冬のガーデニングに欠かせないハボタン
キャベツのような形のハボタンは、紫や赤、白に緑と華やかなため、暖かい地域の庭では定番の観葉植物です。開花時期が11月頃から3月頃までと長く楽しめるのも人気の理由とされています。
日に当てることや北風や強い霜を避けること、肥料に気を付ければ、育て方は初心者でも難しくありません。アブラムシなどの害虫もこまめに観察することで防げます。ぜひ育て方をマスターして、ハボタンの寄せ植えなどをお楽しみください。(この記事は2021年10月13日時点の情報です)
ハボタンの特徴と改良品種
ハボタンはもともと食用だった
和名 | ハボタン(葉牡丹・葉ボタン) |
学名 | Brassica oleracea var. acephala |
科名・属名 | アブラナ科・アブラナ属 |
園芸分類・形態 | 草花・二年草または多年草 |
原産地 | ヨーロッパ |
草丈 | 5~100㎝ |
耐寒性 | 普通 |
耐暑性 | 強い |
栽培難易度 | 初心者でも育てやすい |
ハボタン(葉牡丹)の育て方の前に、ハボタンの概要についてチェックしておきましょう。ハボタンの育て方は決して難しくありませんが、暖地ではきれいに色が付かず、北海道のような寒冷地では越冬できません。
育て方は簡単といえますが、ハボタンは栽培に適した地域を選ぶ植物という点にご注意ください。
ハボタンの魅力
ハボタンの魅力は名前のとおり、牡丹の花のような形になる葉の付き方にあります。色も赤紫系を中心に緑色や白色などもあり、非常に華やかです。
もともとは江戸時代にキャベツの仲間として食用野菜で導入されましたが、日本では観賞用として楽しまれてきました。育て方も難しくないため各地に広がり、ガーデニングの他にリースやアレンジメントフラワー、お正月用の飾りつけに用いられるなどの人気があります。
ハボタンは日本で品種改良が進んだ
ハボタン(葉牡丹)はヨーロッパ原産ですが、江戸時代に食用として渡来して以降、東京・名古屋・大阪の各地域で品種改良がされてきました。
改良された種類は、東京では真円の「丸葉系」、名古屋ではレースのような「ちりめん系」、大阪では東京の丸葉系と名古屋のちりめん系を掛け合わせた「大阪丸葉系」の種類です。芽キャベツと交配した種類や葉に光沢がある種類なども改良され、日本のハボタンは世界屈指と評価されています。
最近は小さい株が人気
ハボタン(葉牡丹)は、以前は大株の種類を鉢植えにしたり花壇に植え付けたりするのが人気でしたが、ガーデニングブームが来てからは小型の種類に人気が集まっています。育て方は同じですが、3号ほどの小さなビニールポットで育てた株はフラワーアレンジメントにも利用できることから人気が移ったようです。
ハボタンのもう一つの特徴としては、2年目以降は分枝する性質を生かして「踊りハボタン」として鑑賞するのも人気があります。
人気があるハボタンの種類
育て方は変わりませんが、ハボタン(葉牡丹)で人気な種類は5つあげられます。一口にいっても地域による育て方や飾り方の向き不向きがあるので、特徴をチェックしておきましょう。
ちりめん系で小型の「スノードレス」、金属的な質感の葉でやや背が高くなる「雪傘」、茎が伸びるので切り花によい「晴姿」、寒さに非常に強くて切れ葉の「紅くじゃく」、ハボタン特有のブルーム(白い粉)がないため光沢がある「プラチナケール」などです。
初心者でも簡単なハボタンの育て方
ハボタンの種まきと苗の植え付け
ハボタンは種でも苗でもどちらでも育てられるため、こだわりたい人は種から始めてみましょう。しかしガーデニング初心者にとって種まきは少しハードルが高い育て方のため、苗を植え付けるのをおすすめします。
苗の植え付けは、園芸店などで苗が出回る10月頃~11月頃に行います。定植も寄せ植えもハボタンの成長を考え、植物との間を40センチメートル以上は離してください。
育て方のコツ:種まきは日陰で発芽させる
ハボタンの育て方として、初心者は種まきは少し難しいといわれていますが、挑戦する場合は次の点にご注意ください。
種まきの適期は7月~8月となり、発芽するまでの約48時間は日陰で管理します。発芽してからは3週間ほどで3号ポットに鉢上げし、それから1ヶ月後には定植してください。
ハボタンの育て方:病害虫対策
ハボタンの育て方で心配なのは病害虫となり、病気は葉の縁が黒く枯れてしまう黒腐病です。高温多湿で肥料が多すぎると、7月~10月にかけて多発してします。他の植物同様に風通しをよくして適切な量の肥料を与えてください。
害虫で心配なのは、通年発生のアブラムシの他、4月~11月に発生するコナガ、3月~11月に発生するアオムシ、4月~11月に発生するハスモンヨトウです。いずれの害虫を見つけたら手で取りのぞきます。
ハボタンの育て方:日なたで栽培
ハボタンの栽培環境も育て方での重要ポイントです。ハボタンは日光が好きなため、通年日なたで管理してください。関東より西側の地域では屋外でも定植して栽培できますが、葉の色や形を長く鑑賞するために北風と強い霜には注意します。
踊り仕立てのハボタンは、茎の切り口が水にぬれないよう軒下や屋内の涼しい場所に置いてください。庭に定植する場合は、ハボタンは酸性土を嫌うため、苦土石灰などで用土を中和する必要があります。
ハボタンの育て方:用土
用土は上手な育て方のとても大切なポイントです。酸性土壌を好まないハボタンの用土は、有機質が豊富な土で栽培します。赤玉土や鹿沼土の配合土はリン酸が不足気味のため、元肥用にリン酸分が多い緩効性肥料を混ぜるようにしてください。
配合の割合は、赤玉土(中粒)5:腐葉土3:酸度調整済みのピートモス2に、緩効性肥料を適量混ぜたものを用土として使います。育て方にこだわる人は自分で用土も作ってみるのもおすすめです。
育て方のコツ:鉢植えの場合は市販の培養土
鉢植えでの育て方のポイントとして、市販の培養土を使う方法もあります。ハボタンを鉢植えするときは、自分でブレンドした用土もよいですが、市販の草花用の培養土でも問題ありません。
しかし市販の草花用の培養土には元肥が入っていないものもあるため、ブレンドされたものを選んでください。もし培養土に元肥が入っていないときは、緩効性肥料を施してから使用します。用土の選択は育て方のポイントとして重要です。
ハボタンの育て方:水やり
冬に栽培するハボタンの育て方で重要なのは、水やりのタイミングと回数です。冬に楽しむハボタンは、夏に栽培する植物とは異なって少しコツが必要となります。
夏は鉢植えの表土が乾燥しやすいですが、気温の低い冬は保水性が高いため水やりの回数は少なくて済みます。表土が乾いていたときはたっぷり与えてください。庭植えのハボタンの育て方はさらに簡単で、植え付けと植え替えの時以外は与えなくても構いません。
ハボタンの育て方:肥料
ハボタンの肥料は緩効性肥料を5月~9月に施し、10月上旬に液体肥料を施してください。庭に植え付けるときは、5月~8月に緩効性肥料を施すようにします。
育て方での注意点は、ハボタンの魅力である色付きに関してです。ハボタンは気温が下がる10月下旬から色づき始めますが、肥料過多になると紫色などの着色部分に緑色が混じってしまいます。さらに育て方のポイントとして、9月末以降は肥料過多にならないように注ご意ください。
育て方のコツ:肥料切れは発色を悪くする
ハボタンの育て方は決して難しくはありませんが、肥料の与え方がポイントになるといえます。肥料過多もよくありませんが肥料切れを起こすのも防ぎたいポイントです。
肥料切れを起こすとハボタンは、生育が滞りがちになって発色が悪くなります。その場合は9月~11月末まで、液体肥料を規定より希釈したものを与えください。適切な肥料の与え方をすることで、上手な育て方ができます。
ハボタンの育て方:植え替え
植え替えも育て方で重要なポイントです。ハボタンは、花壇に定植した場合は植え替えません。植え替えしなくてもよいように、定植するときは他の植物との間を40センチメートルは離すようにしてください。定植の場合も寄せ植え風の配置を考えて植え付けましょう。
開花した後のハボタンを踊り仕立てにする場合は、春から初夏にかけて根鉢を崩して植え替えてください。しっかり植え替え作業をすることも、上手な育て方の一歩です。
ハボタンの育て方:増やし方
ハボタンの増やし方も育て方で大切なポイントです。増やす方法は、種で増やす方法と挿し木で増やす方法があります。種で増やす方法は前述したように少し難しいため、挿し木がおすすめです。
挿し木で増やす場合は、成長期の茎や枝を切り取って苗にします。適期は5月中旬~6月中旬頃となり、種まきよりも成長が早く、成株になるのも短期間のためおすすめの育て方です。挿し木は親株と同じなため、全て同じ色や形になる利点があります。
育て方のコツ:挿し木の方法
挿し木は剪定ばさみで再度切り、切り口を30分ほど水につけておきます。茎に付いている葉や脇芽が土に埋まる部分、上にある複数の葉は半分ほどに切り取ってください。挿し木用の用土は事前に湿らせておき、挿し木を入れやすいように細い棒で穴をあけておきます。
切り口を傷めないように用土に入れ、土を隙間ができないよう静かに寄せて水をたくさん与えてください。約2週間は日陰で管理し、水も土が乾かないように与えます。
ハボタンの花と葉の活用方法とは?
ハボタンの花は4月頃に咲く
ハボタン(葉牡丹)は春の4月頃、小さな黄色の花を穂状花序にたくさんつけます。葉に比べるとめだちませんが、じっくり観察すると独特なニュアンスながらもかわいい花を咲かせます。
育て方をチェックしてマスターした後は、葉と共にハボタンの鑑賞を心ゆくまでお楽しみください。自分で上手な育て方ができると、いろいろな楽しみ方もできるようになります。
ハボタンは食べられるけど美味しくない
アブラナ科のハボタンはキャベツやブロッコリーと同じ野菜となり、食用として日本に導入されたもののため食べられないということはありません。しかし普段野菜として食べているキャベツは食用に品種改良されたものなので、両者の味を比較するまでもありません。
ハボタンは鑑賞用に品種改良されているので、美味しいという評判は聞いたことがないのではないでしょうか。やはり育て方をばっちりマスターし、鑑賞して楽しみましょう。
皆さんのガーデニングのハボタンを拝見
こんもり円形のハボタンの寄せ植え
こちらのハボタンの寄せ植えは、円形のプランターに合わせてすべてを丸く植えこんであります。紫色のグラデーションが美しいハボタンを主役に、白色系のハボタンをアクセントにすることで抜け感を演出しているようです。
数種類のハボタンを組み合わせることで、ハボタンの魅力を改めて発見できるかもしれません。いろいろなハボタンの育て方をマスターしてこのように楽しみましょう。
ハボタンの花を活かした寄せ植え
こちらはハボタンの花を伸ばして伸ばして、ついに開花させて楽しんでいる寄せ植えです。一見ハボタンとは気づかれにくいデコレーションになっており、ハボタンの奥深さを感じさせます。
育て方を間違えたのではなく、ハボタンの育て方を知っているからこそできる見事な寄せ植えではないでしょうか。こちらのようにハボタンのいろいろな育て方をして、いろいろアレンジするのも楽しそうです。
ハボタンだけのクリスマスリース
こちらはハボタンだけを使ったリースです。バラなどの花がなくてもハボタンだけでここまでゴージャスになるとは、ハボタンの威力を思い知らされます。
やわらかいトーンですが、赤と白と緑の組み合わせは、どことなくクリスマスのイメージも感じさせ、まさに冬にふさわしいデザインといえそうです。ガーデニング初心者も育て方をマスターして、たくさんのハボタンでリースを作ってみてはいかがでしょうか。
ハボタンを育てて寄せ植えを楽しもう!
ハボタンの育て方のポイントは用土と肥料があげられます。鉢植えの用土は市販の培養土でもよいですし、用土を作るときは定植と同じく赤玉土と鹿沼土に緩効性肥料をブレンドしてください。肥料は多すぎてもだめで、不足してもよくありません。きれいな色を出すために適期に適量を与えます。
苗の植え付けは10月~11月となり、翌年に花が咲いたら種を採取しておきましょう。育て方をマスターして美しいハボタンをお楽しみください。
冬の花を知りたい人はこちらをチェック!
ハボタンは冬に美しくガーデニングを演出してくれる植物ですが、他にも冬を彩ってくれる数多くの花があります。育て方などもチェックして、ハボタン以外にもご自宅のガーデニングで楽しんでみてはいかがでしょうか。

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出典:photo-ac.com