イワヒバとは
イワヒバは青々とした緑の葉が生い茂るシダ植物です。和風の庭には欠かせない植物という人もいます。庭に地植えする場合は、岩などをおいてそこで育成していきます。 あまり大きく成長しないため、盆栽などに仕立てやすく愛好家の間でも人気があります。
花言葉「負けない心」
イワヒバには「稔り」や「長寿」といった縁起の良い花言葉の他に「負けない心」という意味も持っています。 これは、イワヒバが乾燥すると葉を丸めて新芽を守る性質からきています。イワヒバが春を待つ姿に「へこたれない」「諦めない」という強い植物をイメージしてつけられています。 がんばっている人や、「長寿」に掛けてお年寄りへの贈り物などにピッタリの花言葉です。
イワヒバの育て方
難易度
イワヒバを育てる難易度は普通からやや簡単になります。
用土
イワヒバの育て方は簡単ですが、それは最初の土選びに大きく左右されます。イワヒバは酸性土を好みます。このほか、水はけがよく適度な保湿性がある土がイワヒバの用土には最適です。 古い土は使わず、清潔な鹿沼土に日向土などを2割程度まぜたものが好ましいでしょう。酸性を保つためにも年に1度か2度は植え替えを行うとさらにイワヒバを元気にしてくれるでしょう。
水やり
イワヒバの水やりは「土が乾いたら水をあげる」という基本的なやり方で大丈夫です。しかし、このときに土だけを湿らせるのではなく、イワヒバの葉から水をかけてあげるようにするのがポイントです。 乾燥を嫌いますが、湿気が多いとすぐに根腐れしてしまうので水のあげすぎや梅雨時には注意が必要です。
植え替え
土の酸性を保つため年に数度の植え替えが必要なイワヒバですが、地植え、鉢植え共に避けたい時期は12月から3月くらいまでの寒い季節です。適した季節は5月から7月くらいまでとなっています。 イワヒバを植え替えを行うと根をたくさん増やし株も大きく成長しますので、成長が止まるまで一回りずつ大きな鉢に植え替えていくとよいでしょう。
増やし方
イワヒバの絶やし方は挿し木(挿し芽)でおこないます。イワヒバを増やす時期は植え替えの時期と同じ5月から7月ころが適しています。 挿し木(挿し芽)での増やし方 親株から葉を切り取って、すぐに用意した土に挿し芽をしていきます。その方法は平鉢に清潔な鹿沼土を用意しておき、切り取った葉を裏返しに重ならないように並べ、並べ終わったらすぐに切り取った方に土をばらまき固定して日陰に置きます。 毎日たっぷりと水やりを忘れなければ1ヶ月後くらいには芽がでてくるでしょう。
病気・害虫
イワヒバに心配される病気は「ベト病」です。葉の周りのほうから茶色くなってきて、茶色い部分がだんだんと広がり侵食されてきます。ベト病にかかってしまったらすみやかに薬剤散布をおこなってください。 害虫は「ヨトウムシ」の幼虫に注意します。ヨトウムシの幼虫はイワヒバの葉に似た形をしているので見つけにくいですが、これも葉先が茶色くなるのを手がかりに見つけることができるでしょう。薬剤を散布して駆除しましょう。
イワヒバが枯れる原因と対策
さて、イワヒバが枯れる原因についてですが、元々イワヒバはシダ類の植物なので基本的にはとても丈夫です。イワヒバが枯れるもっとも多い原因として「寿命」があります。寿命ならどれだけお世話をしても仕方ありませんが、その他のことが原因の場合は普段のお手入れによって元気に長く育てることが可能です。 イワヒバが枯れる原因を見ていきましょう。
水
イワヒバは先程も申し上げたとおり水はけの悪い土だとすぐに根腐れして枯れてしまいます。寿命ではなくイワヒバが枯れてしまった場合は「水のあげすぎ」による根腐れが原因となる場合が多いでしょう。 水はけのよい清潔な土で育てることを心がけ、乾いたらたっぷり水を上げるという水のやり方を守ればこの事態を避けることができるでしょう。
肥料
イワヒバが枯れてしまう原因の3つ目は「肥料の与えすぎ」の場合があります。特にまだ若い株のうちに枯れてしまうのは、この肥料のあげすぎが原因であることが多いでしょう。 イワヒバは自然の中で育つ比較的原始的な植物の種類です。肥料は与えなくてもきちんと育ちます。イワヒバを少しでも立派に育てようという気持ちは良いのですが、逆に肥料の与え過ぎで若いイワヒバを枯らしてしまうことは避けましょう。 肥料を与える場合は、標準の10倍ほどに薄めた液体肥料を月に1度程度の割合で十分です。
紅葉
イワヒバは紅葉をします。イワヒバを常に青々と茂る植物だと思っているとこの紅葉を「枯れた」と勘違いしてしまうことがあります。 イワヒバが紅葉する条件は日照時間にあります。多くの植物がそうであるように、午前中はよく陽の当たる場所に置き、午後には遮光をしてあげることで品種によっては紅葉してきます。 また、紅葉以外で日に当たりすぎて葉焼けを起こしてイワヒバの葉が変色してしまう場合もあります。葉焼けで「枯れている」とまで思う人は少ないでしょうが、陽に当てすぎもよくないということを覚えておくとよいでしょう。
イワヒバは枯れるもの?
イワヒバは冬になって乾燥する季節になると枯れたような状態になって「冬眠」します。花言葉の項目でもご紹介しましたが、葉が丸まり新芽を守り春を待ちます。この状態を「枯れている」と勘違いしてしまうことも多いようです。 枯れているのではなく「眠っている」だけなのでそのまま水やりは控えめにして春を待ちましょう。春になって土が乾いていない状態になれば、枯れていたと思っていたイワヒバが復活していたということもよくある話です。
イワヒバの品種
金華山(きんかざん)
秋には赤く紅葉する姿が美しく人気の高いイワヒバの種類です。春には濃い緑色の葉、夏には白い斑の入った葉、秋の紅葉と1年で3つの葉色が楽しめるのが特徴的です。
紫金欄(しきんらん)
イワヒバの中では背丈が伸びやすい種類です。新芽の季節には金色の斑の入った綺麗な葉を芽吹かせ、夏になるにつれて徐々に中央が紫色に変わってきます。 紫金欄(しきんらん)も紅葉する品種なので秋にはまた違った葉色を見せてくれます。四季ごとの葉の変わり具合が素晴らしい品種です。
御所錦(ごしょにしき)
御所錦はその名のとおり「錦」(豪華な織物)のような複雑な色が入り込んだ葉色が特徴的なイワヒバの種類です。大きさは中型で、夏に向けて葉先からオレンジ色に変わってきて、徐々に白い斑が入り混じってくるさまは、まるで「錦」のようだったためこの名前がつけられました。
都紅(みやこべに)
イワヒバの中ではとても古くから愛されている品種がこの都紅です。1800年代からある品種というのですから驚きですね。 大きくて平たい葉が特徴的です。夏には白い斑が葉に入り、秋には真っ赤に紅葉します。この紅葉が美しいことから都紅という名前がつけられています。
まとめ
イワヒバの育て方、増やし方からイワヒバが枯れてしまう原因と対策、おすすめの品種と駆け足でみてきました。いかがでしたでしょうか。 育て方が簡単で、秋には綺麗に紅葉する品種も多いイワヒバは古くから日本人に愛されてきた侘び寂びを感じることができる植物です。イワヒバに対して、更に興味を持たれた人も多いのではないでしょうか。 イワヒバは基本的にとても丈夫な植物です。枯れているように見えて実は眠っているだけということも多いです。むしろ、過保護にしすぎると枯れることが多いということもわかりました。 イワヒバに適した育て方で、庭で、鉢植えで、四季ごとに変わるイワヒバの美しさを堪能してみてはいかがでしょうか。