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二度は咲かない?月下美人の育て方講座!冬の気温管理のコツや、植え替え時期も解説!

サボテン科の月下美人は、夜に咲いて翌朝にしぼんでしまう一日花です。一日花だからこそより美しく感じられるのも最大の特徴といえるのではないでしょうか。コツを押さえれば初心者でも栽培は難しくありません。月下美人の増やし方などをご紹介するので挑戦してみてください。
2021年9月27日
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目次

夜に開花する壮絶な美しさの月下美人

Photo by honobon

月のように夕方に開花して夜を照らし、翌朝にはしぼんでしまう月下美人は、まさに美人薄命という言葉を連想させるような壮絶な美しさです。原産地はメキシコから中南米の熱帯雨林といわれており、蒸し暑い夜をクールダウンさせてくれるようなニュアンスもただよわせています。香りが甘くて強いというのも特徴的です。

育て方はガーデニング初心者でも難しくないため、ぜひ挑戦して美しい花を咲かせてみてください。(この記事は2021年9月25日時点の情報です)

月下美人の特徴とさまざまな品種

月下美人の全体的な特徴

Photo byAquamarine_song

学名 Epiphyllum oxypetalum
和名 月下美人
科名・属名 サボテン科エピフィルム属
園芸分類 多肉植物
原産地 メキシコ~中南米
形態 多年草
草丈 1~2メートル
開花時期 7月~11月
花の色 白色
耐寒性 弱い
耐暑性 普通
栽培難易度 普通

月下美人のEpiphyllum(エピフィルム)とは、「epi(上)」と「phyllon(葉)」を意味するギリシア語が語源となります。つまり、花が葉の上に付いていることが由来です。多くのサボテン科植物に共通の特徴となり、他の植物との違いをチェックするのもガーデニングの楽しみ方となります。

多肉植物に分類されているように栽培は難しくなく、寒さに気を付ければ北海道のような寒冷地でも丈夫に咲かせられるでしょう。

野生での月下美人の生育状況

本来の月下美人や近縁種のサボテン科の植物は、土壌に根を下ろさずに他の植物に生える着生植物です。そのため原産地のメキシコ~中米では、月下美人の根は大木の樹皮にまとわりつき、扁平な茎が垂れ下がるように成長しています。

月下美人は熱帯雨林原産の植物ですが、上記のように土壌から直接水分や養分を摂っているわけではないため、多肥多湿には弱いとされているのです。育て方のコツとして、この点を押さえておいてください。

月下美人の花の特徴

Photo by HIRAOKA,Yasunobu

月下美人の最大の特徴と魅力である白い花は、20~25センチメートルもの大輪になります。花の大きさだけではなく、強い香りを放つ点も月下美人の大きな特徴です。

日本では、葉のような形の茎が1~2メートルになるとつぼみを持ち、6月~11月の暖かい季節に開花します。月下美人の開花は一度限りとされていますが、この季節に株の体力が回復させることができれば、2~3か月後にもう一度咲かせることも可能です。

月夜でなくても開花する

Photo byFelixMittermeier

月下美人の名前のイメージから開花は満月などの月夜だけかと思いがちですが、決してそうではありません。月の下で白い花を咲かせる神秘的なイメージが先行したものですが、開花時期の夜であれば美しい花を咲かせてくれます。

月下美人の香り

月下美人の香りは甘くて強いため、花が咲いているのを観なくても香りで開花しているのがわかるといわれています。強めではありますが決して嫌な香りではなく、香水のような鼻をさす刺激がない上品で優雅な香りが特徴です。見た目も香りもとても美しい月下美人は、そのままのネーミングで香水にもなっています。

香りは他の花と同じように受粉を行わせる役割があり、月下美人の場合は夜行性のコウモリを引き寄せるためのものなのです。

月下美人は鳥媒花

Photo bycocoparisienne

大輪の花を咲かせる月下美人は虫媒花ではなく鳥媒花(ちょうばいか)であり、殊に夜間に活動するコウモリ媒花といわれています。そのため花は一見はかなげですが、コウモリの訪花に耐えるための強度があるのも特徴的です。

月下美人のもう一つの特徴として、つぼみを持った頃はうつむき加減ですが、開花直前には上を向いて膨らみ始める点もあげられます。これらはすべてコウモリに花粉を運んでもらうための仕組みなのです。

月下美人の花は食用できる

月下美人の花は、つぼみや開いている花、そして開花後のしぼんだ花も食用になるといわれています。咲いている花を焼酎にしたり、台湾では昔からスープの具材に使ったりされてきました。

最近では日本でも、月下美人の花を天ぷらにしたりポン酢和えなどにしたりして食べる人も増えてきています。上手に咲かせられたら、皆さんのレシピを参考にして調理してみてはいかがでしょうか。

月下美人の茎の特徴

Photo by HIRAOKA,Yasunobu

月下美人の茎の形は、多くが葉のように扁平な形をしており、株元から細長い鞭(むち)のような茎を伸ばします。縁が波打った葉の凹んだ部分には、産毛のような退化したトゲが確認できることでしょう。新しい茎やつぼみが発生する生長点は、この部分の茎の頂にあります。

多くのサボテン科植物が持つ特徴といえ、花の美しさだけではなく、上記のようなサボテンの独特な特徴もじっくり観察してみてください。


月下美人の果実の特徴

美しい花を咲かせる月下美人は、先のとがった大きな円柱形をした、近縁種のドラゴンフルーツみたいな赤い果実を付けます。果肉は白くて黒いゴマのような種子を持ち、甘くて美味しいことから大人気です。

野生ではコウモリが媒花しますが、園芸用では人工授粉するものを食用の月下美人として販売されています。果実の付いた月下美人を見かける機会があれば、ぜひ味わってみてはいかがでしょうか。

月下美人の種類

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一般に栽培されて流通している月下美人の種類は品種改良されたものではなく、原種そのものです。

交配された品種は10種類ほどになり、主なものは「十三夜美人」「姫月下美人」「満月美人」「歌麻呂美人」があげられます。多くの名前は夕方から翌朝にかけて咲く月下美人の特徴を示しており、興味を惹かれるネーミングセンスです。

姫月下美人(ひめげっかびじん)

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姫月下美人は、丸みを帯びた形と強い香りが特徴の原種です。一度にたくさんのつぼみを付ける多花性であり、翌日の日中まで咲き続けるという特徴もあります。

満月美人(まんげつびじん)

満月美人は月下美人と姫月下美人の交配種となります。原種の月下美人に比べると小輪ですが、開花したときの鮮やかさは月下美人とそん色がありません。品種改良されているだけあり、美しい花をたくさん咲かせてくれます。

十三夜美人(じゅうさんやびじん)

十三夜美人はすらっとした花姿をしており、ガクが淡いクリーム色で雌しべの軸が紅色をしているのが特徴です。さらに開花後に鮮やかなピンク色の果実を付ける特徴もあります。

宵待孔雀(ヨイマチクジャク)

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宵待孔雀の花びらは細長い線状をしており、雄しべの軸が紅色をしています。薄い緑色をしているつぼみは上向きに付き、20センチメートルほどになる大輪の花も上向きに開花するのが特徴です。花姿は十三夜美人によく似ています。

歌麻呂美人(ウタマロビジン)

歌麻呂美人は、月下美人と孔雀サボテンの宵待孔雀を交配した改良品種になります。花の大きさは月下美人よりも少し小さく、直径17~18センチメートルです。また花弁が広がっており、少し扁平な形をしているのも特徴といえます。

月下美人の9つの育て方のポイント

①月下美人の苗の選び方

Photo by noprev

月下美人は、小さい苗ものの値段は1,000円以下で購入できるようですが、花を付けた大きな株は5,000円~10,000円ほどします。やはり花の大きさや状態、そして人気の種類によって値段が変わってくるようです。

販売時期は開花を迎える春先となり、園芸店やネットなどで購入できます。花をすぐに楽しみたい人は、大きくなったつぼみを付けたものがおすすめです。月下美人の開花時期にいろいろチェックしてみましょう。

小さな苗から育てる場合

苗の大小にかかわらず選ぶときは、株がしっかりしており葉にシワがないものを選んでください。また葉の裏や茎などに虫がついていないかもチェックしておきましょう。葉や茎の色も濃い目のものを選ぶのが育て方の大切なコツです。

②月下美人の栽培環境


Photo byJillWellington

メキシコ~中米の熱帯雨林地方が原産の月下美人は、多くの多肉植物のように光を好む性質です。

11月~4月の休眠期は5~7℃ほどの日当たりのよい屋内で栽培します。生育期の5月~6月には屋外の日向で直射日光に当ててください。葉色がやや黄ばむくらいにすると花芽がつきやすくなります。梅雨が明けてから9月中旬までは葉焼けしないように屋外の日陰で栽培してください。9月中旬~10月は屋外で充分に日光をあてます。

寒冷地での栽培方法

北海道のような寒冷地では本格的な冬を迎える前の9月頃から気温が安定する6月頃までは、屋内の日当たりのよい場所で栽培したほうが無難です。

それ以外の期間は上記の通りで問題ありませんが、月下美人は寒さには弱い性質のため、くれぐれも霜が降りる前に屋内に取り込んでください。冬以外でも気温が冷え込む場合は屋外から屋内に移動させましょう。

③月下美人の水やり

Photo by sorarium

熱帯雨林が原産地ですが着生植物である月下美人の水やりは、基本的に多肉植物の水やりと同じ感覚でよいようです。5月~10月までは鉢の表土が乾燥していたら、鉢底からあふれるくらいに水やりをするのが育て方のコツとなります。

冬期間の11月~4月頃は、表土が乾燥したのを確認してから少量の水やりをしてください。冬期間の栽培のコツとして、着生植物である月下美人はやや乾燥気味にしたほうが丈夫な株に育ってくれます。

④月下美人の肥料

月下美人には、窒素分の多い肥料を与え続けると栄養が偏った大きな株になり、つぼみをつけないこともあります。肥料過多になると茎と葉ばかりが茂ってしまい、花にまで栄養が行かなくなるのです。そこで月下美人の肥料には、リン酸やカリの成分が豊富なものが適しています。

季節によって肥料を使い分けるのがコツとなり、4月~9月の成長期には緩効性肥料を与え、休眠期に入る10月には液体肥料を与えてください。

⑤月下美人の植え付け

日本で月下美人を栽培するときは鉢植えが基本となり、用土は排水性の高いものを用意します。園芸店などでも販売されている、赤玉土5:鹿沼土2:腐葉土3をブレンドしたものがおすすめです。植え付けのときは、くれぐれも窒素分の多い肥料を与えないように注意してください。

⑥月下美人の植え替え

出典:ライター撮影

植え付けや植え替えのときの最も大切なコツは、水を与えすぎないようにすることです。多水は根腐れの原因や茎葉にシワをつくり萎びさせる原因をつくります。

植え替えするときは、必ず古い土と腐った根を取りのぞいてから新しい用土に植えてください。あとの手順は他の植物と同様です。植え替えのときのもう一つのコツとして、株に対して少し小さめの鉢に植えてください。植え替えは2年に1回行うことで生育を促します。

具体的な手順

月下美人の株を古い鉢から抜いて腐った根や土を取りのぞいてください。次に新しい鉢の底に鉢底ネットを敷いて、鉢の1/4ほどまで鉢底石を入れます。

さらに鉢に1/3ほどの用土を入れてから、鉢の中央に月下美人の株を置いてください。鉢の上部から2センチメートルほど空けるようにし、細かい部分まで用土を詰めて完成です。

⑦月下美人の増やし方

月下美人の増やし方は、挿し木によって簡単に行えます。適期は5月~9月の成長期となり、肥料分が少なくて排水性の高い赤玉土や鹿沼土などの新しい用土を使ってください。

挿し木は2~3節(15~30センチメートル)に切り分けてもよいですし、30センチメートルほどの茎を直接用土にさしてもよいです。増やし方のコツとしては、どちらかといえば長い茎を用いたほうが早く成長するでしょう。

具体的な手順

切り落として2~3節にした月下美人の茎は、一週間ほど日陰で乾燥させて切り口をふさいでください。鉢に乾燥させた赤玉土や鹿沼土を入れて月下美人の茎を浅めに挿します。風通しのよい日陰に置いて一週間ほど経ったら10日に一度、表土が湿る程度の水やりをしてください。

一か月ほど経つと発根するので、根が伸びてきたのを確認して肥料が入っていない用土に植え替えます。肥料は新芽が5センチほど伸びてから与えてください。

⑧月下美人の剪定方法

Photo by HIRAOKA,Yasunobu

月下美人の剪定は休眠期に入る直前、開花期後半の9月~10月に行ってください。不要な部分を切り取ることで元の姿に戻す、切り戻しによる剪定作業となります。

株が大きくなるほどに開花しやすい特徴のため、剪定のコツとして伸びすぎた部分は切り過ぎないようにすることです。また株元から"シュート"という棒状の茎が伸びてきますが、シュートの伸び過ぎ(徒長)は花芽を付きにくくさせるため、適当な長さに切り戻してください。

剪定の具体的な手順

枯れた茎や葉は根元から切り落とし、伸び過ぎた茎や葉は切り過ぎないように、屋内で管理する際に邪魔にならない程度の長さで切り戻してください。シュートは、新しいシュートを出すために株元ではなく、必ず先端だけを切り戻します。

月下美人の剪定は、伸び過ぎた部分もシュートも切り過ぎないようにすればよいと覚えておきましょう。

剪定した茎は挿し木に利用する

剪定したときに出た茎は、月下美人を増やすときの挿し木に利用してください。月下美人の剪定と挿し木による増やし方はセットで行いましょう。

挿し木用に剪定した茎が多いほどに月下美人を増やせる可能性も高くなるので、ご紹介した方法で上手に剪定をしてください。上手に剪定をして挿し木で増やすことができれば、お友達に分けてあげるのも楽しいですね。


⑨月下美人の病害虫と対策

月下美人は特別な病害虫の心配はないといわれていますが、主にすす病やカイガラムシの発生があげられます。すす病はカイガラムシの排せつ物が原因で起こるため、カイガラムシの予防が必須です。

カイガラムシは茎や葉に白い塊になって付く虫ですが、周年で発生します。放置したままにすると樹液が吸われてしまい、やがて枯れてしまうのです。こまめに観察し、見つけた場合は歯ブラシでこすり落とすか薬剤で防いでください。

月下美人の花言葉・誕生花

月下美人の花言葉

Photo by HIRAOKA,Yasunobu

月下美人の花言葉は「あでやかな美人」「はかない美」「はかない恋」「秘めた情熱」などがあります。まさに夜に美しく咲く月下美人の特徴を示した花言葉です。

他に「強い意志」という花言葉もありますが、こちらは一見では、はかなさとは正反対の花言葉となっています。しかし大輪の花を情熱的に咲かせる様子から、月下美人の意志の強さを感じ取れるのではないでしょうか。

月下美人が誕生花の日

月下美人を誕生花とする日は7月19日、8月23日、10月29日となり、いずれも月下美人の花が咲く時期です。素敵な花を咲かせる月下美人は贈りものにおすすめですが、少しきわどい花言葉もあるので相手を選んだほうがよいかもしれません。

月下美人の和名の由来・別名

昭和天皇が皇太子だったときに命名

Photo byrkarkowski

月下美人という名前は本当に風流で優雅な雰囲気が感じられますが、命名者は昭和天皇とされています。皇太子時代に台湾を訪問し、目を奪われて駐在大使に名前を尋ねたところ、「月下の美人です」との返答から「月下美人」となったそうです。

月下美人の別名

Photo by nubobo

月下美人には「月来香(げつらいこう)」という別名もあります。月下美人は甘くて優雅な香りがするため、花が咲いているのを観なくても香りだけで開花が判断できるのが由来です。月下美人にしても月来香にしても、とてもロマンチックで素敵な名前といえます。

夜に咲く美しい月下美人を育てよう

Photo bymofumofu-monogatari

月下美人は温度管理が少し大変ですが特別な栽培技術は必要ないため、コツさえつかめば育て方は難しくありません。剪定方法は茎やシュートを切り過ぎないようにする点があげられますが、その点に気を付けて大きな株に育てると、きっと美しい花を咲かせてくれることでしょう。

増やし方も剪定した茎を使えば簡単なので、ぜひ挑戦してみてください。春と夏の夜、純白の鮮やかな大輪を咲かせる月下美人を育ててみませんか。

孔雀サボテンが気になる人はこちらをチェック!

月下美人の近縁種である孔雀サボテンも非常に美しい花を咲かせます。孔雀サボテンは白い花もありますが、鮮やかなピンク色の種類が人気です。詳しい育て方が紹介されてあるので、いろいろチェックしてみてくださいね。