安全に焚き火を楽しむには?
適切に後始末する重要性を解説
焚き火は、キャンプへ訪れる場合に多くの人に人気のアクティビティのひとつです。ただ炎を眺めたり調理したりと、アウトドアの中で思い思いの時間を過ごせます。ですが安全に焚き火を行うには、適切な知識を持って焚き火を楽しむことが重要です。この記事では、焚き火の後始末が重要となる理由を解説します。
具体的な手順や注意点も
安全に消火するには、正しい消火の手順や注意点についても理解を深めておかなければなりません。この記事では具体的な消火の手順や役立つアイテム、注意点についても併せて解説します。ポイントを押さえてアウトドアの焚き火を安全に楽しみましょう!
適切な後始末を知っておくのはなぜ重要?
1.火災につながる危険性がある
キャンプ場は山の中にあることが多く、周囲には燃えやすい小枝や乾いた落ち葉があり、木が生い茂っています。そのため火災を予防するには焚き火の後始末をきちんと行うことが重要です。たとえば、ほんの少しでも燻っている薪が残っていると、山火事へ発展するリスクが高まってしまいます。
2.環境へ影響を及ぼすおそれがある
焚き火をしたあとに出る灰を、きちんと後始末しなければ環境へ影響を及ぼすおそれがあります。炭には土壌改善効果があるとされていますが、キャンパーの多くが土に埋めてしまうと過剰供給となり、逆に環境負荷をかけてしまいかねません。そのため、キャンプ場やアウトドアフィールドのルールに従って適切に処理することが求められます。
3.キャンプ場を汚してしまう
焚き火を楽しんだあとに、きちんと片付けをしなければ当然キャンプ場を汚してしまいます。そうなると、次にキャンプ場を利用する人も気持ちよく利用できません。
焚き火を楽しんだあとはゴミを放置しないようにし、訪れた状態に戻すことがマナーです。利用者のマナーが悪ければ、ルールが厳格化されかねません。最悪の場合、焚き火自体が禁止されてしまうおそれがあります。
後始末におすすめしたい4つの便利アイテム
1.火消し壺
火消し壺は、酸素を断つことで火を簡単に鎮火させるアイテムです。フタをすることによって、容器の中へ酸素が供給されなくなり、鎮火します。
水をかけずに鎮火できるため、再び点火することも可能です。そのため、焚き火の側から離れる場合や夜間など、一時的に火を消したいときにも便利に使えます。
2.バケツ
バケツは、焚き火を早く消す場合に使います。バケツに水を張り、炭を水に浸けることで消火することが可能です。
バケツで消化する時は、火バサミで炭を1つずつ浸けるようにしましょう。一度にたくさんの炭を入れると、一気に水蒸気が発生してやけどをしてしまうリスクがあります。
炭の消火以外にも、火事の予防としてあらかじめ水を張っておいて、焚き火台の近く用意しておくと安心です。
3.耐熱グローブ
耐熱グローブは、焚き火台や火消し壺など、熱い状態のものを持つときに使用するアイテムです。
基本的に焚き火の後始末をする場合、グローブを着用するようにしてください。グローブを必ず着用することにより、やけどのリスクを軽減できます。
ですが、いくら耐熱だからと言って燃えている炭を耐熱グローブで直接つかまないようにしてください。炭を持つときは、グローブを着用したうえで火バサミを使用してください。
4.火バサミ
火バサミは燃えている薪をつかむためのアイテムで、薪の移動やくべるときにも使えます。先端部分を活用して、炭を細かく砕くことも可能です。
火バサミの先端には尖っているものや、細かい薪を扱いやすいようにピッタリと噛み合う形状のものまでさまざまなものがあります。薪を扱いやすい形状のものを選ぶようにしてください。
また、ハンドル部分に木材が使われているものは熱が伝わりにくく、やけどのリスクを下げられます。
後始末をより簡単にしてくれる2つのアイテム
1.アルミホイル
少しでも焚き火の後始末を楽にしたい場合、事前に焚き火台をアルミホイルでくるんでおくことをおすすめします。これにより燃えた灰もすぐにまとめておくことが可能です。
また、焚き火で調理するようなときでも油汚れが付着することを防げるため、メンテナンスを簡単にできます。
家庭用アルミホイルは避けて!
家庭用アルミホイルは焚き火の高温に耐えられず、溶けてしまうおそれがあるので注意が必要です。焚き火に使用する場合は、アウトドア・バーベキュー用のものを選ぶようにしましょう。
2.火消し袋
火消し壺はかさばるアイテムなので、バイク・徒歩キャンパーにとっては携行しにくいものです。
そんな場合には、使わないときはコンパクトにまとめて携行できる、火消し袋を準備しておくことをおすすめします。こちらも、耐火素材でできているため、高温の炭を安全に消火して持ち帰ることができます。
【基本】焚き火を鎮火させる3つの手順
1.薪を火バサミ割り広げる
まずは、薪を完全に燃やし切ります。ですが、燃えて小さくなった炭の表面積は少なくなるため、なかなか燃え尽きません。そのため、火バサミを使用して割り広げるようにして酸素が触れやすいようにします。
さらに完全燃焼を早めるには、うちわや火吹き棒を使用して酸素を送送り込むのもおすすめです。完全燃焼に近づくと、火バサミつかむだけで炭が折れるようになります。
2.小さく砕く
次に炭が燃え尽きているかを確認します。燃え切った炭は火バサミで突くだけで粉々になるため、この状態になったら火消し壷へ移していきましょう。火バサミを使用してひとつずつ移動させたあとに、フタをしてしばらく置くと温度が下がります。
火消し壺がない場合
火消し壺は必須のアイテムとはいえませんが、安全性を高めるために使用することをおすすめします。しかし、火消し壺を用意できない場合もあるでしょう。その際は、バーベキュー用アルミホイルを持参し、火消し壺で処分するときと同様に、アルミホイルで酸素の供給を絶つように炭を包んで処分してみてください。
3.砕いた炭に水をかける
火消し壺にフタをし、冷めるのを待ってからフタを開けて水をかけます。この時、冷めきっていない高温状態の炭に水をかけてしまうと、水蒸気が上がりやけどにつながるおそれがあるので注意してください。
また、水をかける際、注ぎ口が細いケトルなどを使用することがおすすめです。少量ずつ水をかけた方が安全に消火できます。
【シーン別】灰を捨てるときの注意点
灰捨て場があるキャンプ場の場合
灰捨て場があるキャンプ場では、完全消火されたことを確認してから捨てに行きしょう。灰捨て場にはいろいろなタイプがありますが、ドラム缶のように排水する機構が備えられていない場合、水を切ってから捨ててください。
また、灰捨て場には灰以外のものを捨てないようにしてください。燃え切っていない薪やゴミを一緒に捨てるのはマナー違反です。
灰捨て場がないキャンプ場の場合
灰を持ち帰った場合、新聞紙などに包んでから、自治体の指定する方法で処分しましょう。また、キャンプ場によっては灰捨て場が用意されていないものの、ゴミとして捨ててもよい場合があります。事前に施設管理者へ確認のうえ、適切に処理しましょう。
焚き火を消火する3つのポイント
1.薪を燃やし切る
基本的に焚き火は、薪を燃やし切って終えることが理想的です。薪が完全燃焼して灰になれば、これ以上燃えることはありません。薪が灰になるまでの時間は天候や薪の種類によって異なりますが、2時間程度だとされています。そのため、焚き火を終える予定の2時間前には、追加で薪をくべないようにしましょう。
2.密封して鎮火する
火消し壺を使用すると、密封して鎮火すると安全に消火できます。薪の火が落ち着いている場合、容器に薪を入れて密封すると水をかけなくても短時間で鎮火可能です。
しかし、燃えている状態の薪を入れた火消し壺はとても高温になるため、注意しましょう。また、素手で触らないようにするとともに、子どもが側に近づかないように配慮してください。
3.水に浸ける
火の勢いが強い薪をすぐに消火したい場合、薪を水に浸けます。バケツに水を張り、1つずつ薪を浸けて消火することで薪の熱が断たれて消火することが可能です。しかし、表面を水に浸けただけでは、中心部の熱を取ることはできません。そのため、湯気が出なくなるまで水に浸すようにしてください。
焚き火の後始末をする場合の3つの注意点
注意点1.キャンプ場のルールに従う
焚き火のときに出た灰は、キャンプ場の指示に従って処分します。不明点が無いように、事前に施設管理者まで相談したうえで、正しい処理方法で片付けるようにしてください。消火してから後片付けするまでが焚き火だと覚えておきましょう。
注意点2.完全に消火したことを確認する
焚き火で出た炭は、一見しただけでは鎮火していることがわかりません。見た目には消えているように見えても、燃え続けていることがあります。完全に消火するには、以下の方法を行ってください。そのうえで、灰が冷めたことを確認し、適切に処理しましょう。
・燃やし切る(白い灰になるのを待つ)
・水に浸ける(バケツに水を貯めて浸ける)
・空気を遮断する(火消し壺に入れて密封する)
注意点3.灰をその場に埋めない
「土に埋めたら空気が遮断されて簡単に消えるだろう」と熱を持った状態の灰を埋めないようにしてください。浅く掘った穴では空気が遮断されるようなことはなく、逆に山火事の危険性が高まります。また、木の根などに引火することも十分考えられるでしょう。そもそも、キャンプ場に穴を掘る行為自体がマナー違反です。
これで安心!後始末の方法をマスターしよう!
焚き火を楽しむには、後始末まできちんと行う必要があります。適切に後始末ができていなければ、山火事を発生させてしまいかねません。また、薪の状態ごとに適した消火方法で処理しなければ、自分自身が大けがをしてしまうおそれもあります。
ぜひ、この記事でご紹介した正しい後始末のコツや注意点を参考にして、安全に焚き火を楽しみましょう。
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出典:unsplash.com