はじめに:メキシコマンネングサの栽培法
屋上緑化に役立つメキシコマンネングサ
かわいらしい黄色い花をたくさん咲かせるきれいな多肉植物がメキシコマンネングサです。とても生育がよく丈夫な植物であるため現在は屋上の緑化などにたくさん用いられていて、その姿を目にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
ビルの屋上だけでなく庭のグランドカバーや鉢植えの観葉植物など便利に使える植物となっています。
多肉植物メキシコマンネングサの栽培
メキシコマンネングサの栽培が緑化やガーデニングにおいても見直されているのは、土質がよろしくない場所でもすくすくと大きく成長してくれる育てやすさ。
黄色い花がたくさんさいて開花時期の見た目がよいだけでなく、花が咲いていないときでもフレッシュな緑色が癒やしの空間を作ってくれることが認知されてきたことに起因します。
丈夫で育てやすいメキシコマンネングサの育て方や増やし方をくわしく解説していきましょう。
育て方の前に知るメキシコマンネングサについて
メキシコマンネングサの基本情報
科・属 | ベンケイソウ科マンネングサ属 |
原産地 | 原産地不詳(日本を含む北半球の各地に自生地あり) |
英語名/学名 | Mexican stonecrop/Sedum mexicanum |
育て方難易度 | 簡単 |
メキシコマンネングサの特徴
常緑の多年草で非常に耐寒性が高いのがこのメキシコマンネングサの特徴です。その耐寒温度は-8度もあり関東より以南の地域であれば、戸外に植えっぱなしにしても容易に冬越しが可能な多肉植物となっています。
また花の時期・夏の葉色・秋の紅葉(品種による)と季節によってその色を変え、私たちを楽しませてくれる便利な植物です。
特徴的な花の形
これまで黄色い花としかご紹介しませんでしたが、小さいながらもよく見るとメキシコマンネングサの花は少し変わった形をしています。いくつにも伸びた花茎の先に咲く花の大きさは1cm程度。
花弁は傘のような形をした5枚花弁で茎の先端には1つの花を付ける花序(中でもこのような形は単頂花序)と呼ばれています。
メキシコマンネングサの原産国
メキシコマンネングサという多肉植物はメキシコという名前が付いていても原産地が南米というわけではありません。最初にメキシコで植物標本が取られたことからこの名前が付けられたという説が有力です。
実際はメキシコマンネングサの原産地はよくわかっておらず、それというのもこの植物が地球の北半球にあまりにもたくさん分布しているため。原産国と呼べる場所が多すぎてひとつの国にしぼることができないというのが実情です。
メキシコマンネングサの開花時期
開花時期は4-6月と長めですが特に5月くらいからが見ごろといえるでしょう。1本の茎からたくさん花茎が出てボリュームがある咲き方は、開花時期にはまるで黄色い傘がたくさん開いているようにも見えます。
メキシコマンネングサの育て方
メキシコマンネングサ栽培:日当たり
花を特に鑑賞したいと思っている方はできるだけ日当たりのよい場所に植え付けるようにしましょう。しかし実際にはこの植物は半日陰から日陰であっても枯れることなく成長してくれるので、庭の木の根元などのグランドカバーとしても活用できます。
花をメインに考えているなら日なたに、花もよいけれどグランドカバーとして使いたい方は日陰に植えることもできる便利な植物です。
メキシコマンネングサ栽培:植え付け植え替え
4-10月で夏の暑い時期を除けばいつでも移植・植え付けが可能となっています。これも耐寒性の高さによって受けられる恩恵で、メキシコマンネングサ栽培の手軽さといえるでしょう。
植え付けのやり方
この植物は非常に根付きがよくて、葉のついた茎を1cmくらいにカットして軽く差すだけでも増えていきます。植え付けにはそれほど気を使う必要はありません。
ただし枯れる時には一気に枯れてしまうので、それを予防する意味でも土の水はけは重要です。市販の培養土に小粒の鹿沼土を2-3割混ぜて枯れた時のためにポリポットで予備の株も作っておくのがおすすめ。増やし方は後述でご紹介します。
鉢植え植物は植え替えが必要
鉢植えにしたものはどんどん増えてくるので大株になり、株元を少し引っ張っただけでもぽろりと根元からまるごと取れてしまったりすることが頻繁に起きます。
水やりのときにどうしても葉ではなく土に水をかけたい植物なので、触らないということは無理に近いです。そのために事故防止のためにこんもり育てる目的以外ではちょうどよい大きさに株分け・植え替え作業は必至のお世話となります。
セダム類の土の作り方
やせた土でもよく育ちます。ただしいつまでも水分を保ってしまいがちな土壌は苦手な植物です。水はけをよくするという意味で腐葉土を使ってください。先程も申し上げましたが市販の培養土に鹿沼土を少量混ぜるのも、メキシコマンネングサ用の土の上手な作り方のひとつです。
メキシコマンネングサ栽培:日常管理
鉢植えであればほぼ毎日おこなう水やりや定期的にあげる必要のある肥料の種類や時期・周期についてレクチャーしていきましょう。とても丈夫な植物で手間がかからない部類に入っていますが、特に水やりで失敗するというケースが多いので要チェックです。
水やりのコツ
過酷な状況でも枯れることなく増えていくメキシコマンネングサ。どちらかというと乾いた土壌が好みなため、水やりは控えめにするのがコツです。地植えの場合はあげる必要はありません。
鉢植えは土がしっかり乾いてから。植物は基本的に朝の水やりが成長を促すのでよいと言われますが、メキシコマンネングサの夏の水やりだけは朝はせずに夕方1回のみにしてください。そのほうが夏場の蒸れて不健康な株の状態を避けることができます。
肥料の時期とやり方
おもしろいことにメキシコマンネングサなどのセダムの仲間は、徒長ぎみで育てるのが見た目がうまく整うのできれいに丸い株に仕上がります。特にSNSでも人気のこんもりマンネングサの株を作るなら徒長させるのがコツとなってきます。
肥料は夏場を除く時期には水やりのときに薄めの液体肥料を月に2-3回の割合で与えると、日陰に植わっている株や密な状態の中央付近の株がいい感じに徒長してくれて丸く整うでしょう。
メキシコマンネングサ栽培:切り戻し剪定
切り戻さずにこんもり鉢が見えないくらい垂れさせるか、寄せ植えのワンポイントなら主張しすぎないように小さく育てるか。セダム系のメキシコマンネングサはいろいろな仕立て方で楽しむことができます。
どちらに育てるのかは使うシーンとあとは個人の好みとなります。後者の場合をお望みの場合はこれも真夏と真冬を除くいつでも、切り戻し剪定をしてあげて短く形を整えてあげてください。
切り戻し時期とやり方
成長が著しい4-9月くらいまでが切り戻し剪定が必要であり適した時期となってきます。ただしこれも真夏は株が弱っているため、むやみに切り戻すのは避けるようにしてください。基本的に成長期であればどの位置でどれだけ切り戻してもOKです。
手入れと手入れの間隔を長くして手間のかからない株にしたいなら、根元の最初の葉(ただし枯れている葉は避けて健康なもの)が付いているすぐ上の部分からカットしてもかまいません。花の時期が5月ころなので満開を見たいという方は花後におこなうのがおすすめ。
メキシコマンネングサ栽培:冬越し
メキシコマンネングサは多肉植物なのですが特に耐寒性に優れていて、日本の寒い冬でも地植えで耐えることなく栽培が可能です。冬でも外で育てることができる気温は-8度。
寒冷地でそれ以下になるという地域では鉢植えにして冬場は室内に置いておくようにしてください。
メキシコマンネングサ:増やし方
メキシコマンネングサは株分けと挿し木で増やすことが可能です。増やし方におすすめのタイミングは植え付けや植え替えと同時期。春から秋まで(真夏を除く)いつでもおこなうことができます。
株分けは掘り起こした株を手で分けておこなうのですが、大株に限らず小さめなものをいくつかに分けても上手に根付いていくので、早く広範囲を埋めたい場合は挿し木と株分けを広い範囲で同時におこなうのもひとつの方法です。
挿し木の時期とやり方
挿し木は剪定をしたものがそのまま使えます。これも長く伸びた茎であれば1つの葉の塊と茎部分を1つと考え、こまかくいくつもにハサミで切り分けただけでも根付いてくれる植物です。
茎を手で土に軽く埋めながらハサミで葉の上をカット、少し離して同じことを繰り返していくだけで1本の切り戻しの枝でたくさんの挿し木穂をスピーディーに作れます。
メキシコマンネングサの挿し木管理は簡単
通常挿し木の後は日陰において水切れに注意して根が出るのを待ち、それから次第に日なたに慣らしてという少し面倒な手間がかかります。しかしメキシコマンネングサの場合は剪定した落ちた葉からでも簡単に根付くくらい挿し木は簡単。
育苗箱などに挿し木をして土が乾かないようにという挿し木管理はあまり気にせず、欲しい場所に挿し木していっても大丈夫です。丁寧に苗をつくりたいという方は、もちろん通常の挿し木のやり方をすればたくさんの苗が手に入り寄せ植えなどに活用できます。
まとめ:メキシコマンネングサの育て方は簡単
原産地が多いメキシコマンネングサ
北半球の広範囲に自生しているメキシコマンネングサは、日本でも野草となって道端などで見られるので栽培環境は合っていて育てやすい多肉植物です。品種によって黄色いものグリーンのものと見た目も選べるのでお好みのものを選んで鉢植えに・グランドカバーにとお楽しみください。
メキシコマンネングサはこんな人におすすめ
開花時期は初夏ですが冬になっても枯れることなく春に新しい芽吹きを迎え、どんどん大きくなり秋にもう一度開花する場合もあります。
横に広がりやすい性質を持っていますので、株間がある程度あってもすぐに埋まって周辺にこんもりとしたコロニーを作るので、少しでも早く庭を作りたいという人にもおすすめです。
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出典:https://photo-ac.com/