透明で美しい山荷葉についてご紹介
山荷葉と書いて「サンカヨウ」と読むこの花は、濡れると透明になるという不思議な特徴のある植物です。その透明感の高さから、かつて化粧水の広告などに使われ、話題に上がりました。
そんな山荷葉は、山岳地帯の湿った場所に生息するメギ科の多年草で、街中などで見られるような花ではありません。今回はそんなガラスの花のように美しい山荷葉の特長や花期、開花時期、どこで見れるのか、気になる花言葉は何かなどについてご紹介します。
山荷葉の名の語源は?
山荷葉という字面だけ見ていると、茶葉かはたまた漢方薬かと想像させられますが、山荷葉の「荷葉」とは蓮の葉を意味します。つまり、「山荷葉」で「山に生息する蓮の葉」という意味です。
実際、山荷葉の葉を見てみると、蓮の葉のように大きな丸みを帯びた葉と小さな葉の大小があります。山荷葉が、花びらが水分に濡れると透明になるという珍しい特長よりも、葉の形がその名の由来となったということも不思議で印象的です。
山荷葉の原産国は日本?
山荷葉の原産国は日本やロシアです。日本の北部からロシアのサハリンのあたりが原産地ではないかとされています。資料によっては原産国を日本としているものもありますが、ロシアとしているものもあるため、はっきりとわかっていないようです。
いずれにせよ、まだ山荷葉の花を見たことがない方は、山荷葉の原産国のひとつとして、やはり山荷葉の花を実際に見てみたいものです。山荷葉の花は、ある程度の条件下で生育され、日本全国に分布しています。
山荷葉とはどんな特長の植物なのか
山荷葉の生育環境は?
山荷葉は世界中に生息する植物です。日本では、北海道や長野の北部、群馬の尾瀬エリアなど、湿った山地に生息すると言われています。日本以外では、北海道の北に位置するサハリンをはじめ、アメリカや中国の産地などでも見ることが可能です。
山荷葉は、自然の山地に自生する植物ですが、春や秋のはじめごろに苗が出回ることがあります。山野草を育てるのは非常にむずかしいですが、苗を入手できたら挑戦してみたい植物です。
山荷葉の花期や開花時期は?
山荷葉の開花時期は5月~7月です。開花時期になると、伸びた茎の先に白い花をつけます。花丈は30~70cmほど、花びらは直径2cmほどと小さいです。葉は大小2葉つきますが、蓮の葉のように大きくて円い葉には花がつかず、小さな葉に花がつきます。
開花時期は5月~7月と長いものの、花期は非常に短く、1週間ほどで終わってしまいます。山中、山荷葉を見つけても花は見られなかったということも多いようです。山荷葉は花期が短いこともその希少価値を高めています。
山荷葉は実も成る
山荷葉は花期が終わると、実が成ります。色はベリー系の青紫色で、やや楕円形をしています。山荷葉の実は食べられますが、味はブルーベリーに似た味です。いささか酸味があるため、味の好みは分かれます。
花がまとまって咲くため、実もまとまって成りますが、実がたくさん成るわけではないため、ジャムなどを作るのはむずかしいです。ともあれ、もしも山荷葉の実を見つけたら、ぜひ味を確認してみましょう。
山荷葉と出会えるスポット11
山荷葉と出会えるスポット①北海道・.砥石山&三角山
北海道は札幌市内にある砥石山は、市内から気軽に登れる山として人気です。この砥石山の山頂まで通じている登山ルートには、中の沢入口、小林峠入口、源八沢入口の3つの登山口があります。山荷葉を見つけた方の情報は、砥石山からすぐ近くの三角山のあたりが多いです。
砥石山や三角山へのアクセス方法は、地下鉄真駒内駅から7番乗り場のバス、南97山水団地前行きで、北の沢会館前で下車し、徒歩20分ほどかかります。
山荷葉と出会えるスポット②北海道・支笏湖周辺
北海道の支笏湖周辺で、高山植物である山荷葉やユリ科のミヤマエンレイソウがまれに見られることがあります。2016年にはともに透明になっている姿がニュースで報道され話題になりました。必ずしも目にすることができるわけではありませんが、もしも観光などで足を伸ばしたら、ぜひ探してみてはいかがでしょうか。
支笏湖へのアクセス方法は、JR千歳駅または南千歳駅から北海道中央バスの支笏湖行で向かいます。千歳駅から45分~1時間ほどです。
山荷葉と出会えるスポット③北海道・旭岳ビジターセンター
北海道の中心に広がる大雪山国立公園、大雪山連峰の主峰で、北海道で最も高い旭岳のあたりでも、山荷葉が見学できます。しかしこのあたりは非常に広いため、旭岳ビジターセンターでしっかりと情報収集して山荷葉を見つけるようにしましょう。
旭岳ビジターセンターへのアクセス方法は、JR旭川駅から旭岳線バス「いで湯号」で1時間半、旭岳にて下車後、徒歩1分です。車ではJR旭川駅から1時間ちょっととなっています。
旭岳ビジターセンター
- 住所〒071-1472
北海道上川郡東川町勇駒別 - 電話番号016-97-2153
- アクセスJR旭川駅から車で約60分、大雪山旭岳ロープウエイ:旭岳駅ー姿見駅間1.7km所要時間10分旭川空港から車で約50分
- 公式サイトURLhttps://www.asahidake-vc-2291.jp/
山荷葉と出会えるスポット④宮城県・泉ヶ岳
宮城県は仙台の北西部に鎮座する泉ヶ岳には、仙台からアクセスのいい登山コースがあります。このコースから北泉ヶ岳へと通じる登山道の途中に三叉路がありますが、このあたりで山荷葉の群生を見ることが可能です。地元の方の口コミに散見されるスポットですのでぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
登山口までのアクセス方法は、地下鉄泉中央駅から泉岳ふれあい館行きバスで1時間ほどとなっています。大きな駐車場もあるため、マイカーでも安心です。
山荷葉と出会えるスポット⑤群馬県・尾瀬
尾瀬は尾瀬でも、群馬県に位置する鳩待峠から山の鼻の方へ進んだあたりで、山荷葉が見られるという口コミが散見されます。ぜひ尾瀬散策の足で山荷葉を見つけたいです。
東京方面から鳩待峠へのアクセス方法は、上越新幹線の上毛高原駅から関越交通バスで沼田駅を経由して戸倉(鳩待峠行きバス連絡所)へ向かい、4月下旬~11月上旬まで運行される乗り合いバスを利用します。なお、戸倉から鳩待峠まではマイカー規制区間ですので注意しましょう。
山荷葉と出会えるスポット⑥長野県・白馬五竜高山植物園
長野県白馬村の白馬五竜高山植物園は、エイブル白馬五竜の山頂エリアに位置する植物園です。麓にあるとおみ駅からゴンドラでアルプス平まで登ってきたところに、植物園が広がっています。幻の青いケシの花なども見学できる植物園で、山荷葉ももちろん見ることが可能です。
各方面からさまざまなアクセス方法がありますが、公共交通機関を使った場合、JR神城駅から白馬シャトルやタクシー、徒歩などでゴンドラのとおみ駅まで向かいます。ゴンドラに載って8分でアルプス平駅に到着です。
白馬五竜高山植物園
- 住所〒399-9211
長野県北安曇郡白馬村神城22184-10 - 電話番号0261-75-2101
- 公式サイトURLhttps://www.hakubaescal.com/shokubutsuen/
- アクセスJR神城駅よりシャトルバスにてゴンドラとおみ駅へ、ゴンドラで8分上信越自動車道長野ICより1時間、長野自動車道安曇野ICより1時間、北陸自動車道糸魚川ICより1時間
山荷葉と出会えるスポット⑦長野県・戸隠森林植物園
長野県長野市に位置する戸隠高原にある戸隠森林植物園では、木道を散策できるハイキングコースがいくつもあります。中でも、植物観察園のあたりで山荷葉が咲いているという口コミ情報が散見され、戸隠山あたりでも観察することが可能です。
戸隠森林植物園までは、JR長野駅から戸隠高原行バスで1時間ほどかかります。マイカーでのアクセスの場合、上信越自動車道長野ICから30kmほどで、無料駐車場があるので安心です。
戸隠森林植物園
- 住所〒381-4101
長野県長野市戸隠3510-35 - 電話番号026-234-952(長野県長野地域振興局林務課)
- 公式サイトURLhttps://www.pref.nagano.lg.jp/nagachi/nagachi-rimmu/shokonorin/togakusisinrinsyokubutuen.html
- アクセスJR長野駅よりバスやタクシーにて1時間長野CIより30km、信濃町ICより18km
山荷葉と出会えるスポット⑧長野・栂池自然園
長野県内でも山荷葉を見たという口コミ情報の多いのがこちら、栂池自然園です。標高およそ1900mの高層湿原で、さまざまな動植物を観察できます。園内は木道が整備され、散策するのに歩きやすいです。
栂池自然園へのアクセスは、栂池高原駅からゴンドラなどを乗り継いで自然園駅まで登り、2時間半~3時間ほどの散策となります。東京から高速バスや特急バスでも便利です。マイカーの場合、国道148号線からアクセスします。栂池高原看板から栂池地区へ進むと駐車場です。
栂池自然園
- 住所〒399-9422
長野県北安曇郡小谷村千国乙 - 電話番号070-4091-5204
- 公式サイトURL
- アクセスJR大糸線白馬駅からバスで20分、JR北陸新幹線長野駅からバスで80分安曇野ICから車で70分、糸魚川ICから車で50分
山荷葉と出会えるスポット⑨岐阜県・天生県立自然公園
岐阜県の北飛騨に位置する天生県立自然公園は、天羽峠を中心にブナの原生林が残っている森のことで、岐阜県によって「岐阜の宝もの」に指定されています。サンカヨウは、深洞(ふかどう)湿原の散策道周辺で観察できます。
ところが、このあたりは一般開放されていません。そこでツアーなどに参加するのがおすすめです。ツアーを主催しているのは奥飛騨山之村牧場ですので、興味のある方はぜひ問い合わせしてみましょう。
天空の牧場 奥飛騨山之村牧場
- 住所〒506-1104
岐阜県飛騨市神岡町森茂1157 - 電話番号0578-82-5890 (天空の牧場 奥飛騨山之村牧場)
- 公式サイトURLhttps://www.yamanomura-makiba.jp/
- アクセスJR飛騨古川駅から車で約70分、高山清見道路高山ICより車で約80分、北陸自動車道富山ICより車で約90分
山荷葉と出会えるスポット⑩兵庫県・六甲高山植物園
兵庫県は海抜865mの六甲山頂付近の六甲高山植物園では、山荷葉の季節になると開花状況を公式サイトで公表しています。ぜひ山荷葉の状況を確認して、ぜひその可憐な姿を見に出かけましょう。
六甲高山植物園は、神戸市灘区にあって、六高山上バスでアクセスできます。近くには植物に関する雑貨屋さんやカフェなどもありますので、ぜひ足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
六甲高山植物園
- 住所〒657-0101
神戸市灘区六甲山町北六甲4512-150 - 電話番号078-891-1247
山荷葉と出会えるスポット⑪島根県・大万木山
島根県の大万木山の山頂あたりにサンカヨウの群生が広がっています。開花時期は5月ごろです。コースは3つありますが、滝見コースの水場のあたりから山頂の小屋のあたりまで、白い小さな花の姿を見つけることができるはずです。
登山口は門坂登山口で、ここから山頂まで2時間ほどとなっています。門坂登山口までのアクセスは車が便利です。国道54号線の頓原郵便局前交差点から県道273号線へ入ると、大万木山の案内があります。
山荷葉の4種の花言葉
山荷葉には4種類の花言葉があります。「清楚な人」、「親愛の情」、「幸せ」、「地自由奔放」です。これらの花言葉は、山荷葉の美しい姿や不思議な特長が由来となっています。ぜひ参考にしてみてください。そして、これらの花言葉を伝えたい相手といっしょに、ぜひ山荷葉を見つけに出かけてみてはいかがでしょうか。
山荷葉の花言葉①清楚な人
山荷葉の花は、花丈2cmほどと小さく、花びらは6枚の白い花です。山に登り、緑が多く茂る湿っぽい場所に、緑の葉に囲まれながら小さな顔を出し、その可憐で気高い姿が登山者の心を癒してくれる、そんな印象です。
山荷葉の花言葉にある「清楚な人」は、こうした山荷葉の姿から生まれたものだと容易に想像がつきます。その姿を見かけたらスーッと疲れが癒され、目的地までがんばろうと意欲的になることが可能です。
山荷葉の花言葉②親愛の情
山荷葉は、山野に咲く花として一般的にイメージしやすい花です。葉の緑の中で可憐な白い花が姿を見せます。自然界の花の色で最も多いとされるその白い花は、親しみや親愛の情を覚え、たとえ花びらに不思議なからくりがあるとしても、美しくて気高い花というよりはむしろ、身近に感じる親愛なる花といった印象ではないでしょうか。
そんな山荷葉が醸し出すイメージこそ、花言葉のひとつである「親愛の情」が示しています。山荷葉を見たらなんとなくホッとするような気持ちこそ、この親愛の情です。
山荷葉の花言葉③幸せ
山荷葉は、その美しくて不思議な姿が特長的です。しかも、花期がたったの1週間しかない山荷葉は、めったにその美しい姿を見ることはできません。このため、湿っぽい日の山野で偶然、山荷葉と出会ったら、とてもうれしくて幸せな気分になることでしょう。
この幸せな気持ちを表現したのが3番目の花言葉です。山荷葉と出会ったときの幸せな気持ちのように、だれかといっしょにいる幸せを感じたら、ぜひ山荷葉を思い出してみましょう。
山荷葉の花言葉④自由奔放
山荷葉は、雨や湿気でその白い花びらが透明になります。しかし、必ずしも透明になるというものではなく、長雨に濡れたり、濡れた状態でしばらく時間が経ったりすると、白い花びらが透明に見えるのです。つまり、濡れたら必ずガラスのようになるというわけではありません。しかも、透明だった花びらは、乾燥してくると再び白色に戻ります。
このように、山荷葉は、自由奔放にその姿を変えることができるのです。この様子を伝えているのが4番目の花言葉ということになります。
山荷葉に会いに山へ出かけよう
山荷葉は、日本の北部からロシアのサハリンあたりが原産地で、山の緑深い中に自生し、水分に当たると透明に姿を変える神秘的で不思議な花です。生育環境さえ整えば山荷葉を育てることも可能ですが、お住まいの場所によってはむずかしい場合もあります。
しかし、山荷葉に会いに出かけるのも楽しいものです。日本全国には何カ所も出会えるスポットがあり、東京からもアクセスしやすい場所もあります。ぜひ山荷葉と出会うために足を伸ばしましょう。
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もっと山荷葉について知りたいという方、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。別の角度から山荷葉について知ることができるはずです。

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