基本的にデコパージュはどんな素材でもOK
フランス語で「装飾」という意味のデコパージュ(Decoupage)は、「切る」が語源といわれているように、紙の絵を切り抜いて小物や家具などに糊で貼る手芸の一種です。17世紀にイタリアの家具職人によって魅力が広まったそうですが、ルーツは東シベリアにあるといわれています。
裁縫などの細かい作業とは違って簡単なため、誰でも楽しめる手芸として人気です。最近は100円ショップで材料や道具が手に入ることから、ブームが広がっています。
ルーツは日本の"漆工芸"説もある
デコパージュは東シベリアがルーツとされていますが、一説には日本の漆工芸を真似て作ったともいわれています。漆工芸は幹を切ると出てくる艶のある樹液を使い、漆を塗り重ねたり文様を描いたり、金粉や夜光貝などの貝殻を貼り付けたりなどの製法によるものです。
このように製法は似ていますが、デコパージュのよさは手軽にできることにあります。
デコパージュの材料と道具
デコパージュの材料
デコパージュの基本的な材料は、木工ボンドなどの「糊(ノリ)」・「紙」・ニスなどの「コーティング剤(仕上げの艶出し)」の3つ。最近は100円ショップでデコパージュ専用の材料が販売されているため、そちらを購入するのもおすすめです。
ダイソーでは、糊の代わりになる「デコパージュ専用液」とニスの代わりになる「トップコート」が販売されています。「デコパージュ専用液」は、布製品用とそれ以外の素材用ですが、セリアで販売されているのはオールマイティ用です。
紙はキッチンペーパーがおすすめ
デコパージュで最も大切な材料となる紙は、やはり100円ショップでも販売されているペーパーナプキンがおすすめです。ペーパーナプキンは薄い素材で2~3枚重ねになっており、絵柄が印刷された部分を使用します。
折り紙や千代紙などの普通の紙でもデコパージュはできますが、厚さがあるため段差ができてしまいます。つるつるした触感を楽しみたいときはペーパーナプキンのほうがおすすめです。種類も豊富で可愛いデザインも多いペーパーナプキンは人気があります。
普通の紙の"厚み"も素敵
紙の種類は、段差ができない薄いペーパーナプキンがおすすめですが、包装紙などでお気に入りのデザインがあればぜひ取っておきましょう。普通の紙は厚みがあるので段差ができてしまいますが、手作りならではの愛おしい感触ともいえます。
好みのデザインを紙に印刷する
紙の種類はペーパーナプキンや普通の紙ではなく、クラフト紙などに好みのデザインをパソコンで印刷する人もいるようです。そうすることでさらにオリジナルなデコパージュ作品となります。
複数の柄を組み合わせる
絵柄は一つだけではなく、複数のものを組み合わせるデザインも素敵です。レース風のペーパーナプキンに宝石やお花の絵柄を配置したり、物語のように風景の絵柄に人物や動物を重ねたりもおすすめです。アイデア次第でいろいろなデザインができます。
デコパージュの基本的な作り方
デコパージュの作り方はとても簡単。基本的には4つの工程のみで素材によっても大きな変わりはありません。
コツは、薄いペーパーナプキンを使うときは丁寧に扱う、長持ちさせるには糊を厚塗りをするなどがあげられます。また曲面のある素材にデコパージュするときは、絵柄を少し大きめにカットするようにしてください。
①デザインを決める
デコパージュする容器などの素材に、紙の絵柄のどの部分を合わせるか決めておきます。つまり全体のデザインを決める大切なポイントのため、位置をいろいろ変えて考えてみてください。
絵柄を部分的に使う場合は、印刷してある部分をハサミで丁寧にカットします。ペーパーナプキンを使うときは、切ってからのほうが剥がしやすいようです。複雑なデザインの作業を中断しそうなときは忘れないように、事前にスマホで写真を撮っておくとよいでしょう。
②糊(ノリ)を塗る
器などの素材に、糊(または「デコパージュ専用液」)を下塗りします。塗り方のコツは、デコパージュする部分にムラなく万遍になるように横方向に一列ずつ、刷毛や筆で塗るようにしましょう。
むやみやたらに塗ると糊の厚みが出てデコボコし、つるつるの感触がなくなるのでご注意ください。
③紙(絵柄)を貼る
デザインを決めたとおりに素材に紙(絵柄)を貼ってください。指先で中央部分から外側に向かい、空気を抜くように貼るのがポイントです。版画で使う"バレン"があると便利ですが、キッチンペーパーなどをかぶせて丁寧になでつける方法もあります。
④仕上げ剤を塗る
すべての紙(絵柄)を張り終えたら、トップコートやニスなどのコーティング剤で仕上げます。全体に刷毛などでムラにならないように横一列にして均一に塗ってください。数分置いてノリが付かない状態になれば乾燥しているので、これでデコパージュの完成となります。
「布」素材のデコパージュの作り方
布素材のデコパージュは、バッグを始めブックカバー、最近人気のスリッポンにもおすすめです。特に白い布にデコパージュすると美しい柄が映え、オリジナル感も際立つことでしょう。
もちろん絵柄に合わせて色地の布も素敵なデコパージュ作品になるので、いろいろ試してください。基本的な作り方は他の素材と同じなため、布製品をデコパージュするときの注意点をご紹介します。
バッグは下敷きを挟んで塗る
ランチョンマットやハンカチなどの一枚ものは必要ありませんが、バッグは反対側の布地に糊が染みこまないよう、間に下敷きやクリアファイルを挟んでおきます。それからデコパージュの準備に取り掛かってください。
仕上げに防水スプレーを掛ける
シャツやバッグ、靴などの屋外でも使用する布地のデコパージュ作品は、仕上げに防水スプレーをしっかり掛けておくことをおすすめします。簡単なことではニスなどのコーティング剤の効果は失われませんが、念のために大切なデコパージュ作品を雨などの水分から守りましょう。
「板」素材のデコパージュの作り方
木材のデコパージュは、カッティングボードやティッシュケースなどの小物だけではなく、机やタンスなどの家具の一部にも効果的です。中にはカマボコの板を使用してマグネットを作る人もいます。アイデア次第で身近にある木材が素敵な小物になるよい例です。
木材にデコパージュする方法はいろいろありますが、ペーパーナプキンの柄が映えるようにアクリル絵の具やミルクペイントなどを事前に塗る方法や、木材の質感を活かすためにニスを塗る方法もあります。
①下処理:水性ニスを使う
木材にデコパージュするときは、木材本来のナチュラルな質感を活かすためニスで下塗りしてから、デコパージュをすることが多いようです。または、木材の質感を活かしつつもダイソーの「水性ニス」で色味を変えるのも人気です。
色味を変える「水性ニス ウォルナット」は、白っぽい素材の板を使い古したような味わいに見せてくれる艶出し塗料です。ウォルナット(クルミ)の樹肌のように、重厚感を演出してくれます。
②下処理:アクリル絵の具を使う
ペーパーナプキンの見映えをよくするため、アクリル絵の具などで下塗りする方法もあります。アクリル絵の具は画材店で、1本100円代で購入できるので便利で安価です。またはアクリル絵の具の代わりに、100円ショップの「ミルクペイント」を使うのも人気があります。
"クラフト紙"に好みの柄を印刷
ニスを塗った後に、糊を塗ります。それからペーパーナプキンなどの薄い紙を貼り付け、仕上げにニスやコーティング剤などのデコパージュ専用液を塗ってください。塗り方のポイントとして、空気で紙が膨らまないよう、筆や刷毛などで優しくなでながら貼るときれいに仕上げられます。
「ガラス」素材のデコパージュの作り方
デコパージュは、ガラス素材の小物などにも美しく映えます。木材や布素材とは異なり、ガラスの透明感や清涼感を演出できるのが最大の特徴です。絵柄が入ることでガラスのつるつる感がより強調され、美しさが際立ちます。
アンティークな雰囲気にしたいときは、数種類の色を使うカラーリングやクラックル(ひび割れ感)も素敵です。ガラスの透明感はなくなりますが、もちろん全面に貼り付けるのも人気があります。
①ガラス容器をきれいに洗う
ガラス素材の容器で作るデコパージュのよさは、何といっても透明感にあります。そのためデコパージュをする前に、ガラスに付いているラベルなどはもちろんホコリや油、指紋などをきれいに洗っておきましょう。
ガラス容器を石鹸と水で洗った後に糸くずの出ない布で乾かし、仕上げにアルコールを含ませた化粧用パッドなどで拭いてください。
②歪曲を考慮して紙をカットする
コップなどのガラス容器にデコパージュするときは、湾曲していることを考えて紙をカットしてください。ガラス素材に限りませんが、曲がっているものにデコパージュするときは少し大きめにカットするのが上手にデコパージュするコツとなります。
③糊を水で薄める
ガラス素材の容器は非多孔質(穴が少ない)のため、スムーズに糊が伸びないときもあります。そのため試験的に刷毛やブラシで試し、糊が伸びないときは刷毛やブラシに水を含ませてから糊を使うとよいでしょう。
身近な素材にデコパージュして楽しもう!
ほとんどの素材で楽しめるデコパージュは作り方が簡単なので、好みの絵柄の紙や素材でいろいろ作ってみましょう。最近は、布地や木材、ガラス素材だけではなく、石鹼の片面にデコパージュするのも人気があります。デコパージュしていない面を使えるので、気軽なプレゼントにもおすすめです。
デコパージュの基本的な作り方は4ステップですが、曲面素材は絵柄を大きめにカットするなどの細かい点にご注意ください。自分だけの素敵なデコパージュ作品を楽しんでくださいね。
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出典:ライター撮影