イワヒバとは
イワヒバとは、イワヒバ科イワヒバ属の植物です。ホームセンターや園芸店などで見かけることはめったになく、手に入れたいのであれば盆栽屋などに行ってみるといいでしょう。日本では江戸時代から栽培されるという、古い歴史のあるシダ植物です。
日本でも各地で自生していて、主に岩場などに生えています。生息域は本州から九州とかなり広範囲であり、イワヒバが自生している地域であれば特に問題なく育てることができるでしょう。
イワヒバの特徴
イワヒバは乾燥に強く耐寒性もあるため、日本各地に自生しています。よく見れば、道路わきに生えているのを見かけることもあるでしょう。
もっとも大きな特徴は、葉に見える枝がある程度まで大きくなると生長を止めることです。変に広がらないので、シダ・コケ類の中でも盆栽などに昔から人気の高い種類といえるでしょう。また、乾燥すると枝が丸まってしまいますが、水を十分に与えることで再び枝を広げていきます。
乾燥に強い
乾燥には強いイワヒバですが、別に水が嫌いというわけではありません。むしろ乾燥が好きなわけではなく、逆に水分を好む性質にあることを覚えておきましょう。
重要なのは水分を溜めないことであり、もし水が溜まった状態を維持してしまうと根腐れを起こすことが考えられるでしょう。そのため、水分は十分に与えつつもすぐに流れ出るように、用土を作るときには水はけに十分気を付けるようにしてください。
ロックガーデンや盆栽に活用
イワヒバという植物は、その独特の姿から古木のような趣があるとして、ロックガーデンや盆栽にもよく活用されているのを見かけることがあるでしょう。そのほかの活用方法として、着生植物を育成したいときなどはイワヒバの根の塊が使われることもあります。
耐寒性があるので何もしなくても冬越しもしやすく、育てやすい植物といえるでしょう。いくつもの種類があるために、古典園芸植物として観賞用にも人気があります。
止血剤としても活用
イワヒバは血を止める作用があるとして、止血剤として利用されてきました。そのほかにも、腰痛にいい、利尿作用があるとして日本では地域によって煎じて飲まれてきたという歴史があります。
ただしあくまでも民間療法で、実際に薬として販売されているわけではありません。そのため、薬として服用したいという人はよく調べてからにしたほうがいいでしょう。
イワヒバで人気のある種類とは
一口にイワヒバといってもその種類は数多く、日本で販売されている種類も多いです。しかし、人気の種類やそれぞれの特徴など名前を聞いただけではわからない、という方も多いでしょう。そのため、ここではどのような種類が人気なのか、特徴とともにいくつかご紹介します。
金華山
金華山は、秋に紅葉する種類ということで人気の高い品種です。春先は鮮やかな濃い緑を楽しむことができ、その後少しずつ斑が入るさまを観察したら、秋には見事な紅葉を見ることができます。ぜひ一度は育ててみたい、と考える方も多い品種です。
紫金欄
大きく横に広がっている葉が、見ごたえがあるとして人気が高いです。とくに新芽のころは葉に金色の斑が入るので、イワヒバのファンであればぜひ一度は見てみたいという方も多いでしょう。鮮やかに葉が色づく夏には真ん中あたりから紫色に変化していき、秋には赤く色づきます。
人気の種類はいくつもある
そのほかにもいくつかの種類があるので、どのような種類があるのかを調べて自分に合ったイワヒバを育ててみてください。育て方自体は品種による違いは大きくないので、どの品種でも問題なく育てることができるでしょう。さまざまな色合いが楽しめる植物のため、いろいろと見てみるのもおすすめです。
イワヒバの育て方
盆栽を始めたいからイワヒバの育て方を知りたい、そんな方も多いのではないでしょうか。イワヒバの育て方は、そう難易度の高いものではありません。植え付けから水やりの仕方、肥料を与える時期といった育て方から株の増やし方までを詳しく解説するので、ぜひこの記事を参考に試してみてください。
管理のポイント
- 水はけのよい用土を使う
- 根腐れに要注意
- 水やりの仕方に注意
- 日当たりに気を付ける
イワヒバの育て方①植え付け
イワヒバを植え付けるのは、4月から7月の気候のいい日がおすすめです。気温が低すぎなければ秋口でも構いませんが、冬季は休眠する植物のために12月から3月くらいの厳冬期は植え付けや植え替えは行わないようにしてください。
植え付けをする場合は、鉢植えの底に鉢底石を入れてから鹿沼土に桐生砂を2割程度混ぜたものを8分目のあたりまで入れます。そこに株を入れて、さらに隙間がなくなるまで培養土を入れましょう。
用土が重要
イワヒバを育てるときには、用土が重要です。合わない用土を使ってしまうと、いくら丈夫なイワヒバでも大きくなることができません。そのため、必ずイワヒバに合った用土を利用するようにしましょう。おすすめなのは鹿沼土で、できれば小粒のものが望ましいです。
そこへ桐生砂を多少混ぜることで、よりイワヒバに合った用土にすることができます。基本的には水はけがよく、保湿性のある用土を使いましょう。
植え替えが必要
イワヒバは、何年も同じ鉢植えのままではいけません。初夏から秋口にかけて植え替えをすることをおすすめします。用土に使うのは植え付け時と同じ水はけと保水性に優れたものを使用しますが、鉢植えは一回り大きいものを用意してください。
イワヒバの育て方②水やり
イワヒバの育て方で重要なのは、水やりの仕方です。水を好む割には乾燥に弱くもないのが水ヒバの特徴ですが、だからといって乾燥しすぎてもよくありません。逆に水が溜まってしまうと、根腐れを起こしやすくなってしまいます。そのため、夏と冬それぞれの季節に合わせた水やりの仕方を知っておく必要があるでしょう。
夏と冬では違う
夏は特に乾燥しやすいので、注意が必要な季節です。土の表面が乾いていたら、株全体に水をかけるように上から水やりをするといいでしょう。その時は、鉢の底から水が出てくるほどにしっかり与えます。ただし鉢受け皿がある場合、溜まった水は捨てましょう。
冬場は休眠するので、多くの水は必要ありません。たとえ葉に元気がないと感じても、休眠しているだけなのです。用土が中まで乾燥してきたら、水をたっぷりと与えてください。
イワヒバの育て方③肥料
イワヒバはそこまで肥料を必要とする植物ではなく、成長スピードもゆっくりのためにたとえ肥料をたっぷり与えても成長を実感することは難しいでしょう。むしろ、肥料を与えすぎると枯れてしまうこともあるので、注意が必要です。
イワヒバの育て方④日当たり
イワヒバにとって、日当たりもまた大切なポイントです。時には日光によって、葉の色が変わってしまうこともあります。とくに、真夏の刺すよう強すぎる日差しでは直射日光に当て続けると葉焼けを起こしてしまうので注意が必要です。
家の中や半日陰で育てるのであれば問題はないですが、もし屋外で育てている場合であれば寒冷紗などを活用して日差しを防ぐようにしましょう。
耐陰性はある
必ず日向で育てなくてはならない、という植物ではないので家のどこにでも置けるのがイワヒバのいいところです。ただし、完全に日陰に置く場合には、午前中の日差しが柔らかい時間帯などに2時間から3時間程度カーテン越しでもいいので日に当ててください。
また、室内に置く場合には葉を痛めないためにもエアコンの風に直接当たらないように配慮することが大切です。
冬越しは可能
基本的に寒さには強いうえに冬は休眠に入るため、屋外での冬越しは可能です。特別な冬越しの準備などは必要ありません。ただし、寒すぎれば枯れてしまうこともあるのでマイナス10度以下にならないように注意しましょう。寒冷地などでは、厳冬期はできるだけ家の中に置いておくのがおすすめです。
イワヒバの増やし方
イワヒバの増やし方は、主に挿し芽です。そのほか、株分けや葉挿しなどさまざまな増やし方ができるので自分に合った増やし方を選びましょう。挿し木をする場合には、5㎝ほどに切った葉を、鹿沼土に裏返しておき、上から薄く土をかぶせます。
できるだけ日陰か半日陰の風通しのいい場所におき、水切れを起こさないよう注意しながら水やりをしましょう。増やし方の注意点としては、挿し穂同士がくっつかないようにすることです。
剪定をしよう
コケ類に剪定は必要なのか、と疑問に思うこともあるでしょう。しかし、イワヒバの場合は、剪定というよりは古くなった葉や込み入った場所をの葉を切り取ることが大切です。古くなった葉をそのままにしておくと風通しが悪くなり、カビなどの発生原因にもなりかねません。
注意するべき病気や害虫
イワヒバを育てるうえで、注意するべきは根腐れだけではありません。とくに病気などは、事前に薬剤の散布も重要ですが何よりもかかる原因を作らないことです。対策を立てるためにもどのような病気にかかりやすいのか、注意するべき害虫は何なのかを知っておきましょう。
かかりやすい病気とは
イワヒバは、水が多すぎたり肥料が多すぎたりするとベト病という病気にかかってしまうことがあります。葉の周りからどんどん枯れていき、最終的には株全体を枯らしてしまうという恐ろしい病気で、感染症です。
つまり、一つの株がベト病に侵されているのを放っておくと、ほかの株まで枯れてしまうということになります。薬剤を散布することでも予防できるので、もし危険な兆候を見つけたらすぐに薬剤を購入しましょう。
つきやすい害虫とは
害虫でもっとも困るのが、ヨトウムシです。その姿はイワヒバの葉によく似ているので、発生してしまえば発見は困難です。一度発生すると葉をどんどん食い散らかしてしまうため、もし兆候があるようなら薬剤を散布するなどして対処しましょう。
まとめ
イワヒバは盆栽やロックガーデンを始めたいという方には、初心者でも手を出しやすい植物として人気です。成長スピードは速いとは言えませんが剪定や増やし方も非常に簡単なので、難しい管理はできないけど挑戦してみたい、という方はぜひ栽培を試してみてください。
イワヒバの枯れる原因が気になる方はこちらをチェック!
イワヒバは育ててみると趣があり、おもしろい植物です。増やし方も簡単で、初心者でも育てやすいのがポイントといえるでしょう。しかし、育て方によっては枯れてしまうこともあるので気を付けて育てることが大切です。
当サイトでは、イワヒバの枯れる原因を詳しく知ることができる記事も掲載されているので、気になる人はぜひ参考にしてみてください。

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