日本シャクナゲ 細葉赤交配
シャクナゲ 花かがり
はじめに:シャクナゲの栽培方法を解説
日本人に親しまれているシャクナゲ
シャクナゲとは美しい花が咲く木の名前です。シャクナゲという花について一度も聞いたことがないという方はある程度の年齢を重ねている日本人にはいないのではないでしょうか。学生のころに音楽の授業で習う夏の思い出という歌。
その中でシャクナゲ色という花色にちなんだ印象的な歌詞が出てくるからです。美しい歌の歌詞にも取り上げられたシャクナゲという花について今回はご紹介していきます。
初心者にもわかりやすいシャクナゲの育て方
日本人の近くにあったシャクナゲという品種の植物。言葉の知名度だけでなく庭に植え付ける観賞用の花木としても珍しいものではありません。花の美しさもさることながら育てやすいというのもシャクナゲが庭木に選ばれる理由。
今回ははじめてシャクナゲの木を育てるという方にもわかりやすく、シャクナゲという植物の特徴から使用する用土や水やりの方法・種まきなどの育て方についても詳しく解説していきます。
育て方の前に知りたいシャクナゲとは
テーマであるシャクナゲの育て方の前に、まずはこの植物の基本的な情報をお話させてください。シャクナゲをよく知らないけれど興味があるという方は、特にこの部分をよくお読みいただくことは大切です。
品種の分類や植物としての特徴(見た目や性質など)とシャクナゲを一番楽しめる見ごろの季節などについて触れていきます。
シャクナゲとは
科・属 | ツツジ科ツツジ属 |
原産地 | 北半球の極めて広い範囲 |
英語名/学名 | Rhododendron/Rhododendron subgenus Hymenanthes |
育て方難易度 | 簡単 |
シャクナゲはツツジの仲間
シャクナゲとはタイトルの最初にもありますが、花が房状に咲くためあまりツツジをイメージされることはないようです。しかし、花ひとつひとつを切り取って観察してみるとツツジの仲間であることがよくわかります。
葉の部分に対してもそうで生え方や大きさに違いはあるものの、ツツジの葉に似ているとこも多く見受けられます。
日本と西洋で違うシャクナゲの花
育てるシャクナゲの花を選ぶときに気をつけて欲しい要素ともなるのが、シャクナゲの種類です。この花には日本種と西洋種が存在するため。日本に古くからある日本シャクナゲと、西洋から入ってきた品種では見た目が大きく変わります。
日本種と西洋種それぞれのシャクナゲの特徴
日本種の特徴
まず日本シャクナゲの特徴は花の形が西洋種と比べるとシンプルであることがあげられます。フリルなどはあまり入っていないものが多いです。その代わりといってはなんですが、花色が非常に豊富。
ポピュラーなピンクや赤だけでなく黄色・白とそれぞれが混じったバイカラーなど。花の色で植え付ける木を選びたいという方は日本シャクナゲはおすすめです。
西洋種の特徴
西洋シャクナゲの特徴は何といっても花のフリルが多くて形がとてもゴージャスになっているところです。また葉に斑入りのものであったり、丸いもの細長いものと同じ西洋シャクナゲでもそれぞれの品種により見た目全体から受けるイメージが大きく変わるのも見逃せません。
環境が合っていて育てやすい日本シャクナゲ
見た目の豪華さでは西洋シャクナゲもよいのですが、はじめて育てるという方が育てやすいのはもともと日本の環境に合っている日本シャクナゲです。自生しているものは人がなかなか入れないような岩場に生える植物でしたが、園芸種として改良されたけっか里での栽培に適したようになっています。
シャクナゲの見ごろの季節・旬の時期は
シャクナゲは春から初夏を代表する花木
ツツジ科の植物ということで昔はツツジと混同されていたこともありました。開花時期もツツジとほぼ同時期。4月からゴールデンウィークくらいが多くの品種で見ごろとなる季節。しかし品種によってはもっと早かったり遅かったりすることもあります。
早く咲く品種・遅く咲く品種
ロードデンドロン・アルボレウムはほかのシャクナゲよりも開花時期が2週間ほど早い品種です。ロードデンドロンとはシャクナゲの別名で、ほかの品種にもロードデンドロン〇〇と付いているのもありますので間違えないようにしてください。
逆にヤクシマシャクナゲは花が咲くのがもっと遅くて、5月に入ってから6月近くなったころが開花時期となります。このようなものを組み合わせて植え付けることで長い開花時期が楽しめます。
シャクナゲの育て方で用意するもの
シャクナゲに限らずはじめて植物を栽培する・それも庭木を植えるとなるとまずは用意しなければいけないものも出てきます。ここではそんなシャクナゲの栽培の準備についてお話していきましょう。
シャクナゲの苗木
まず必ず用意しなければいけないのがシャクナゲの苗です。色も咲き方も豊富ですから自分のお好みのものを選びましょう。病気や害虫被害がない苗であること・地植えにする予定であれば移植を嫌う植物なので鉢植え用の開花しているものではなく、地植え用の小さな苗を用意してください。
シャクナゲ用の土
シャクナゲの植え付けに使う用土は通常の培養土では枯れてしまいます。酸性に傾いた土がよいためシャクナゲ用の土とされているものか、それがなければブルーベリー用と書かれた土がよいでしょう。
シャクナゲをお世話する道具類
庭木の苗を地面に植え付けるには大きな穴を開けなければいけません。移植ゴテのように片手でもてるスコップではなく、穴掘り用のシャベルがないと効率的ではありません。
雑草を取るくまで・水やりをするジョウロなどそのほかにも一般的な園芸用道具は一揃いもっているとよいでしょう。
シャクナゲを栽培しよう!育て方のコツ
それではシャクナゲの植え付けや種まきからの育て方など詳しい育て方を解説します。シャクナゲの苗を購入したらできるだけ早く植え付け作業をはじめるのがよいので、植え付けられる日を予定してそれに合わせて手に入れるようにするとよいでしょう。
シャクナゲの栽培方法1.
シャクナゲの日あたり
シャクナゲの育て方まずは植え付けや鉢植えをおくのに適した場所から。シャクナゲの多くの種類は日あたりがよくて風通しのよい場所を好みます。
しかし中には半日陰を好む品種もあるので、苗木についている札や購入店で植え付け場所を確認してから買うことをおすすめします。また一度植え付けたら移植は嫌うので、植え替えはできないものと考えておきましょう。
シャクナゲの栽培方法2.
シャクナゲの植え付け
植え付けは苗を購入したらすぐに。時期的には3-5月ころの春か9-10月の秋にします。成長期に入る前に植え付けてしまわないと、花が翌年咲かず翌々年になってしまうので気をつけましょう。
地植えにする場合には水はけをよくするために、庭の高さよりも少し高くまでまわりの土を盛るようにしてください。
シャクナゲの栽培方法3.
シャクナゲの日常管理・水やり
植え付けたシャクナゲがしっかり根付くまでは水切れにはご注意ください。シャクナゲは根が細くて繊細な植物。水切れには敏感です。地植えでも地面が乾いていたら与えるようにし、鉢植えであれば毎日あげることもいとわないでしょう。
シャクナゲの日常管理・追肥
植え付けから1年ほどは追肥はしてはいけません。先程も申し上げたとおり根が繊細ですので、しっかりと地面に付いて成長していないと肥料のような強い刺激に耐えられない可能性が高いからです。植え付けてから1年は追肥しないようにしてください。
シャクナゲの栽培方法4.
シャクナゲで心配な病気と害虫
シャクナゲの病気は花の時期の灰色かび病に気をつけましょう。これは先終わった花に発生しますので、花がら摘みは忘れずにおこなうようにすると予防となります。
花がら摘みとは花の終わりそうなものを少し早めに摘み取ってしまうもの。しおれてきてもうきれいに咲かないと感じたら摘み取ってしまうとよいでしょう。このとき地面に落ちている花についても掃除しておいてください。
シャクナゲはアブラムシが付く
シャクナゲには葉の汁を吸う吸汁被害のある、アブラムシやハダニといった害虫に注意しましょう。オルトランなど吸わせて防虫する殺虫剤や、水やりをシャワーのような少し強い水流の水をかける葉水で害虫を洗い流すようにするのも効果的なお世話です。
シャクナゲの栽培方法5.
シャクナゲの夏越し
シャクナゲは屋外に植え付けることもできますが、季節の変化も少し弱いところがあるので夏場には遮光ぎみにして育てるとよいでしょう。暑さもなのですが夏の直射日光が苦手。
花が終わっても葉を楽しむこともできる植物ですので少しでもきれいにしておくために、寒冷紗やすのこなどで軽く日光を弱くしてあげるとよいでしょう。
シャクナゲの冬越し
冬の屋外のシャクナゲには冷たい北風に当てすぎないように注意します。風の当たらない場所であれば、軽く藁で株元をマルチングしてあげるだけでもだいぶ違ってきます。
北風で枯らしてしまわないよう鉢植えのものであれば、冬場だけは場所を移動させてあげることをおすすめします。
シャクナゲの栽培方法6.
シャクナゲの増やし方
シャクナゲの増やし方には種まき・取り木という方法があります。花が咲くくらいに成長するのには、何年間という単位で時間はかかりますが簡単にできるのは種まき。ちなみに種まきから育てる植物の苗のことを実生苗(みしょうなえ)といいます。
シャクナゲの種まきの仕方
シャクナゲの種まきは室内で管理できて水を与えるだけと簡単ですので、花後種がついて採取できたら挑戦してみてくださいね。やり方は水苔と鹿沼土の細かな粉に水を加えて、練り混ぜたものの上に種をぱらぱらとまくだけ。埋める必要はなく種が空気に触れていてもかまいません。
そのまま乾燥に気をつけて霧吹きなどで水分を与えながら春まで管理すると発芽してきますので、ある程度大きくなったらシャクナゲ用土に1本ずつ植え付けて苗として使えるようになるのでお世話しましょう。
日本種と西洋種!おすすめのシャクナゲ種類
シャクナゲはとても品種が多い植物ですが、その中でも日本シャクナゲと西洋シャクナゲで手に入りやすいおすすめな種類をひとつずつご紹介したいと思います。
どちらも育てている方も多いベーシックな栽培しやすいものとなっているので、育て方に困ったときにも周りの方に相談しやすいのも特徴です。
おすすめの日本シャクナゲ
日本シャクナゲ 細葉赤交配
ツツジの仲間ですが花がとても大きくて見応えがあるのが人気なシャクナゲ。特に原種に近く丈夫な赤色は育てやすさに定評があります。シンプルながらもツツジの仲間の花の美しさを堪能できる品種といえるでしょう。
葉があまり目立たない細葉で小さな種類ですので花を主に楽しみたいという方向けとなっています。
おすすめの西洋シャクナゲ
シャクナゲ 花かがり
西洋シャクナゲの品種である花かがりという株はその玉のように咲く房咲きが美しい種類です。花びらの周りのフリルも西洋シャクナゲにしては控えめで日本人好みといわれて評判の高いもの。
育て方に癖がなくおすすめ
もちろん園芸用品種として品種改良されたものですので、特に難しい注意点などはなく一般的なシャクナゲの育て方に準拠します。日本シャクナゲよりも育て方が難しそうというイメージを持たれるかも知れませんが、西洋シャクナゲのゴージャス感もぜひ体感してください。
まとめ:房状に咲く美しいシャクナゲ
シャクナゲは季節のお世話が重要
日本に昔からあるシャクナゲや西洋から入ってきたものでは花の様子が変わってきますが、どちらも人気が高いきれいな花が楽しめるシャクナゲという庭木。
地植えでも鉢植えでも栽培可能ですが、夏は遮光・冬は風対策が必要となりますので自信がない方は場所移動が簡単な鉢植えから育ててみるのがおすすめです。土の質に気をつければほかは難しいところもなく簡単に美しい花を咲かせる木ですので、ぜひ育ててみてくださいね。
シャクナゲが気になる方はこちらもチェック
暮らしーののガーデニングカテゴリーではたくさんの種類の植物の育て方や植物図鑑の記事を発信しています。シャクナゲの育て方が気になる・お悩みがあるという方にはこちらの記事もおすすめです。是非見てくださいね。

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出典:https://photo-ac.com/