おでんは場所を選ばない最強の鍋料理
おでんは日本を代表する食文化といえますが、起源は竹串に豆腐を打って焼いた「田楽」にあります。本来田楽の意味は、田植えのときに五穀豊穣を祈る舞い(長い棒に人間が乗って跳ぶ)にあり、その形が食べ物の「田楽」が似ていることから名付けられたそうです。
現在の煮込みおでんの原型は、明治時代に東京にあったおでん専門店といわれています。関東大震災では炊き出し料理として振舞われたことが示しているように、おでんは場所を選ばない最強の鍋料理といえそうです。
冬キャンプにおでん鍋がおすすめの理由
①身体を温めてくれる
おでんの魅力はいうまでもなく、身体を芯から温めてくれることにあります。具材の美味しさもありますが、いろいろな具材のうま味が染みこんだスープは何とも言えない味わいがし、冬キャンプで冷めた身体を内側から温めてくれるのです。おでんが身体によいといわれる理由でもあります。
スープを一滴も残すことなく楽しめるのも、おでんを始めとする鍋料理の素晴らしさといえるでしょう。
②好みの具材を持ち寄れる
多種類の具材を楽しめるおでんのよさは、好みの具材を投入できる点にあります。グループキャンプに限りますが、参加者の好みでさまざまな具材を持ち寄るのも楽しみの一つです。
具材に偏りが出てしまうかもしれませんが、「何か珍しいものを」などのルールを決めて一品だけ持ち寄るのもよいのではないでしょうか。小揚の中にお餅ではなく、美味しいけれど意外性のあるものを詰めてみるのも闇鍋的なニュアンスがあり、冬キャンプではさらに喜んでもらえそうです。
③一つの鍋を囲んで仲良くなれる
おでん鍋は、気持ちの面でも冬キャンプでは活躍してくれそうです。仲間で一つの鍋を囲みながら過ごす時間は、きっとかけがえのない思い出を作ってくれることでしょう。おでん鍋を仲間と身体を寄せながら食べると、身体だけではなく心まで温かくしてくれそうな気がしますし、冬キャンプならではの醍醐味といえます。
冬キャンプのおでん鍋の秘訣:下ごしらえ
①根菜類などの下ごしらえ
おでん鍋に大根やニンジンなどの根菜類を入れるときは"面取り"をしますが、キャンプ場で行うよりも自宅で事前に調理の下ごしらえをしておくと時間の短縮になります。角を取って丸くすると火の通りが早くなると味が染みやすいため、ぜひ冬キャンプでも実践してください。
面取りした大根は電子レンジで加熱し、ファスナー付きビニール袋に冷たいおでんつゆと大根を入れて味を染みこませます。キャンプ場へはこのままで持参し、キャンプ場についてから鍋に投入してください。
②ゆで卵の下ごしらえ
ゆで卵の味付けは人によって好みが分かれますが、いずれにしてもキャンプ場に出かける前に自宅でゆで卵にして持参しましょう。味付けにする場合は、ファスナー付きビニール袋にゆで卵とめんつゆを入れて漬け込んでおきます。このままキャンプ場に持っていき、キャンプ場に着いてから鍋に入れてください。
ゆで卵をさらにくんせい卵にするのも、味わい深くなるのでおすすめです。冬キャンプを盛り上げるためにお好みでいろいろ試してみてください。
③こんにゃくの下ごしらえ
こんにゃくも下味を付けておくと味わい深くなり、おでんも美味しくいただけます。板こんにゃくの表と裏に隠し包丁を入れて適当な大きさに切ってください。ファスナー付きビニール袋にこんにゃくと砂糖を入れて数分もみこみます。こんにゃくの水気を切ってからめんつゆなどの好みのタレに漬け込んで完成です。
④巾着料理の下ごしらえ
普通は巾着料理にはお餅を入れますが、お楽しみ袋のような感覚で、各自がいろいろな美味しい食材を入れていくのもおすすめです。何が入っているか食べるまでの楽しみというのも、グループキャンプのよい点。巾着料理はおでん鍋の美味しいスープが閉じ込められており、なおさら冬キャンプにおすすめの料理といえるのではないでしょうか。
お餅以外で中に入れる具材でおすすめなものは、ゆで卵・ひき肉のお団子・つみれ・チーズなどアイデア次第でいろいろお試しください。
冬キャンプのおでん鍋の秘訣:アレンジする
①串おでん鍋にして食べやすくする
おでん鍋はにぎやかに箸でつつきながらいただくのが楽しい料理ですが、家族以外の場合は配慮が必要なことも。そのようなときは箸を使わない"串おでん鍋"がおすすめです。すべての具材におでんを刺すことで衛生面での心配もありません。
具材に串を刺す作業は、キャンプ場でみんなで楽しく分担しながら行えば早くに終わります。
②ご当地おでんを楽しむ
一種類のおでん鍋だけではなく、いくつかの鍋を用意すると冬キャンプがさらに盛り上がることでしょう。おでん鍋は地域によって、微妙に味付けや具材が変わります。有名なところでは、八丁味噌などで調理する甘辛い「名古屋風おでん」・黒はんぺんや豚モツなどをコクの深い黒い汁で煮込む「静岡風おでん」です。
具材では、「札幌風おでん」が冬の味覚である真だち(真鱈の白子)やフキ・ワラビを入れることもあります。「大阪風関東煮おでん」には牛筋とタコが欠かせません。
③スープを利用して朝ご飯を作る
おでん鍋のスープはさまざまな食材のうま味が溶けており、残すところなく最後の一滴まで飲み干したいものです。しかしそこをぐっとこらえて翌日の朝食のおじやにしてみてはいかがでしょうか。
ご飯以外にもうどんやお蕎麦、ラーメンでもおいしくいただけます。溶けるチーズもたっぷり入れて洋風にするのもおいしそうです。
冬キャンプにおすすめなおでん鍋レシピ
①定番の簡単おでん鍋
おでん鍋は、とにかく簡単に作れるのも大きな特徴です。基本的なおでん鍋の作り方は、だし汁を入れた鍋に好みの具材を投入してぐつぐつ煮るだけ。しかし、だしがおでん鍋の美味しさを左右するため、こだわりたいときは結び昆布(普通の昆布でもOK)などでしっかりだしを取りましょう。
もっと簡単におでん鍋を作りたい人は、"おでんの素"が便利です。これであれば超時短のため、冬のキャンプ鍋でもあっという間にぽかぽかおでん鍋をいただけます。
材料:●水…5カップ ●醤油…大さじ2 ●酒…大さじ2 ●みりん…大さじ2 ●ほんだし…大さじ1 ●塩…少々
【具材】●大根…2/3本 ●こんにゃく…1枚 ●結び昆布
…4個 ●卵…4個 ●お好みの練物や具材
②名古屋風味噌煮込みおでん鍋
名古屋風味噌おでん鍋は愛知県全域で食べられていますが、やはり八丁村(現岡崎市八帖町)で生まれた八丁味噌を使うとさらに味わい深く感じられることでしょう。入手できればぜひ八丁味噌で調理してみてください。
愛知県独特の味噌おでんは、本来は具材が入った土鍋の中央に味噌壺を置いて具材を味噌だれにつけて食べるスタイルです。ご紹介する作り方は煮込むタイプですが、味がじっくり染みこんでおり美味です。辛子を添えてお召し上がりください。
材料(2人分):【調味料】●味噌…大さじ4 ●砂糖…大さじ2 ●酒…大さじ2 ●醤油…大さじ1 ●みりん…大さじ1 ●水…500cc 【具材】●大根…1/4本 ●ゆで卵…4個 ●こんにゃく…1袋 ●人参…1/2本 ●ちくわ…2〜3本 ●油揚げ…2枚
●餅…2個
③静岡風おでん鍋
静岡風おでんは、醤油ベースにだしをしっかり効かせた味わいが特徴です。あとはぐつぐつ味と色が染みこむまで煮込むこと。
具材は、サバやアジなどが原料の黒はんぺんもあると完璧ですが、手に入らないときは通常のはんぺんでもOKです。じっくり煮込んで、具材のうま味が溶け出した醬油の香ばしさを堪能してください。
材料:●水…1.5L ●醤油…150cc ●砂糖…大さじ1 ●みりん…大さじ1 ●酒…大さじ1 ●白だし…大さじ2 ●干し椎茸…適量 ●かつお節…適量 ●たまご…4個 ●大根…1/2本 ●ちくわ…2袋 ●こんにゃく…2袋
④変わり種おでん鍋
おでん鍋の種は巾着料理の作り方を工夫することで、"変わり種"おでんのレパートリーを増やせます。簡単なレシピは、鶏ひき肉とモヤシを塩コショウで軽く味付けして油揚げに入れたもの。
おでんのつゆが巾着料理にじんわり染み、反対に巾着のひき肉のうま味がおでん鍋ににじみ出ます。ジューシーな巾着料理をお楽しみください。
材料:●鳥挽肉…180g ●塩胡椒…各少々 ●ショウガ…お好み ●モヤシ…適量 ●油揚げ…3枚 ●麺つゆの素…適宜
冬キャンプのおでん鍋の秘訣:便利グッズ
①具材が混ざらない「ユニフレームクッカー」
ユニフレームUFおでん鍋
大勢で楽しむグループキャンプならば、おでん鍋は仕切りのある「ユニフレームクッカー」がおすすめです。具材が鍋の中で混ざらず型崩れもせず、具材の残り個数も一目瞭然です。
グリルに置くだけで鍋を暖められるため、半分のスペースでバーベキューを使い、半分のスペースでおでん鍋を使うという風に合理的に使えます。
②事前に作り置き保温「シャトルシェフ」
シャトルシェフ
真空保温調理をする「シャトルシェフ」は、火を熾さなくてもガスコンロを持っていけば、一度加熱調理したおでんを温かい状態で食べられる便利なお鍋です。寒い冬キャンプでは、事前に作り置きしておけばよいので時短優先のときはとても重宝します。
荷崩れが心配な具材もきれいなまま煮込めるので安心です。寒い冬キャンプは、おでん鍋のあとに甘酒を作りたいときにも便利なグッズといえます。
③ソロキャンプ御用達「ストームクッカー」
ストームクッカー
ソロキャンプでおでん鍋を楽しみたいときは、一人前のおでんが使い切れるストームクッカーがおすすめです。ストームクッカーは、アルコール燃料を使うバーナーと五徳、鍋がセットになっている超便利キャンプグッズ。シングルバーナーを使う必要がないともいわれるほどに、ソロキャンプでは活躍してくれます。
ストームクッカーがあれば、すでに具材が調理済みで、だしがセットになっているおでんを買ってくるだけです。これでソロキャンプでも満喫できることでしょう。
④ソロ用おでんセット「AUDEN」
「AUDEN」は、仕込みも一切不要のアウトドア用の本格割烹おでんです。煉りものだけではなく、保存料が無添加の食材とだしがセットになっています。メーカーは大正14年創業の「かね貞」となり、ソロキャンパー御用達のメスティンにぴったり収まるサイズです。
味は4つあり、焼津産かつおだし使用の「かつおだし」と「カレーおでん」・北海道産昆布だし使用の「豆乳おでん」・名古屋八丁味噌使用の「味噌おでん」。冬のソロキャンプを盛り上げてくれることでしょう。
冬キャンプではおでん鍋を囲もう!
冬キャンプめしは、グループでもソロでも超簡単なおでん鍋がおすすめです。大根などの食材は下ごしらえの必要がありますが、あとはキャンプ場で煮込むだけなので便利。
おでん鍋の具材は定番の大根やこんにゃく、ゆで卵などの他に、いろいろな具材を詰め込んだ巾着料理も人気があります。アレルギーなどの配慮は必要ですが、何が入っているか食べてからのお楽しみというのも、キャンプを盛り上げてくれることでしょう。冬のキャンプ場で一味違うおでん鍋を味わってください。
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