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文学好きな人に贈りたい、マツヨイグサの花言葉をご紹介!花色や意味の由来も解説!

夕方に開花して翌朝にはしぼんでしまうマツヨイグサの漢字は、和名どおり"待つ宵草"と書きます。花言葉はその性質を表現したような「気まぐれ」の他に、竹久夢二が由来の「浴後の美人」もあるのです。太宰治の作品にも登場するマツヨイグサの花言葉や特徴についてご紹介します。
2021年8月27日
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他の植物に負けずに美しく咲くマツヨイグサ

Photo byHans

マツヨイグサは晩夏の夕暮れ時に日当たりのよい荒れ地で他の雑草に混じって咲いていますが、鮮やかな黄色いの花を持つことから際立った印象を持ちます。他の植物の勢いに負けじと咲く様子からは、一日花ながらもたくましさも感じられるのではないでしょうか。

和名の由来どおり開花は日が沈んでからとなりますが、マツヨイグサは日中のしぼんだ様子もまた趣が感じられます。花言葉などのマツヨイグサの情報についてチェックしてください。(この記事は2021年8月26日時点の情報です)

マツヨイグサの花言葉:日本の花言葉

花言葉①:「浴後の美人」

Photo byDerWeg

日本のマツヨイグサ(待つ宵草)の代表的な花言葉は「浴後の美人」です。花言葉の由来は、明治末期から昭和初期に活躍した大正ロマン派の画家で、詩なども手掛けた竹久夢二にあるといわれています。夢二は浴衣姿の美人を好んで描きましたが、作詞して大ヒットした歌謡曲『宵待草』とのイメージが重なって花言葉になったようです。

「待てど暮らせど来ぬ人を 宵待草のやるせなさ 今宵は月も出ぬさうな」とせつなさが表現されています。

花言葉②:気まぐれ

Photo byHans

もう一つのマツヨイグサの代表的な花言葉は「気まぐれ」です。この花言葉はまさに、マツヨイグサは夜に美しい花を咲かせて朝にしぼんでしまうという性質を表しています。一日の中で忙しく咲いてしぼむ様子を、人の気持ちが変わることに置き換えた花言葉なのです。

花色の黄色のイメージのひとつに「子供っぽさ」があげられることもあり、ある意味で花色からもこの花言葉はマツヨイグサに合っているかもしれません。

マツヨイグサが誕生花の日

マツヨイグサが誕生花になる日は、6月21日・7月22日・8月30日とされています。地域差はありますが6月~8月は夏の暑い季節となり、太陽の光を日中にたっぷり浴びられるからこそ、夜にマツヨイグサの黄色い花がより輝いて見えるのではないでしょうか。

マツヨイグサの花言葉には少し微妙な意味があるため、花言葉を添えるよりも、マツヨイグサが誕生花の人にはこのような気持ちを込めて贈ったほうが喜ばれるかもしれません。

マツヨイグサの花言葉:西洋の花言葉

花言葉①:mute devotion(無言の愛情)


Photo byBuntysmum

元々マツヨイグサは北米や南米が原産の植物なので英名があるように、西洋の花言葉もあります。西洋の花言葉で代表的なのは、「mute devotion(無言の愛情)」です。花言葉の由来は夕方以降に咲くマツヨイグサの特徴にあり、人目を避けるようにひっそりしている様子から考えられた花言葉とされています。

夕暮れどきに野原に鮮やかな黄色い花をつけるマツヨイグサの、どちらかといえば肯定的な意味合いの花言葉です。

花言葉②:inconstancy(移り気)

Photo byPommeGrenade

マツヨイグサのもう一つの西洋の花言葉は「inconstancy(移り気)」となり、日本の花言葉の「気まぐれ」と同じ意味合いとなります。こちらも由来は、夕方に咲いて朝にはしぼんでしまう性質からのようです。

先にあげた西洋のもう一つの花言葉「mute devotion(無言の愛情)」とは正反対の意味といえ、花言葉は見る人やそのときの気持ちの捉え方によって変わるよい例といえるでしょう。

マツヨイグサが誕生花の日

マツヨイグサが誕生花になる日は、6月21日・7月22日・8月30日とご紹介しましたが、マツヨイグサの西洋の花言葉には「mute devotion(無言の愛情)」という肯定的な意味の花言葉もあるため、誕生日の人に贈りものにするのもよいかもしれません。

ただし人によっては重く受け止められそうな花言葉なので、花言葉にふさわしい相手かどうかを考えてプレゼントしたほうがよさそうです。

マツヨイグサの花言葉:特徴と種類

マツヨイグサの特徴

Photo bycoloringcuties

分類 草本植物
形態 一年草・二年草・多年草
原産地 北米~南米
学名 Oenothera stricta
英名 evening Primrose/sundrops
草丈 15~30㎝
開花時期 5月~9月
花色 黄・白・ピンク
耐寒性 普通
耐暑性 強い

アカバナ科マツヨイグサ属のマツヨイグサは日本全国の荒れ地などで観察できるパイオニア植物ですが、本来は北米から南米地域が原産の植物となります。江戸時代末期に観賞用として導入されたものが自然に分布した、いわゆる帰化植物です。

繁殖力は特定外来生物に指定されている「コマツヨイグサ」ほどではありませんが、一時期は大群生して問題になったことがあります。同科同属のツキミソウ(月見草)とも間違われやすい外見です。

晩夏に目立つマツヨイグサ

マツヨイグサが咲く季節は5月~9月とされていますが、どちらかといえば夏の終わる季節、晩夏によく目立ちます。夏の間は他の植物の勢いに押されて目立たないとされ、他の植物の勢いが弱くなった頃に伸び始める特徴があるのです。

夕方に咲く花という性質と、これから寒くなる季節に目立つという性質が重なり、たくましくもはかなげなイメージがただようマツヨイグサです。


和名も英名も美しいマツヨイグサ

英名は「evening Primrose」(夜咲種)または別名で「sundrops」(昼咲種)となり、とても美しい名前が付けられています。

夜咲種の「evening Primrose」は"夜に咲くサクラソウ"となり、黄色いサクラソウと似ていることが由来とされ命名されました。昼咲種の「sundrops」を直訳すると"太陽の雫"となり、やはりロマンチックな雰囲気がただよう命名です。

学名の由来はお酒の香り

マツヨイグサの学名は「Oenothera stricta」となりますが、諸説あるOenotheraの有力な語源は「oinos(ぶどう酒)」と 「ther(野獣)」です。マツヨイグサの根にはぶどう酒のような芳香があり、野獣が好んだというものです。

strictaはまっすぐなという意味があります。マツヨイグサの有力な学名の由来は、「お酒の香りがする根を持ち、まっすぐ生える植物」といえそうです。

マツヨイグサとツキミソウとの違い

出典:photo-ac.com

マツヨイグサの別名を「ツキミソウ(月見草)」という人もいますが、実際には別名ではありません。ツキミソウもアカバナ科マツヨイグサ属の二年草または多年草の植物のため多くの共通点がありますが、同じ花ではないとされているのです。

マツヨイグサとツキミソウの決定的な違いは花色です。マツヨイグサの黄色の花色はしぼむとオレンジ色に変色します。ツキミソウの咲き始めの白い花はしぼむと薄いピンク色になるのです。

マツヨイグサの種類

マツヨイグサの主な種類には、「コマツヨイグサ(小待宵草)」「ヒナマツヨイグサ(雛待宵草):別名でヒメマツヨイグサ(姫待宵草)」「オオマツヨイグサ(大待宵草)」があげられます。

他には名前に学名が入っている、園芸種でも人気のある「オエノセラ・マクロカルパ(ミズーリ―エンシス)」もあります。しかしこれらは、和名でマツヨイグサを指す種類とツキミソウの種類の厳密な区別がされていないようです。

環境省指定の侵入生物「コマツヨイグサ」

マツヨイグサの仲間である「コマツヨイグサ」は繁殖力の高さから、外来生物法で要注意外来種として環境省指定の侵入生物データーベースに登録されています。分布は北海道と沖縄以外の各地で繁殖し、特に河原や砂地、海岸のむき出しの地面、農耕地などで在来の砂丘植生と競合しているのです。

マツヨイグサとの見分け方は、花の大きさと茎の立ち方にあります。「コマツヨイグサ」の花は2~3センチと小ぶりで、這う茎が特徴です。

マツヨイグサの花言葉:ゆかりのある文学

①太宰治『富嶽百景』

Photo byheye

太宰治の「富士には、月見草がよく似合ふ」は随筆風の短編小説『富嶽百景』の太宰自身のせりふとなり、富士山の美しさを表現するときによく引用される有名な一節です。

太宰作品は暗い作風が多いのですが、『富嶽百景』は『走れメロス』と同じように比較的明るい作品です。富士山と月見草を効果的に使うことで、心中事件後に恩師の井伏鱒二に紹介された女性との出会いを通して自身に対する前向きさがすがすがしく表現されています。


本当は月見草ではなく待宵草だった

月見草は太宰に前向きに生きる希望を見出させた花として登場しますが、実際に太宰が見た花はマツヨイグサだった可能性が高いとの指摘が多くあります。文中で「ひとめ見た黄金色の月見草の花ひとつ……」とありますが、黄色い花をつけるのはツキミソウではなくマツヨイグサだからです。

花色の黄と月の黄がイメージ的に重なり、太宰に限らず植物に詳しくない人は花色が黄色のマツヨイグサをツキミソウと混同しがちかもしれません。

②竹久夢二『宵待草』

フリー写真素材ぱくたそ

竹久夢二の『宵待草』には、本当は『待宵草(マツヨイグサ)』とすべきところを間違えてしまい「訂正する機会を逃してしまった」というエピソードがあります(『植物誌』佐藤達夫,雪華社,1982年)。

しかし反対に「詩的な情感をもった発音・響きのする宵待草を選んだ」と推測する資料もあるのです(『うたのいしぶみ』松尾健司,ゆまにて,1977年)。古い歌ですが、いろいろ想像して聴いてみてはいかがでしょうか。

マツヨイグサを朝と夕方に愛でよう!

Photo byNessie66

マツヨイグサの花言葉は「浴後の美人」「気まぐれ」と少し色っぽさを感じさせます。原産地は北米から南米のため西洋の花言葉もあり、よい意味合いの「mute devotion(無言の愛情)」と、日本の花言葉と同じネガティブな意味合いの「inconstancy(移り気)」です。

いずれもマツヨイグサの性質が表現されており、物語性を感じさせる花言葉といえます。文学好き、太宰好きな人におすすめのマツヨイグサです。

月見草が気になる人はこちらをチェック!

ツキミソウ(月見草)は白い花を咲かせ、黄色い花色のマツヨイグサとはまた趣の異なる花です。ただ花言葉はマツヨイグサとは大きく変わりません。詳しく知りたい人はぜひこちらの記事をチェックしてください。