食用菊は栄養豊富な優秀食材!
食用菊は多くの栄養素を含んでいる優秀な食材です。代表的なのは抗酸化作用を含むビタミンC、血行促進が期待できるビタミンEとなります。眼精疲労効果や美肌効果、皮膚と粘膜も丈夫にしてくれる栄養素などもあり、食べない理由はありません。
また食用菊は殺菌効果があることから、お刺身のつまに出てくる菊の花びらを醬油に散らして食べるとよいそうです。食用菊の食べ方を研究し、毎日の食事に摂り入れてはいかがでしょうか。(この記事は2021年9月9日時点の情報です)
食用菊は薬として大陸から伝来
食用菊の種類は主に、お刺身のつまになる「小輪種」と花びらを食用にする「大輪種」に分けられます。そもそも菊は昔からお茶やお酒、漢方薬などで利用されており、食用菊とされているものは苦みが少なく、花弁が大きくなるように品種改良された種類なのです。
奈良時代に大陸から「延命薬」(もってのほか・かきのもと)が伝来しましたが、民間における普及は松尾芭蕉の句にも登場するように江戸時代からといわれています。
食用菊の種類
日本で食材として栽培されている食用菊は3種類あり、明るい赤紫色の八重咲の中輪種「延命楽」は山形県や新潟県で生産されています。山形県での別名は「もってのほか」や「もって菊」、新潟県での別名は「かきのもと」や「おもいのほか」です。
「安房宮(あぼうきゅう)」は黄色の八重咲の中輪種で、青森県八戸市の特産となります。延命楽も安房宮も、花びらの部分が酢の物などの和え物や天ぷらがおいしい食べ方だと評判です。
小輪種の食用菊は愛知県が生産量日本一
花の部分だけがお刺身のつまに使われる小輪種の食用菊は、愛知県での生産が最大となり国内の9割を占めています。飲食店で出されるお刺身についてくる食用菊は、ほとんどが愛知県産なのです。丹精込めてつくられた菊の花びらを醤油に散らし、お刺身と共に美味しくいただきましょう。
食用菊の下処理と保存方法
食用菊の下処理でのゆで方
大量の食用菊が手に入ったときは、彩りも食感も損なわないよう新鮮なうちに生の食用菊を下処理しておきましょう。ゆで方の人気レシピをご紹介するので参考にしてください。
食用菊は花びらの部分をがくから取ってバラバラにし、沸騰したお湯で30秒軽くゆでるだけです。あとはザルに上げて粗熱を取り、水気を絞って完成となります。ラップで小分けにして冷凍保存しておけば、おひたしや酢の物などに簡単に調理できる優秀な食材です。
材料:食用菊(150g)・酢(大さじ2)・水(2リットル)
食用菊の保存方法:生の花びらを保存
こちらの食用菊の保存方法は、花びらの部分を生のまま冷蔵・冷凍保存する方法です。茹でずに食用菊の花びらをジッパー付きの保存袋に入れ、空気をしっかり抜いて平らにしてから冷凍庫に入れます。使うときは手で割るように取ると簡単です。少量ずつラップで包むのもよいでしょう。
生で保存しているので茹でてから使います。食品の冷凍庫での保存期間は1ヶ月が目安とされているため、1ヶ月以内にこまめに使ってくださいね。
作り方:①食用菊の花びらを散らす。②保存用袋に菊を入れ、空気を抜いたら冷蔵庫へ。
食用菊の保存方法:花の形で保存
食用菊は、食べやすいように花びらをバラバラにしてから調理したり保存したりすることが多いようです。しかしこちらは、食用菊がきれいな形のまま保存して食材にし、そのまま使うレシピとなります。
きれいな色をキープするために熱湯と酢で茹でますが、必ず花を下にしてガクの部分を上にしてください。次に、茹でた後は必ずキッチンペーパーを使って水気を取り除きます。そしてサランラップを使って真空状態を作り出してください。
食用菊を一つずつカットして保存
サランラップで挟んだ食用菊は、サランラップのまま一つずつカットしてから冷凍保温してください。こうすることで使う分だけの食用菊を取り出せばよいので、手間も省けて簡単に調理できます。
食用菊の彩りはもちろん、お花が咲いているようにきれいなお料理になることでしょう。刺身のツマなどの和風料理はもちろん、洋風料理などのいろいろな食べ方を試したくなる食用菊の保存方法です。
材料:食用菊(適量)・熱湯(500ml)・酢(大さじ1)
食用菊の食べ方:おひたし4選
①定番人気ほうれん草とのおひたし
こちらの食べ方は、本当に簡単に調理できることと美味しくいただけるので、初めて食用菊を食材として調理する方には是非おすすめの食べ方。下処理した食用菊と茹でておいたほうれん草を袋に入れてほぐします。醤油またはめんつゆを入れ、味をなじませて完成です。
食用菊は黄色いものにすると華やかな彩りになり、紫ピンク色の食用菊にすると落ち着いた色合いになります。ほうれん草の栄養もばっちり摂れる人気の食べ方です。
材料:食用菊(もってのほか・1袋)・ほうれん草(1束)・酢(小さじ1)・醤油またはめんつゆ(適量)
②食用菊とほうれん草の海苔巻き
食用菊の食べ方は、ほうれん草と合わせて海苔巻きにする食べ方も人気です。写真はほうれん草だけですが、ここにひと工夫して食用菊も加えることでほうれん草と共にたっぷり味わえる、とても豪快な食べ方といえます。
ほうれん草と食用菊を海苔に乗せる順番を交互にすることで、2通りのデザインが楽しめます。海苔は巻きやすくするため、普通のサイズを半分にしてください。ほうれん草が大好物の人におすすめの食べ方です。
材料:おにぎり海苔(2枚)・食用菊(40g)・ほうれん草(40g)
③生わさびがポイントのおひたし
食用菊はシャキシャキとした食感とのほかな香りがありますが、味がほとんど感じられないので調味料で一工夫食べ方を試してみましょう。こちらの食用菊を使った人気レシピのポイントは、ツーンとした刺激の生わさびを使うことにあります。
生わさびと合わせる食べ方は皮むきをしてから千切りし、下処理済みの食用菊とかつおだしなどで和え物にするだけです。食用菊の食感のよさと香りはもちろんのこと、相性抜群の生わさびの苦みと香りがクセになる食べ方となります。
材料:食用菊(品種はもってのほか一袋)・生わさび(1/2本)・酢(茹で用に約10cc)■調味料・白だし(適量)・水出し カツオ出汁(適量)・酢(数滴)
④カブの葉と茎も無駄にしない!
カブはいろいろな食べ方ができますが、葉や茎を処分してしまう人もいるのではないでしょうか。しかしカブの葉や茎にも栄養がたくさん含まれているので、捨ててしまうのはもったいないのです。食用菊のおひたしと混ぜる食べ方もとても美味しいので、ぜひ挑戦してみてください。
カブの葉や茎はゆでてから3センチほどに切り、水気をしっかり絞ってください。食用菊のおひたしと混ぜ、白だしを加えて完成です。
材料:カブの葉(100g・1個分)・食用菊(2個)・酢
(大さじ1)・白だし(大さじ2)
食用菊の食べ方:酢の物4選
①定番人気の食用菊の酢の物
食用菊の食べ方といえば、一番人気は酢の物です。さっとゆでて好みの量の酢で混ぜるという、とても簡単でシンプルな食べ方となりますが、シャキシャキした食用菊の食感とほのかな甘い香りがけっこうクセになるかもしれません。
上手な食べ方として、酢に砂糖を少し入れるのが美味しくするコツです。たくさん作って常備菜にしておけば食卓に彩りを添えてくれることでしょう。
材料:食用菊(大さじ4)・酢(茹で用、菊の花びら100gに対して・大さじ1)・酢(大さじ1)・砂糖(大さじ1)・しょうゆ(小さじ)
②相性抜群なキュウリとの酢の物
酢の物の食材といえばキュウリが大人気ですが、食用菊を加えることで彩りが鮮やかな一品になります。下処理をした食用菊に薄く輪切りしたキュウリを混ぜ、好みの量の酢などの調味料を入れるだけの簡単な食べ方です。
キュウリの食べ方は輪切りではなく、食用菊の花びらの形に合わせて千切りにする人もいます。食用菊とキュウリのシャキシャキした食感に、ご飯もお酒も進んでしまいそうですね。
材料:食用菊(30輪ほど)・キュウリ(1本半~2本)・塩(小さじ2)・酢(適量)
③キノコとの相性も抜群の酢の物
シャキシャキ食感の食用菊は、ぬるぬるねばねば食感のなめことの相性も抜群です。なめこといえば大根おろしと合わせるのが人気の食べ方ですが、アレンジしてこのレシピでも使いましょう。下処理した食用菊に大根おろしを加えたなめこを和えるだけ。ぽん酢やだし醤油などで味を調えて完成です。
レシピにはありませんが春菊も入れることで、より香りが立ちそうです。なめこの代わりにエノキの醤油漬けも美味しいといわれています。
材料:食用菊(1パック)・なめこ(1袋)・すし酢(大さじ3)・醤油(小さじ1/2)・水(茹で用・1ℓ)・酢(茹で用・大さじ1)
④カリフラワーとの相性もよい食用菊
食用菊はカリフラワーの甘酢漬けとも相性がよく、白い色に黄色や紫色の食用菊がよく映えます。こちらは下処理をした食用菊に茹でたカリフラワーを合わせ、調理しておいた甘酢を混ぜるだけの簡単な食べ方。
甘酢の味は、お好みで酢を多めにしたり砂糖を多めにしたりして調整しましょう。カリフラワーの代わりにブロッコリーを使う人もおり、食材を変えるといろいろな食べ方ができるので工夫してくださいね。
材料:食用菊(100g)・カリフラワー(100g)・酢(菊茹で用・大さじ2)・砂糖(大さじ4)・塩(小さじ2/1)・酢(100㏄)
食用菊の食べ方:スープ2選
①ダブルの食感が美味しいかきたま汁
こちらの食用菊の食べ方は、肌寒くなってきた季節にぴったりの温かいスープです。紫色や黄色い食用菊と卵の彩りが美しく、見た目も充分に楽しめることでしょう。ポイントは、食用菊のシャキシャキ食感を活かすために食用菊の分量を多めにすることです。
片栗粉のとろみによる保温効果が高く、風邪の引きはじめや気温がグンと下がったときにおすすめの食べ方です。
材料:食用菊(紫・10輪)・食用菊(黄・4輪)・卵(1個)・だし汁(400cc)・酒(大さじ1)・しょうゆ(大さじ1/2)・塩(適量)※水溶き片栗粉(小さじ1)・水(小さじ2)
②ワカメの風味が美味しい冷製スープ
ワカメも使ったこちらのレシピは、美容効果がさらに期待できる食べ方です。冷製なので真夏の暑いときや風邪などで上がった体温をクールダウンしたいときにもおすすめの食べ方となります。ゼラチンでとろみをつけることがポイントとなり、シャキシャキした食用菊の食感とゼラチンのとろみが美味です。
食用菊は、紫色と黄色の2種類を使うと彩りがさらによくなります。ハムやキュウリの千切りもを浮かべるのもおすすめ食べ方とのことです。
材料:鶏ガラスープ(350cc)・粉ゼラチン(小さじ1)・水(大さじ1)・酒(小さじ2)・塩(2g)・醤油(小さじ1/2)・酢(少々)・胡椒(少々)・長ねぎ斜め千切り(少々)・戻しワカメ(ひとつかみ)・食用菊の花弁(各少々)
食用菊の食べ方:ごはん2選
①美しい彩り食用菊の混ぜご飯
こちらの食べ方は食用菊のおひたしを利用した、彩りがとてもきれいな混ぜご飯です。ポイントは、食用菊の下味を香り豊かなゆずぽん酢にすること。ほのかな食用菊の甘い香りとゆずぽんの酸味が絶妙にマッチしています。紫ピンクが白いご飯に映え、とても美しい彩りです。
このバージョンで黄色い食用菊で混ぜご飯を作ると、さらに彩りがよくなります。つけあわせには色の組み合わせが美しい、緑色の食材を調理するとよいでしょう。
材料:ご飯(1合)・食用菊(1パック)・ゆずポン酢(適量)
②長寿を願う栗との炊き込みご飯
こちらのレシピは敬老の日などのお祝い事におすすめの、栗やサツマイモも使った食べ方です。炊き込みご飯の素を活用することで簡単に調理できるので、時短にもおすすめの食べ方といえます。下処理した食用菊は、彩り重視で炊き込みご飯が仕上がってから散らしましょう。
渋い栗の茶色にきれいな黄色の食用菊が生え、まさに重陽の節句にふさわしい食べ方となります。お米の量を1/4ほどもち米に変えても美味しくなりそうです。
材料:米(2合)・食用菊(3つ)・甘栗(皮をむいたもの10個くらい)・さつま芋(適量)・人参
(適量)■五種の茸の炊き込みご飯(1袋)・酢(適量)・サラダ油(適量)
食用菊の食べ方:その他4選
①カリッと美味しい食用菊の天ぷら
食用菊は部分的に花びらだけではなく、丸ごと食べたくなるときもあります。そのようなときにおすすめのレシピが丸ごと揚げる食べ方です。ポイントは、マヨネーズを水溶き小麦粉に使用することにあります。きれいに揚げるコツとして、衣をたっぷりつけ、揚げるときに花びらの先を10秒だけ油につけてください。
食用菊の香りは天ぷらにすると一番強くなるといわれています。また、おやつに食べる人もいるようです。
材料:食用菊(10輪)・キューピーマヨネーズ
(大さじ1)・水(75cc)・薄力粉(衣用50g:まぶす用少々)・サラダ油(適量)自然塩(少々)
②彩り鮮やかな寒天寄せ
こちらのレシピは胃を摘出したご家族のために「秋の味覚を楽しんでほしい」と考案された食べ方です。食用菊の彩りの美しさが存分に生かされた、食卓をより華やかにしてくれる寒天寄せとなります。作り方は下処理した食用菊をミキサーにかけ、お湯に溶かした寒天と混ぜるだけ。
流し入れる型はタッパーでもよく、冷蔵庫で固めたら食べやすい大きさに切ります。食べるときに田楽味噌をつけるのも、さらに秋の香りが楽しめるおすすめの食べ方です。
材料:食用菊(品種はかきのもと・300g)・酢(20cc)
・水(100cc)・ぬるめの水(200cc)・寒天クック
(5g)・塩(ひとつまみ)・みりん(5cc)
③シャキシャキ食感のヨーグルトデザート
こちらは食用菊を手軽に食べられるデザートにした、見た目も美しい食べ方です。ポイントはデザートらしく、下処理した食用菊にハチミツを合わせて5分ほどなじませること。食用菊のほのかな甘みにハチミツの甘みも加わり、奥行きのある甘さとなります。
フルーツはバナナやイチゴなどのやわらかいものにすると、菊のシャキシャキ感が生きます。アンチエイジング効果があるとされる食用菊をデザートでも楽しめる人気の食べ方です。
材料:食用菊 (黄色または紫色・3輪または8輪)・ハチミツ(20g)・無糖プレーンヨーグルト(160g)・お好みのフルーツ(適量)・酢(適量)
④小春日和を思わせる和風サラダ
こちらは食用菊のやわらかいベビーリーフ(若葉)を使った、とても華やかなサラダレシピです。ドレッシングはごま油を使用していますが、お好みのものでも構いません。
花の部分だけではなく、大きくなる前のベビーリーフも食べられるのが最大のポイントです。ガーデニングで食用菊を栽培している人はぜひ挑戦してみてください。花は撮影用にバラバラにせず花の形そのままですが、実際はバラバラにしたほうが食べやすいとのことです。
材料:食用菊(5輪)・ベビーリーフ(1パック)・醤油
(大さじ1)・ごま油(大さじ1)
食用菊のいろいろな食べ方を楽しもう!
花びらの部分を食べる食用菊はビタミンCなどの栄養素が豊富な食材です。いろいろな食材と組み合わせて、毎日の料理に摂り入れてお楽しみください。人気の食べ方は、簡単なおひたしや酢の物、キュウリなどの他の食材との和え物です。
ほかにも、ご飯に混ぜたり汁物にしたり天ぷらにしたりと、食用菊には無限の食べ方があります。いろいろな食材でいろいろな調理法を考えてオリジナルの食べ方も考えてみてはいかがでしょうか。
春菊が気になる人はこちらをチェック!
9月下旬~11月上旬にかけて旬となる食用菊も栄養価が高くて美味ですが、5月~6月が旬の春菊も美味しくて非常に優れた栄養素を含んでいます。食用菊は花の部分を食べますが、反対に春菊の食用部分は花ではなく葉っぱなのです。春菊のいろいろな情報を知りたい人はぜひご参考にしてください。

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出典:photo-ac.com