カツオの分類
スズキ目、スズキ亜目、サバ科、マグロ族、カツオ属、カツオ
カツオはスズキ亜目、サバ科、マグロ族、カツオ属に属します。カツオ属の上のマグロ族とは、マグロ属のクロマグロやキハダマグロ、メバチマグロなどの8種とカツオ属のカツオ、スマガツオ属のスマ、ソウダガツオ属のマルソウダなどを含めたグループです。 カツオはカツオ属カツオの一属一種の魚です。近縁種には上述のソウダガツオ属のマルソウダ、ヒラソウダ、スマ属のスマ、ハガツオ属のハガツオの4種がいます。
カツオの外国名
skipjack tuna
[カツオ]は「skipjack tuna」直訳すると水中から飛び上がるマグロ族です。近縁種の[ヒラソウダ]は「Frigate tuna」小型船の様なマグロ族。 [マルソウダ]は「Bullet tuna」弾丸の様なマグロ族。[スマ]は色々な名前がありますが「little tuna」がふさわしく小さなマグロ族です。[ハガツオ]は「Striped bonito」で美しい縞模様の魚です。
カツオの学名
Katsuwonus pelamis
カツオの学名は「Katsuwonus pelamis」です。 マルソウダ 「Auxis rochei rochei 」 ヒラソウダ 「Auxis thazard thazard」 スマ 「Euthynnus affinis」 ハガツオ 「Sarda orientalis」 といったカツオと近縁種の学名です。
カツオの名前の由来
漢字名(鰹)
由来は、古くから干した魚を利用していて、「硬い魚→堅魚→鰹」となりました。魚の名前の由来としては珍しく、諸説色々が無いようです。
カツオの分布図
世界中の熱帯から温帯域に分布
北緯45度から南緯40度海域に(北緯43度=北海道中央部)生息(回遊)し、日本へは季節回遊で捕食の為に1~2歳の若魚がフィリピン東側海域から餌を追い北上し、太平洋側の日本沿岸を回遊します。 若魚以外(3歳以上の成魚)は北上せず、の生息分布は南北25℃位(沖縄南部、小笠原付近が北限)の熱帯から亜熱帯の、東西の広い海域に分布します。 近縁種の「ソウダガツオ2種」、「スマ」「ハガツオ」もカツオと同じく1歳~2歳の若魚が同時期にカツオの群れと一緒に回遊します。
日本海のカツオ
ソウダガツオの2種、ハガツオはカツオと一部異なり、日本海側のルートからも北上します。ですので日本海側でカツオと呼ばれるのはこの2種となります。ハガツオ、スマガツオの群れはカツオソウダガツオの2種に比べ少なく、漁獲も少ないのです。 またこの近縁種もカツオと同じく熱帯~亜熱帯海域の広い海域に分布します。
カツオの形態
カツオ
カツオは体長1mに達し、体重は大きい物で20kgを超えます。瀬背面は濃い藍色で腹部は銀白色にて、背褐色と同様の色の横縞が数本走ります。この縞は死ぬと消えてしまいます。 体形は紡錘形で尾鰭が大きく他のひれは背ビレ以外が比較的小さく、例えるならラグビーボールのような形で、1mで20kgという体重は、非常に肉付きが良い事を示すデータとなります。
マルソウダ
マルソウダは体長60㎝、体重は大きい物でも5kg前後です。近縁種のヒラソウダと群れが混合しどちらも漁獲され、ヒラソウダに比べると確かに丸く感じる。体形は細長く、サバとカツオの中間位の体形をしています。 背中の模様もカツオに似ず渦模様のように見える為、地方では渦輪(うずわ)と呼ばれています。体色はカツオと同様です。
ヒラソウダ
全長は60㎝、体重5kg前後でマルソウダに準じます。 マルソウダにそっくりな魚で兄弟の様な2種ですが、本種の方がヒラソウダというだけあり、若干体高が高く、その分平たく感じます。 体色、模様も似ているが、若干本種の方が褐色模様が少なく、見分け方は有隣域で、第2背ビレの起部までが本種の有隣域で、マルソウダはこの域を超えます。
スマ
体長1m前後になり、体重は10kgに達します。体形はカツオに酷似し、それだけに人気も高い種です。 カツオとは体形は重なりますが、模様が明らかに異なり、瀬背面から尾にかけソウダガツオの様に渦模様が入ります。 さらにカツオと異なって腹面に縞模様が走りませんので、模様で容易に区別がつきます。 カツオに一番近いのが本種です。
ハガツオ
ハガツオは体長は体長1m前後で体重5kg前後のカツオにしてはスリムな体系をしています。紡錘形ですが他の種に比べ平たく細長い感じを受けます。瀬背面には15本の横縞が走り、他の種に比べ口が大きく、別種の様に感じます。 口には犬歯の様な歯が並び、鼻先が尖る事から、関西、北陸ではキツネガツオとも呼ばれます。
カツオの食性
肉食魚
食性は肉食でカツオその他近縁種も同様です。幼魚から回遊で日本近海に策餌回遊の時はイワシやオキアミ、シラス、アジの幼魚が主な餌で、大型になるにつれてトビウオやイカやアジの成魚となるようです。 亜熱帯域の沖縄近海ではカツオの胃からフグ、カワハギ、エソなどの種類豊富な魚が出ており、貪欲な食欲が伺えます。
カツオの生息環境
回遊
1歳~2歳の若魚が餌を求めて、日本の太平洋沿岸に回遊します。日本に回遊する群れは3コースをたどり回遊します。 ①フィリピン方面からの黒潮海流ルート ②パラオ方面からの北上、黒潮で右折し三陸へ ③マリアナ方面から伊豆諸島付近で黒潮で右折し三陸へ、または小笠原の大きく東を行くるルートもあります。 それぞれ三陸、北海道東岸まで行き、一部は北海道南岸まで行って、秋口に南下します。また、日本海側の回遊はほぼありません。 日本に季節回遊(索餌回遊=餌を求め回遊)するのは 1歳から2歳の若魚だけで、それ以降の成魚は亜熱帯や熱帯海域で東西を回遊し、北上をしなくなります。
産卵
日本沿岸に回遊するカツオの主な産卵場は南太平洋の(赤道付近:ミクロネシア、カロリン、マーシャル諸島付近) が多く、また、日本の領土、小笠原や沖縄南方(北緯24度以南)でも産卵していると言われています。 産卵は周年に渡って上記の海水温24℃以上の海域で行われ、直径1㎜の卵を1度に10万粒~200万粒放卵します。 そのうち99%以上の確率で大多数が死に絶えますが、生き残った鰹が私達の暮らす、日本の沿岸まで何千キロとの遠距離を、連綿と旅を続けているという訳です。
カツオの特性
遠泳力
カツオの泳ぐ速度はカジキマグロ、クロマグロに次ぐ速度で泳ぐといわれています。その速さは最高速度で80㎞/h、平均巡航速度でも30km/hです。 速度もさることながら、年間に泳ぐ距離も大変なもので、3月に沖縄近海にいる魚群は5月に近畿、東海へ8月に北海道沿岸で折り返し10月に戻りガツオと呼ばれ関東、近畿南岸で漁獲されその後南太平洋の各所へ戻っていきます。 沖縄から北海道まで直線で約2500㎞ですから往復で5000㎞、 1年間で5000㎞回遊するものもいるという事で、大変な移動距離、持久力です。
カツオの呼吸
マグロもカツオも寝ている間も含め、一生泳ぐことが知られており、これはエラ呼吸のマグロ族の特性です。 普通の魚は体の外部からエラに水を取り入れ酸素を取り込み呼吸しますが、マグロ族の魚は口から海水を取り込み、絶えず泳ぐことによって口経由でエラに海水を送り込みます。 呼吸のしかたから絶えず泳いでいないといけないのですが、浮袋を持っていないマグロ族は止まると沈んでしまいます。
カツオのサイクル
カツオは上述の通り、稚魚はしばらく近海で浮遊生活後、熱帯、亜熱帯域で過ごし1歳~2歳の時に北上回遊します。これは産卵のために効率よく餌を取る為の策餌回遊で、成熟した3歳以降は亜熱帯~熱帯域に留まり、それ以降は日本沿岸には訪れない事が分かっています。 産卵は周年、同海域で各所で行われていて、若魚と同様に大きな群れで小魚等を追い回し、南の海域を回遊し過ごしているようです。 カツオの寿命ははっきりとわかっていない様ですが、南洋で獲れるサイズなどからの推測でおよそ10年とされています。
カツオの成長
カツオの成長を大きさ、年齢でご紹介します。 産卵から2日から4日で孵化、浮遊生活 孵化から1か月 体長6㎝ 1年 体長43㎝ 体重1.5kg この頃南日本沿岸で初ガツオとして漁獲 2年 体長52㎝ 体重2.8kg この頃日本沿岸の各所で戻りカツオとして漁獲 3年 体長60㎝ 体重4~6kg 〃 後発組などが戻りカツオとして漁獲 4年 体長70㎝ 体重7~8kg 南洋で生息、南太平洋、ミクロネシア等他で漁獲 5年 体長75㎝ 体重約10kg 〃 4年目からの成長は遅く、年間成長率で1%未満です。この事から、20kgの漁獲があるカツオの寿命は10年位と推測されています。
カツオの釣り情報
近縁種のソウダガツオが沿岸性が強く、釣りの人気の魚種ですのでこちらもご紹介します。
カツオ釣りのシーズン
熱帯域の南洋のカツオでしたら周年狙えますが、日本近海ですと初ガツオ~戻りガツオのシーズンと重なります。陸からの釣りの時期は下記になります。 九州、四国、近畿は5月半ばから12月まで 東海、関東、 は6月から11月まで 北関東、東北 は7月から11月まで 日本海側はカツオの釣果は望めませんが、ソウダガツオの釣果が あり期待できます。時期は陸からなら、6月~10月位までです。 また船からも6月~11月位が旬です。
カツオが狙える釣り場
ソウダガツオは上記の時期に各地域の砂浜に接岸し回遊します。その群れの中にはブリやカンパチの群れも混ざる事もあり、釣り場はそれらを狙った釣り師で大変賑わいます。外洋に面した水深のある砂浜や港湾、または地磯で狙えます。 船での沖釣りではソウダガツオでしたら沖合100m~1000m位の場所で行われていて、イナダ、ソウダガツオ狙いの近場の船が多いです。 また、カツオの沖釣りは「メジ、カツオ船」といって、メジマグロとカツオ狙いで相模灘、駿河湾、外房、和歌山等の沖で盛んに行われています。
釣り方・サーフトローリング・ジギング
ソウダカツオはショア(陸)からのサーフトローリングで良く釣れおすすめです。サーフトローリングとは、浜や堤防、地磯から天秤オモリ+仕掛けを遠投し、弓角と呼ばれる毛ばりの様なルアー、または小型のメタルジグなどをハリスで繋ぎ、高速でリールを巻き小魚やエビなどと錯覚させる釣りです。 100mの遠投が可能ですので、沖の群れが狙え効率的な釣りです。また、同じ場所でショアジギングも同様に行われ、メタルジグを中心に、表層、中層、下層を探り、また竿先のアクションで誘い釣ります。
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釣り方・オフショアジギング
オフショアとは沖合の事で、乗合船や自分の船で行うジギングの事です。本ガツオは残念ながらショアでは狙えませんので、沖合で臨みます。※沖縄や小笠原ではショアからの釣果はありますが、少ないので割愛致します。 タックルは7フィート前後のジギングロッドと4000番前後のスピニングリール、ラインはPEライン2号で、リーダーはナイロンの10号を結束します。ジギング中心(メタルジグの落とし込みのでのルアー釣り)ですがナブラ(小魚の捕食時)廻を狙う事も多々ありますので、ミノーやトップウォーターなどのルアーも必要です。 ジギングは50m~100mの水深にジグを落とし込み、底を取ったら10m位で激しく竿をしゃくってアクションし、止めて降ろす(フォール)中にヒットする事が多いです。詳細は下記リンクで確認ください。
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乗合船での沖釣り
メジマグロやワラサ(ブリの若魚)などの狙いで乗合船が関東、東海その他太平洋沿岸から盛んに出船しています。沖合の根やパヤオ(漁礁)または付近の鳥山やナブラを狙い移動しながら釣ります。 タックルは2m前後の胴調子の船竿でリールは中型両軸受けリール、ラインはPEの4号ラインを使用し、ハリスはフロロカーボンの10号、ハリはグレ針の12号前後を使い分けます。 カゴの片テンビンでカゴにはオキアミを入れ集魚します。エサはオキアミを1匹または2匹掛けします。餌と併用し、ビニールの疑似餌のバケを使うと効果が高いので使用されます。 因みにバケ針はカツオの一本釣りで使用され、効果は実証済みです。
カツオ釣り・動画
千葉県沖でのルアーでのキャスティングからのカツオ釣りです。40gのメタルジグをキャスティングし、ファストリトリーブでヒットしています。若い釣り女子が簡単に良型のカツオをゲットしていて、見応えがあります。
和歌山の沖合でのカツオの餌釣りです。中学生と思しき子供が良型の戻りカツオを釣り上げています。
外洋でのカツオの一本釣りの動画です。船首で餌を撒いて集魚し片側の側面でバンバンと釣り上げています。驚くほどの釣果です。魚のサイズから見た所南洋で、黒潮の漁場です。
カツオの味・選び方
味
カツオは古くから「目に青葉 山ほととぎす 初ガツオ」と俳句で詠まれる位に5月頃の初ガツオは爽やかでさっぱりとして美味しい魚として知られています。秋の戻りカツオは脂がたっぷりとのっていて、トロカツオと呼ばれるお腹の部位はカツオの重厚な味わいと脂の旨みが相まってマグロのトロより美味しいと言う人が居る位です。 また少し血生臭いと女性や子供は感じますが、先人の知恵で高知ではつとに有名ですが、皮を藁で炙ったカツオのタタキは臭みが消え、お刺身の中でも上級の味わいに変化し、その調理法は今では全国の居酒屋で味わえるほどの人気となっています。
切り身の選び方
見た目から判断すると、切り身の切り口が虹色になっている物は、脂が表面から流れ出ていて、鮮度が悪い事を指します。また、黒ずんでいる物も同様で、鮮やかで透明感が少しある赤を選びます。 また、触っても判断できます。新鮮なマグロは筋力の強い魚なので、押しても弾力で戻ります。ですが鮮度が悪い物はハリ、弾力とも抜け、おかしな柔らかさとなっています。 臭いでも判断可能で、血生臭くパックの底に水分が落ちている物は避けましょう。
一匹物
まずは全体を見渡します。全体が丸々していて艶があり、背中とお腹の濃い藍色がはっきりと見える物は文句なく新鮮な物で、お買い得です。 その他で注意するポイントはエラです。新鮮な物は鮮やかに赤い色ですが変色している物は怪しいとお考え下さい。目の濁りも同様です。
カツオの栄養・寄生虫
カツオの栄養素
カツオの栄養素で有名なものはドコサヘキサエンサン(DHA)です。これはカツオなどの魚に多く含まれる不飽和脂肪酸および高度不飽和脂肪酸に含まれています。 その他に高タンパク質の身の中の栄養素の構成はタンパク質、脂質、ミネラル、炭水化物、ビタミンで構成され、タンパク質が25%を占め、その他はバランスよく配合されていて、人間が生きる為の配合の様な構成です。 その他、必須アミノ酸やタウリンジ、ペプチドを豊富に含み人間の生活に役立つ栄養素が豊富に含んだ構成です。
カツオの栄養素・効果
上述の栄養分の効果をご紹介します。 不飽和脂肪酸および高度不飽和脂肪酸 血中コレステロール、中性脂肪質を改善させる効果を持ち、血液をサラサラにさせ、血栓や脳梗塞、心筋梗塞の予防効果があるといわれています。 ドコサヘキサエンサン(DHA)エイコサペンタエン酸(EPA) 脳細胞や神経の活性や修復に必要な栄養素で、摂取により記憶力の向上、アルツハイマーや痴呆症の予防効果が期待出来ます。 必須アミノ酸 タウリン タウリンは二日酔いの解消効果で有名ですが、肝臓の働きを助ける効果がてきめんで、快活な生活の手助けとなり生活習慣病の予防となります。 ジペプチド アミノ酸の中の分子の一つのこの酵素は、疲労回復効果の機能食品として知られ、カツオには多く含まれていて、市販の健康食品に添付され販売しています。
寄生虫(テンタクラリア)
どの魚にも必ず寄生虫は付いている物ですが、カツオにも居ます。 テンタクラリア ウジ虫のような寄生虫です。この虫はカツオの筋肉内に居て、特にハラスに多く寄生しています。目視確認も出来、逆に言えばそれほど大きな寄生虫なので気持ちが悪いです。 人には無害の寄生虫ですが、商品とする場合は大騒ぎになる可能性が高いので、注意が必要です。
アニサキス
アニサキス アニサキスはサバに多く付く寄生虫でカツオにもまれに付きます。 アニサキスは生食で刺身などを食べると多くは排出されますが、時に、胃壁や腸壁に取り付きそれらに噛み付き食い破るという、とんでもない事を起こします。そうなってしまうと、大変な苦しみを味わい、内視鏡での除去や、腹膜炎を併発した場合開腹手術など、一大事に陥る恐ろしい寄生虫です。 アニサキスの予防法としては24時間の冷凍保存、加熱処理で完全に避けられますが、どうしても生食をしたい場合は捌く際によく見て除去しながら薄造りで調理します。
カツオの料理・調理法
3枚卸し
釣りたての新鮮な物はやはり刺身が美味しく、上述のアニサキスを避けるのでしたら、素早く新鮮なうちに3枚卸しにする事です。3枚卸しはうろこを落とし、えらぶたを広げてえらとカマの付け根に包丁を入込み顎の付け根を縁切ります。 腹を尻穴側から包丁を入れて内臓を取り除きます。最前に縁を切ったえらも取り除きます。次に頭を落とします。腹側、背中側に背骨に沿って包丁を入れます。 尾を切外し、尾の方向から包丁を入れ背骨に沿って包丁を滑らせて行きます。これで身が取れ3枚卸しの完成です。
刺身、タタキ
上記の3枚卸しの左右の身を使用します。左右の身の腹骨部は骨が多いので取り除き、血合い部と腹身に切り分けます。皮を尾の方向から包丁を入れ身の重みを利用し、剥がします。あとは身をお好みの厚さに切り分けてお刺身の出来上がりです。 タタキで食べる場合は皮を残し、皮面を火であぶります。表面が軽く焦げ目がつく位にサッと炙ったら素早く冷水にくぐらせます。その後は刺身の切り分けと同様です。脂が多い場合は薄く身を裂くように切り分ける、サク造りがおすすめです。薬味とお醤油を先に用意して綺麗に盛り付けましょう。
鰹節(カツオブシ)
鰹節の歴史(保存食から煮汁)
鰹節は今更説明もない位私たちは毎日摂取しています。作り方はカツオの身を加熱し、暗所などで乾燥させ保存して作ります。日本の港町では津々浦々で作られていますね。 出汁を使った料理は数えきれないほどあり書ききれませんが、ここでは歴史をご紹介します。 鰹節の歴史はとても古く原案は弥生人が創案したといわれています。その時代から堅魚煎汁(カツオノイロリ) という煮鰹の煮汁を煮詰め作っており、調味料として使っていたのです。 その後時代を経て奈良時代に大和朝廷は国々にカツオ浦を設け煮干しカツオと煎汁の献納を強制しました。この時代から大事な保存食品、調味料として活躍していた訳です。
鰹節の歴史(鰹節の誕生、輸出)
時代はさらに経て室町時代に入ると大豆の生産から一旦カツオの煎汁の需要は減りますが、時の日本人の脳裏から煎汁の美味しさが消えず、焙乾方法が生まれます。 室町の世で鰹節は誕生し、焙乾小屋は、五島・平戸・紀伊・志摩・土佐各国のカツオ浦に建てられました。 さらに時は進み江戸時代初期には琉球、シャム、明に輸出され、ポルトガルやオランダとの貿易で世界各地に広く広まりました。その為、日本の各地で技術の向上に拍車がかかり、旨み成分の発見に至ります。 保存食から始まったカツオの身が今や日本の食を形成しているといっても過言ではない、鰹節の歴史です。
その他の鰹節
カツオの近縁種も豊富(マグロ、サバ節)
カツオ以外の削り節も沢山ある事をご存知でしょうか。使い分けなどの確立も出来ていて興味深い世界です。 マグロ節 キハダマグロの幼魚(キメジ)が多く使用され、カツオと一緒に漁獲される為に作られました。用途は上品な椀出汁、極細の糸状のふりかけ等高級料理で利用され、料亭などで使用されます。 鯖節 ゴマ鯖、真鯖とありますが、脂の少ないゴマ鯖が主流です。香りはあっさりとしていますが味が濃く、コクが強いです。ソウダガツオの削り節とブレンドし、そばやうどんで使われます。
カツオの近縁種も豊富(宗田、むろ節)
宗田節(ソウダ) ヒラソウダ、マルソウダ、スマを使用しますが、大半はマルソウダです。味が濃厚で色が出る事が特徴的です。そばやうどん、味噌汁で多用され、関東の濃いそばのだしでは単体で使われています。一般的には濃厚なので鰹節、鯖節とブレンドして使います。 むろ節 ムロアジで加工し作った削り節です。濃く香りと深みがある優しい味わいで、関西ではうどんの出汁として愛好されています。
カツオ/その他逸話など
俳句や歴史
著名な「目に青葉 山ほととぎす 初ガツオ」目に映るのは一面の新緑、耳に聞こえるは山に鳴くほととぎすの声…そしとふと思い出す。この時期のカツオは美味しいだろう、と。実に清々しい気持ちになる句ですが、何時頃詠まれたものでしょうか、また歴史に登場するカツオを調べてご紹介します。 先ず上記の句ですが江戸中期の17世紀ころ俳人の山口素堂の句です。当時も江戸っ子の中で大人気の句で今の世にても読み継がれています。
当時の世相と初ガツオ
しかし、実際は江戸っ子や時の日本人のしたたかさや荒々しさも滲み出ていて、面白くも意外です。 初ガツオは当時とても高価で、庶民には手の出ない食品でした。これを競って購入し食べるのが江戸っ子の粋との証でした。また当時は初物にはとてもエネルギーがあり価値と効果があるとし、寿命が75日延びるとに逸話もあります。 当時は本当に驚くほどの人気で、こんな句もあり「まな板に、小判1枚 初鰹」また当時の世相で「初鰹は女房子供を質に置いてでも食え!」との言葉も残っているほどでした。驚きです!
松尾芭蕉
その様をみたよそ者の松尾芭蕉の句で「鎌倉を 活きて出でけむ 初鰹」この句は鎌倉で水揚げされた初ガツオの活きの良さと、漁場の活気を称えた句だといわれています。
カツオの市販料理
有名なものから意外と知られていないもの
カツオのシーチキン 有名なはごろもフーズのシーチキンの「シーチキンマイルド」が100%カツオのシーチキン缶で味では区別が付きませんが、値段が若干安く味が残らずとの意見で意外と愛好者が多い様です。 カツオの酒盗 こちらは有名なカツオの商品でしょうか。しいの食品さんから販売され全国のスーパーで販売されています。ネーミングはその昔、有名なお殿様がこれをつまみながらお酒を呑み、「酒を盗みたくなる位に箸が進むわい!」といった逸話から来ています。解る気がします。 カツオのちちこ カツオの心臓ですね。大変希少ですが、土佐では郷土料理として親しまれています。弾力のあるもっちりとした食感が人気です。長い旅をしてきたカツオを余すところなく戴く、土佐の料理人の心意気です。
カツオの漁
日本以外での漁場
カツオの漁は日本の近海は勿論、日本の南洋で多く行われています。関東~関西方面では小笠原やミクロネシアの南方海域 関西以西はミクロネシア~パラオ海域で行われています。 漁師さん達は遠い南の海域でカツオを追いかけ日夜漁をして、缶詰や最近では冷凍でカツオの身を提供しています。
カツオの海外事情
海外でのカツオの価値
サイパンやグアムではカツオが海の魚のメインディッシュとなっています。カツオの事を「ボニータ」と呼び美しい女性の事もボニータと呼び、どちらも愛好しています。 海外では無いのですが沖縄でもカツオは大変人気で、食べる魚ではアカハタとカツオが2代スターとして人気です。 同じサイズや、少し大きいサイズのマグロが釣れても反応が薄いですが、カツオが釣れると歓声が沸きます。これは南洋ではカツオの脂が多い漁サイズという事もあります。 しかしながら、日本では、カツオの大きいサイズが釣れても反応が薄いようです。逆にいうと日本はなんて贅沢な漁場なんだろう…と考えてしまいます。
カツオまとめ
カツオとの関係性
カツオはこれまで色々述べてきたように、日本人とは切っても切れない長い歴史の中での相対関係があり、食文化では日本の料理を世界に知らしめた、一番の貢献者のようなものです。庶民の味噌汁やおにぎり、ふりかけから、超高級割烹の煮魚や椀物などの味を陰ながら確実に支えています。 日本人の食へのこだわり、技術もさることながら、カツオの押し寄せる漁場に生活している私達の幸運さも忘れてはならない事実です。