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幼虫から始めるオオコクワガタの飼育講座!上手に羽化させたり繁殖させるコツを紹介!

オオクワガタとコクワガタの間に生まれるオオコクワガタは、人為的に誕生させることができます。交尾から産卵、幼虫、成虫まで育てるのです。しかし、種類が異なるクワガタだけに幼虫から成虫まで成長させるのは至難の業。そんなオオコクワガタの飼育に役立つ講座です。
2021年6月28日
ユリノフ
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オオコクワガタの飼育は難しいから楽しい

オオコクワガタを御存じでしょうか?「オオクワガタ」でもなく、「コクワガタ」でもなく、まさにその中間的な存在です。実際には、オオクワガタとコクワガタとの交配で生まれた種間雑種になります。

自然界でもごくまれに存在しますが、生殖能力はなく子供は生まれません。寿命は短めで一世代で終わるのです。そのオオコクワガタを人為的に誕生させることはできます。簡単ではありませんがやり甲斐があるオオコクワガタの飼育方法の紹介です。

交雑種のため誕生は困難

オオクワガタとコクワガタの交配によって誕生するオオコクワガは、人間が人為的に交配環境を整えて、交雑(こうざつ)で誕生させることができます。

ただし、成功する確率はあまり高くなく、準備段階から細かく対応しなければよい結果が得られないようです。まず、事前に情報を収集することがオオコクワガタ誕生の重要ポイントの一つといえます。

オオコクワガタ飼育の特殊性

オオコクワガタを産卵させて成虫まで育てる工程すべてが簡単ではありません。さらに、産卵したとしても幼虫で死亡する確率が高く、幼虫から成虫に成長しても他の種類よりも短い寿命です。

自然界でオオコクワガタに出くわす確率は限りなくゼロに近く、それだけに挑戦して産卵させたい気持ちが湧き出てきますが、まず、オオコクワガタの基本的な特殊性を知りましょう。

オオクワガタのメスとコクワガタのオスのペアがベスト

親になるクワガタの組み合わせは、できるだけ大型のオオクワガタのメスと、コクワガタのオスが交配して生まれるケースが多くなります。自然界では逆の場合もあるそうですが、飼育して産卵させることはさらに困難です。

オオクワガタのメスとコクワガタのオスが交尾し産卵して誕生した「オオコクワガタ」は、ほぼ100%の確率でオスになります。体形は大アゴと胴の部分はオオクワガタに類似し、脚部はコクワガタの特徴が現れます。

オオコクワガタの外見の特徴

オオコクワガタの幼虫でも成虫でも、オオクワガタやコクワガタと随分かけ離れた個体は誕生しません。クワガタの最大の特徴であるアゴはオオクワガタの形状に似ています。

研究者ベースで比較すれば細部の違いがあるのでしょうが、外見を一覧しただけでは80%くらいオオクワガタに近いフォルムです。大きさはオオクワガタほど大型ではありませんが5cm以上の成虫になります。

ペアリングが最難関

オオコクワガタを誕生させるときに最大の課題が、異なる種類のクワガタが交尾に至るか否かです。個体の大きさのバランスや個体同士の相性もあるようで、数ペアーから1組が誕生するほどの確率になります。

さらに、産卵しても幼虫まで成長する個体が多くなく、せっかく幼虫まで成長しても幼虫で寿命を終える個体もあります。

交配成功は根気が必要

そもそもオオコクワガタは交雑種であり、現在の技術では100発100中での交配はかなりハードルが高いのが実情です。

複数組ペアリングしても、まったくペアリングが成功しないこともあり、複数年かけて産卵までもっていくだけ根気も必要になります。

幼虫飼育が重要


クワガタは卵から孵化し幼虫になってから成長します。1齢(初齢)幼虫から、2齢幼虫へ成長し、3齢(終齢)幼虫になり、幼虫から蛹へ成長し、その後羽化して成虫になるのです。

クワガタの成虫のサイズは幼虫の時の大きさで決まります。大きな幼虫に成長すると成虫も大型です。クワガタは幼虫の大きさで成虫のサイズが決まるので、元気で大きなクワガタにするためには幼虫を大きくすることが重要です。

オオコクワガタの飼育講座

基本的には他の種類のクワガタをペアリングして、産卵、幼虫、サナギ、成虫へと飼育する方法と大きく異なる点はありません。ただし、オオクワガタのメスとコクワガタのオスのペアリングからかなり大変な作業です。

根気と日々の観察眼と、幼虫が誕生しやすい飼育環境を管理しキープすることが重要になってきます。そんな、オオコクワガタの飼育でポイントとなる点の列挙です。なお、記事内の期間については個別の飼育環境で変化するので、一つの目途と理解してください。

講座①:複数ペアのペアリングがおすすめ!

オオコクワガタの産卵、幼虫、サナギ、羽化、成虫をスムーズに進め、成功裏に収めるにはオオクワガタのメスとコクワガタのオスを、最低でもそれぞれ3匹ほど用意しましょう。ペア数が多いほどオオコクワガタが誕生する確率が上がります。

特にオオクワガタのメスを大量に自然界で採集することはかなり困難で、デパートや昆虫を扱うペットショップで求めることがおすすめで、インターネットの通販でも入手可能です。

講座②:オオコクワガタ繁殖のおすすめグッズ

ぺアリングしたカップルの数だけ「飼育ケース」と、ケースに敷く朽ちた木を細かくした「マット」に、産卵木と転倒防止材をペアの数だけ用意しておきます。

また、産卵に成功した次の段階で必要となる菌糸ビンも10本ほどの準備が必要です。幼虫の数がそれ以上の場合は追加で求めましょう。さらに、餌となる昆虫ゼリーを2~3日に1個を目途に必要数が必要です。

講座③:ペアリング後2週間くらい経過を観察

通常、クワガタは同種であれば10日間くらいペアリングで一緒にいると交尾をします。もともと、異なる種類のオオクワガタとコクワガタのペアリングですから交尾する確率は高くなりません。

時には、オスのコクワガタがアゴでオオクワガタのメスを傷つけることもあり、逆にメスが短いアゴでオスの胸に穴を開ける場合もあります。飼育ではペアを良く管理し、わずかな変化も常に注しておきましょう。

講座④:オスを取り出しメスに産卵に集中させる

2週間から20日間ほどペアで生活させた後は、交尾の確認が取れなくても、オスを取り出してメスが産卵に集中できる環境を整えます。産卵木をかじった跡などの変化があれば産卵が成功です。

しかし、実際に幼虫が目視できることは少なく、産卵木の変化を見ながらさらに2~3週間ほど観察を続けます。

講座⑤:幼虫を確認

幼虫が目視できない場合でも一定期間が経過したら産卵木を取り出して、さらに、1か月ほどそのまま保管が必要です。そして産卵木を解体して「割り出し」と呼ばれる卵や幼虫の確認作業を行います。

オオコクワガタの幼虫は決定的な特徴はなく、他の種類の幼虫と大きく変わるところはありません。幼虫の個体を見ただけでオオコクワガタの幼虫と識別できる特徴は見られないのです。

講座⑥:幼虫を菌糸ビンに移す

幼虫が確認できれば、菌糸ビン1本に幼虫1匹を入れて直射日光の当たらない場所で保管します。白い菌糸ビンが茶色く変化するか、2~3か月経過したら新しい菌糸ビンに移しましょう。

幼虫を移す時や幼虫を取り出すときは優しく慎重に取り扱うことが必要です。特にオオコクワガタの幼虫はナイーブな面があり、幼虫の数も限られいっそう取り扱いに注意しましょう。

幼虫がサナギになる蛹室(ようしつ)を作り始めたら、菌糸ビンがどのような状態でもそのままにしておきます。

講座⑦:蛹化は静かに見守る


幼虫からサナギに変身し蛹室に閉じこもると、季節や個体差はありますが2週間~1ヶ月間くらいをそのまま過ごします。その後、羽化して念願のオオコクワガタが誕生するのです。この期間は日々観察を怠らず見守りましょう。

羽化して成虫の体になってもしばらくはそのままの状態で、徐々にアゴや頭部や胴体から羽根まで黒くなり成虫になります。

講座⑧:成虫の取り扱いは慎重に

オオコクワガタの飼育に成功し産卵から幼虫、そして成虫へと成長させても、人工的に作り出した交雑種ですから、野外へ放つのは控えて飼育ケースで育てるのをおすすめします。

他のクワガタの種類は越冬することもありますが、オオコクワガタは寿命が長くなく冬になるまでに命が尽きます。

オオコクワガタの飼育グッズ

オオコクワガタ誕生ではペアリングから産卵、幼虫など飼育は大変デリケートで、飼育に使用するケースなどのグッズ選びが重要です。

この章では、ケースや菌糸ビンや昆虫ゼリーなど、オオコクワガタの繁殖に有効と思える飼育グッズの注意ポイントを紹介します。

オオコクワガタ繁殖用グッズ➀:飼育ケース

ペアリングのためのケースとなるとサイズは幅が30cmは必要になります。また、コバエなどの侵入防止できるスライド式のフタやコバエシャッター機能が付いたタイプが便利です。

飼育ケース中は観察する機会が多くなり、ケースの中がクリアに見えるような透明でゆがみがないタイプがおすすめになります。

また、セパレータ付のケースは一つのケースながら実質2台と同じ使い方ができ、オスとメスを一時的に離すときに極めて便利です。

オオコクワガタ繁殖用グッズ②:マット

飼育ケースにはマットを敷きますが、マットは腐葉土や針葉樹や広葉樹を細かく砕いて粉状にしたものです。マットはクワガタの床材になりますが、幼虫のエサや棲み処として使うこともあります。

メスがマットに産卵することもあり、マットの中で幼虫が成長することもしばしばで、オオコクワガタ飼育の必須アイテムです。

オオコクワガタ繁殖用グッズ③:産卵木

産卵木(さんらんぼく)はクワガタが産卵するための木材になります。通常の産卵木はキノコ栽培で使用されたホダ木を、飼育ケースの中で使いやすいサイズに切断したものです。

クワガタは主に枯れた樹木に産卵するので、オオコクワガタ飼育でも同じような環境を作り出すために、キノコ栽培で使用し菌が回ったホダ木が最適な産卵木になります。

オオコクワガタ繁殖用グッズ④:エサ台

「エサ台」はクワガタの餌となる昆虫ゼリーを入れる穴があいてある台です。木製やプラスチックがあります。

エサ台はクワガタがゼリーをひっくり返すのを防止でき、クワガタがエサ台の陰や下側に潜り込んで静かに過ごす隠れ処として利用することもあります。

オオコクワガタ繁殖用グッズ⑤:転倒防止材

「転倒防止材」は飼育ケース内の安全を守るために大切なグッズです。クワガタやカブトムシはケース内で転倒することがあります。

転倒してひっくり返ると自力で元の体制に戻ることが困難で、ひっくり返ったままもがき続けることになり起き上がれません。転倒防止材はクワガタが転んでも、そこに足をひっかけることで起き上がれるのです。

オオコクワガタ繁殖用グッズ⑥:菌糸ビン

オオコクワガタの幼虫が安全に大きく育つためには、菌糸ビンを使う飼育方法がおすすめになります。

菌糸ビンはキノコ菌が培養されたクヌギ、コナラなどのオガ粉を専用ボトルに詰めたものです。オオコクワガタの幼虫はキノコ菌が分解したオガ粉をよく食べ、栄養を吸収し大きく成長します。

菌糸ビンは幼虫1匹に対し1本が必要となり、幼虫が成虫になるまでに菌糸ビンが複数必要で、信頼あるメーカーの菌糸ビンを選びましょう。


オオコクワガタ繁殖用グッズ⑦:昆虫ゼリー

昭和の時代は昆虫の餌はスイカやキューリでした。しかし、衛生上の問題や臭い防止に、取り扱いの便利さから、最近は昆虫ゼリーがクワガタなど昆虫の餌の主力です。

また、昆虫ゼリーは年々進化し、昆虫ゼリーの主な成分は、天然果汁、各種タンパク質、必須アミノ酸、グルコース、トレハロースなど、人間も摂取すると元気になる成分が豊富に含まれています。コスパがよく簡単に与えられ、オオコクワガタが喜んで食べる昆虫ゼリーは餌としておすすめです。

オオコクワガタ飼育は温度管理が重要

産卵したオオコクワガタの飼育で重要になるのが飼育温度です。クワガタは夏の昆虫ですが30度を超える暑さは苦手なので、30度を超えない飼育環境を確保しましょう。

オオコクワガタは幼虫も成虫も室内の常温で飼育が可能です。直射日光を避けて風通しの良い場所で飼育し、室温も25度を目途にすれば問題なく育ちます。

ちなみに、クワガタは種類により野外でも冬眠して越冬する種類もありますが、オオコクワガタの寿命は短く越冬するケースはないようです。

オオコクワガタ取り扱いは慎重に!

オオコクワガタを交雑で人為的に誕生させることについては、否定的な見解を持つ方も多数です。本来であれば自分の子孫を残すための能力を別の方向に使うことがよくないという考え方もあります。

また、幼虫の死亡率も高く、羽化して無事成虫になっても長生きはできません。そもそも、交雑種を人為的に作る行為そのものを快く思わない方も多くいます。

自然環境維持のためにも成虫を野外に放つのはやめましょう。オオコクワガタの飼育は全て自己責任で行う覚悟が必要です。

オオコクワガタ誕生は至福の喜び!

オオコクワガタの飼育について、ペアリングや幼虫の扱い方に成虫の特徴など採り上げました。オオコクワガタは誕生も稀で寿命も短く、飼育して成功すると大変喜ばしいものです。

難しい課題であればあるほど、達成したときの満足感は大きなものになります。オオコクワガタの飼育に挑戦して、めったに目にすることができないオオコクワガタを実際に手に取って達成感を味わいましょう!

オオコクワガタの飼育が気になる方はこちらをチェック!

オオコクワガタの飼育方法から、幼虫や羽化や寿命などにクワガタの特徴であるアゴの形状など気になった方は、以下の記事のチェックをおすすめします。オオコクワガタの親となるオオクワガタの情報も満載です。