塩ビパイプとは
塩ビパイプの概要
塩ビパイプとは略語で、硬質塩化ビニールパイプの事です。配管は給排水（VP、VUパイプ）、給湯用（HTVP）など様々あり、耐荷重のある埋設用の配管などもあります。
また住宅用等の細い塩ビパイプから、工業用の太い塩ビパイプなど各サイズがあり、排水用の塩ビパイプは肉薄で太いパイプがメインですが、エアコン用の細いパイプもあります。何れも軽量・硬質で耐用年数もあり、低価格なDIYに向いたものが塩ビパイプです。
塩ビパイプの特徴
塩ビパイプの形態、重量
塩ビパイプは外面に光沢のある円形のパイプです。細い塩ビ配管は2mで主に販売されていますが、ホームセンターでは持ち運びの為に短く切断し、持ち帰る事が出来ます。重量はDIYで多く使われるサイズのVPパイプの20A（内径20mm）で310g/1mと軽量です。
少し耐荷重が必要なところで、若干大口径のVPパイプの30Aで542g/1m、40Aで791g/1mと非常に軽量で掃除や移動の際に便利です。机で10ｍ分のVPパイプを使っても5kg強で、移動に非常に優れた骨組み材と言えます。
塩ビ配管の接続の仕方
塩ビ配管の多くは差し込み式で、専用の接着剤を使用して接続します。ですので組立が非常に簡単で、接着する前に、仮に接続し、仕上がりの工程確認が出来て便利です。また、鉄パイプとの接続のねじ込み式などもあり、強度も保たれた組み合わせも可能になっています
塩ビパイプの強度、耐荷重
塩ビパイプの強度は、配管を立てた強度は非常に強く、その強度は20AのVPの塩ビパイプで組み立てた椅子もあるほど、しっかりした強度があります。また横の荷重に耐え得る耐衝撃性の埋設配管もあり、耐荷重が必要な場合はこちらの塩ビ配管「HIVP」がおすすめです。
ただし元々人間や重い物を載せる、専用の骨組み材ではないので、ほどほどの耐荷重を計算し設計しましょう。
塩ビパイプの種類
給水用塩ビ配管（VP）
関西化工株式会社 塩ビパイプ VP25
出典:Amazon給水用の塩ビパイプは「VPパイプ」と呼び、常に水が流れている事を想定し作られていますので、肉厚のパイプで、接続の接手材も差し込みしろが深く、耐荷重必要な棚や机の製作に向いています。DIYで最も多様し、加工しやすいのが「VPパイプ」です。
車が上を通る事を想定した「HIVP」というパイプは、耐荷重、耐衝撃を想定した埋設用の給水パイプで、さらに耐荷重必要な加工に向きます。
VPパイプのサイズは、内径が13㎜、16mm、20㎜、25㎜、30㎜から工業用の40mm、50mm、65mm、80mm、100mmまで様々あります。また耐熱用の給湯配管も塩ビパイプであります。
排水用塩ビ配管
排水用のパイプは肉薄で強度と耐荷重性が低いVUパイプと若干肉厚の埋設で多用するVPパイプがあります。
DIYでは強度や耐荷重が低いのであまり使用しませんが、エアコン専用の排水パイプで、露出のおしゃれなアイボリーの光沢のVPパイプや外面被覆鋼管のVIがあり、こちらはDIYで使用する際おすすめですが、価格は若干高めになっています。大口径の物は支柱や鉢植えで加工して使用します。
硬質塩化ビ外面被覆パイプ(VI）
鉄パイプの外面を塩ビコーティングしているのが「VIパイプ」で鉄管が全く見えない作りになっていますVI専用の接手類も全てあり、一般的な使用は埋設配管や、オフィスやマンションでおしゃれに露出配管という見える場所でVIパイプを使用します。
配管が結露せずに、鉄管の経年劣化も防げる長所があるVIですが、DIYでは強度、耐荷重が大幅に向上し、見栄えも良くVIを多用します。VIの弱点は加工の難しさ、重さがあり、VIパイプの加工の際には旋盤が必要です。
ですので、既製品で決まった長さを使用したり、VPパイプとVIパイプの組み合わせで使用する事が多いです。
塩ビパイプのサイズ
塩ビ配管の様々なサイズ
上述でも触れましたが、給水用の塩ビパイプ（VP、VIパイプ）は13㎜～100㎜までのサイズがあり、住宅や店舗で使用するサイズは大元は側が30mmか40mmで流量によって出口側で細くなり、蛇口の接続されている塩ビパイプは13㎜か16㎜です。
排水管はトイレは80㎜、お風呂は65㎜位と使用用途に合わせ口径が変わり、家の外では100㎜の配管が主です。大型の施設では150㎜、200㎜を使用し、下水道や大型の浄化槽に接続されています。
塩ビイプの接手（接続材）
塩ビ配管のジョイント系接手材
塩ビパイプはジョイント系の接手といわれる接続材で伸び、曲がり、分岐します。塩ビパイプのジョイント系の接手類はソケットという差し込み式のものや、フランジというボルトナットで繋ぐ、取り外しも出来る物があります。
給水用のVPパイプの接手は強度に優れ、排水のVUの接手よりDIYの加工に向いています。また鉄パイプのVIと繋ぐバルブソケットという、ねじ式の接手もあり、VIパイプ接続し、強度保ったり、デザインを向上させる加工での使い方をします。
塩ビ配管の分岐、折り曲げ系接手材
塩ビパイプの接手類で加工の際、必ず必要な物が90度に折り曲げられるエルボとソケットの横に90度左右に分岐するT配管、チーズという物があります。棚や机などはサイズを問わず角がありますので加工する際にエルボを多用します。また配管の途中に補強のパイプを入れたい場合は、チーズを使用し加工します。
塩ビパイプの接続材（接着剤ほか）
塩ビパイプの接着剤
カクダイ 塩ビパイプ用接着剤 6301
出典:Amazon塩ビパイプは専門の接着剤で接続をします。VP、VUなどパイプの種類を共通した接着剤で、配管のサイズによって接着剤自体の大きさ、粘度が変わります。細いVPパイプの場合は、粘度の低い速乾性の物が向いています。
接着によって耐荷重や強度に影響しますので、しっかりと接着したいものです。また耐荷重性、強度の高いHIパイプは専用の接着剤があります。VI配管は水漏れを防ぐために接着剤を使用との使い方をしますが、DIYではねじのゆるみを防ぐ使い方で使用します。
塩ビパイプの様々な接続材
HSバルブ TSフランジ 10KTSF20
出典:楽天塩ビパイプは取り外し可能なフランジという、パイプをボルトナットで結ぶ接手が各サイズであり、後に補強などの加工する使い方や、棚などで増減する加工での使い方、ラックで伸縮をする可能性がある場合に入れておくなどの使い方がおすすめです。
また、木材などと接続する場合は、塩ビパイプの接手類にビスを打ち込み補強する事も可能です。
塩ビパイプの固定、組み合わせ
塩ビパイプの固定
塩ビパイプと木材の板や壁などに固定する場合は専用の支持金物が必要です。板に固定する場合はUの字になっていて、パイプの両サイドにビス穴がある、サドルバンドを使用します。
壁に取り付ける場合は、このサドルバンドでの使い方でも取り付けは可能ですが、見た感じが少し貧相なので、壁に配管を取り付ける際に使用する、「T字足」と「縦バンド」を使用し、おしゃれにDIYでの作品として加工製作します。
塩ビパイプと鉄パイプなどの組み合わせ
塩ビパイプと鉄パイプの配管、接手類は各サイズがあり、床置き式の棚などで、重心を低く保ちたい時や、強度が欲しい部分などに、鉄パイプと組み合わせての使い方が可能です。また移動式ラックでは柱の下部にキャスターを取り付けるのに、鉄パイプの接手を接続し、キャスターを取り付ける組み合せの使い方をします。
塩ビパイプの道具
塩ビパイプの切断で使用する道具
塩ビパイプはノコギリや糸のノコ、塩ビ専用のパイプノコギリなどで切断が出来ますが、切る本数が多かったり、体力無い人には大変な作業です。なので40㎜までのサイズの塩ビパイプ専用のカッターを多用する事が多く、作業的に非常に楽なのでおすすめです。
細いサイズの塩ビパイプの切断に限られる使い方の物ですが、ゴミも出なく、楽で安全ですのでこちらを使用する事をおすすめします。
鉄パイプを切る場合は、高速カッターやセーバーソーで切る事は可能ですが、その後のねじを作る加工では旋盤を使用し、高価で大変ですので、規格の長さを使用するか、ホームセンターに加工を頼む事をおすすめします。
塩ビパイプの接続で使用する道具
塩ビパイプの接続で使用する道具は、塩ビパイプのみの加工製作なら接着剤だけで大丈夫ですが、フランジやねじ込みのバルブソケットや鉄パイプ、接手と接続をする使い方での加工はその他の道具を使用します。
バルブソケットを使用する場合はパイプレンチがパイプに合わせたサイズで2丁必要です。またフランジを使用する場合は、モンキーとプライヤーを使用し締め込みます。
パイプレンチ
モンキープライヤー
塩ビパイプの固定で使用する道具
塩ビパイプと壁面や板を取り付ける時に使う道具はDIYではお馴染みの電動ドライバーです。また壁がコンクリートの場合は振動ドリルで下穴を開ける必要があります。それ以外は電動ドライバーで充分です。
塩ビパイプの塗装
塩ビパイプの塗装の仕方
ネズミ色や紺色で、商品名がプリントされている塩ビパイプははっきり言って塗装しないと見られません。塗装は水性、油性のどちらでも塗装は可能で、移動するラックや、ハンガーを掛けるハンガーラックは塗装が強固な油性で重ね塗装がおすすめです。
塗装によって殺風景な配管がおしゃれなDIYに変身します。DIYの達人は、木目調の塗装や蒸気機関車の様な黒皮鉄風や、エアブラシ風の塗装をして楽しんでいます。
やすり掛けをし、下地材を塗装すると塗装が乗りやすく、長持ちします。さらにつや消し塗装のアクリルスプレーを吹けば、塗装保護になり、剥がれる事無く長持ちします。
やすり
下地材
Mr.サーフェイサー1000
出典:Amazonつや消しアクリルスプレー
塩ビパイプのDIY作品①
塩ビパイプ製テーブル
塩ビパイプの支柱と木板を取り付けた机です。材料は足にバルブソケット×4個、中間の補強桟にチーズ（T配管）×4個テーブル板直下にエルボ（エル型接手）×4個、16㎜のVPパイプ約7mです。板とパイプはサドルバンドで固定しています。
パイプはつや消しの黒で塗装していて、軽くてシンプルで軽量な机です。このサイズの机を店頭で買ったら2万円位の予算が必要ですが、塩ビパイプで作成すれば3分の1以下の予算で作れて、非常にコスト面でお得です。パイプの価格などの詳細は下記を御参照下さい。
塩ビパイプのDIY作品②
塩ビパイプ製移動カート
塩ビパイプの骨組みの机と同じ様なカートです。材料は塩ビパイプ20mmを約5m分、分岐チーズ×14個、エルボ×10個、足にはキャスターを4個取り付けて移動式のカートになっています。
板と塩ビパイプはサドルバンドとビスで固定してありますが中段などは取り外し式にしたら便利です。軽量なので、移動式に便利で実用的なおしゃれなカートです。
最近では塩ビパイプのサイズに合わせた（パイプのキャップ状の物）便利なキャスターが市販されていて、取り付けが非常に簡易です。
キャスター
塩ビパイプのDIY作品③
塩ビパイプ製ラック
こちらは塩ビパイプの骨組みと長方形の板を組み合わせた小物のラックです。上段には本棚を置いても良いですね。鉢植えやお酒のボトル、靴や帽子など小物を置くのに最適です。材料は塩ビパイプ16㎜を約12m、チーズ管20個、エルボ4個、塩ビ管キャップ4個です。
長方形の板の真ん中に塩ビ管を橋渡しし、板の四つ角と真ん中に支点があるので、固定の必要も無く、製作が楽で、色々な使い方が出来る軽量の使い勝手の良い、塩ビパイプ製のラックです。
また材木もホームセンタ―などで、様々なサイズの物が販売されていて、加工しなくても使用可能です。
木材
塩ビパイプのDIY作品④
塩ビパイプ製ハンガーラック
塩ビパイプと接手を組み合わせて作った、シンプルな塩ビパイプ製のハンガーラックです。材料は塩ビパイプ16mmか2mmを12m（4m×3本）チーズ管16個、エルボ管4本、パイプキャップ4本です。
ほこりなどを持ち込みやすい洋服のハンガーラックは軽量な塩ビ製で軽々と移動でき、掃除が楽です。また強度が絶対的に求められないので、接着しないで後々他の物に流用する事も可能です。
キャスターを取り付けても便利でおすすめです。分岐チーズを多用するので、価格や規格を下記を御参照下さい。
チーズ管
塩ビパイプのDIY作品⑤
塩ビパイプ製靴置き棚
両サイドに骨組みを塩ビパイプで作り、長板を橋脚とした超シンプルなDIYの靴置き棚です。材料は塩ビパイプ4m、チーズ管×12個、エルボ×4個、塩ビキャップ×4個、木板900×300㎜×3枚、サドルバンド×6、木ねじだけです。
非常にシンプルで、低価格なDIYで、配管の塗装も煩わしければ、露出配管用の綺麗なカラーの物も選べますので、下記を御参考下さい。
露出配管用塩ビパイプ
塩ビパイプのDIY作品⑥
塩ビパイプ製壁掛け棚
壁面から支持を取り付けた塩ビパイプ製壁掛け棚です。壁にはボードアンカーを使い塩ビパイプの骨組みを固定しますが、コンクリート壁には、コンクリートビスで接続します。ボード壁にはボードアンカーを使います。
下記の商品を御参照下さい。ボードアンカーはコンクリート程の強度はありませんが、引き抜き強度が1本あたり26kgfとかなりの強度を持ち、ある程度の重量がある物でも安心して置ける優れものです。
棚の材料は塩ビパイプ6m、チーズ管×2個、エルボ×12個、木板600×300㎜×2枚、サドルバンド×6個、ボードアンカー、ビスです。シンプル且つおしゃれな使い勝手の良い棚です。
コンクリートビス
ボードアンカー
塩ビパイプのDIY作品⑦
塩ビパイプ製椅子
若干大きな口径の40㎜の塩ビパイプで作った2人掛けの椅子です。各角にはロングエルボを使用し、デザイン性を向上させています。背もたれの後ろに補強の柱を追加し、安定性を保ち、足の先にはレジューサーという、異口径の配管を接続する接手を使って安定性をさらに向上させています。
座席、背もたれは塩ビパイプに下穴を開けてボルトナットで挟み込んで、ずれを防止しています。材料は塩ビパイプ約10m、ロングエルボ×5個、チーズ管×11個、レジューサー×4個、木板900×120×30t×6枚、ボルトナット（M8・65L）12セットです。
ロングエルボ
塩ビパイプのDIY作品/まとめ
塩ビパイプのDIYの魅力
塩ビパイプのDIYの魅力や製品についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか？軽量、低価格で斬新、見た目も良い魅力に溢れたDIYです。今までは想像もしなかった、キッチンウォール、TV台、机など簡単に作れてしまうのではないでしょうか？
作る際に先ず図面を書いてから、数量を拾い出してホームセンターなどで購入、塩ビパイプの切断をして、仮に組み込むという作業の流れで行えば間違いも無く、楽しく製作作業ができておすすめです。
軽作業なので、家族やカップルで楽しみながら作れ、時間も掛からないので、今度の休日に！など、思いついたら即実行も可能ですね。その際にこの記事が少しでも参考になれば幸いに存じます。
「長さ：2m」「重量：512g/2m」「価格：319円/2m」※価格は令和3年7月24日写真のURLのHP記載価格です。
「出典：rakuten.com」