大雪山の紅葉は9月中~10月上旬が見ごろ
2,000メートル級の山が四方に連なる大雪山の範囲は23万ヘクタールにも及び、まさに北海道の屋根というにふさわしい雄大さです。核心部は北海道最高峰の旭岳や黒岳となり、紅葉時期には大勢の観光客でにぎわいます。
もちろんですがそれぞれの山は地形が異なり、紅葉の時期や植物に微妙な違いがあります。アクセス方法も異なるため、スポットによってはそれなりの装備が必要です。これらの点についてもご参考にしてください。(この記事は2021年8月22日時点の情報です)
大雪山グレードを確認
大雪山に出かける際は、大雪山国立公園連絡協議会の「大雪山グレード」を確認してからの散策や登山をおすすめします。大雪山グレードは、「大雪山の自然とふれあう探勝ルート」のグレード1から始まり、グレード4の「大雪山の厳しい自然に挑む登山ルート」までの4段階が設定されています。
ただし、グレードが低く設定されているスポットでも自然活動のため、できるだけ装備や飲料水などは念入りに持参を心がけてください。
大雪山は「だいせつざん」か「たいせつざん」か?
大雪山の読み方は「だいせつざん」でも「たいせつざん」でもどちらも間違いではありません。
しかし国の機関によっては大雪山の読み方を区別しています。現場を管轄している環境省では「だいせつざん」と濁り、地図などを管轄している国土地理院は「たいせつざん」と濁らないのです。テレビやラジオでは国立公園を指すときは「だ」で、それ以外では「た」となり、なかなかややこしく感じます。
生活面での読み方は?
大雪山の読み方は2通りですが、明確な基準で使用されているわけではありません。旭川市ある地名「大雪通」や市民ホールの「旭川大雪クリスタルホール」は「た」と濁らないことが多いようです。
いつから大雪山と呼ばれるようになったのかは明治時代とされており、有名になったのは随筆家の大町桂月が発表した文によってといわれています。まさに夏でも雪が残る「大雪山」は、とてもふさわしい名前といえるのではないでしょうか。
大雪山の紅葉スポットの特徴(時期・種類)
紅葉が始まる時期と終わる時期
大雪山全体の紅葉が始まる時期はいつからかというと、例年8月下旬頃となります。見頃は9月中~10月上旬となり、10月下旬にはピークを過ぎて枯れ葉の茶色からモノトーンの世界にまっしぐらです。
ほんとうにきれいな大雪山の紅葉期間はわずか1~2週間のため、ビジターセンターや各自治体の観光協会のホームページでいつから始まるのか、大雪山の紅葉を確実に観たい人はしっかりチェックしておくとよいでしょう。
紅葉する植物の種類と場所
大雪山で紅葉する植物の種類は樹木の他に草紅葉もあり、非常に多岐にわたっています。樹木ではウラジロナナカマド・ウラシマツツジ・ウコンウツギ・タカネナナカマドの赤が見事です。所々でダケカンバの黄色が混じるのも大雪山の特徴といえます。
草紅葉で大人気なのはチングルマとなり、大雪山各地を染める様子は圧巻です。他にも8月下旬に色づくハイオトギリを始め、マルバシモツケ・エゾツツジ・イワブクロなども見ものです。
大雪山の紅葉スポット①:散策コース
Ⅰ.表大雪:旭岳山麓(東川町)
9月下旬~10月上旬が見頃の旭岳山麓は標高1,100メートルのため、登山でなくても充分に大雪山の紅葉を楽しめるコースが付近にあるのです。
旭岳ロープウェイ山麓駅の付近に、6コースの「旭岳温泉自然探勝路」があります。木道を散策する30分のコースから約3時間かけて勇駒別湿原を歩くコースまで豊富です。ロープウェイ山麓駅隣のビジターセンターで情報を得てから、体力に応じて大雪山の紅葉をお楽しみください。
Ⅱ.表大雪:旭岳中腹・姿見の池(東川町)
旭岳の標高1,600メートル地点の6合目にある姿見の池には、大雪山の紅葉が美しい絶景スポットを巡る人気コースがあります。ロープウェイ山麓駅から10分(中学生以上往復料金2,200円)でアクセスし、コース一周約1時間です。ただし登山道でもあるため、歩きやすい靴で出かけましょう。
回り方は好みですが、時計回りは池などの見どころが付近にあり、反時計回りの旭岳登山直登路からはチングルマの紅葉を満喫できます。
さらに裾合平と中岳の足湯へ
姿見の池の1時間散策だけでは物足りないという人は、さらに足を延ばしてチングルマの紅葉が素晴らしい裾合平をおすすめします。まさに大雪山の紅葉という絶景が広がる人気スポットです。
ただし溶岩台地状のほとんど平坦な道のりですが、ところどころに大きな岩も転がる登山道コースです。姿見の池駅からは片道2時間はかかるため、それなりの装備も必要です。裾合平の終点は中岳の麓になっており、足湯を楽しめる温泉もあります。
Ⅲ.十勝岳連峰:安政火口(上富良野町)
10月上旬が見ごろの安政火口の紅葉の特徴は、沢に落ち込むような広がりがある景色です。カミホロカメットクの荒々しい岩肌とナナカマドの赤やダケカンバの黄色、ハイマツの緑のコントラストに息をのみます。観光客も気軽にアクセスできる、大雪山を代表する紅葉スポットとなります。
標高1,270メートルの十勝岳温泉からスタートします。広めのゆるやかな坂道を約40分進むと、紅葉の絶景スポットである安政火口に到着です。
大雪山の紅葉スポット②:軽登山コース
Ⅰ.表大雪:銀泉台
標高1,500メートルの銀泉台はウラジロナナカマドやウコンウツギの赤を楽しめる、大雪山を代表する紅葉スポットです。赤岳の登山道と同ルートとなり、紅葉シーズンは大混雑します。登山口周辺もきれいですが、人気スポットは登山口から30分の第一花園の斜面に繰り広げられる錦絵です。
さらに30分進むと眼下に美しい紅葉が広がります。ハイキング気分の場合はここで引き返して紅葉を楽しみながら下山してください。
紅葉シーズンのアクセスは臨時シャトルバスを利用
通常時に銀泉台(赤岳登山口)へ層雲峡から行く場合はマイカーか路線バスで約50分ですが、紅葉シーズンの9月中旬~下旬は大変に混み合うため、マイカーの通行規制がかかります。
そのときのアクセスは上川町営の臨時シャトルバスだけになります(中学生以上の往復料金1,500円)。予約制ではありませんが、非常に混む場合は次便発車まで1時間以上待つこともあります。詳細をあらかじめ確認してご利用ください。
Ⅱ.表大雪:高原温泉沼めぐり登山
9月中・下旬が見ごろの銀泉台の南側にある高原温泉も、大雪山の代表的な人気の紅葉スポットです。多少のアップダウンのある登山道途中の沼めぐりをしながら、約3時間かけて一周します。
銀泉台の赤色の紅葉が多いのに対してこちらは、ナナカマドの赤とダケカンバの黄色がコラボが見事です。周辺はヒグマの生息地域かつ保護地域のため、環境省のヒグマ情報センターで10分ほどの注意事項のレクチャーを受けてからの入山になります。
紅葉シーズンには臨時シャトルバスを利用する
大雪山の紅葉シーズンの9月中旬~下旬は大変に込み合うため、マイカーの通行規制がかかります。そのときは上川町営の臨時シャトルバスを利用してください(中学生以上の往復料金1,500円)。予約制ではありませんが、非常に混む場合は次便発車まで1時間以上待つこともあります。
高原温泉には日帰り入浴できる温泉宿があります。例年紅葉シーズンはすぐに満室になってしまいますが、予約を取れれば宿泊もおすすめです。
Ⅲ.表大雪:天女ヶ原湿原登山
旭岳中腹の姿見の池まではロープウェイでアクセスできますが、大雪山の紅葉を満喫しながらの片道約2時間30分の登山もおすすめです。往復登山ではなく、帰りはロープウェイで登ってきた勇駒別湿原や溶岩台地上に広がる紅葉を眺めると、より満足の大雪山の紅葉となることでしょう(中学生以上片道料金1,300円)。
針葉樹林の中に黄色いワタスゲの紅葉湿原が続き、約1時間で天女ヶ原、後半でタカネナナカマドの紅葉に出合えます。
Ⅴ.表大雪:黒岳
層雲峡温泉が拠点となる黒岳は9月中~下旬に見ごろを迎える、観光客にも人気の大雪山の紅葉スポットです。ロープウェイとリフトを利用し、1,510メートル地点の七合目の登山口から片道約1時間でアクセスできます。
登山道のウコンウツギやタカネナナカマド、ミネカエデなどの真っ赤な紅葉が印象深く、8月中旬からのオトギリソウなどの草紅葉もきれいです。山頂では御鉢平方向に広がる赤を中心にした雄大な絶景をお楽しみください。
Ⅳ.十勝岳連峰:三段山
10月上・中旬が見頃の十勝岳連峰の三段山(1,748メートル)は往復約2時間半、ナナカマドやウコンウツギ、ハイマツなどのかん木帯の崖尾根から山頂を目指します。大雪山の紅葉を縫うような登山となり、山頂からはカミホロカメットクや富良野岳方向の紅葉もお楽しみください。
登山口は安政火口途中の左手にありますが、十勝岳への縦走路はなく単独峰です。登山道に入るまでは安政火口付近の紅葉も楽しみながら進みます。
大雪山の紅葉スポット③:本格登山コース
Ⅰ.表大雪:旭岳(東川町)
9月中・下旬が紅葉の見ごろとなる大雪山の主峰で北海道最高峰の旭岳(2,291メートル)は、ロープウェイで行ける6合目の1,600メートル地点から片道約2時間30分の登山となります。山頂から眼下に広がる紅葉を楽しめますが、この時期はすでに冠雪しているため冬山装備は必須です。
大雪山の紅葉をメインに楽しむならば、旭岳山頂よりも付近の姿見の池の散策、または裾合平や当麻乗越へ出かけるほうがよいでしょう。
さらに健脚な人は黒岳へ縦走
健脚な人であれば、反対側にある黒岳へ縦走して大雪山の紅葉をダブルで楽しむのもおすすめです。旭岳からは片道約5時間30分で黒岳山頂に到着します。
リフトとロープウェイで層雲峡温泉に下山しますが、黒岳山頂手前に避難小屋の黒岳石室があるので一泊してみてもよいでしょう。翌朝には、往復約40分で登山できる桂月岳でのご来光もお楽しみください。
Ⅱ.表大雪:富良野岳(上富良野町)
9月下旬から10月上旬に見ごろとなる十勝岳連峰の富良野岳(1,911メートル)は、登山口は三段山と同じ十勝岳温泉からのスタートです。かん木帯が色づく登山道を縫うように進み、自分自身も紅葉に染まったかのような感覚に陥ります。
眼下に顔を向けると、針葉樹に映えるウラジロナナカマドやタカネナナカマドの広葉樹以外にチングルマなどの草紅葉もとても美しく、大雪山の紅葉スポットとしてやはり大人気の絶景スポットです。
さらに健脚な人はカミホロカメットクや十勝岳へ
富良野岳はカミホロカメットクへの縦走もできます。カミホロカメットクまでは約2時間30分となり、下山はD尾根や急坂を進んで富良野岳分岐に合流し、しばらく進むと安政火口です。カミホロカメットクには避難小屋があり、一泊して十勝岳を目指す人もいます。
Ⅲ.裏大雪:赤岳(東川町)
9月中・下旬が見頃の赤岳は標高1,500メートルの登山口周辺も美しい、大雪山の紅葉スポットとして人気な銀泉台から入山します。1時間ほどで急斜面に広がる草紅葉が美しい第一花園に到着です。
第二花園、コマクサ平、ウラジロナナカマドなどの紅葉も見ごろな"神の田園"の湿地帯、第三雪渓の紅葉も楽しみなら第四雪渓、そして山頂に到着です。一度訪れた人は必ず絶賛する大雪山の紅葉スポット、赤岳も見逃せません。
さらに健脚な人は黒岳・緑岳・白雲岳への縦走も
赤岳山頂からは、同じ大雪山の黒岳・緑岳・白雲岳への縦走もできます。赤岳山頂から黒岳山頂へは片道約5時間、緑岳山頂へは約4時間で到着です。緑岳山頂からは約2時間で高原温泉に下山できます。
また赤岳山頂からは白雲岳付近にある避難小屋へ約4時間のため、一泊して翌日に白雲岳山頂を目指すのもよいでしょう。
日本一早い北海道大雪山の紅葉を愛でよう!
大雪山で人気のある紅葉スポットは、旭岳・黒岳・赤岳・高原温泉、富良野岳です。最も人気な旭岳は往復ロープウェイで中腹の紅葉スポットまで、黒岳は7号目の登山入り口までロープウェイとリフトでアクセスできます。
見ごろは、標高の高い場所や北側の山では9月中・下旬、十勝岳連峰のような南側の山や山麓は9月下旬~10月上旬です。大雪山の紅葉のピークはとても短いため、紅葉情報を念入りにチェックしてお出かけください。
旭岳の詳細を知りたい人はこちらをチェック!
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出典:ライター撮影