自転車部品「ステム」とは
自転車部品の一つである「ステム」とは簡単に言うと自転車のハンドルとフロントフォークの連結器具です。ステムは自転車のハンドル位置を決定づける役割を果たし、新しいものと交換すれば自転車のハンドルバーの位置をある程度、自由自在に変更できます。
そのため、自転車やロードバイクに乗り慣れたサイクリストが最初に試すカスタマイズとしてステム交換が選ばれやすいのです。種類やデザインも様々で選ぶ楽しさも味わえるでしょう。
ステムを交換するメリットとは
ステムは自転車のハンドルとフレームの位置関係を決定づける部品ですが、交換するメリットを押さえておくといいでしょう。交換するメリットとして、主に自転車乗車姿勢の改善による「走行ストレスの軽減」・「加速力の向上」が挙げられます。
つまり、ステムを交換して自分の目的に最適な乗車姿勢を目指すことにより、自転車やロードバイクの運転を長く快適に楽しんだり、スピード重視の乗車姿勢でスコアアップを実現することができるのです。
ステムの構造とは
ステムの種類は構造によって大きく「スレッドステム」と「アベットステム」の2タイプに分けられます。また自転車パーツである「ステム」には様々な長さの規格が設けられていますが、パーツサイズや角度の違いによる特徴も解説しますので押さえておきましょう。
サイズや角度といったパラメータの他にも素材のバリエーションも豊富です。それぞれの種類のポイントを押さえて選び方の参考にしてみましょう。
ステムの構造種類
①スレッドステム
スレッドステムは伝統的なタイプであり、かつては一般自転車やロードバイクの主流となってました。スレッドステムのコラム下部には「ウス」が設けられており、この「ウス」がフォークコラム内部で内側から押し広げられることにより、取り付けられる構造です。
シンプルな構造のため、ハンドルバーの位置調整は割とスムーズに行えますが、その分強い負荷には弱いため、激しい運動を伴う自転車競技には向きません。
スレッドステムの規格
スレッドステムの規格を紹介します。スレッドステムの規格にもバリエーションがありますが、簡単にでも把握しておくといいでしょう。
コラムサイズ | 「22.2mm」・「25.4mm」 |
バークランプ径 | 「22.2mm」・「25.4mm」・「26.0,,」 |
突出長 | 最大150mm |
角度 | 0~60度 |
②アヘッドステム
アベットステムは前方に突き出ている外観が特徴的なスポーツタイプです。汎用的なタイプのスレッドステムに対し、ロードバイクなど競技用自転車に特化したステムであり、競技パフォーマンス向上にむけて様々な種類の製品が開発されています。
コラムをクランプ部で横からしっかりと挟み込む構造のため、保持力抜群。スペーサーの厚みを変えることでハンドルバーの高さ調整を行えますが、少々手間になるので注意が必要です。
アベットステムの規格
アベットステムの規格をみていきます。アベットステムは従来型のスレッドステムよりも新しい規格を採用しており、ややバリエーションが豊富です。規格は取付けの際に重要な参考数値となるため、愛用の自転車と間違えないように注意しましょう。
コラムサイズ | 「25.4mm」・「28.6mm」・「31.8mm」 |
バークランプ径 | 「22.2mm」・「25.4mm」・「26.0mm」・「31.8mm」 |
突出長 | 最大150mm |
角度 | 0~60度 |
ステムのサイズによる違いとは
続いてステムのサイズによる違いをみていきましょう。ここでは「短い」タイプと「長い」タイプとに分けて、それぞれの特徴を解説します。サイズもまた、自転車やロードバイクの利用目的によって推奨されるタイプが異なるため、しっかり押さえておきましょう。
①長いステム(140mm~)
長いタイプを取り付けるとハンドル位置が遠くなるのに伴い、やや前屈みの姿勢になりやすくなります。そのため、ペダルを強く踏み込める力強い走りを実現しやすくなり、競技志向の強い自転車利用者向けです。
また長いタイプではハンドル操作からタイヤへのレスポンスが割とゆったり目になるため、手振れなどによる影響を減らし、自転車運転時の事故防止や心身への負担軽減効果を期待できます。現状の悩みや課題に応じて長さを検討しましょう。
②短いステム(30~60mm)
短いタイプを取り付けると、ハンドルバーとの位置が近くなり、アップライトの姿勢をとりやすくなります。そのため、長時間の自転車・ロードバイクをする際には、腰への負担を軽減できるので、長距離サイクリストにおすすめです。
また、短いタイプではハンドル操作が敏感になり、ダイレクトな操作感を得られるようになります。ただし、極端に短い製品を取り付けると却って敏感になりすぎて、自転車の舵取りが大変になるため注意しましょう。
ステムの角度による違いとは
ステムの角度には、いくらかのバリエーションがあります。その中でもロードバイクなどでは一般に73°(-17°)か84°(-6°)のステムが主流です。
ただし、実際のステム角度はフレームのパーツの一つである「ヘッドチューブ」の角度との合算で決まります(例:-17°のヘッドチューブに-6°のステムを装着の場合、17-6=11°。)愛用自転車のヘッドチューブ角度をよく確認した上で、角度を選定してみましょう。
①低い角度
ステムを低い角度で設置するとハンドル位置は遠くなります。ハンドル操作性に満足しているものの、ハンドル位置がやや近いと感じている方は、ステムの角度だけを低くすることにより、長さはそのままで納得いくポジションに調整することが可能です。
サイズ種類の項目でも述べた通り、自転車のハンドル位置が遠くなれば、自然と前傾姿勢になりパワフルな走りが可能なため、目的に応じてステムの角度にも注意してみましょう。
②高い角度
高い角度のタイプを設置するとハンドル位置は近くなります。使用しているステムに満足しているものの、若干ハンドルを近くに欲しいという方は、角度をわずかに変えてハンドルポジションの微調整を行い最適な状態に仕上げることが可能です。
上述の通り、自転車のハンドルが近いと、自然と背筋の張った姿勢になり、身体を痛める心配はありませんね。また、角度が変われば見た目にも影響があるため、外観のポイントとしても考えられるでしょう。
ステムの素材について
自転車のフレームやハンドル部には様々な素材を使用して差別化が図られていますが、ステムにおいても同様に目的に合わせた素材が用いられて成型されています。代表的な素材にはアルミニウムやカーボン素材が挙げられますが、チタンが採用されている製品もあるので特徴を押さえておきましょう
各素材の詳細
ステムの素材は下記に示す種類の素材で成型されるケースが多いです。それぞれの特徴を把握しておきましょう。
①アルミ素材 | アルミ素材は安価のため、初期費用を抑えたい方におすすめの素材。 |
②カーボン素材 | 軽量性に優れ、弾力性にも富んでいる素材です。走行時の衝撃を緩和する効果もあり主流の素材になってきています。 |
③チタン素材 | 金属素材のため、強度・耐食性に優れていますが、値段は大分高額となるのであまり用いられない素材です。 |
自転車目的に合わせたステムの選び方を解説
ステムの特徴や種類について紹介してきた。ここでは、先の項目で述べたポイントを踏まえて選び方を解説していきます。自転車・ロードバイクに対してカスタマイズの一環としてステム交換をする方は、交換の目的を明確化しなければなりません。
また、自転車のメーカーによっても装着可能なパーツサイズ規格が多少異なるケースもあるので、事前に取付けできるサイズかどうか注意してみましょう。
サイクリング目的の選び方
サイクリングをより快適にストレスなく楽しみ目的でステム交換を検討される方には、やはり短く高い角度のタイプがおすすめになります。また、防振性のあるカーボン素材の中から選定する選び方を採れば、不安定な路上でも手への負担を軽減可能です。
自転車競技でのスコアアップ目的の選び方
自転車競技などに参加してスコアアップ目的でステムなどのパーツを交換することを検討している方には、反対に長くて低い角度のタイプからの選び方がおすすめです。前傾姿勢を維持しやすいものを選ぶことで自転車のパフォーマンス向上が期待できますね。
自転車パーツ「ステム」の交換方法とは
ステムの交換方法を解説します。目的に合った製品を購入し、交換しても正しい手順を踏まずにガタがあるまま使用してしまっているケースもあります。交換前に、正確な交換手順をしっかりと確認しておきましょう。
ステムの交換手順①ハンドルバー取り外し
交換をする際、自転車のハンドルバーを取り外す必要があります。ステムの前方にハンドルを締結してるボルトが4本あるので六角レンチを用いて慎重に取り外してください。作業の際、ハンドルを落下させないように注意しましょう。
ステムの交換手順②コラムから取り外す
自転車のハンドルバーを外せたらコラムの取り外しにとりかかります。まずは。トップキャップを六角ボルトで外しましょう。続いてステム側面のボルト2本を六角ボルトで緩めればコラムから簡単に取り外せます。
ステムの交換手順③新しいステムを装着
自転車からステムを取り外せたら新しい製品を装着しますね。基本的には取り外しと逆の順序を辿っていきます。新しい製品を装着の際、コラムに付着した汚れを落としたりグリスを流布するなどのメンテナンスを行っておくと次に交換する際、スムーズに行きやすいです。
新しい製品を自転車に装着した際、ガタが気になるようであれば適宜スペーサーを活用しましょう。
ステム交換時の注意点
ステム交換の際、注意点があります。まずは取付け先の自転車パーツ規格と一致することを確認すること。また、交換時にガタがないように装着するのも重要です。ガタを残したままにすると走行性能にも悪影響が懸念されますね。
ガタを防ぐポイントとして「スペーサーを詰める」または「一度にステムを締め付けず、仮固定した後トップキャップも装着し、遊びの無いことを確認しながら、各ボルトを徐々に均等に締めていく」などがあります。
自転車パーツの「ステム」を見直してみよう
自転車ステムの特徴や選び方、交換時の注意点などについて解説してきました。ステムは割と小型のパーツですが、サイズや角度のバリエーションが豊富で、ベテランのサイクリストでもベストな製品を探し当てるのに苦労するほど奥が深いのが醍醐味ともいえるパーツです。
いろいろな製品を試してベストなステム探しを楽しみましょう。
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