奥入瀬渓流の紅葉は10月中旬~11月上旬
奥入瀬渓流の紅葉のタイミングは例年10月中旬から色づき始め、ピークは10月下旬~11月上旬となっています。10月中旬だと少し早いかもしれないので、ピークの紅葉を観たい場合は事前に観光協会などに問い合わせてみましょう。
奥入瀬渓流は紅葉のベストシーズンはにぎわいますが、混雑するのは一部エリアとなり全体ではそれほどでもありません。東北を代表する紅葉スポットの奥入瀬渓流をのんびり散策してみませんか。(2021年8月25日時点の情報です)
奥入瀬渓流の遊歩道は全行程約14㎞
人気の観光エリアである奥入瀬渓流は、青森県と秋田県にまたがる十和田湖を出発し、おいらせ町と八戸市の境で太平洋に注ぐ全長約70キロメートルの奥入瀬川の一部です。
奥入瀬渓流沿いの遊歩道の全行程は、十和田湖東にある子ノ口から下流の焼山までの約14キロメートル、高低差200メートルです。散策は下流から上流に向かうのが一般的ですが全行程を歩く人は少なく、混雑するのは「焼山」「石ヶ戸」となっています。
行程上の売店は3エリアのみ
売店はスタートの焼山・中間の石ケ戸・終点の子ノ口しかありません。トイレは売店のも入れて5ヶ所です。売店のある地点に戻らない場合はトイレを済ませ、携行食・ドリンク・ファーストエイド・暖かい服を用意しましょう。
奥入瀬渓流の概要とアクセス方法
奥入瀬の語源
「奥入瀬」という地名の意味は、文字どおり"奥にある入り組んだ小さな川"と解釈できます。正しい読み方は"おいらせ"ですが、漢字をそのまま読むと"おくいらせ"または"おくいりせ"となりそうです。現在の読み方はいつからかというと不明で、おそらく他の地名にもある現象のように単純に訛ったものとされています。
自動車が普及する前の時代はまさに、奥入瀬渓流は人々に"秘境"(奥)と認識されていたことがうかがえます。
奥入瀬渓流までのアクセス方法
奥入瀬渓流の自然を満喫しながらの散策ルートは、健脚な人は端から端の「焼山」から「子ノ口」までがおすすめです。「焼山」までの公共交通機関によるアクセス方法は次になります。
青森駅・新青森駅・八戸駅からは、十和田湖休屋行のJRバスをご利用ください。乗車時間は、青森から約2時間25分・新青森駅から約2時間5分・八戸駅から約1時間30分です。車は、約1時間40分・1時間10分・1時間30分で到着します。
JRバスは「焼山」以降も乗り降り可能
焼山から子ノ口までは約14キロメートル・約5時間かかるため、「焼山」以降でバスを乗降して一部区間の散策もおすすめです。しかしJRバスは1日に5本しかないため、計画的に行動してください。売店があり、奥入瀬渓流の雰囲気も十分に楽しめる「石ヶ戸」エリア中心の散策もよいでしょう。
子ノ口から十和田湖畔エリアの休屋は約10キロメートルあり、JRバス(約15分)か遊覧船(50分)での紅葉鑑賞をおすすめします。
週末は車の交通規制がかかることもある
奥入瀬渓流の木々が紅葉し始める10月中旬以降は多くの観光客が車でも訪れ、奥入瀬渓流沿いの国道102号は混雑します。しかし国道102号は山道のため道幅が狭く、駐車スペースは焼山や子ノ口のみとなり、転回できるところも限られています。渋滞を引き起こす路肩停車はマナー違反のため、決してしないようにご注意ください。
週末の紅葉シーズンは交通規制がかかることもあり、規制がいつからかについては事前確認をお願します。
シャトルバスも便利
奥入瀬渓流の紅葉シーズンの10月中旬からは、20分間隔でシャトルバスが有料(中学生以上1日フリーパス券)で運行されている年もあります。車で来た場合は、シャトルバスの発着場所になる焼山や子ノ口に車を停車してシャトルバスを利用すると便利です。
駐車場は焼山が250台、子ノ口は640台まで駐車できますが、紅葉シーズンは満車の場合もあるので早めに出かけることをおすすめします。
奥入瀬渓流の紅葉の特徴と楽しみ方
紅葉する木々は「黄色系」が多い
奥入瀬渓流で紅葉する木々は黄色い種類が多く、主に「トチノキ」と「カツラ」「エゾイタヤ」となっています。クリに少し似ているトチノキはマロニエの仲間の落葉高木で、十和田湖名産のハチミツの蜜源となります。「カツラ」はハート形の葉が可愛い落葉高木です。「エゾイタヤ」はイタヤカエデの変種とされ、若い樹木には毛があります。
同じ黄色系の木々でも葉の形や樹肌は異なるため、紅葉する木々をよく観察してみましょう。
赤く紅葉する木々の種類
黄色い木々に混じって赤く紅葉する種類は、「ヤマモミジ」「コミネカエデ」「ハウチワカエデ」「ヤマウルシ」「ツタウルシ」「ヤマブドウ」などです。
他には、紅葉というよりも褐色系の「ブナ」や「ミズナラ」などの木々も観察できます。紅葉の時期はそれぞれの木々が作る紅葉のグラデーションが美しく、ときおり足を止めて紅葉する木々の色の違いもお楽しみください。
滝と川と紅葉のコラボが見ごと
紅葉とのコラボが美しい奥入瀬渓流には13ほどの滝があり、「瀑布街道」との別名もあります。代表的なのは上流にある幅約15メートル・落差約7メートルの銚子大滝で、奥入瀬本流に落ちる唯一の滝となり、新緑もよいですが紅葉時期も圧巻です。
他に有名なのは、銚子大滝から近い不老の滝・双白髪の滝・白糸の滝・白絹の滝です。これらは一度で眺められるため、まとめて「一目四滝(ひとめよだき)」とも呼ばれています。
紅葉する木々の住みわけも観察
奥入瀬渓流の左右は険しい地形になっており、川床の0メートルから3メートルの高さまで、さまざまな木々を観察できます。木々などの植物は奥入瀬渓流の自然な流れに沿って住みわけているため、その違いを観察してみてください。
水辺には「ケヤマハンノキ」「シロヤナギ」、1メートル~1.5メートルほどの場所には「サワグルミ」「トチノキ」、1.5メートル以上の場所に「ブナ」というように異なるのです。
岩と苔のコラボも見ごと
奥入瀬渓流の見ものである大きな岩石は、約76万年前の八甲田山の噴火で堆積し、のちに風化や浸食で崩れたり割れたりしたものです。軽石や火山灰に圧力がかかって固まった、"溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)"と呼ばれています。
じっくり観察すると、同じ方向に規則正しいひび(節理)が入っているのがわかるはずです。これは噴火物が冷えて固まるときにできたといわれています。紅葉狩りと合わせて観察してみてください。
奥入瀬渓流は最高の苔のすみか
苔は地味な存在ですが、奥入瀬渓流の湿った自然環境が育む苔も見どころのひとつです。奥入瀬渓流は上流に十和田湖があるため流量が安定していることや、約70メートルで1メートルほど下がるというゆるい傾斜のため湿り気が絶えず、川の中の小さな岩や倒木にも生えるのです。
紅葉のベストシーズンにも苔は見られますが、夏のビロードのように美しい苔と奥入瀬渓流がつくる景色は圧巻です。
木々の模様も植物
奥入瀬渓流の木々の樹肌にはまだら模様の物がありますが、この模様も植物です。緑色は苔の仲間で、それ以外は菌類の"地衣"の仲間となります。苔と地衣は似ていますが、まったく異なる構造をしているそうです。
地衣は空気が汚れていると生きられないため、地衣が生えているところは空気のきれいな場所という"指標"になります。紅葉のベストシーズン、奥入瀬渓流の木々がつくる自然の芸樹にも目を凝らしてみてください。
野鳥の姿や鳴き声も観察
紅葉シーズンの奥入瀬渓流では、野鳥の姿や鳴き声も楽しみながら散策しましょう。奥入瀬渓流でよく観察されている野鳥は、スズメより少し小さくて絶えず尾を動かしている黄色と黒の「キセキレイ」や、水面近くを直線的に飛んで川に潜って魚を捕る「カワガラス」などです。
運がよければ、木々が紅葉するなかをキャラッキャラッと鳴きながら飛ぶ、黒と白のまだら模様で体長37センチの「ヤマセミ」も観られるかもしれません。
さらに運が良ければカモシカも観察
自然豊かな奥入瀬渓流エリアには、ホンドギツネやムササビ、テンなどの野生動物が生息していますが、注目したいのはカモシカです。
いつからがカモシカ観察のチャンスかというと、奥入瀬渓流の紅葉が終わりかけの頃に確率が高くなります。落葉して見通しがよくなれば、散策中に林床の植物を食べているカモシカを見つけられるかもしれません。もし見つけたら近づきすぎず、ある程度の距離を保てば長い間観察できることでしょう。
奥入瀬渓流の魚も観察
紅葉シーズンの奥入瀬渓流では、紅葉だけではなく川に生息する魚も観察してみてください。奥入瀬渓流の水面を注意して観察すると、泳いでいる「イワナ」を見かけるときがあります。イワナは澄んでいる冷たい水にしか生息しないため、奥入瀬渓流は絶好の住み家なのです。
魚は人間のように自然環境、川の地形や川底の状態、水温や汚れ具合で住みわけているとされています。紅葉が映える奥入瀬渓流の水面も観察してみてください。
奥入瀬渓流の紅葉も楽しめる休憩施設
焼山:奥入瀬渓流館(青森県)
奥入瀬渓流散策のスタート地点である焼山には、ログハウス風の素敵な奥入瀬渓流館があります。ガイド常駐のインフォメーションコーナーを始め、自然展示コーナー、自然がテーマのグッズショップ、青森りんごの専門店によるカフェ、トイレなどがある、充実した施設です。
特に、樹木が大好きという18歳の"樹木はかせ"による樹木ツアーが人気です(70分・1,500円・前日予約)。紅葉の新たな発見もあるかもしれません。
焼山:渓流の駅おいらせ(青森県)
渓流の駅おいらせは、青森県のお土産が買える売店と青森県の食材をたっぷり使用した食事処のある施設です。売店では旬のフルーツや野菜も並ぶ小さな市場もあり、紅葉の時期はリンゴの時期でもあるのでぜひチェックしておきましょう。
また奥入瀬渓流の紅葉散策に便利な備品も販売してあります。忘れた場合はこちらで用意してください。場所は奥入瀬渓流館の隣にあり、駐車場は共通です。
焼山:奥入瀬湧水館(青森県)
奥入瀬湧水館は、奥入瀬の自然水による「奥入瀬源流水」をペットボトルに詰める製造工場です。2階には源流水を使用したオリジナルコーヒーやカルピスを味わえるカフェもあるので、奥入瀬渓流紅葉散策前の一息におすすめします。奥入瀬渓流館の隣にあり、共通の駐車場が施設前にあるので便利です。
レンタル自転車も貸し出しているので、紅葉のベストシーズンですが歩きたくない人は、ぜひサイクリングで紅葉をお楽しみください。
石ヶ戸:石ヶ戸休憩室(青森県)
紅葉の奥入瀬渓流散策は、健脚者は焼山からのスタートがよいですが、焼山の先にある「石ヶ戸」からのスタートもおすすめです。石ヶ戸にも軽食や自販機、おみやげなどを販売しているレストハウスがあります。
奥入瀬渓流館ほど大きくはありませんが、石ヶ戸から子ノ口までは約9キロメートル・約2時間40分なので少し時間を稼げます。その分紅葉狩りもゆっくり満喫できることでしょう。JRバスへの乗降もできます。
子ノ口:子ノ口湖畔食堂(青森県)
奥入瀬渓流の紅葉散策の終点である子ノ口には、「子ノ口湖畔食堂」などの食堂が2軒ほどあります。青森県のお隣である秋田名物のきりたんぽ料理もあり、奥入瀬渓流の紅葉散策後に一休みできるので安心です。
観光案内所と売店を併設しているJRバスの乗り場があり、休屋へ行く場合はこちらから乗車します。観光遊覧船を利用し、休屋までの湖上紅葉鑑賞もおすすめです。
奥入瀬渓流のあとは十和田湖を満喫
奥入瀬渓流の紅葉散策を子ノ口でゴールしたあとは、十和田湖畔の休屋エリアに十数店ある食堂などでお楽しみください。十和田湖名物のヒメマス料理や十和田バラ焼きの他、お蕎麦料理などもいただけます。
しかし紅葉シーズンの10月中旬以降は観光客でとても混み合うため、昼食を摂るのが難しいときもあります。予約などもし、時間に余裕を持って行動するとよいでしょう。
パワースポットの十和田神社でご参拝
十和田湖畔エリアの有名観光スポットは高村光太郎作の「乙女の像」ですが、最近話題のスポットが十和田神社です。十和田神社は青龍権現または熊野権現ともいわれています。湖を支配していた八頭の大蛇を、熊野で修業したお坊さんが九頭の龍に変化して退治したという伝説から、とても強いパワーがあるとされています。
乙女の像の裏手からも行けますが、休屋エリアから表参道を利用するほうが厳かな雰囲気が感じられることでしょう。
"おより"の浮き沈みで吉凶占い
十和田神社には、宮司が祈念してつくった"おより"で吉凶を占う習慣があります。およりを購入して乙女の像前の御前ヶ浜で湖水に投げ入れ、およりが浮いたら吉となり沈むと凶とされるそうです。万が一凶でも占いは注意を促すものなため、あまり気にせずに試してみてはいかがでしょうか。
十和田神社も紅葉始まりの10月中旬以降は混み合いますが、ぜひ訪れてほしいパワースポットです。
奥入瀬渓流で水面に映える紅葉を愛でよう!
奥入瀬渓流の紅葉がいつからかというと、色づきは10月中旬でピークは10月下旬~11月上旬です。カツラやエゾイタヤなどの黄色い紅葉を中心に楽しめます。
奥入瀬渓流の遊歩道は全行程14キロメートルですが、全行程歩く人は少ないようです。疲れたときは、遊歩道沿いの国道102号を1日5本運行しているJRバスに乗車してください。売店があるエリアは3か所しかないため、全行程歩くときはそれなりの準備をしましょう。
十和田湖の観光地が気になる人はこちらをチェック!
奥入瀬渓流の紅葉を愛でたあとは、十和田湖の紅葉もお楽しみください。有名なスポットや少し穴場なスポットまで紹介されてあります。十和田湖の紅葉がいつからかというと、やはり10月中旬~11月上旬です。奥入瀬渓流の紅葉と十和田湖エリアの紅葉をとことん楽しみましょう。
【2021】十和田湖の紅葉スポットおすすめ7選!秋を愉しむ名所を厳選!
十和田湖は、秋田県と青森県にまたがる天然記念物に指定されている湖です。特に、湖周辺が艶やかな色彩に染まる紅葉のシーズンは、神秘的な素晴らしい...
出典:photo-ac.com