セリは独特の香りと食感が人気の野菜
セリ(芹)はセリ科の多年草で水気の多い水田や湿地に古くから自生している日本原産の野草です。自生しているものを「山ぜり」「野ぜり」、水気の多い水田を利用して栽培されているものを「田ぜり」、畑で栽培されているものを「畑ぜり」と区別して呼ぶこともあります。
独特な香りと食感が特徴で、日本では奈良時代にはすでに食べられていました。春の七草の1つで七草がゆの食べ方も有名ですね。
セリの特徴
セリは独特な香りがクセになる美味しい野草です。日本の秋田県の郷土料理「きりたんぽ鍋」に欠かせない野菜でもあります。毎年訪れる旬の時期を楽しみにしている人も多いことでしょう。まだセリを食べたことがない人にセリの特徴についてご紹介します。
セリの特徴①旬は春
セリの旬は春です。ランナー(匍匐枝)と呼ばれる枝をつぎつぎに伸ばしながら広がるのがこの季節で、若々しく柔らかな新芽のついたものが食べられます。
セリは水気のある場所を好むため、稲の収穫が終わって開いた田んぼなどを使って栽培されていました。近年ではハウス内で水耕栽培されることも増えています。
セリの特徴②独特の香り
セリの特徴はなんといってもその独特の香りにあるといえるでしょう。ざくっと包丁をいれて茎を切ったとたんあたりに立ち込める豊かな香りはまさにセリ特有のもの。この独特のセリの香りには薬効性があり、味覚神経を刺激したり胃腸の動きを活発にしたりして食欲増進効果があります。
セリの特徴③豊かな水気と歯ごたえ
セリの茎はストローのように空洞になっています。そのため、噛むとシャキシャキとした独特の食感を味わえるでしょう。また、水気の多い野菜でもあり和え物などにするとみずみずしさと香りを同時に楽しめる野菜でもあります。
セリの特徴④食べ方が豊富
セリはさまざまな食べ方ができる野菜でもあります。さっと茹でておひたしや和え物にする定番の食べ方はもちろん、天ぷらにしたり炒め物にしたりする食べ方やレシピも人気です。また、香りが強い食材にも負けないので魚介や肉類の臭み消しとして使われることも珍しくありません。
旬の食材や少しクセのある食材と合わせてオリジナルの食べ方やレシピを見つける楽しみがある野菜でもありますよ。
セリの栄養素
日本原産で古くからひとびとに愛されてきた野菜「セリ」。香りと食感が魅力ですが実は緑黄色野菜に分類され、栄養価が高い野菜でもあります。いつもの食卓に1つセリ料理を並べるだけでグッと栄養価がアップするでしょう。
1つレシピを覚えておくと重宝しますよ。セリがもつ栄養についてみていきましょう。
栄養素①低カロリーで食物繊維豊富
セリ100gのカロリーはわずか17kcal。一方食物繊維は2.5gと豊富です。セリの1束がちょうど100gほどになります。生のままではボリュームが多く感じるかもしれませんがおひたしや和え物といった食べ方をすればカサが減り美味しく食べられるでしょう。
成人1人当たりに推奨される食物繊維量は約18g。現代人の食物繊維平均摂取量は1日14g前後のため、セリ料理を1品増やすだけで目標値にかなり近づけます。
栄養素②βカロテンが豊富な緑黄色野菜
セリは緑葉色野菜のため、βカロテンやビタミン類が非常に豊富に含まれています。βカロテンは活性酸素を押さえ、粘膜や皮膚を健やかに保つのに重要な栄養素です。βカロテンのほかにもビタミンCやB1、B2も含まれ栄養満点の野菜といえます。
栄養素③ミネラル豊富で生活習慣病予防にも
セリはミネラルも豊富です。ナトリウムの排出を助けるカリウムや貧血を予防する鉄分、妊娠中の人はぜひ摂りたい葉酸なども豊富。コレステロールや血圧上昇を抑える効果も期待されています。
また、独特の香りが食欲を増進させてくれるので食が細い人にもおすすめしたい野菜でしょう。中国では「水芹(すいきん)」と呼び、生薬として使われているほどです。
基本のセリの食べ方
豊かな深みのある香りをもち、健康効果も大いに期待できるセリ。スーパーで見かけた際はぜひ購入してその美味しい味を楽しんでみてくださいね。美味しいセリの選び方や、美味しい茹で方、食べ方について簡単にご紹介します。
セリは根付きで売られていますが、どこまで食べられるのかなどもチェックしましょう。
基本の食べ方①選び方
セリの鮮度は茎の張りや葉の色でチェックします。枯れて黄色くなった葉が多いものや茎に張りがなく、へなへなしているようなものは避けましょう。また、あまりに茎が太いものは食感がごわごわするのでほどよい細さのものを選ぶのもポイントです。
道の駅などで自然に自生しているセリが販売されていることもあります。自生しているセリは茎の色が赤いものがあり、濃すぎるとアクが強い傾向に。緑のものを選ぶと食べやすいでしょう。
基本の食べ方②食べる箇所
根付きで多く販売されているセリですが、根もそのまま食べられます。葉や茎とはまた違った食感と香りが魅力で、香り立つ土の風味が大地の力強さを感じさせてくれるでしょう。秋田の郷土料理きりたんぽ鍋ではセリの根は絶対に欠かせないものともいわれているほどです。
基本の食べ方③洗い方
根まで食べられるセリはしっかりと水洗いするのが最初の調理法として重要です。水気の多い場所に生えているため茎や葉の汚れは少ないですが、泥の中に生えているため根には土がどうしても残っています。流水に当てながら細かい根の隙間の土をしっかりと洗い流しましょう。
自生しているセリを採取してきたような場合は泥以外にも虫や寄生虫がついていることもあるためしっかりとよく洗います。
基本の食べ方④茹で方
セリ料理で多い食べ方が和え物やおひたしでしょう。セリの茹で方はさっと短時間で茹でるのがポイント。塩を少量入れた鍋を沸騰させ、根の付いたまままるごと10~20秒茹でます。さっとお湯からあげ、氷水で急冷しましょう。
アクの強い田ぜりなどはそのまま冷水にさらしてアクを抜くのが茹で方のポイント。栽培ものは冷えればさっと水からあげて構いません。茹でたあとはしっかり水気を切ってから調味料と合わせましょう。
独特の香り!セリの人気料理・食べ方
セリの基本の調理法は茹でておひたしにしたり和え物にします。香りと食感をふんだんに味わえる美味しい食べ方といえるでしょう。基本の茹で方を押さえておけば味付けでバリエーションを出せます。セリの美味しい食べ方や茹でる以外の調理法で作る料理などをご覧ください。
人気レシピ・食べ方①ホタルイカとセリの和え物
材料
セリ:1束
ホタルイカ:1パック
海鮮ダシ:大さじ2
鰹だしの素:4グラム
味の素:適量
醤油:お好みの塩分で
ホタルイカはセリと同じく春に旬を迎える食材です。シャキシャキしたセリの歯ごたえと柔らかでクリーミーなホタルイカの和え物はまさに旬な和風の食べ方といえるでしょう。
セリは歯ごたえが残るようにさっと湯に通すくらいの茹で方にするのが美味しい食べ方のポイント。味がぼやけてしまうのでしっかりと水気を切ってから和え物にします。酢味噌とあえてぬたにしても美味しいですよ。
くわしい調理法・食べ方はクックパッドで
セリとホタルイカの和え物は、新鮮なセリとホタルイカが手に入ったらぜひ試してほしいレシピです。ホタルイカの食感を活かしたいときはセリの葉の部分だけを使うのもいい食べ方でしょう。
また、ホタルイカは刺身で売られていればあまり火を通さずレアな食感を楽しむのもおすすめの食べ方です。お酒のあてにもぴったりな和風の1品でしょう。
人気レシピ・食べ方②セリのナムル
材料
せり:1束
めんつゆ(四倍濃縮):小さじ1
水:大さじ1
ニンニクチューブ:1cm
ごま油:小さじ1/2
ごま:小さじ1/4
ナムルとは韓国料理の1つで野菜など季節の食材を茹で、ごま油と調味料で合わせる和え物です。日本原産のため、和風料理の食べ方が多いセリですが韓国料理やエスニック料理との相性もよくナムル(和え物)は人気の食べ方になります。
セリの食感を残す茹で方に注意して、さっとごま油で和え物にしましょう。こちらの食べ方もしっかりと茹でたセリの水気を切るのが美味しく仕上がるポイントです。
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セリのナムルはセリの香りとごま油の香りが食欲そそる食べ方です。せっかく和風ではなく韓国風に仕上げるのであればニンニクや生姜は忘れずいれたいところ。たんぱく質を増やしたいならツナ缶などと合わせると手軽にプラスできますよ。
人気レシピ・食べ方③セリとベーコンのパスタ
材料
パスタ:240~300g
セリ:1束(80g)
ベーコン:3枚
にんにく:1かけ
唐辛子:2~3本
塩・コショウ:適宜
オリーブオイル:大さじ3
セリとベーコンのパスタはさっと手軽に作れる春を感じる食べ方です。パスタの茹で時間を見ながらセリの茎を一緒に茹でればお鍋も1つで済み、茹で方も簡単にできます。しゃきしゃきしたセリの歯ごたえにベーコンの燻製の香りがなんとも美味しいマッチングを楽しみましょう。
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力強いセリの香りはほかの食材の味わいを引き立てさまざまな食べ方を生み出します。ベーコン以外にもオイルサーディンやホタテといったうまみや香りが強い魚介との相性も抜群です。
牡蠣のオイル漬けなど缶詰をうまく取り入れると調理法も簡単で美味しく仕上がりますよ。
人気レシピ・食べ方④せりご飯
材料
米:2合
酒:大さじ2
白だし:大さじ2
みりん:大さじ1
せり:2束
ごま油:大さじ1
塩:小さじ1/2
炒りごま:お好みで
セリが大量に手に入ったら試してほしいのがせりご飯で、調理法はいたって簡単です。事前にごま油で軽く炒めて水気を飛ばしておいたセリを炊き立てのご飯に調味料と一緒に混ぜ込むだけ。セリの香りが食欲をそそり箸がすすむ食べ方でしょう。
セリと同じく春が旬のタケノコなどと合わせて炊き込みご飯にするのも美味しいですよ。
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あまったご飯はおにぎりにする食べ方もおすすめです。セリは緑黄色野菜なのでおにぎりにすれば一緒にいろんな栄養が摂れるのもうれしいポイントでしょう。忙しい朝にも栄養バランスのよい食事を美味しく食べられる人気レシピです。
人気レシピ・食べ方⑤セリとエビのかき揚げ
材料
芝エビ(他の小エビでもOK):頭を取った状態で130g程度
セリ:1束
酒(エビ下処理用):大さじ2杯程度
揚げ油:フライパンの深さ3cm程度になる量
天ぷら粉(打ち粉用):小さじ6~8杯位
塩:適量
天ぷら粉:1カップ
冷たい炭酸水(冷水でもOK):150cc
セリの茎は中が空洞のストロー状なのでかき揚げなど揚げ物にするとよりサクサクとした食感になります。セリをざく切りにし、天ぷらにする食べ方は人気で蕎麦の上にのせたりするのもおすすめ。エビ以外にもホタテやそらまめなど好きな食材と一緒にかき揚げにしてみましょう。
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セリのかき揚げにはぜひ根も一緒に調理してみてくださいね。大地の香りが口いっぱいに広がり春の訪れを感じられる食べ方です。クッキングシートにかき揚げのタネを広げ、クッキングシートごと油のなかに落とすとかき揚げの形が崩れずにできますよ。
セリの水気はキッチンペーパーでしっかりふき取っておきましょう。
人気レシピ・食べ方⑥きりたんぽ鍋
材料
セリ:1束
鶏ひき肉:200g
塩コショウ:適宜
生姜:1片
片栗粉:大さじ2
ご飯:1膳
鶏がらスープ:大さじ1
醤油:大さじ2
豆腐:半丁
きりたんぽ鍋はセリの根が味わえる美味しい食べ方です。冬の和風料理にかかせない鍋料理は体も心も温まる調理法。春の訪れを感じながら味わいましょう。セリの根はしっかりと水で洗い、食べる直前にいれると食感がよく美味しいですよ。
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きりたんぽ鍋といえばご飯を棒状にしたきりたんぽが欠かせませんね。近頃は棒状に米を加工し、焦げ目をつけた真空パックのきりたんぽも発売されています。きりたんぽ鍋用の鍋つゆも出回っているので材料さえ用意すれば手軽に作れるでしょう。
人気レシピ・食べ方⑦セリのちらし寿司
材料
いわし水煮缶:1缶
セリ:1束
昆布:5cm角1枚
生姜:適量
酢:大さじ3
砂糖:30g
塩:10g
白ごま:大さじ3
錦糸たまご:適量
セリは酢との相性も抜群。そのため和風料理で人気のちらし寿司にもおすすめです。色鮮やかなセリの緑がいっそうちらし寿司を美味しく見せてくれるでしょう。
イワシやサバの水煮缶を使えば下ごしらえも手軽です。炊飯時に缶詰の水気を一緒に入れて炊き込むとうまみがいっそうアップしますよ。
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日本生まれのセリは和風食材とよくマッチします。ちらし寿司で人気の具材うなぎなどと合わせても美味しさを引き立ててくれるでしょう。
ちらし寿司は見栄えもよくみんなで食べられるのでパーティーメニューにも人気ですね。桃の節句のメニューにもよく作られていますよ。
春を告げる野草「セリ」の香りを味わおう
セリは独特の香りをさまざまな食べ方で楽しめる野菜です。おひたしにしても和え物にしても、揚げてもおいしいセリを好きな食べ方で余すことなくいただきましょう。
セリは少しクセの強い食材と合わせると新しい食べ方の発見があって楽しいですよ。カンキツなどの果汁と相性もよく料理の楽しみを広げてくれる食材でしょう。
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