「ブラクリ」とは?
「ブラクリ」とは、オモリ、ハリス、針が一体になった“独特の形状”をした仕掛けのことです。 ハリスが非常に短く、オモリもスリムな形状のものが多いため、他の仕掛けよりも根掛かりしにくく、根の奥深くに潜む根魚を狙う際に活躍する仕掛けの1つです。
また、詳細については後述しますが、ブラクリは市販されている完成品を購入後、道糸の先端にセットするだけで仕掛けが完成するため、釣り初心者でも使いやすいというメリットもあります。 加えて、様々な方法で根魚に誘いを掛けることが可能であるという武器も持っており、ブラクリのポテンシャルは侮れません。
ブラクリには, どんな種類がある?
市販されているブラクリには、様々な種類のものがあるため、種類ごとの特徴や得意とする分野について理解し、最適な種類のブラクリをチョイスすることが肝心です。 ここでは、ブラクリの「オモリ形状による分類」と、「サイズ設定による分類」との、2つの種類について解説していきます。
ブラクリの種類 1/2【オモリ形状による分類】
ブラクリのオモリ形状には主に、「ソロバン型」、「ブラー型」、「ナツメ型」の、3つがあります。
ソロバン型は、最も一般的なオモリの形状で、最も幅広い釣り方に対応しており、後述する“ブラー型とナツメ型”との中間に位置する特徴を持っています。 ブラー型は、ヒラヒラと舞うようにゆっくり落下する設計になっているため、落下時のエサの動きで魚を誘う釣り方に適しています。
ナツメ型は、落下時にオモリが受ける水の抵抗が小さいため、素早く海底にエサが届くので、潮流が速く、落下時に仕掛けが横流れすることによる根掛かりの心配が多い“穴釣り (テトラポット帯の隙間にある穴などに、仕掛けを落とす釣り方)”や、中層にエサ取りが群がっており、海底にブラクリが到達する前にエサが取られてしまう状況などで活躍してくれます。
ブラクリの種類 2/2【サイズ設定による分類】
市販のブラクリでは、オモリの重さと針の大きさとが比例する形で、サイズ設定が行われています。 そのため、オモリが重い種類のブラクリを購入しようとすると、針の大きさも必然的に大きくなってしまうことが多いのです。
例えば、「タカミヤ」が製造する「H.B concept スリムブラクリ」の場合、オモリの重さが1 - 5号のものには、ケン付きマルセイゴ針の12号の針が装着されている一方、オモリの重さが6 - 10号のものには、ケン付き丸セイゴ針の14号の針が装着されています。
オモリの重さと針の大きさとのバランスが偏ったブラクリが必要な場合は、自作するほかありません。
ブラクリ釣りの釣り方のコツ4つをご紹介!
ブラクリの長所を十分に引き出すためには、ブラクリについての基礎的な知識を学び、様々な“釣り方のコツ”を押さえておくことが重要です。 ここでは、ブラクリ釣りの釣り方のコツ4つについて、釣り初心者にも分かりやすく解説します。
ブラクリ釣りのコツ1、【釣れる魚を知っておく】
ブラクリを使用するうえで、どのような魚を狙うことができるのかについて知っておくことは大切でしょう。
前述した通り、ブラクリは基本的に根魚狙いに適した仕掛けではあるものの、カレイやアナゴなどの、海底付近に生息する“根魚以外の魚”が掛かることがありますが、ここでは、ブラクリで釣れる、「アイナメ」、「カサゴ」、「クロソイ」、「ムラソイ」、「メバル」の、主な根魚5つについて見ていきます。
1-1、ブラクリで釣れる魚 ―アイナメ
アイナメは、様々な釣りのターゲットとなる魚の1つで、根魚の代表的存在でもありますが、近縁種である“クジメ”と混同されることがあります。

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1-2、ブラクリで釣れる魚 ―カサゴ
カサゴもフィールドを問わず、多くの釣り方の好敵手となる根魚で、市場では1kg当たり3,000円以上の値が付くこともある高級魚です。

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1-3、ブラクリで釣れる魚 ―クロソイ
クロソイは、煮付けなどで食されることの多い根魚で、穴釣りやルアーフィッシング、ヘチ釣りなどにおける人気ターゲットとなっています。
1-4、ブラクリで釣れる魚 ―ムラソイ
堤防や磯はもちろんのこと、ゴロタ場などの“水深の浅い”場所にも生息している“ムラソイ”は、ルアーフィッシングの好敵手として、近年爆発的な人気を集めています。
1-5、ブラクリで釣れる魚 ―メバル
メバルは夜行性の性質が強く、夜になると海底から離れたタナ (水深の層)まで上昇して捕食活動を行うため、海底付近が主戦場となる“ブラクリ”釣りでは、日が高い時間帯に釣れることがほとんどです。
ブラクリ釣りのコツ2、【正しい釣り方をマスターする】
筆者は、ブラクリを使っている釣り人を度々目にするのですが、釣り方が適切でない方が多くいらっしゃいます。 針へのエサの付け方や、魚への誘いの掛け方などを正しく行わないと、好釣果を得ることはできません。
ここでは、ブラクリ釣りの釣り方における、「針へのエサの付け方」、「仕掛けの投入方法」、「投入後の“仕掛けの操作方法”」、「アワセややり取りの方法」の、4つの工程それぞれのポイントについて取り上げます。
2-1、釣り方のポイント ―針へのエサの付け方
基本的な“針へのエサ”の付け方については、他の釣り方の場合と同様なのですが、イソメ類などの“虫エサ”を使用する場合、タラシ (エサの全長のうち、針から垂れる部分)の長さに注意する必要があります。
というのも、ブラクリ釣りにおいては、魚がエサをくわえた直後に根に潜ってしまい、掛かった魚や仕掛けが回収できなくなることを防止するために、「アタリがあったら即アワセ」が基本です (詳細については後述する)。
そのため、タラシが長いと、魚がエサをほお張り切れず、針先が口の堅い部分に乗っていない状態でアワセることになってしまうため、アワセた時ややり取りしている最中にすっぽ抜けする可能性が高くなります。
ですから、狙う魚の平均サイズが15cm前後の場合は、タラシを3cmに、狙う魚の平均サイズが30cm前後の場合は、タラシを5cm、または1匹丸ごとに、それぞれ調整することで、確実な針掛かりを促進しましょう。
2-2、釣り方のポイント ―仕掛けの投入方法
仕掛けの投入方法は、釣り場の状況や使用するブラクリの種類によって異なります。 堤防や港湾からの釣りの場合は、足元間際に投入するか、沖に向かって軽くキャストして投入する形となります。
なお穴釣りの場合は、掛かった魚が確実に取り込めて、且つ立ち位置の安全性が確保できる場所を見定めたうえで、仕掛けを投入しなければなりません。
また、前述したように、ブラー型のオモリ形状のブラクリは、ユラユラとエサが落ちていくことが最大の武器ですので、道糸 (リールに巻く糸)を張りながら、より遅いスピードでブラクリを落下させたり、道糸を緩めながら、速めのスピードでブラクリを落下させたりしてみるのも、非常に効果的でしょう。
2-3、釣り方のポイント ―投入後の“仕掛けの操作方法”
仕掛けの投入後、そのまま竿を持ってジッとアタリを待つだけでは、魚がエサにくい付く確率は下がってしまいます。 ですから仕掛けが着底したら、道糸の糸ふけ (道糸のたるみ)を取って、竿を斜め45°の角度で構え、エサがちぎれない程度の強い力で竿先をシャクり上げた (50cm程度の幅)後、竿先を下げることでエサを上下に動かし、魚に誘いを掛けます。
これを3回繰り返した後、道糸を張り気味にしたまま、10秒程度アタリが来るのを待ち、アタリが無ければ再度同様の作業を行います。
根魚は、動くエサに反射的にくい付く習性があるため、仕掛けを大きく動かすことで、魚の捕食本能を刺激するように心掛けましょう。
また、同じ場所に仕掛けを2回投入してもアタリが無い場合は、2mほど移動することで、仕掛けの投入位置を変更することも、より効率的に根魚を狙い撃ちし、さらなる釣果アップを目指すうえで重要になってきます。
2-3、釣り方のポイント ―アワセややり取りの方法
アタリは、竿先がコツコツと動くものがほとんどです。 アタリが来たら、竿先を下げながら糸ふけを取って、竿を斜め20°の角度で構え、少し強めに竿先が入った瞬間に、竿を大きく振り上げてアワセを入れます。
アワセが遅れると、根魚はエサをくわえたまま、根の奥深くや障害物の周辺に身を潜めてしまうため、掛かった魚や仕掛けを回収することは困難になってしまいます。
根魚はアワセた直後に、海底に突っ込むような強い引きを見せますので、竿の角度を水平に保ちながら素早くリールを巻き、強引に浮かせるようにしましょう。 ただし、中層まで魚を浮かせた後も油断は禁物で、根魚は堤防や港湾の際に道糸を擦り付けようとする習性があるため、竿先を沖側に向けてやり取りをすることも忘れないようにしましょう。
ブラクリ釣りのコツ3、【仕掛けを理解する】
ブラクリの仕掛けの基本構成は、ブラクリを道糸の先端に結び付ける (クリンチノットなどの結び方を使用)だけのシンプルなものです。 道糸の材質はナイロンが無難ですが、ベストな“道糸の太さ”は、使用するタックルによって異なります。
通常は、軽くキャストしてブラクリを投入することも想定し、3号を選択しますが、ヘチ釣り用のタックルを使い、足元間際にブラクリを投入する釣り方に特化する場合は、2号を使用することもあります。
おすすめの各種仕掛けアイテムとは?
おすすめの道糸 (通常タックルの場合)とは?
大手釣り具メーカー ―「デュエル」の道糸です。 3号の太さであれば、直線強度にも余裕があるため、この程度の価格と品質のもので十分でしょう。
おすすめのブラクリとは?
大手釣り具メーカー ―「ささめ針」のブラクリです。 ブラクリの草分け的存在で、豊富な“サイズのラインナップ”と使い勝手良さが、多くの釣り人に支持されています。
ブラクリ釣りのコツ4、【ベストなタックルを選ぶ】
一般的なブラクリ釣りで用いられるタックルは、長さが2m前後で、最大適合オモリ負荷が10号前後の投げ竿と、小型のスピニングリールです。 このタックルセッティングでは、ブラクリのキャストが可能であるため、より広範囲に魚の居場所を探る際に効果的と言えます。
とはいえ、ヘチ釣り用の竿とリールとを用いる釣り人も少なくありません。 このタックルセッティングでは、ブラクリを沖にキャストすることはできませんが、よりアタリをダイレクトに感じ取り、よりスリリングな駆け引きを楽しむことができるため、足元直下の根魚狙いに専念するのであれば、ぜひおすすめしたいタックルです。
おすすめのタックル (通常タックルの場合)とは?
釣り初心者にぜひおすすめしたい、竿とリールとのセット商品です。 道糸は、前述のものへの交換が必要ですが、45cmまで縮む仕舞寸法である点や、リールのハンドルの左右付け替えが可能である点などがうれしいですね。
ブラクリ釣りで, 根魚を攻略しよう!
いかがでしたか。 ブラクリは、釣り初心者であっても使いやすく、根魚を効果的に狙うことができる仕掛けです。 皆さんもぜひ、根魚攻略にブラクリを使用してみてはいかがでしょうか。
ブラクリは、自作することももちろん可能ですが、この記事で取り上げる内容は、いずれも市販の完成品のものです。