ったイワシを釣り人のお母さんが調理する動画も撮影しています。

サビキでイワシ爆釣&ハネ激釣!漁港の波止は魚種多彩!/四季の釣り

和歌山県、田の浦港の春の当歳魚のイワシのサビキ釣りです。冬に産まれた個体でしょうか10㎝以下のサイズのイワシが鈴なりで釣れています。大きな群れが入ってきての典型的な爆釣の動画です。ファミリ―で生み釣りでも?と考えている人には必見です。

イワシの味・選び方

イワシの味

イワシの新鮮な成魚の刺身は驚くほど美味しく、これがイワシか?と思う程です。プリプリの身に臭みの無い甘みが程よくある味わいで、近年では新鮮なイワシは高級魚として取扱われています。程よい味わいのある、赤身と白身のバランスの良い魚で、「味噌煮、みりん干し、塩焼き、オイルサーディン」など様々な料理で美味しく食べられているのは、ご存知の通りです。

イワシの選び方(一匹物)

形が良く肉付きの良い物を選びます。大きな物ほど脂がのって美味しいので、刺身等をお求めでしたら、大きな肉付きの良い物を選びます。新鮮な物の選別は、目の色が黒く澄んだ、ウロコの欠損が無い物から選びます。

イワシの選び方(切り身)

切り身は透明感のある白身と、赤身の物を選びます。切口の表面に艶があり、綺麗な切り口の物を選びます。血合いが黒ずんでいる物、パックの底にドリップがある(水気、汁)ものは避けます。

イワシの栄養

イワシの栄養素

イワシは「海の穀物・海藻」と古くから呼ばれていた栄養満点な食材です。その栄養素はビタミンDが多く、アジの1.7倍あります。カルシウムは魚の中でも特筆する程多く含まれ、その吸収率は10gのイワシで牛乳200gと同等で、食品の中では一番取りやすい食材です。EPAは魚の中で最上級で、DHAも豊富です。

イワシの栄養素の効能

栄養素の効能をご紹介します。ビタミンDは血糖値を下げる効果があり、糖尿病予防の効果があります。またカルシウムやリンの吸収を促進する働きがあります。カルシウムは食材の中でもトップクラスの含有率ですが、骨の保全する役割がある事はご存知の通りで、子供の成長には必須の栄養素です。不飽和脂肪酸エイコサペンタエン酸(EPA)は血液の流れをスムーズにして、血栓を防ぐ役割があり、脳梗塞などのリスクを軽減します。DHAは脳に良い栄養素で記憶力の向上、アルツハイマーや痴呆症の予防になり、快活な生活を促進します。

イワシの料理

イワシの刺身

旬の(秋~冬)の成魚の刺身は驚くほど美味しく、その美味しさと料理の幅からイワシ料理の専門店がある程です。刺身は内臓を取り除き、手開きして、小骨を取り除き、適切な大きさに切り分けた簡単な料理です。

イワシのつみれ

イワシを3枚に卸して身を細かく包丁で叩き、片栗粉、山芋、塩を加え混ぜ込み団子にします。つみれ自体も通好みの渋い味わいですが、汁物にすると非常に良い出汁が出てます。

イワシの干物

イワシを開いて塩を揉み込んで1昼夜干します。塩焼きより甘みや脂の濃厚さが味わえる、美味しい食べ方です。みりんで味付けしたみりん干しも有名です。

イワシ、オイルサーディン

イワシの頭と内臓と鱗を取り除き、高濃度の塩漬けしてからオイルで煮込んだ海外の料理です。薄切り玉ねぎと合わせ柑橘類を振るだけで、美味しくお酒のつまみとしても食べれます。また、アンチョビという料理もありますが、こちらは塩に漬け込み、発酵させたイワシの切身の料理です。これまた、お酒のつまみに最高です。

イワシの寄生虫

ウオノエ

鯛やアジにも多く寄生する寄生虫です。魚の口に寄生し、魚のえさのおこぼれを狙う寄生虫ですが、この寄生虫は人体には影響はありません。ですが、非常に気色の悪い寄生虫なので、調理の時に確認し取り除きましょう。これが付いていて食べる人は少ないと推測しお伝えします。 ※上記写真参照


アニサキス

イワシには恐ろしい寄生虫のアニサキスが寄生している可能性があります。この寄生虫は魚の内臓に取り付く5㎜位の大きさの白いミミズのような虫です。人間の体内に入ると稀に胃などで生き残り、胃壁に噛み付き、地獄の苦しみを味わいます。生で魚を食べる人は充分な注意が必要です。加熱する事で死滅しますが、どうしても生で食べる人は、目視が可能な寄生虫なので、調理時と食べる時によく確認する事です。

イワシの漁獲

イワシの漁獲高の推移

出典: http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/kaimen_gyosei/index.html

マイワシの漁獲量は1990年初めころは、400万トンを超えた漁獲量でしたが、2005年には2.8万トンに落ち込んでいます。実にピーク時の6%とまさに消え入りそうな漁獲量です。一体、何故この様な事になってしまったかは、定かでは無いようですが、一方、1960年代も漁業は盛んでしたが、1万トンを割り込む漁獲もあったので、地球的、自然要因が関わっているのでないかと言われています。

イワシの激減について

イワシの激減の解説書籍

「イワシはどこへ消えたのか」著者:本田良一 中央公論新社から出版されている書籍です。全国での水揚げ量がピーク時の1/60になってしまい、すでに日本の身近な魚と言えなくなりつつある現状を解説しています。水産行政や地元産業への影響を通して、人類の共有財産である、水産資源をどう守っていくかを考させられる書籍です。

レジームシフト

レジームシフトとは「大気・海洋・海洋生態系からなる地球の動態の基本構造が数十年間隔で転換すること」とされていて、数十年間安定していた気圧や気流(レジーム)が変化(シフト)する事で海流の強弱や水温が変化して、海面と海底の水が変化し、環境変化によってプランクトンの発生が減少する事などにより、魚が生存不可能の状況が生まれます。 有力な説ではアリューシャン低気圧が活発な時には、日本の沿岸へ流れ込む寒流の勢力が強くなり、沿岸のプランクトンの発生を促す。この事によってマイワシなどの数が増えるといわれています。ちなみにサンマも98~02年は不漁にあえいでましたが、09~10年は豊漁で、これもレジームシフトの影響といわれています。

イワシの雑学

シラス

食卓に上るシラスは主にカタクチイワシの稚魚で、沿岸で網漁で捕獲されます。先述の通り主な魚種はイワシの稚魚ですが、イカナゴ、アユ、ニシン、の稚魚が混じった総称です。蒸して加工したものを「釜上げシラス」と呼び、乾燥させたものを「ジャコ」と呼びご飯と一緒に食べられます。

煮干し

煮干しは小魚を煮て干したもので、主に出汁を取る材料として使われますが、一昔前は子供のおやつや食卓にも並んだ食材でした。原料は主にカタクチイワシ、マイワシ、ウルメイワシの幼魚です。最近ではラーメンの出汁などにも使われて、出汁としての見方も変わってきている様です。

イワシの日

イワシの日はイワシが豊漁だった1985年に設定されました。不漁が続く今日では存在感は無く、今日はイワシの日だから、イワシをという会話も聞きませんが、その日は10月4日です。「1(イ)」「0(ワ)」「4(シ)」の語呂合わせで決まったようです。また以前のようにイワシの日が活況になるように願うばかりです。

イワシの右利き?

人間に利き手がある様に、イワシにも左右の使い分けがあります。イワシは円を描きながら回遊しますが、3分の2が右回りで、3分の1が左回りに廻るといわれます。またイワシを焼くと右回りのイワシは右に反るといわれます。

イワシの豊漁を願います

沿岸の活況を占う魚

イワシの豊漁は1990年代前半より右肩下がりで近年、若干漁獲高があがってきています。まるで日本の景気とリンクするような漁獲量ですが、唯一の安心要素は1960年代も不漁が多く続いていたという点です。イワシが不漁で食べられない事については仕方がない事ですが、沿岸性の世界最大のベイト(餌の小魚)のイワシが消えるのは忌々しき事態ですので、注視が必要と訴えます。日本人は海洋資源と共に発展してきたと言っても過言では無いので、今一度、海洋資源の現況を見つめ直す必要が、大いにあると感じます。