お米に沸いた虫はどこから来るの?
「コメビツを開けたらお米の隙間に黒い虫がいた」という経験をした人は多いでしょう。この黒い虫の正体は穀物を餌にする数種類の害虫です。商品の品質が悪かったのかと不安になる人もいますが、この現象は穀物を保存していれば不思議なことではありません。まずはなぜ虫がわくのか、その理由を解説します。
虫は外から侵入してくる
虫はとても小さいので僅かな隙間から米袋やコメビツの中に侵入します。そして中で餌を食べながら卵を産んでどんどん数を増やしていくのです。
また、例え米袋を完全に密封していても紙を食い破って中に入ってしまう幼虫もいます。ビニール袋の場合かじって破ることはできませんが、通気性をよくするために開けてあるとても小さな空気穴でも侵入できてしまうため油断はできません。
収穫時に混入することも…
お米は屋外で栽培されているので、直接卵を生みつけられてしまうこともあります。卵を産みつけられた米粒は製造の過程でほとんどが取り除かれるのですが、まれにすり抜けてしまうのです。そして製品として陳列されているときや自宅で保管されているときに卵が孵化して虫がわく原因となります。
ちなみに虫が最も活発に散乱し、卵が孵化する気温は18〜20度前後です。そのため「冬に買ったときはいなかったのに春になったら出てきた」というケースもあります。
毒はないのでお米は食べられる!
虫がわいていてもお米自体は問題なく食べられます。ただし、炊くときは念入りに取り除いてください。さらに虫が食べたお米は崩れやすく、本来の味わいが損なわれている可能性があります。食べられるからといって放置しないで、なるべく早めに退治して美味しさを守りましょう。
お米に虫をわかせない予防法
お米の虫はできるだけわく前の対処を心がけてください。一度に侵入を許すと、たくさんの卵を産み成長スピードも早いため際限なく増殖してしまいます。事前に侵入しにくい状態や住み着きにくい環境を整えることで害虫からお米を守るのです。おすすめの予防方法をピックアップしたので、お米の保存に活用してください。
予防法①密閉容器を使う
お米を買ったら必ず密閉された容器やコメビツに移して保存してください。袋のまま置いておくと隙間や空気穴から虫が入ったり、袋を食い破って侵入したりします。密閉容器でもわく可能性はありますが、袋のまま保存するよりもリスクを減らせるのです。
ペットボトルがおすすめ!
ペットボトルは蓋を閉めると密閉され、周りの食品の匂いも移りにくいためお米の保存にぴったりです。使用するときはもともと入っていた飲料の匂いが残らないようによく洗って、しっかり水分を乾燥させてください。水分が残っているとお米がしけたり痛んだりする原因になるので注意しましょう。
予防法②冷蔵庫にしまう
お米にわく虫の多くは20〜30度の環境で活発に活動します。一方で10度以下の環境では活動できず死んでしまうので、冷蔵庫で保存すれば繁殖を予防できるのです。ただし、冷やしたお米を長時間外に放置すると温度差で結露が発生してカビが生える原因になります。使う分だけ取り出したらすぐに冷蔵庫にしまってください。
予防法③唐辛子の防虫剤を入れる
唐辛子には高い防虫効果があります。「テルペノイド系化合物」という柑橘系の香り成分が含まれていて、これが害虫を遠ざけるのです。ただし市販の唐辛子は産地や成長具合で成分の量が違います。中にはあまり「テルペノイド系化合物」を含んでいないものもあるので、唐辛子成分を抽出したコメビツ用の商品がおすすめです。
お米に虫がわいたときの対処法
お米に虫が沸いた時、放置してしまうと米袋の中でどんどん増殖していきます。しかし、適切な取り方を行えばお米は食べられますし早く対処することで品質の劣化も抑えられるので安心してください。お米に沸いた虫の取り方をチェックして、害虫を素早く取り除きましょう。
対処法①ふるいにかける
虫がとても小さくて手で取り除けないときはふるいにかけてください。お米が落ちない程度の荒い網目のザルに入れて軽くゆすれば小さな虫や食べられて細かくなった粒が落ちてきます。一度に大量に入れるとうまく落ちてこないので少しずつ作業しましょう。
対処法②お米を広げて取り除く
新聞紙の上にお米を広げて虫を取る方法は確実に取り除けるのでおすすめです。このとき、粒同士がくっついているものや食べられているものも取り除いてください。ピンセットがあると作業しやすいので用意しておきましょう。最後に陰干しをして、見逃した虫を追い払えば完璧です。
対処法③洗米で浮かせる
お米を水につけると虫を取り除きやすくなります。炊く時にお米を水につけて少しかき混ぜると虫の死骸が浮き上がってくるので捨ててください。何度か繰り返して浮いてこなかったらいつも通り研いで炊飯してOKです。
お米に沸く虫はこんな虫
お米に沸く虫は1種類ではありません。穀物を主食にしている害虫は種類が多いので、同じ袋の中に別の種類が侵入しているケースもあります。お米を食べる虫の種類を把握しておけば痕跡を発見しやすくなるので、国内で見かけるメジャーな害虫をチェックしておきましょう。
コナナガシンクイムシ
コナナガシンクイムシは体長2〜3mmで赤茶色の虫です。でんぷん質を主食とするため、お米以外にも小麦や芋類、とうもろこしなどを好んで食します。主な生息地域は熱帯地方ですが国内でも見かける一般的な存在です。
この虫は顎が強く、米粒を噛み砕いてしまいます。また、幼虫はお米の内部で育つので成虫になるまで見つけるのが困難な存在でもあります。
コクゾウムシ
コクゾウムシは2〜3ミリ程度の小さな虫で、長く伸びた口がカブトムシのように見える姿が特徴的です。古くからお米をはじめとした穀物を食べる害虫として知られており「米食い虫」という異名を持っています。
28度前後で最も活発に活動や繁殖を行い成虫になるスピードが1ヶ月前後と早いため、気づいたら米びつの中がコクゾウムシだらけになっていることもある厄介な存在です。
コクゾウムシは違う害虫も連れてくる
コクヌストモドキやチャタテムシなどはコクゾウムシの食べかすを求めてお米に集まってくる虫です。これらには発がん性物質を持つものもいるため、人体に影響を与える可能性もあります。有害な害虫を呼び寄せないためにも、お米に虫が沸かないようによく注意して管理してください。
ノシメマダラメイガ
ノシメマダラメイガとは、体長8mm程度のとても小さな蛾の一種です。お米や穀物に卵を生みつける虫で、孵化した幼虫は2、3mmで頭が茶色、胴体がオレンジ色という特徴的な色合いをしています。
また、特徴的なのは産卵の方法です。この虫は米粒を糸でまとめて小さな塊にしてその中に卵を産み付けます。そのため、コメビツの中に小さな塊があったらノシメマダラメイガがいる可能性が高いと考えましょう。
米を食べる虫は早く退治しよう!
虫がわいたお米は食べられるけど…
虫が湧いた米は取り除きやすけばいつも通り食べられます。しかし、食べられたり卵を産み付けられてしまった粒は味の質が落ち衛生的にもよくありません。あまりにも虫の数が多い場合は人によってアレルギー反応が出る場合もあります。そもそも「虫がいるお米」というだけではあまり食べたくないと感じるのは当然です。
わく原因を解消して予防しよう
せっかく買ったご飯を無駄にしないためには保存方法や保存場所を意識して、虫がわく原因を解消することが大切です。少し意識するだけで繁殖のリスクをぐっとさげられるので、自宅のお米の状態を確認して大切な食料を守ってください。
お米の虫が気になる方はこちらもチェック!
お米の虫はなるべく沸かせたくないという人は、日頃からいろいろな方法でコメビツや米袋を管理しておくと安心です。暮らしーのでは、発生したときの対処法や虫除け対策、取り方などを分かりやすく解説した記事が多数公開されています。以下の記事を参考にしてスムーズに害虫を駆除してください。

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