アイナメ/分類
スズキ系スズキ目カジカ亜目アイナメ科アイナメ属
アイナメは、スズキ系スズキ目カジカ亜目アイナメ科アイナメ属です。良く似たお魚で、アラスカ湾に多く生息している「アラスカアイナメ」 主に北海道に生息している「ウサギアイナメ」「スジアイナメ」 アイナメと似た環境に生息している「クジメ」がいます。 そして見た目が全く違うのですぐわかりやすい「エゾイソアイナメ」と「アイナメ」と似ているお魚は6種ほど! 今回はその違いなども紹介していきます。この見分け方が分かると一目置かれちゃいますよ! まずは衝撃のアラスカアイナメを見ていきましょう!
アラスカアイナメ
分類:スズキ系スズキ目カジカ亜目アイナメ科アイナメ属 外国名:Greenling・Kelp Greenling 学名:Hexagrammos decagrammus 生息地域・分布:アリューシャン列島周辺~アラスカ湾 カリフォルニア州南部 生態・生育環境:岩礁域~砂場までと広範域 特徴・形態:体色は雌雄別々など生息域によっても様々です。 アラスカアイナメはGreenlingとKelp Greenlingの2種が生息しています。
Greenling
ワイルドな画像ですね。サイズ感や見た目の雰囲気はやはり日本の雰囲気とは違いますよね。このサイズを釣り上げても、その手の中のアイナメもまだ諦めていない感じがします。スケールの大きさを感じます。 姿はこちらでもお馴染みのアイナメと似ていますが、サイズと色合いが全く違いますよね!しかもこの見た目がブルーっぽい種は、身の色もまさかのブルーのようです。
どうですか?ものすごいインパクトですよね!身の色がこんなにブルーです! 何か化学反応が起こっているかのような色です。味の方もとても気になりますね。
Kelp Greenling
Kelp Greenlingは日本語で訳すと(コンブアイナメ)となるのですが、普通のアイナメと大きく違うのは、雌の方が色鮮やかになる所です。 こちらの画像は雌のKelp Greenlingです。まるで冬場に卵を守る日本の雄のアイナメのようですよね。背びれの感じも惚れ惚れします。
こちらのブルーっぽい方は、おそらく雄と思われます。日本とは全く違いますね。アイナメと形は似ているのに住む環境によってこんなにも違うのですね。 ちなみにKelp Greenlingで検索すると同じようなグリーンの切り身が出てきます。 アラスカアイナメの身はグリーンが普通のようです。
この位の淡いグリーンだったらそんなに違和感を感じないかもしれませんね。みなさんはいかがでしょう?南国の魚で、ブダイなどはうろこはブルーでも身は白いので、本当に魚はそれぞれ個性があるのだなと感じます。 次は国内のアイナメを紹介していきます。
ウサギアイナメ
分類:スズキ系スズキ目カジカ亜目アイナメ科アイナメ属 外国名:Rock greenling 学名:Hexagrammos lagocephalus(Pallas) 漢字・由来: 兎鮎並、兎鮎魚女 生息地域・分布:日本海北部~北海道全沿岸 サハリン、千島列島からベーリング海 生態・生育環境:浅い岩礁域 地方名:アブラコ 特徴・形態:頭がアイナメより丸みを帯びていて、尾びれの後縁は丸い事などで区別できる。体色は雄は鮮赤色や紫色、雌では褐色のものが多いなど様々で、全長80㎝程の大型に成長します。 味はアイナメにやや劣るとされていますが、人気のお魚です。
スジアイナメ
分類:スズキ系スズキ目カジカ亜目アイナメ科アイナメ属 外国名:Masked greenling 学名:Hexagrammos octogrammus (Pallas, 1814) 漢字・由来: 筋相嘗 (スジアイナメ) 生息地域・分布:日本海北部~ベーリング海 生態・生育環境:浅い岩礁域 地方名:ハゴトコ 特徴・形態:側線は5本とアイナメと似ているが、アイナメより細めでサイズは30㎝程に成長する。尾びれの後縁は丸い。体色は、緑や黄色味や茶褐色など生息域によって様々である。 味はアイナメより劣るとされていますがから揚げなどで美味しく頂けます。
エゾイソアイナメ
分類:タラ目チゴダラ科チゴダラ属 外国名:Brown hakeling,Burbot, Ling 学名: Physiculus maximowiczi (Herzenstein, 1896) 和名: 蝦夷磯鮎並 生息地域・分布:北海道南部以南~九州の沿岸域 生態・生育環境:岩礁域~砂場までと広範域 地方名:ドンコ・ヒゲダラ・グゾウなど 特徴・形態:体長は40㎝程に成長します。赤茶色~茶褐色で釣り上げると浮き袋が飛び出してくる場合が多いです。口に手を入れない限り、どこを触っても痛くないので針外しも安心です。 体はヌメリがあり目が大きめでとぼけた顔をしています。
アイナメと名がついていますが、タラの仲間です。食味もタラに似ていて身は柔らかく、「どんこ汁」は、旨味が濃厚なのにくどくない、冬場ならではの美味しいドンコの肝を味わえます。 「たたき」や「煮つけ」も美味しいです。が、私個人のおススメは「一夜干しして、から揚げ」です。 柔らかい身が旨味と共に濃縮されています。それまで味わっていたドンコとは違う魚になっています。是非お試しください。
クジメ
分類:スズキ系スズキ目カジカ亜目アイナメ科アイナメ属 外国名:Spotbelly Greenling 学名: Hexagrammos agrammus (Temminck and Schlegel,1844) 和名:久慈目 生息地域・分布:日本海沿岸部~朝鮮半島 黄海 生態・生育環境:浅い岩礁域 地方名:イソシンジョ・チロリ・イシアブラ・テグラなど。 特徴・形態:アイナメとよく似ているが、アイナメより少し丸みを帯びていて、赤っぽい茶褐色が多い。尾びれの後縁は丸い。多毛類、甲殻類、軟体動物、小型魚類などを食しています。30㎝程に成長します。
最もアイナメに間違われやすい魚
クジメはアイナメと間違う人が多いそうです。何度かアイナメを見た後に、クジメを見ると、「なんか違う」とすぐにわかるようになるはずです。 顔つきも頭の上から口までの角度がシャープな感じで、尾びれが丸い感じになっています。そして何より、食べた時の口に入れた瞬間の匂いがアイナメとは全く違います。 香辛料で香りをプラスして、から揚げなどにすると美味しいと思います。 次は見分けのもう1つのポイントの「側線」を見ていきましょう。
側線とは
アイナメとクジメの側線の違い
側線とは、体の側面に頭からしっぽの方に続いている線のことを言います。 これは大切な感覚器官で水中で圧力変化や水の流れや音などを察して行動するためのレーダーの様な役割をしています。 この部分で、視覚・味覚・聴覚・臭覚・触覚を感じ取っています。 側線がわかるようになるためには見慣れるしかないです。一度わかるようになるとパッと見ただけでわかるようになります。 アイナメは5本で、クジメは1本です。ほとんどの魚にあるそうですが、他の魚類は両側面に1~2本ずつのようです。 という事は、5本もあるアイナメはかなり敏感で、様々な物を瞬時に察する能力が長けているという事になるのでしょうね。 ではアイナメを詳しく見ていきましょう。
アイナメ/外国名
アイナメの英名はGreenlingです。海藻に似た魚という意味があるそうです。確かにこの色合いは納得ですね。 ↓こちらの様な体色もあるようですよ。
色鮮やかでカッコイイですね。同じ種でも色や模様が違って神秘的です。アラスカのアイナメ、釣って食べてみたいですね。
アイナメ/学名
アイナメの学名はHexagrammos otakii Jordan and Starksです。 アイナメはあまり目立ちませんが、かわいらしいまつ毛みたいなのがあります。水の中に入れて見るとわかりやすいですよ。
まつげちゃん
こちらはクジメの所で見つけた画像なのですが、クジメもまつ毛の様なものがあるんですね。この色合い、アイナメの小さい時にそっくりです。側線もわかりにくいですが、クジメは1本ですが、こちらはもっとあるようにも見えます。 この色合いは見分けるのは難しいです。尾びれの形が見えればはっきりわかるのですが。 まつ毛の様な部位はどういう働きをするのでしょう。まだはっきり解明されていないようです。 以前、クサギンポの仲間で、まつ毛のある魚を飼っていました。オスは「つけまちゃん」でメスは「まつげちゃん」でした。磯場の魚を飼うのも楽しいですよ。 次はアイナメの漢字の由来を見ていきましょう。
アイナメ/由来(漢字)
アイナメの漢字はこちらの3つです。「鮎魚女」「鮎並」「愛魚女」 由来は鮎のように一定の縄張りを持つ習性から「鮎魚女」「鮎並」という説と、姿形や動きが女性を連想させる事から「愛魚女」という説があります。大切に食されてきた雰囲気を感じますね。 地方名はアブラメ・アブラコ・ネウなど。 アブラメ・アブラコは切り身にしたときに、表面に脂が光って見える事から呼ばれています。
アイナメ/生息地域・分布
アイナメは日本各地の沿岸~朝鮮半島南部や黄海まで分布して、寒い地域の方が大型に成長します。黒潮流域ではアイナメよりもクジメが多く棲息していると言われています。 ウサギアイナメ、スジアイナメなどは東北や北海道などに生息しているようです。
アイナメ/生態・生育環境
アイナメは主に20~30mの藻の多い岩礁性の海岸や磯に多く生息しています。 防波堤のテトラポット周辺など穴場に潜み、餌が近づくのを待っています。餌はカニやエビなどの甲殻類など雑食性です。成魚になると群れを作らず単独で生活し、他の魚種に比べて定住性が非常に高く縄張り意識の高い魚のようです。 船でカレイとアイナメを釣りに行っていましたが、1番アイナメの活性が高かったと思う時期は5月~6月です。ほとんどの魚の活性が一番良くなる時期は「藤の花が咲く頃」と漁師さんは言います。 産卵期の今の時期も栄養を蓄えるため活性が高いと思います。 旬は春〜初夏と言われていますが、いつ食べても美味しいお魚です。
アイナメ/特徴・形態
こちらの画像も最初のアラスカアイナメの画像に負けていませんね。 アイナメは大型になると一升瓶サイズにもなります。現在はそのくらいのサイズはあまり見られなくなっているのかもしれません。大きなマダラと思う程のサイズを何度か見た事があります。 体色は黄褐色~茶褐色~赤褐色で、冬の繁殖期には雄は鮮やかな黄色いペンキを塗ったような黄金色に変わります。うろこはとても小さくザラザラしていて、体の側線は5本と魚類の中でもトップです。尻尾の形が他のアイナメと違い、丸みを帯びていません。
繁殖期のアイナメの雄
10月~12月頃、黄金色のアイナメの雄は自分のテリトリーに産卵期の雌を呼び込み、何匹も同時に産卵させてその後、この黄色い勇ましい魚体でおよそ1カ月間卵を守ります。 卵の天敵はなんと同じアイナメの雄です。自分以外の遺伝子を残させないように食べるのだそう。一番黄金色になったモテモテのアイナメはその後簡単には子孫を残せないという事になりますね。
卵を守る雄のアイナメ
沢山の雌に卵を産ませるとはいえ、このように必死に守る姿は感動しちゃいますね。お父さんの愛は深いですね。 アイナメの卵は私は何度か食べた事はありますが、結構カラフルな色をしていて、ちょっと食べるのをためらう色合いともいえます。このように海藻に似せて見つかりにくいようなカラーになっているのかもしれません。
アイナメ/釣り情報
アイナメの釣り情報は、こちらの「暮らし~の」でも詳しく紹介されていますので参考にしてくださいね。
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アイナメ/栄養・寄生虫
アイナメの栄養
アイナメの栄養素で1番優れているのは不飽和脂肪酸が豊富な事です。 血液サラサラ効果で動脈硬化を予防するなど、生活習慣病予防が期待できます。 ビタミンDも豊富に含まれていて、骨の形成を促す働きがあるそうですよ。 美味しく食べた後もしっかり働いてくれる頼もしいお魚です。
アイナメの寄生虫
アイナメの寄生虫はソイなどと同じ、「アニサキス」と「リリアトレマ」がほとんどのようです。 アニサキスはもう見慣れている方も多いと思いますが、「リリアトレマ」は筋肉にメタセルカリア幼生が寄生して黒いゴマ状の斑文を作ります。 寄生虫は加熱すれば問題はないのですが、注意しましょう!
アイナメ/料理・調理方法
アイナメは頭の方が厚みがあるので捌きにくいかもしれませんが、骨にあてて優しく包丁を引きながら切っていくときれいに切れますよ。 大型のアイナメをゲットできたらやはり1番は「お刺身」なのですが、釣りたての味も美味しいのですが、三枚に下ろしたら、キッチンペーパーで包み、ラップをして1~2日冷蔵庫で寝かせてからの刺身も、もっちりして甘くて美味しいですよ。 魚は内臓をきちんと処理して冷蔵保存すれば3~4日は十分美味しいです。それ以上保存したいときは冷凍しましょう。
アイナメはから揚げにするとアイナメならではの「香り」があります。 小型のアイナメは、頭を落とさず、そのままホッケの開きのように、背開きにして内臓を取り、丸ごとから揚げにしていました。しっぽやヒレが特に美味しいですよね。 その他、お吸い物も、アラ汁も美味しいし、ムニエルも美味しいし、煮つけも美味しいし、漬け丼も、漬け茶漬けも美味しいです。どんな料理にも合います。 また、三枚におろした真ん中の中骨部分を、じっくり揚げた「アイナメの骨せんべい」もおすすめです。 寒い時期のアイナメは脂が乗って美味しいですよ!
まとめ
旨味たっぷりのアイナメの美味しさは白身の中でも際立っています。どんなメニューにも合いますので、その旨味を堪能してください。 そして釣りの時には事故の無いよう気を付けて楽しんでくださいね。 沢山の楽しそうな画像を見ていて、私もその瞬間を思い出しとても幸せな気持ちになりました。ありがとうございました。