トレッキングポール
トレッキングシューズ
ジョージ・マロリー
ウルトラライトハイキング
トレッキングとは登山よりも楽なアウトドア
トレッキングとは何か?登山とハイキングとの違いを難易度で表すと、ハイキング<トレッキング<登山となります。アウトドアとしての難易度は、登山が最も高く、次にトレッキング、そしてハイキングという順番です。この根拠はハイキングとトレッキングの英語の意味から明らかにできます。
しかし最近は旅行業界などで境界が曖昧になってきています。これらの違いなどをご紹介するので、ぜひご参考にしてください。
トレッキングの語源や意味
「トレッキングとは?」辞書による定義
トレッキングとは英語で「trekking」と書き、英語「trek」の現在進行形です。以下のように複数の英語辞典を調べてみると「trek」という言葉の意味は、「長時間歩くこと」と捉えることができるます。
英和辞典によってはさらに詳しく、「トレッキングとは山麓歩き」を指しているものもあり、以上のことから言葉上の意味ではトレッキングとは、″山頂を目指す登山ではない″との結論が導かれ、登山とトレッキングとは別ものといえるでしょう。
①「牛車旅行(の1日の行程)」・②「《一般に》(長い骨の折れる)旅行,移住」
名詞:「長く苦しい旅」、自動詞:「長く苦しい旅をする;ゆっくり進む」、口語:「(長時間歩く)山麓歩き」
山頂を″通過″するトランピング
トレッキングとは″山頂を目的とした登山ではない″ですが、山中を長時間歩く途中で、山頂を通過しなければいけないこともあります。その場合の登山は、トレッキングの″一過程″として含まれているだけです。
日本では馴染みのない言葉ですが、このような形態をニュージーランドでは「トランピング(tramping)」と呼んでいます。
「トレッキングとは?」旅行会社の扱い方
旅行会社におけるトレッキングという用語の扱いを見ると、初級向けの山登りを指している場合が多いようです。ある旅行会社は、短時間登山の「丹沢の大山トレッキング」や「金時山トレッキング」などのタイトルで募集しています。
しかしモンベルは自社ホームページの「トレッキング」コーナーで、時間の掛かる百名山やテント泊をテーマにしたツアーを掲載しています。以上のことから旅行会社においては、トレッキングと登山との違いは明確ではないといえるでしょう。
トレッキングの目的や魅力
トレッキングの目的
トレッキング最大の目的とは、長時間歩くことで得られる達成感です。さらに詳しくいうとトレッキングの目的は大まかに2つあります。
1つは「徒歩でないと観られない何かを観ること」で、歩くことで何かを発見できるのがトレッキングです。2つめは「長時間歩くことそのもの」といえます。トレッキングとは、歩くという行為自体に喜びを見出すことです。
トレッキングのフィールド
トレッキングのフィールドとは山麓だけではなく、他にもさまざまなフィールドがあります。川沿い(リバートレッキング)・牧草地帯(ランチウェイトレッキング)・雪原(スノーシュートレッキング)などです。鉄道の廃線(廃線トレッキング)、四国八十八か所(歩き遍路)の巡礼道もフィールドに該当するとされています。
これらのフィールドを見てもトレッキングの目的とは、長い道のりを思い思いに楽しみながら歩くことといえます。
トレッキングの服装や装備と道具
トレッキングの服装
トレッキングの服装とは基本的に、「下着(アンダーウェア)」・「中間着(ミドルウェア)」・「アウター(上着)」による重ね着(レイヤード)となり、着こなしは季節によって替えてください。
ミドルウェアとは、シャツやフリースなどの重ね着の重要なポイントになります。アウターとは一番外に着る上着のことで、防寒性と防水性を備えているものが便利です。これらに加えて日差し除けの帽子も準備します。
服装は機能性の高いものを選ぶ
フリース
服装は、アンダーウェア・インナーウェアは吸湿性と速乾性の高いものを選ぶ必要があります。汗をかくと動きが鈍くなったり風邪をひいたりしてしまうため、汗をすぐに吸い取って乾燥してくれる素材がおすすめです。暖かい季節は脱ぎ着しやすいシャツや薄手のフリースを、寒い季節は厚めのフリースやセーターを着ます。
内にこもった熱を蒸散する機能があるアウターは、急な雨にもレインウェア代わりになります。さらに防寒性が高いものにするとよいでしょう。
トレッキングの装備と道具
トレッキングシューズ
トレッキングで必要な基本的装備とは、トレッキングシューズとザックになります。トレッキングシューズとは、スポーツシューズとは異なるクッション性の高いソールを指し、長時間の歩行でも疲れにくいのが特長です。防水性・耐久性がある点も購入の際の大切なチェックポイントとなります。
さらに足首を覆うタイプ(ハイカット)のトレッキングシューズは、万が一転倒したときに足首を保護してくれるため安全です。
トレッキングポールも便利
トレッキングポール
トレッキングポールとは登山用のストックのことをいい、坂道を登るときや長時間の歩行で疲れ気味の身体を支えるのに便利な道具です。素材は、軽量なカーボン製と頑丈なアルミ製の2種類があります。扱い慣れてないトレッキング初心者はアルミ製がおすすめですが、なるべく軽量で扱いやすいものを準備してください。
扱うときの注意点は、先端で植物や道路を傷つけないこと、休憩中に道に放り出して他の登山者の邪魔をしないようにすることなどです。
トレッキングをするときの注意点
事前準備をしっかりする
トレッキングをするときに大切なことは、事前に準備をしっかりしておくことです。準備するものは服装や装備・道具の他に、当日に必要な飲料水と携行食があげられます。
飲料水はスポーツドリンクなどを、天候や歩く距離に応じて用意しましょう。携行食とはおにぎりやバナナなどの腹持ちのよい食料です。他にも糖分補給になる甘いものも準備しましょう。飲料水と携行食の他に、絆創膏などの救急用具も準備すると万が一の際に便利です。
トレッキングルートの情報も収集しておく
トレッキングはわかりにくい場所を歩くことが多いため、地図でのルート把握が必要です。万が一のことも考えてエスケープルートもチェックしておきましょう。エスケープルートとは、住宅街や幹線道路にアクセスしやすい最短ルートのことです。
地図の準備以外には、事前に訪問地の観光協会などのホームページで情報収集もおすすめです。トレッキングは自分が歩くルートを頭の中にしっかり入れておくことで、楽しみがさらに広がることでしょう。
初心者はツアー参加がおすすめ
トレッキングの初心者は、数回は「経験者と歩く」、または旅行会社などが主催している「トレッキングツアーに参加する」ことから初めてください。初心者がいきなり長距離を歩くのは危険性が高いため、単独トレッキングはツアーなどで慣れてから挑戦しましょう。
体力をつけておく
最大のトレッキングにおける注意点とは、自然の中を歩く場合のトレッキングは途中で引き返せないため、最後まで歩きぬく体力が求められる点です。
長距離トレッキングは体力を途中で消耗してしまうことも多く、体力のない人がいきなりトレッキングに出るのはおすすめしません。運動不足の人は長距離トレッキングに備え、実際にトレッキングシューズを履いて近所を毎日数㎞歩くなど、事前に相応の体力をつけておきましょう。
登山とハイキングはトレッキングと違う
登山の意味と目的
「登山」とは何か?というと、意味は文字どおり「山に登ること」で山頂を目指すこと(ピークハント)に他なりません。また登山の目的もずばり、頂きに立つことです。
トレッキングやハイキングとは違い身体的苦痛がかなり伴う行為ですが、山頂に到達したときの喜びは非常に大きなものになります。登山最大の意義は、山頂でしか見えない景色や山頂に立てた達成感などを味わうことです。
かつての日本における登山の目的
かつての日本は、山を霊なる存在とする神仏習合の山岳信仰が盛んでした。6世紀以降には羽黒山・月山・立山・富士山などが開山され、修験者などの霊力があるとされる人だけがこれらの山に入る時代が続いたのです。
ところがこのような山岳信仰は、明治時代に新政府による神仏分離令によって衰退していきました。しかし現在も山岳信仰の名残がある山も多く、山を崇める精神が根付いていることが感じられます。
西洋における登山の目的
ジョージ・マロリー
「なぜ、山にのぼるのか。 そこに、山があるからだ」
西洋における登山の考え方とは、自然を征服するためのものといわれています。自然は人間のために存在し、人間が暮らしやすくするために開発すべきものとの考えです。
日本に西洋的な考え方と登山技術が入ってきたのは明治時代の、″お雇い外国人″である英国外交官のラザフォード・ウォールコックやアーネスト・サトウら西洋の技術者たちによってとされています。
ハイキングの語源、目的と意味
ハイキングとは英語で「hiking」と書き、英語「hike」の現在進行形です。さらには「てくてく歩く」「徒歩旅行をする」などの定義もあります。数々の英語辞典から「hike」とは「歩くこと」に尽きるといえるでしょう。
しかし距離については、トレッキングのように「長時間歩く」「長く苦しい旅をする」との概念がないため曖昧です。この点からトレッキングよりもハイキングのほうに気軽さが感じられます。
ウルトラライトハイキングとは?
ウルトラライトハイキング
本書ではアメリカ生まれのウルトラライトハイキングを解説するとともに、日本での実践方法を紹介しています。
最近注目されているスタイルは、″ウルトラライトハイキング″という荷物の総重量を約7㎏以下にして数千㎞を歩くハイキングです。数千㎞なので決して気軽とはいえず、むしろトレッキングというほうが合っています。
この点においてトレッキングとハイキングの違いが曖昧といえますが、荷物が軽量なことから″気軽なハイキング″ととらえる人もいます。
トレッキングで自然や街を楽しもう!
「トレッキング」とは辞書を見ると″長時間山麓などを歩くこと″で、目的は長時間歩くことで何かを発見することです。「ハイキング」は″ぶらぶら歩く″ことで、「登山」は″山頂を目指すこと″になります。つまりトレッキングとは登山より簡単ながらも、ハイキングほどの気軽なスタイルではないということです。
しかし実際にこれらの違いは曖昧なため、初心者は迷うところです。ツアーに申し込むときの注意点として、これらの違いを意識しておくとよいでしょう。
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