はじめに:イヌマキを庭木として育てよう
【庭の植物図鑑】冬も美しいイヌマキ
イヌマキは冬も美しい常緑樹で庭木特に生垣としてよく利用されるのは、時期を守ればある程度の強剪定にも負けず枯れることが少ないためです。
またもしも植え方に失敗して株が枯れてしまったとしても開花したイヌマキからはそのあと種を採取することができ、そこから実生苗を育てることもできるため予備苗も自分で作れるところも魅力の植物といえるでしょう。
イヌマキは潮風の防風林としてもおすすめ
イヌマキの木が生垣など庭木として好まれる理由に成長が早いだけでなく車の排気ガスなどの公害・潮風の塩害に強いという理由もあります。海沿いのお宅で潮風で植物が育ちにくいという方はイヌマキを試してみてください。
防風林や生垣にしたいイヌマキの基本情報
イヌマキの栽培や管理方法の前にまずはその分類や特徴・開花時期などの基本情報からご覧いただきましょう。イヌマキとはどんな植物なのか知っておくことであとの栽培管理に役立ちます。
イヌマキの基本情報
科・属 | マキ科マキ属 |
原産地 | 台湾や日本の温かい地域 |
英語名/学名 | Podocarpus macrophyllus |
育て方難易度 | 普通 |
好みで選べるマキの木の種類
マキの木にはいくつか種類がありますが庭木として使われる園芸品種にラカンマキと呼ばれるものがあります。見た目はイヌマキとほとんど同じなのですが葉も樹高もコンパクトなのが特徴です。
イヌマキを基本としてもっと大きな葉を持つ種類にはヤママキという野生種もあり、こちらは葉だけでも20cmほどの大きさなのが特徴。またイヌマキの葉をもっと細くしたものはホソバマキと呼ばれており、こちらはイヌマキの変種と考えられています。
イヌマキの特徴・性質
イヌマキは常緑の高木で20mほどの大きさになります。大きな特徴として雌雄異株であり雄株と雌株が存在するというところ。イヌマキの実を採取したいと思っているなら最低でも雄株と雌株の2本を揃える必要がでてくるでしょう。
若い葉はやわらかく刈り込みにも絶える強さをもっているため、庭の美観のための植木や整えられた生垣にも多く利用されるポピュラーな庭木として見る機会も多い身近な植物です。通称マキとも呼ばれています。
実の下に付く花托もイヌマキの特徴
イヌマキは雌株に変わった形の花が咲き、雄株の花粉と受粉することにより種ができます。種には花托とよばれるもうひとつの実のようなものが付き、これは熟すとみずみずしく甘いため生で食べることができます。
イヌマキの開花時期
イヌマキは初夏に花を咲かせる植物で具体的な開花時期と呼ばれる期間は5-6月。雄株と雌株が存在する雌雄異株の植物です。目立つのは雄花の方で枝から放射状に白っぽい花穂がたくさん出てきます。
一方雌花は小さく目立たないため気づかれないことも多い地味な花。形も他の花と呼ばれるものの形とは大きく異なっていて、よくこけしやお地蔵さんに例えられます。
イヌマキの花言葉は「色褪せぬ恋」
イヌマキも開花時期には花が咲きその花には花言葉が付けられています。その意味は色褪せぬ恋。常緑樹であるイヌマキは冬でも緑の葉を茂らせているためこのような花言葉がつけられたといわれています。
わかりやすい!イヌマキの栽培管理の方法
それでは早速人気の庭木イヌマキの育て方と剪定など季節の管理方法について解説していきましょう。イヌマキを生垣として利用するのか防風林として活用するのかでも育て方やお手入れ方法が変わってきますので、ご自分の使い方に合った項目をチェックしてみてくださいね。
イヌマキの日当たり
イヌマキは少し暗い日かげでも成長します。しかし日なたが苦手というわけではないので、日当たりのよい場所に植え付けた方が葉色もきれいに健康的な株に育ってくれるでしょう。
地植えの場合の植え付け場所で考えるのは冬の霜対策も頭を悩ませる人も多いところです。その点イヌマキは耐寒性は優秀で温暖地であれば冬でも特別な対策は必要としません。
イヌマキの植え付けと植え替え
イヌマキの植え付け時期は3月くらいから夏を除く9月が適期。イヌマキに限らず大きな庭木を植え付ける時に気をつけて欲しいのが深植えにしないということ。根に空気が不足すると枯れてしまいます。
購入した苗の根鉢が今の庭よりも少し高くなるくらいがベストな高さで、少し株元に土を盛って高くなるくらいの感覚で植えてあげると、植えた木の根が枯れてしまうという失敗は防げるでしょう。
植え付け時の元肥は有機肥料で
植え付け後の根の張りをよくするためには元肥という肥料も必要です。イヌマキの元肥には有機肥料が適していますが、緩効性化成肥料でも代用可能。
これは土にもいえることで穴のために掘った土に完熟堆肥など有機質成分をすき込んであげることで、イヌマキの好みの植え土とすることができます。
生垣用イヌマキの株間の目安
生垣にするならば土地と道を分けるように境界付近に並べて何本か植え付けることとなるでしょう。株間の目安として植木屋にイヌマキの生垣を依頼すると4-50cmくらいで植え付けてあるものがほとんどです。
自分で苗を購入して植え付ける場合もこの株間を目安にするとよいでしょう。最初はまだ葉もスカスカな感じでも、成長して刈り込みを繰り返すうちによい目隠しになってくれますよ。
イヌマキの日常管理
水やり
イヌマキは地植えにする植物ですので基本的にはよほど盛夏で雨が降らないという時でもなければ水やりの必要はありません。ただし植え付け時には穴にたっぷりと水を入れてから植える・植えてすぐは根が張るまでは土を乾かないようにするというのは庭木の植え付けの基本です。
肥料の時期とやり方
地植えのイヌマキは2月に寒肥を与えてください。これは完熟した有機肥料が適しています。株元から少し離れた場所の土をすこし掘ってそこに蒔き軽く土を掛けて固めておきます。
雨などで地中に染み込み少しずつ養分が根まで届くのをイメージすると、どのあたりに撒いたらよいのか見当が付きやすいでしょう。
イヌマキの剪定
イヌマキは大きく育てて防風林にも利用されますが一般家庭ではきれいに刈り込んで生垣にされることも多い植物です。そんな利用方法からイヌマキの剪定方法は覚えておくと役に立つでしょう。
イヌマキの選定方法は2種類
イヌマキの剪定方法は刈り込みと剪定の二通りのやり方があり、前者はこんもりと密に葉が茂り短時間ですむ方法で後者は時間はかかりますが風通しがよくなるために次に手入れが必要になるまでの間隔が空き、長い期間コンパクトに美しく整い続けます。
刈り込みのやり方
刈り込みは木鋏などを用いて表面から飛び出して形を崩している葉や小枝のみを剪定する方法です。見た目だけでどんどん切ることができ、丈夫なイヌマキの木には向いている方法というメリットがある反面、美しさを保つためには年に数回と頻繁に手入れしなくてはならなくなってしまうでしょう。
そんなときは透かし剪定をして枝の数を整理してあげると、樹姿が乱れにくくなるため刈り込みの頻度が減ります。
透かし剪定のやり方
刈り込みばかり続けていると不要な枝の剪定ができないので葉が密になり風通しが悪くなります。手入れに慣れてきたら何年かに一度は透かし剪定をしてあげましょう。
やり方は葉をかき分けて中で間延びしている枝や曲がりくねって伸びている枝・ほとんど葉が付いていないような不要な枝を選んで分岐しているところまでたどりそこから剪定してください。
イヌマキの増やし方
花後秋10月ころになるとイヌマキは実を付けます。この実を取って種まきから増やすこともできますし、イヌマキは挿し木でも増やすことが可能です。それぞれのやり方をご説明しましょう。
イヌマキの種採取と種まきの方法
10月にイヌマキの実が熟れたら種を取ることができます。採種した種はすぐにまいてもよいですが、おすすめはそのまま密封できるビニール袋などに入れて冷蔵庫で春まで保存、3月ころに種まきするやり方です。
時々枝に付いたまま種の部分から根のようなものができますがこれも種まきに利用できます。植木鉢などに清潔な種まき用の土を入れそこに軽く覆土してまいてください。
イヌマキの挿し木の時期ややり方
挿し木も3月ころと10月ころの年に2回適期があります。春ならば去年伸びてきたできるだけ若々しい枝を選んで・秋ならばその年に伸びた枝の先端を10-15センチカットして挿し木にします。コップなどで数時間水あげをして準備してください。
清潔な鹿沼土や赤玉土などを十分水で濡らし、割り箸などで穴を空けそこに水あげした先程の枝を差しまわりを指先で軽く押さえて完了です。土が乾燥してしまわないよう日陰で時々水をあげながら管理しましょう。
まとめ:イヌマキはポピュラーな人気庭木
イヌマキで冬も庭に緑を
イヌマキは成長が早いのと寒さ・排気ガス・日陰・潮風など過酷な環境でもものともしない丈夫さから人気の庭木ですが、成長が早い木だけあってきれいにしておくには定期的な刈り込みや剪定が必要となってくるでしょう。
イヌマキ自体の育て方は簡単ですので、木の手入れが好きという方にとってはおすすめの庭木です。
お好みのマキの木を庭に植えよう
イヌマキ・ラカンマキ・ホソバマキと園芸用に用いられるマキの木にも複数種類があり、葉の大きさや成長速度などに違いがでてきますので、植え付ける場所に合わせた樹高・葉の密度などお好みで選んでみてくださいね。
イヌマキが気になる方はこちらもチェック
暮らしーのではイヌマキだけでなく日本の気候にあっていて庭木としておすすめの植物についてもたくさんの育て方や管理・お手入れの方法を詳しく解説している記事がそろっています。イヌマキのほかの庭木も知りたいという方はこちらもお役に立つでしょう。

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出典:https://photo-ac.com/