はじめに:簡単なバラの栽培方法を解説
バラ栽培は初心者でも簡単
バラ栽培は病気や害虫に関するお悩みもよく聞くので初心者の方は難しそうと感じるかも知れませんね。しかしポイントやコツを押さえれば季節を選ばず楽しめる園芸用植物の女王としておすすめの花です。
また種類も豊富なことから自分の庭やベランダに欲しい開花時期を選べたり、栽培が簡単な品種もあります。今回はバラの栽培方法を鉢植えの植え付け、地植えへの植え方といった育て方注意も交えてご紹介しましょう。
バラは生垣用栽培にも向いている
バラ栽培は鉢植えに限らず花畑など地植えやイングリッシュガーデンのような生け垣・アーチに仕立てても楽しめます。
バラを栽培される理由のひとつに生垣にしたいという方も多いでしょう。バラは生垣向きな植物でとげのある茎は小動物の庭への侵入を防いでくれますし、つるバラであれば生垣に絡みつかせるように栽培すれば綺麗な庭のかざりにもぴったりです。
バラ栽培の前に知っておきたい基礎的なこと
バラの栽培方法の解説の前にまず知っておいて欲しいバラの基礎についてお話します。分類や原産地からはその植物に適した環境を知ることができますし、開花時期を知ることでいつ楽しめるかというガーデンスケジュールを立てることも容易です。
バラの基本情報
科・属 | バラ科バラ属 |
原産地 | 北半球の温帯域(南半球には自生しない) |
英語名/学名 | Rosa/Rosa |
栽培難易度 | 品種により普通からやや難しい |
栽培に役立つバラの性質や特徴
バラといえば香りがよいもの・花が大きなもの・色がきれいなものなどその人によっていろいろなイメージがあるでしょう。青バラ以外であれば栽培品種として苗が出回っていますので自宅で栽培することも可能です。
バラの咲き方と代表品種
品種によってはシャクヤクのようであったり(ティー系)小さな花が1本の枝にたくさん咲くもの(切り花品種として出回るフロリバンダ系:スプレー咲きとも)・非常に珍しいニューカマーとして青バラ(サントリーが遺伝子操作して作ったアプローズなど)とさまざまです。
バラの開花時期や見ごろの時期
バラは主に春から秋までが開花時期です。中には冬にも咲くものもありますので、品種を選び育て方に工夫することで1年中バラを栽培することができるでしょう。
そのさき方もひとつの季節だけ咲くものから二度三度と繰り返しさく返り咲き、春と秋の二度咲きなど種類によって開花時期と回数は違いがあるので、苗を購入するときの選び方ポイントともなります。
バラの花言葉は「愛」
バラほどいろいろな花言葉が知れ渡っている花も少ないでしょう。バラ全般の花言葉として知られているのが愛や美です。赤いバラのあなたを愛してますという花言葉を全般に対する花言葉と勘違いされている方も多いかも知れませんね。
また本数によっても花言葉が変わってきて1本ならひとめぼれ、100本の100%の愛とご紹介しきれないほどの花言葉が存在します。
バラ栽培!鉢植え地植えと分けて植え方を紹介
バラの分類や性質・特徴・花言葉などを見ていただいたところで、早速バラ栽培について初心者の方にもわかりやすく解説していきましょう。バラの栽培には地植えと鉢植えがありますが、どちらの場合でも困らないようにそれぞれの植え方についてもご紹介します。
バラ栽培:日当たりと鉢の置き場所
まずバラ栽培をはじめるにあたって、地植えならどこに植えるか鉢植えならば置き場所を決めておくことが大切で、その理由は日当たりやその場所の土質は植物が成長したり花を咲かせるのに大事な要素だからにほかなりません。
育て方のコツ・ポイント
バラ栽培に向く日当たりは日光がよくあたるところ。特に午前中の太陽光は重要で逆に午後日なたになる西日は避けたいところといえます。また病気にかかりやすい植物であるためその予防として風通しのよいところに植える・鉢植えを置くということにも気をつけてください。
バラ栽培:植え付けと植え替え
バラの栽培をはじめるにはまずは鉢植えのバラを買ってくる、または地植えにするなら苗を購入して花壇などに植え付ける作業が必要となってきます。
鉢植えも鉢が小さいと根がいっぱいで土が少なく水切れが早かったりとお世話が大変になるので、そのままにしておくのは初心者の方には特におすすめできません。しばらく栽培してみてそのような状態であれば時期をみて植え替え作業をしてください。
バラの植え方1.鉢植え
鉢植えの場合の植え方は元肥が重要なポイントとなります。これが入っているのと入っていないのとでは根の成長度合いが変わってくるためです。地植えであればよく肥えた畑の土を使えばよいともいわれますが、鉢植えでは土の量が違うためそれだけでは不十分ともなってくるでしょう。
水はけをよくする鉢底石も鉢植えならではの必要なものです。鉢底石・元肥と合わせた土で高さを調節して根鉢は崩さずに植え付けましょう。
バラの植え方1.地植え
地植えの場合は植え付け用穴として幅深さともに30cmを目安にしてスコップなどで穴を開けてください。土はバラ用の土が初心者の方には失敗が少なく根張りもよいためおすすめ。
まずは底に土を入れ苗の高さ調整をしてください。根鉢についても鉢植えと同様に根鉢は崩さずそのまま周りに土を足すという植え方をします。地植えの場合は枝がよく出ている方向にも気をつけて、穴に入れるようにすると手前から見てこちらがわに向かって花が咲いてくれるでしょう。
育て方のコツ・ポイント
ここまで植え付け・植え替えの時期についてはご説明しませんでしたが鉢植え地植えに共通して気温が30度以上になるような季節なは絶対に植え替えをしないでください。株が弱って最悪枯れてしまいます。
バラ栽培:日常管理
バラの水やり注意点
バラは四季咲きのものでなくてもそうでなくても年間を通して冬場でも水やりをしながら栽培します。地植えの場合はほとんど水やりをしなくてもよいのですが、鉢植えの場合は土が乾いたら必ずあげるように栽培してください。
バラの肥料と与える時期
バラの肥料も地植えと鉢植えで与える時期や回数が変わってきます。まず地植えの場合は冬に寒肥というものをあげます。鉢植えの場合はあげなくてよいです。これは有機肥料がよいとされますのでバラ用の有機肥料を探して株元にあげてください。
追肥は鉢植え地植え共通で3月後半・6月・9月と3ヶ月おきに与えるとおぼえてください。とてもわかりやすくて忘れる心配もなく簡単ですね。株元にぱらぱらと固形肥料をまいておけば水やりで少しずつ栄養分が溶け出して効果を発揮します。
育て方のコツ・ポイント
肥料として固形の化成肥料(寒肥の場合は有機肥料)をあげますが、その間のおやつ的なものとして元気がないときには液体肥料を水やりのタイミングで元気がでるまで月3回までを目安にあげるのもよい方法です。
これは元気がないときは根が弱っていると考えることから来ており、そんなときに強い固形肥料をあげると根焼けして逆に枯れてしまうことがあるためです。薄くて即効性があり株全体に効果のある液体肥料を使っていきましょう。
バラ栽培:気をつける病気と害虫
バラは病気や害虫被害が多く報告される植物で栽培されるのをためらわれる方はこのあたりが難しそうと感じるところでしょう。バラ栽培の困ったときに気をつける病気と害虫予防と対策についてお話します。
バラの黒点病とうどんこ病予防と対策
バラは特にウイルス性の病気の被害が多い植物。主に有名なものとして黒点病(黒星病と同じ)とうどんこ病があります。前者は葉を落としてしまうため光合成を阻害するやっかいな病気。
ダコニール1000・サプロール・トップジンM・スミチオンなど。病気に効果的な殺菌剤で一度使うと耐性ができますので成分が違うものを2種類用意して交互に使うとよいでしょう。予防剤としてサプロール乳剤はダコニールも交互に使えるおすすめ薬剤です。
バラの害虫予防と対策
主に葉が食害にあいますがつぼみも食べられてしまうため花の見た目に大きく影響します。葉が裏から食べられ透けたようになっているのは尺取虫のような見た目のハバチの幼虫。丸く切り取られているのはハキリバチの幼虫の食べ跡です。
春から初夏くらいに被害にあいやすい(葉に産み付けられたたまごが孵化する)ので、そのころはよく葉を観察して被害の出始めのうちに葉ごと取り除き手で潰すかビニール袋に入れてゴミとして出します。
食害害虫の予防には春先に浸透性薬剤を
葉に産卵されたたまごから孵化した幼虫が主なバラの害虫となりますので、食害用の浸透性の薬剤をあらかじめ春先に散布するのが予防となります。しかし被害がまったく出ないというわけではないのでご注意ください。
オルトラン・ベニカXの粒剤などが害虫予防となる浸透性薬剤の一例。土にばらまいておくと水やりで根から吸収され、その成分が入った葉を食べた虫に対して効果を発揮します。
育て方のコツ・ポイント
病気も害虫も被害が多いのは5月ころ。それを予防するのであればその手前の時期である春先から注意深く観察するのが大切です。あたたかくなったら病気も害虫も出てくるという意識でいてください。
バラ栽培:増やし方
バラの栽培をする上で気に入った品種があったらこの花をたくさん増やしたいという方もいらっしゃるでしょう。バラ栽培における増やし方についてご説明します。
育て方のコツ・ポイント
バラは挿し木で増やせます。やり方は剪定した枝などを使って清潔な土に差して日かげで管理するという方法。1本あたりの芽は3本、切り口は切れ味のよいカッターナイフを使ってすぱっと切ります。ルートンという発根剤を付けることにより根の出方が顕著になるでしょう。
使用する土は赤玉土か鹿沼土。絶対に雑菌などがない新しくて清潔なものを使うようにしてください。水切れにも要注意です。
バラ栽培:冬越しなど季節の管理
バラの栽培では冬も休みはありません。むしろバラ栽培には冬が正念場という気持ちで季節のお世話をしていくことでその次にやってくる春の成長も期待できるでしょう。
バラの剪定の季節とやり方
バラ栽培において冬は剪定の季節です。寒さが本格的になってきた1-2月におこなうのが一般的。初心者の方は剪定と聞くと花が咲かなくなるのが怖いというお話をよく耳にしますが逆に剪定をしないと大きな花は咲きません。
やり方は枝の長さの半分くらいを目安にした切り戻しという方法。必ず枝が立派な太い枝になるように形を整えていきます。いい換えると冬場の細い枝は必ず剪定してしまってください。この厳選された太い枝から春になるとよい新芽が出てくるでしょう。
地植えバラの冬越し注意点
このほかバラ栽培の冬越しのお世話は前述の寒肥(地植えの場合)と土替え(鉢植えの場合)があります。寒肥については前述の通り有機肥料を株元に与えるやり方。
土替えは1月くらいまでに鉢植えではやっておきたい冬越し作業でぎちぎちに詰まった鉢の中の土を水はけのよい土に代えておく目的でおこないます。やり方は植え替えと同じですので時期をこのタイミングに合わせてやるとよいでしょう。
栽培の参考に!品種の多いバラの種類分け
バラは人気の園芸種ですのでそれこそ非常にたくさんの種類が存在します。しかしその中でも大きく分けると立ち木性・半つる性・つるバラ・ミニローズと4つに分けることができ、栽培難易度もこの種類に依存するところが大きいので初心者のバラ選びの参考になるでしょう。
立ち木性のバラ・ブッシュローズ
ベーシックなオールドローズからハイブリッド・ティー・チャイナ・フロリバンダなど多くの系列から選ぶことができる、非常に園芸種が多いポピュラーなものがこの立ち木性のバラの種類となります。
もちろん春から秋・冬まで季節を問わず開花時期が存在し、返り咲きや2度咲きなどの品種も珍しくありませんので長く楽しみたい、何度も楽しみたいという方にもおすすめできる品種といえるでしょう。
半つる性のバラ・シュラブローズ
半つる性とは立ち木性のバラよりも枝がしなやかながら、仕立て方によっては1本立ちさせて鉢植えなどの管理もしやすい品種のことをいいます。どこで区別するかというと枝の硬さ(しなやかさ)でしょう。
半つる性と書かれている苗でも大きくなると枝が硬くなり、無理に誘引すると折れてそこから先が枯れてしまったりということもありますので、苗選びの際には店員さんに枝の硬さについて確認してからの方がおすすめ。
つるバラ・クライミングローズ
つるバラと呼ばれるバラの種類はアサガオのように支柱や柵に巻き付くひげが出るわけではなく、枝が長く伸びる性質を利用して誘引しながら人工的に巻きつけて美しく仕立てるバラの種類です。
花の大きさはミニバラに分類できるような小型のものから、立ち木性には劣るものの大きくて見応えのあるものなど豊富。比較的丈夫な品種が多く生垣として栽培するならつるバラもおすすめできます。
ミニバラ
ミニバラは花が小さな品種を改良して固定させたもの。主に鉢植え用の種類として人気がありますが、中には半つる性のものなどもあり花数が多いことから生垣にも利用されることも珍しくありません。
木の性質的には立ち木性に分類でき春から秋までずっと咲き続けてくれるものや、ミニバラでありながら見応えのある大輪種(フロリバンダ種)も人気となっています。
まとめ:簡単にバラを栽培しよう
バラ栽培は植え付け方にも注意
美しい生垣などにも活用できるバラの栽培方法を解説してきました。全体のポイントを要約すると地植えと鉢植えで植え替えの時期はいつかなど違いがでてくるのが注意点です。
地植えであれば暑い時期を除けば比較的いつでも可能ですが、鉢植えは土替えを考えると冬場の方がおすすめ。このようなお世話の違いに注意をしつつ、初心者の方でも美しいバラを咲かせるための栽培をはじめてみてはいかがでしょうか。
バラ栽培が気になる方はこちらもチェック
今回は初心者向けのバラの栽培ということで解説してきましたが、暮らしーのではこのほかにもバラ栽培に役立つ情報を発信しています。気になる方はこちらも是非みてくださいね。

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