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穂状花序って何?意味・読み方や総状花序の違い、おすすめの種類を解説!

穂状花序(すいじょうかじょ)とは花が茎に直接ついている状態をいいます。「花序」は他に総状花序なども含めて10種類以上もあり、花序を観察することで目を見張るような楽しい発見があることでしょう。植物図鑑の解説を基に、穂状花序の意味や種類などをご紹介します。
2021年9月27日
ring-ring
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植物にはパーツごとに名称がある

Photo byCouleur

いうまでもありませんが、植物にはパーツごとに花や茎、葉、根などの名称があります。さらにいろいろな植物を観察すると、それぞれのパーツには細かい違いがあることに気づくのではないでしょうか。

特に花や葉の種類は複雑な形をしているものが多く、素晴らしい自然のデザインに驚きを禁じえません。違いは一見ではわかりませんが、じっくり観察すると興味深い違いに気づくので、できれば手に取るなどしてチェックしてみてください。(この記事は2021年9月26日時点の情報です)

穂状花序の解説前に花のパーツを確認

花の全体構成

Photo by yari3180m

穂状花序(すいじょうかじょ)の説明の前に植物図鑑の解説などで草花のパーツをチェックしておきましょう。基本的なパーツは根・茎・節・柄・葉・花・苞ですが、種類により葉や花を支える「柄(へい)」がないものもあります。

草花は根が茎をつけ、茎は節をつくりながら柄・葉・花などをつくり、ガクや雄しべや雌しべも発生させます。しかし植物のおもしろいところは、それぞれの形や付き方が単調ではないという点です。

花の柄(へい)の有無

Photo by TANAKA Juuyoh (田中十洋)

植物観察の大きな着目点は葉の付き方と、今回のテーマである"穂状花序"のような花の付き方にあります。葉や花は、柄がある種類と、柄がなくて直接茎についている種類があります。

例えばキク科植物のノコンギクと外来種のユウゼンギクは非常に似ており、一見では区別がつきません。しかしノコンギクには葉柄がありますが、ユウゼンギクには葉柄がありません。このように細部ですが、「柄」は植物を見分ける大きな要素なのです。

穂状花序の「花序」の意味と特徴

花序とは「花の配列形態」

Photo byAlainAudet

ここから本題に入りますが、まず穂状花序(すいじょうかじょ)の「花序」について植物図鑑などの解説を基にご紹介します。

穂状花序の"序"とは、順序の序や秩序の序などにも使われているように「一定の基準による並び方」の意味でとらえることができます。つまり「たくさんの花(集合)がどのような法則で並んでいるのか」を意味するものといえそうです。このことから花序とは、たくさんある「花の配列形態」といえるでしょう。

花序は2形態に大別される

Photo by T.Kiya

穂状花序とは一つの花の配列形態のことですが、花序は最初の開花位置によって「有限花序」と「無限花序」に大別されます。

「有限花序」とは、最後に発生した茎(枝)先の花から開き、次第に茎(枝)の基部に向かって咲く形態です。「無限花序」とは、早く発生した茎(枝)の葉腋から花が咲き、次第に茎(枝)の花が開いていく形態をいいます。この2形態は茎(枝)の形状によって細分化もされるため、花は一見複雑に観えるのです。

穂状花序の「穂状」の意味と特徴

「穂状」とは茎に直接付いた状態

出典:ライター撮影

植物図鑑などによると、「穂状花序」の「穂」の読み方は音読みの「ほ」ではなく、訓読みで「すい」と読みます。「穂状花序(すいじょうかじょ)」の「穂」は「花柄がない」状態を指しており、他の花序と見分ける大きな要素です。

穂状花序は無限花序に分類されていますが、「総状花序(そうじょうかじょ)」という一見穂状花序に似た花の付き方をするものがあります。しかしこちらには穂状花序にはない花柄があるのが最大の特徴です。

「穂」をすいと読むもの

穂状花序(すいじょうかじょ)の「穂」は音読みの「ほ」ではなく訓読みの「すい」と読みますが、「穂」とはイネや麦などの穀物の先端に花実がたくさん付いているものを指しています。「すい」と訓読みする場合と「ほ」と音読みする場合があり、熟語によって使い分けられているのです。

穂状花序以外で訓読みするものは出穂(しゅっすい)・花穂(かすい)などで、音読みするものは落ち穂(おちぼ)・初穂(はつほ)などがあげられます。


穂状花序のおすすめの種類7選

穂状花序の植物①:グラジオラス

Photo byCapri23auto

穂状花序がはっきりわかる植物は、ガーデニングを彩る球根植物のグラジオラスがあげられます。アヤメ科グラジオラス属の球根植物であるグラジオラスは無限花序のため、茎に直接つけた大きな花を茎の下方から上に向けて順番に咲かせます。

グラジオラスをガーデニングで楽しんでいる人は、毎日開花状況を観察してみてください。またほかの人もグラジオラスを観る機会があれば、ぜひ優しく手に取って穂状花序の特徴を確認してみましょう。

穂状花序の植物②:キンギョソウ

Photo byOrnaW

オオバコ科キンギョソウ属のキンギョソウは、花びらを金魚のようにパクパクさせる様子が愛らしい、茎に花が直接ついた穂状花序となります。ぷくっとした独特な形をしており、英名では竜のようにも見えることから「スナップドラゴン」とも呼ばれる人気植物です。

暖かい地域では周年で咲かせることも可能なため、にぎやかな雰囲気のガーデニングには欠かせません。下のほうから順番に花を咲かせる無限花序の特徴も観察しましょう。

穂状花序の植物③:サワギキョウ

Photo by Kabacchi

サワギキョウはキキョウ科ミゾカクシ属の多年草となり、濃い紫色の花色が深まる秋に趣を与えます。花がまばらに付いているため、穂状花序の様子が確認しやすいかもしれません。一部の解説書では総状花序とされていますが、花が茎に直接付いているため正しくは穂状花序となります。

他のキキョウの仲間とは花の形が異なる唇形をしているので、手に取って違いを観察してみましょう。しかし毒草のため取り扱いには注意してください。

穂状花序の植物④:ネジバナ

Photo by coniferconifer

湿地帯などで咲くネジバナはラン科ネジバナ属の多年草ですが、一つの花が5ミリメートルほどしかないため、一見では穂状花序と総状花序の区別がつきにくいかもしれません。じっくり手に取って穂状花序の特徴を観察してみてください。

またネジバナ独特の特徴として、名前の由来にもなっている「ねじる」(螺旋状)ように花がついているのも特徴です。植物の不思議で魅力的な要素がたくさん詰まった植物といえます。

穂状花序の植物⑤:ミズヒキ

Photo by harum.koh

ミズヒキはタデ科イヌタデ属の多年草で、名前の由来は「水引」のように花序が紅白に見えることが由来とされています。ひものような細長い茎にとても小さな花を穂状につけており、少し穂状花序の状態を確認しにくいですがルーペなどを使って観察してみてください。

併せて葉も観ると、タデ科ならではの"矢印マーク"が入っているのも確認できることでしょう。一本では目立たない植物ですが、群生させると非常に趣があります。

穂状花序の植物⑥:ラベンダー

Photo bymanfredrichter

北海道の富良野市で有名なシソ科の常緑植物ラベンダーも穂状花序となります。花は非常に小さいので茎に直接付いているのを確認しずらいですが、ぜひルーペで穂状花序の特徴を確認してみてください。

軽く触ると"落ち穂"になりやすいラベンダーは花柄がないこともあり、ラベンダーシュガーにしたりポプリにしたりするのに便利です。

穂状花序の植物⑦:オオバコ

Photo by harum.koh

オオバコ科オオバコ属の多年草であるオオバコは非常に地味な植物ですが、日本全国の平地から高地まで生える繁殖力旺盛な特徴を持っています。棒のような細長い茎の頂に長い緑色の小さいな花をびっしりつけており、じっくり見ないと花だとはわからないかもしれません。こちらもルーペなどを使ってじっくり穂状花序の様子を観察してみてください。

名前の由来にもなっている大きな葉は、漢方薬などの薬草としも利用されているそうです。

総状花序などの他のいろいろな花序


出典:ライター撮影

植物図鑑などで花序は、茎の根元から花が咲く無限花序と、茎の先から花が咲く有限花序があると解説されています。ここでは無限花序に分類されている穂状花序の他の種類と、有限花序の種類についてご紹介していきましょう。

無限花序は穂状花序の他に、穂状花序と花の付き方が一見似ている総状花序や、散房花序・散形花序・円錐花序・集散花序・肉穂花序・頭状花序などがあります。有限花序は多散花序・岐散花序・単散花序などです。

無限花序①:総状花序

Photo byCouleur

総状花序は穂状花序と花の付き方が似ていますが、穂状花序とは決定的に異なるのが、ご紹介してきた"花柄の有無"です。穂状花序には花柄はありませんが、藤やヒヤシンスなどの総状花序の種類には花柄があります。一見わかりにくいため判断に困ったときは、ルーペなどで花の根元に花柄があるか観察してください。

また、花柄の長さは茎下のほうが長くて先に行くほどに短いため、全体の形は円錐形か円柱形に観えるという特徴もあります。

無限花序②:散房花序

Photo byHans

散房花序の読み方は「さんぼうかじょ」といい、アジサイやアブラナ、コデマリ、シモツケ、タニウツギなどが代表的です。花の茎に付く花柄が、下にある花柄ほど長くて上に行くほどに短くなっています。

そのため散房花序の花の全体を観るとドーム状になっているのが特徴です。全形がこんもり丸いお花は、大抵が散房花序といってよいでしょう。

無限花序③:散形花序

フリー写真素材ぱくたそ

散形花序はの読み方は「さんけいかじょ」といい、セリやノラニンジン、ネギ類、ヒガンバナ、サクラソウ科などがあげられます。茎の頂部分に同じ長さの花柄を放射状に付け、開いた傘のように見えることが特徴です。

上から見るとアジサイなどの散房花序と似ていますが、側面から見ると平面的なため違いがはっきりわかります。

有限花序④:複散形花序

Photo by marahami

複散形花序とは、花茎の頂に放射状につけた散形花序の花の部分が、さらにもう一つの複散形花序をつくっているものを指しています。シシウドやオオハナウド、ハマボウフウなどのセリ科の植物に多く観られ、その複雑さに目を見張ることでしょう。

"全体は同じ形をした小さな集合体"というフラクタル概念が示されているようで、植物の奥深さを味わえます。

無限花序⑤:円錐花序

Photo bybernswaelz

円錐花序は総状花序の花の部分がさらに総状花序になっており、複総状花序ともいえる形態をしています。ノリウツギやトウネズミモチ、ホツツジなどですが、小花でも数が多いためにぎやかな感じがするのではないでしょうか。

花柄は下が長く、上に行くほどに短くなる点が総状花序と共通しています。しかし一つ一つの軸には総状花序が繰り返されており、一見複雑に観えることでしょう。円錐花序もフラクタルな構造が示されています。

無限花序⑥:肉穂花序

Photo byJACLOU-DL

肉穂花序の読み方は「にくすいかじょ」といい、ミズバショウやテンナンショウ、トウモロコシ、パインナップルなどがあげられます。中の軸が多肉質になり、それに花柄のない多くの花が密生した状態です。

穂状花序が特殊化したものとされますが、穂状花序とは異なる雰囲気を漂わせています。花弁のように見える部分は苞(ほう)が肥大化したものとなり、ミズバショウでは仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる白い部分です。

無限花序⑦:集散花序

Photo byNennieinszweidrei

集散花序の読み方は「しゅうさんかじょ」といい、花の軸の先に花が付き、さらにその下からも枝が付いて花を咲かせるものです。円錐花序の一つの軸の下にも軸がつくため、こちらも非常に複雑で小花でも華やかに観えるのではないでしょうか。代表的なものとしてはユキノシタがあげられます。


無限花序⑧:頭状花序

Photo byCouleur

頭状花序は茎の頂部分が肥大化し、その上に花柄のない多くの花がついたものをいいます。ヒマワリやキク科、マツムシソウ科、ホシクサ科の植物があげられ、一見では一つの花のように見えます。しかしよく観ると、数多くの花の集合体となり、平面上に広がるのが特徴です。

有限花序①:単頂花序

Photo byFree-Photos

単頂花序は、茎の先や葉腋、枝先などの分かれていない部分に一つだけ花が咲くものを指しています。茎の先に付く植物では、チューリップ、スイレン、ユリ科のカタクリ、ハス、スミレなどとなり、葉の腋や枝先に付くものではコブシ、ツバキなどです。

有限花序②:さそり型花序

Photo byMammiya

さそり型花序は主軸の先にある花の下から横枝が一つだけ発生し、その横枝の先にある花の下から同じ方向に横枝が出ることを繰り返す形態です。まるでサソリのしっぽのように見えることが由来となっています。

やはりフラクタルの構造がわかりやすい現象といえ、植物の精巧なつくりに感動させられるのではないでしょうか。代表的な種類ではワスレナグサがあげられます。

有限花序③:その他

Photo by titanium22

有限花序にはご紹介した他に、多散花序や岐散花序などもあります。植物図鑑では、花の付き方から集散花序を有限花序とする場合もあります。しかしご紹介してきたように先に花が咲く場所を見極めることで、無限花序なのか有限花序なのかを確定できるようです。

穂状花序の花を探してみよう!

Photo byCouleur

穂状花序の読み方は「すいじょうかじょ」と読みますが、これは数多くある花の配置形態の一つを示すものです。花の配置形態のことを「花序」といい、最初の花がどの部分から咲くかによって「無限花序」と「有限花序」に分かれます。

花柄のない穂状花序は茎から直接花を咲かせますが、茎の部分から咲くため無限花序です。グラジオラスやキンギョソウなどがありすが、"落ち穂"などを触って花序の違いを確認してみてください。

秋の花が気になる人はこちらをチェック!

秋が深まってきましたが、本州などの暖かい地域ではまだまだお花を楽しめます。ご自宅のガーデニングの参考に、秋の花の種類をチェックしてみてはいかがでしょうか。