塩ビパイプとは
近年塩ビパイプはdiyの人気素材です。塩ビは「ポリ塩化ビニル」のことで、合成樹脂素材とも言います。安価な上に耐久性や加工性が抜群で、他の素材よりも省資源性であり、近年需要度が増している素材のひとつです。
生活用材としてもdiy素材としても人気の塩ビパイプは、私たちの生活用途に欠かせません。そんな塩ビパイプの特徴やサイズについてまとめています。
塩ビパイプの特徴
加工性
塩ビパイプはdiy素材としての用途が広がり、その加工性の高さや手軽さが注目されています。塩ビパイプで収納棚やラックを組み立てたり、テーブルやベッドなどの家具作りに挑戦したりする方も少なくないです。
軽くて持ち運びも簡単なので持て余す心配もありません。必要なくなったら手軽に解体できる点も、diy素材として優秀です。
耐久性
塩ビパイプは木材のような腐ったり、金属のように錆びたりする心配もありません。硬化性の塩ビパイプなら、およそ50年程の耐久年数を誇ります。
また、酸化のみならず、油や薬品に対しても高い耐久性を発揮する素材です。水やほとんどの有機溶剤にも耐久性があります。塩ビパイプが水道管や排気ダクトとして長年使われているのはそのためです。
難燃性
また燃えにくいのも特徴です。ほとんどのプラスチックは石油が主な原料なので燃えやすく、扱いには注意が必要ですが、塩ビパイプには原料に塩が含まれているため燃えにくい性質を持っています。
着火温度も455℃とかなりの高温なので、普段の生活では発火の心配がないのはdiyでも安心です。特性を活かして住宅用建材にも多く使われています。
絶縁性
また塩ビパイプなどのプラスチック素材は絶縁性です。ゴムやガラスなどと同じく、絶縁体とも呼ばれます。感電の心配がないのはdiy素材としても安心ですね。
しかし同時に電気を通さない性質なので、常に静電気を含んでいます。しかし手を近づけてもビリっとすることはないので、diyの作業中も心配いりません。
塩ビパイプの種類
diyで使う塩ビパイプには2種類あります。VUと呼ばれる薄肉管とVPと呼ばれる厚肉管です。VUは排水用のパイプとして使われることがほとんどで、厚みはVPに比べると薄いです。diyでは加工がしやすい分メリットと言えます。
VPはパイプの厚みがあり、VUより重さもあります。給水用としての用途が一般的です。また頑丈で耐荷重も期待できるので、diy家具などにはこちらをおすすめします。
塩ビパイプの規格・サイズ
塩ビパイプの規格やサイズは幅広く、種類によっても異なります。VUは外径が18mmから300mmのサイズがありますし、VPは48mmから630mmとやや大き目のサイズ感です。
diyで使う時は、太さのあるものは加工しにくく敬遠されがちです。そこで、ここでは径100mmまでのサイズを記載しています。自分がdiyに使う時、どのサイズのものを選んだらいいか決める時の参考にしてください。
VUサイズ一覧表
呼び径 | 外径/mm | 厚さ/mm | 内径/mm | 重量/g |
40 | 48 | 1.8 | 44 | 1652 |
50 | 60 | 1.8 | 56 | 2084 |
65 | 76 | 2.2 | 71 | 3330 |
75 | 89 | 2.7 | 83 | 4636 |
100 | 114 | 3.1 | 107 | 6948 |
VUタイプは、厚みがないので加工しやすくdiy向きと言えます。穴を開けたり、形を変えて使いたい時にぴったりです。
ここではよく使われる100mmまでのサイズをご紹介しています。ホームセンターにはもっと大きなものも置いてありますので、diy素材としてさまざまなもの作りに挑戦してみてくださいね。
VPサイズ一覧表
呼び径 | 外径/mm | 厚さ/mm | 内径/mm | 重量/g |
13 | 18 | 2.5 | 13 | 696 |
16 | 22 | 3.0 | 16 | 1024 |
20 | 26 | 3.0 | 20 | 1240 |
25 | 32 | 3.5 | 25 | 1792 |
30 | 38 | 3.5 | 31 | 2168 |
40 | 48 | 3.6 | 40 | 3164 |
50 | 60 | 4.1 | 51 | 4488 |
65 | 76 | 4.1 | 67 | 5780 |
75 | 89 | 5.5 | 77 | 8808 |
100 | 114 | 6.6 | 100 | 13636 |
VPタイプは、VUよりも厚みがあります。その頑丈性から、棚やテーブル、家具などのdiyにおすすめです。
VPも100mmサイズまでをご紹介しましたが、もっと大きなサイズもあります。ホームセンターにありますので、大型の家具などのさまざまな用途のdiyに対応できますよ。
注意点
塩ビパイプには呼び径というものがあります。これは厚みを示す数字ではないので、サイズと間違えないようにしてください。
またパイプの厚みや内径は、それぞれのサイズによって異なります。diyに使う際はしっかりとサイズを見て自分の必要なものを購入するようにしましょう。
塩ビパイプの用途
diyに人気の塩ビパイプですが、性質の特徴を知っていれば用途によって使い分けが可能です。ここではVP素材の2種類の性質や主な用途をご紹介します。
安価でdiy向きなVP
生活面でさまざまな用途に使われている塩ビパイプの中でも、diyにおすすめのVPは一般的にホームセンターで売られています。diyに使う用途以外では、主に水道用の給水管としての役割がほとんどです。
メリットは軽くて扱いやすく、加工性や耐久性が高いことです。デメリットとしては、衝撃への耐久性が低いことが上げられます。
耐衝撃性に特化しているHIVP
VPのデメリットと言える衝撃性をカバーしたのが、HIVPという塩ビパイプです。こちらは寒冷地での使用にも適し、耐衝撃性に特化していて、価格はVPより100円ほど高くなっています。
diyで外で使うものを作るときや、大型の家具作りに使ってみたい方はこちらを購入してもいいでしょう。衝撃性に加え頑丈性も必要なので、HIVPのような性質なら安心です。
塩ビパイプのdiy法①簡単収納棚
それでは簡単収納棚の作り方です。ここでは人気のワンバイ材と塩ビパイプを使って作る簡単手軽なdiy法をご紹介します。どちらも加工しやすく、人気のdiy素材です。
ホームセンターなら購入時にサイズカットがお願いできます。diy初心者は特にサービスを使ってなるべく手間を省くと苦にならないですよ。
必要な材料と道具
塩ビパイプを切る作業には、専用のパイプカッターがおすすめです。diyでの作業効率がアップしますのでぜひ活用してください。ホームセンターで買うことができます。パイプは大中小サイズの3種類のものを用意しましょう。
継手はパイプをコの字に繋ぐエルボやㇳの字の形のチーズを使います。脚元にはソケットと呼ばれる継手が必要です。素材は人気色の黒やアイアンカラーでペイントしましょう。ぐっとおしゃれなインテリア家具になりますよ。
簡単収納棚diyの材料と道具
- ①1×8材 50cm×3枚
②塩ビパイプ 2m×1本
③TSチーズ ×8個
④TSエルボ ×4個
⑤ソケット ×4個
⑥黒やアイアンなどの好みのペンキ
⑦刷毛
⑧パイプカッター
⑨電動ドリル
⑩ゴムハンマー
作り方
作り方は、まずワンバイ材に電動ドリルで塩ビパイプを通すための穴を開けます。ペイントしたパーツは接着剤でくっつけ、仕上げにゴムハンマーでしっかりと固定し組み立てたら、棚板を乗せて完成です。
diyとはいえネジ止め作業などが全く不要なので、初心者も簡単に取り組めます。手軽に家具を自作したい方はぜひ挑戦してみてください。
塩ビパイプのdiy法②壁面収納棚
diyで作るインテリアの中でも人気の壁面収納棚も、塩ビパイプで簡単自作に挑戦しましょう。壁面にビスを固定して作る、家具代わりの収納棚diy法で自室の一角をおしゃれでスペースレスなインテリアに変えてくれますよ。
壁面収納diyは、収納スペースの少ないアパートやマンションにおすすめです。しかし賃貸の場合は壁に穴を開けるので、可能かどうか確認してから着手してくださいね。
diyに必要な材料と道具
diyに必要な材料は、サイズの違う塩ビパイプを2種類とワンバイ材を4本、継手、ビス、接着剤です。壁に固定する作業があるので、電動ドリルを使います。
塩ビパイプを使った壁面収納棚の材料
- ①1×4材 4本
②塩ビパイプ 大20cm×9本、小10cm×12本
③TSエルボ × 6個
④TSチーズ × 6個
⑤フランジ ×12個
⑥固定用ビス
⑦接着剤
⑧塗装用ペンキ
⑨刷毛
⑩パイプカッター
⑪電動ドライバー
作り方
作り方は、まず最初に素材をおしゃれにペイントしましょう。棚板の色も合わせれば統一感のあるインテリアになりますよ。乾いたら接着剤で取り付けて組み立てます。取り付けたフランジを壁面にビス固定し、その上に棚板を置けば完成です。
塩ビパイプのdiy法③ハンガーラック
洋服のスマート収納に便利な家具のひとつ、ハンガーラックを塩ビパイプで手軽に自作しましょう。ハンガーラックは洋服収納だけではなく、洗濯物干しなどのさまざまな用途に使用できる便利な家具です。
diyに必要な材料と道具
diyに必要な材料は、ワンバイ材と塩ビパイプ、継手パーツです。一番長さのある塩ビパイプは自分の身長位がいいでしょう。これを4本、他幅を決めるものが2本、細かな接続に必要なものが8本です。
継手は、TSエルボ4個、TSチーズ6個、キャップ4個です。道具は組み立てに便利なゴムハンマー、カット作業が必要な場合はパイプカッター、接着剤を用意します。棚板のカットには鋸が必要です。
ハンガーラックdiyに必要な材料と道具
- ①塩ビパイプ 大4本、中2本、小8本
②TSエルボ ×3
③TSチーズ ×6
④棚板
⑤鋸
⑥パイプカッター
⑦接着剤
作り方
自作ハンガーラックの作り方です。まずカットした塩ビパイプをペイントしましょう。パイプの色がねずみ色なので、そのままだとインテリアに浮きます。継手と一緒にペイントしてみましょう。黒やアイアンがおすすめです。
ペイントの乾きを待って、継手と組み立てていきます。取付時、接着剤を塗ることで強度が増すので忘れずに行いましょう。棚板をパイプの間に置き、落ちないように電動ドリルで穴を開けます。そこに結束バンドを入れて固定すれば完成です。
塩ビパイプのdiy法④タオルラック
塩ビパイプのdiyで、組み立てのみでできる手軽なタオルラックを自作してみませんか。タオルは軽いので、棚板不要でパイプラックの上に簡単に収納できます。ラックとしてだけではなく、ハンガーとしても使えるので便利ですよ。
diyに必要な材料と道具
diy材料の塩ビパイプと継手は、できれば径が大きくても軽いVUがいいでしょう。壁固定にはパイプと同じ径のサドルバンドを用意します。またビスと電動ドライバーが必要です。
必要な長さの塩ビパイプと、継手と組み合わせる短いパイプを用意します。洗濯室なのでペイントはお好みですが、清潔感のある色がおすすめです。
自作タオルラックdiyの材料と道具
- ①塩ビパイプVU40 50cm×5本、15cm×18本
②サドルバンド ×4個
③TSエルボ ×14個
④TSチーズ ×6個
⑤接着剤
⑥電動ドリル
⑦固定ネジ
作り方
タオルラックを塩ビパイプを使えば自作も簡単です。作り方は、まず切り出した塩ビパイプ50cmの5本全て両端にTSエルボを取り付けます。次に15cmのパイプ全てにTSチーズを設置していきましょう。
壁面には、サドルバンドで固定しましょう。サドルバンドはパイプをまたぐようにしてセットするので、サイズを間違えると使えません。セットしたら電動ドリルでビス止めして完成となります。
塩ビパイプのdiy法⑤植物用ラック
ワイヤーネットと塩ビパイプを組み合わせれば、屋外用の植物用ラックが簡単に自作できます。植物用なので、ラックは常に外に置くことになり劣化が心配ですが、塩ビパイプは腐食や錆が発生しないので安心ですよ。
diyに必要な材料と道具
材料は4種類、ワイヤーネット、塩ビパイプ、継手、ネットを固定するワイヤーです。ワイヤーを結束バンドでも可能ですが、ラックに入れるものの重さによって使い分けてください。
作業にはネジ止めがないので、電動ドリルは不要です。重たいものを入れた時にパーツが取れないよう、しっかりと接着剤とゴムハンマーで固定しましょう。
植物用ラックdiyに必要な材料と道具
- ①塩ビパイプ VP材 50cm×8本、25cm×12本、10cm×28本
②TSエルボ ×4個
③TSチーズ ×28個
④100均ワイヤーネット 3個
⑤固定用ワイヤーまたは結束バンド
⑥接着剤
⑦ゴムハンマー
作り方
カットした50cmパイプの両端に、TSエルボを取り付け、10cmの7本パイプをTSチーズと繋げます。これを2セット作ったら平行に立てて、25cmのパイプをひとつおきに垂直に取り付けていきましょう。
残り3本の50cmのパイプは平行になるように固定し、脚部分にはキャップを付けた25cmのパイプを取り付けます。ワイヤーネットは素手で簡単に折り曲げ可能なものを選び、好きな形にしたらワイヤーか結束バンドでしっかり固定すれば完成です。
塩ビパイプを使ったdiyを楽しもう!
塩ビパイプの用途や収納棚の簡単な作り方をご紹介してきました。塩ビパイプは安さや種類、用途の豊富さで容易に手に入るdiy素材のひとつです。誰でも思い立ったらすぐにdiyを始めることができます。気になるものがあったら、ぜひ挑戦してみてくださいね。
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出典:https://pixabay.com