ミニバラの育て方
ミニバラは、その大きさゆえに宿根草のようなイメージを持つ人もいるかもしれません。実際、小さいために取り扱いが楽な点もあり、また多くの種類が出回っていて人気があります。 しかし、小さいといってもバラ。 草花よりは、肥料や水遣りにも注意が必要です。 初心者の方が気をつけるべき点をご紹介しますので、参考にしてください。
ミニバラの育て方/種類
ミニチュア系
樹高10〜50センチほどの小さめのミニバラです。 19世紀初頭から人気を集めている、現代バラになります。
ミニ・フローラ系(パティオローズ)
樹高は50センチ以上になり、花径は4〜7センチと中輪で、ミニバラの中では大きな花を咲かせます。 四季咲き性なので、年に何回か開花します。
ランブラー系
つるバラの特性を持っているので、2メートル以上になるものもあります。 ランブラー系のほとんどの品種は一季咲きです。
ポリアンサ系
ミニバラとするのに意見が分かれる系統ですが、ポリアンサ系は3センチほどの花を多く咲かせ、やや樹高が高めの種類になります。
マイクロミニバラ
誰が作出したのかなど明確ではありませんが、ミニチュア系と思われる1センチほどの、小さな花を咲かせるミニバラです。 樹高は30〜50センチ程度。
ミニバラの育て方/苗の選び方
良い株の見分け方
ガーデニングを始めたばかりの初心者の方ですと、つい、花にばかり目がいってしまいますが、いい株というのは、花の良し悪しだけではありません。 株全体をよく見て下さい。
・勢いの良い、新しい枝が伸びているもの ・枝数が多いもの ・葉の色が濃く、枚数の多いもの ・病気になっていないもの を選びましょう。 バラは日光が大好きです。 葉の枚数が多いものは日光を多く取り入れることができ、花もよく咲きます。
挿し木苗と接ぎ木苗
ミニバラの苗には、接ぎ木苗と挿し木苗の2種類があります。 挿し木とは、切った枝から根を出させて増やす方法です。 バラに限らず、ハーブや宿根草でも同じようにできます。この方法は簡単ですので、初心者の方でもやりやすいと思います。
接ぎ木とは、ノイバラを台木という土台にして、そこに切れ目を入れて増やしたいバラの芽を差し込み、育てる方法のことで、芽接ぎとも言います。 園芸店で売られている鉢植えのほとんどは、挿し木苗になります。
ミニバラ/挿し木苗の種類
花径が5センチくらいまでで、樹高も高くならないタイプが多いです。 ハンキングや鉢植えに向いており、肥料やけや根腐れを起こしやすく、接ぎ木苗と比べると、成長もゆっくりになります。 挿し木するところから、全て室内で栽培されていることが多いです。
ミニバラ/接ぎ木苗の種類
パティオタイプと呼ばれる大型が多く、このタイプは庭に地植えにするにも向いています。 また、土壌を選ばず、早く株が成長します。 肥料やけや過湿にも強いのも特徴です。 普通のバラと同じように、春に5〜6号鉢に鉢上げされて市場に出回ります。
ミニバラの育て方/鉢の選び方
鉢にも色々な種類がありますが、最もミニバラに適している鉢は、鉢壁からも水分や空気の出入りがあるものです。 素焼き鉢、陶製の鉢、テラコッタなどや、合成樹脂製のもの、リサイクルペーパーを使った鉢もあります。
もちろん、プラスチック製などでも育てられます。 その場合は、土の状態をよく見て乾いてから水遣りする、風通しの良い場所に置くなど気をつけましょう。
また、バラは根を下に伸ばすので、ある程度深さのある鉢が適しています。 枝垂れる種類のミニバラには、ハンキングや壁にかけるタイプのもの、高さのある鉢が良いでしょう。
ミニバラの育て方/土について
ミニバラは、水はけの良い土で育てることが大切です。 挿し木苗と接ぎ木苗では多少配合が変わってきますが、初心者の方は、バランスよく配合されているバラの土を用意されることをおすすめします。 以下は参考にして下さい。
挿し木苗の配合
ピートモス 7、赤玉土中粒 2、パーライト 1 または、 ピートモス 4、赤玉土小粒 2、パーライト 2、腐葉土 1、バーミキュライト 1
接ぎ木苗の配合
ピートモス 2、赤玉土中粒 7、赤土 1
ミニバラの育て方/植え付け方
ミニバラは、年に何度か花を咲かせますが、購入した時のままの小さなポットのままでは、養分も足りずに成長や花付きが悪くなります。 一回り大きい、4号〜6号の鉢に植え替えてあげましょう。 植え替えの時は、鉢土を崩さないようにしましょう。
準備しよう
ミニバラの苗、バラの土、鉢、鉢底ネット、緩効性肥料
1、土を入れる
鉢に鉢底ネットを敷き、苗の高さを確認して土を入れます。
2、苗を植える
苗を人差し指と中指で挟んで、ひっくり返してポットから抜き、鉢に置きます。 この時、根を崩さないようにして下さい。
3、土を足す
苗の高さまで、土を足し入れて植えます。 入れ終えたら、棒などで突くか、軽く鉢をトントンとならすように落として土を安定させます。
4、肥料をあげて、元気に育てる
元肥として、緩効性肥料を鉢の縁に2〜3箇所に分けて置きます。 あげ過ぎに注意して下さい。
5、水遣りを忘れずに
鉢底から水が流れ出るまで、たっぷりとあげて下さい。
ミニバラの育て方/初心者のための基本
ミニバラは基本的に、日当たりと風通しが良く、雨に当たらない戸外で育てるのが望ましいです。 また、強すぎる夏場の直射日光は苦手です。 急な温度の変化に、くったりしてしまうこともありますので、軒下に寄せたり、地面に直置きせずに花台を利用したりして、うまく凌ぎましょう。
地植えでの育て方
ミニバラは、病気の発生を防ぐために鉢で育てられることが多いですが、地植えも可能です。 もちろん、雨が降っても移動ができませんので、地面が近いと雨で泥がはねたりして病気の原因になることもあります。
株の周囲をマルチングするなどして、地面からの泥はねを防ぐ工夫をしましょう。 できれば、雨が直接かからない場所に植えてあげるといいですが、最も重要なのは、日当たりと水はけ、風通しの良さです。
一度きちんと根づけば、鉢植えよりも水遣りや肥料の回数が少なくて済みますから、地植えの方が初心者や忙しい方には管理が楽かもしれません。
そして、地植えのメリットとしてもう一つあげることができるのが、株を大きく育てることができるという点です。
ミニバラと言っても、1メートルほどの大きさになるものもあり、初冬まで咲き続ける種類のものもありますから、普通のバラよりも省スペースで庭を彩ることもできます。
また、玄関の花壇などに、一年草やセダム類などを取り混ぜて寄せ植えるのも素敵です。 あまり密集させて植えると病気になりやすいので、寄せ植えにする時は、ゆとりを持った植栽にしましょう。
室内での育て方
室内では、日当たりの良い窓辺などで育てるのがいいでしょう。 ただし、数日置くと葉や蕾が落ちてしまったり、葉が黄色くなってしまったりすることもありますので、なるべく外へ出しましょう。 室内で育てる場合は、乾燥に注意してください。ハダニが発生しやすい環境です。 寄せ植えにして室内に飾る場合は、特に注意して予防と対策をしっかりしましょう。
室内向きのインドアローズ
インドアローズとは、日照の少ない北欧で生まれたバラのことです。 ポールセンローズのパレードシリーズ、パレスシリーズ。 ローズフォーエバーのインフィニティローズというシリーズも人気で、よく見かけます。
どちらのナーセリーのシリーズも、花持ちが良く、耐陰性、耐病性に優れており、室内で育てるのにも向いています。 立派な花を咲かせ、ミニバラは香らないことがほとんどですが、ほのかな香りがあるようです。 室内で育てたい方、寄せ植えを作りたい方、初心者の方には、この種類のミニバラを選ぶといいかもしれません。
ミニバラの育て方/水遣りの仕方
バラは乾燥気味に育てる方が良いと言われていますが、水が嫌いなわけではありません。 水によって古い空気が押し出され、新鮮な空気を取り入れる役割もあります。 土の表面が乾いてから、たっぷりあげましょう。
その時、はす口の穴が細かいものだと、酸素もたくさん届けることができます。 水遣りの時間帯は、できれば午前中の10時頃までか、夕方3時以降に。 夏場の昼に水遣りをすると、根を痛める原因となります。 真夏以外は夕方に水遣りをすることで、病気が発生することがあります。
午前中の水遣りが望ましいでしょう。 また、水遣りの時は、なるべく葉に水がかからないようにしましょう。
鉢植えの場合は、地植えよりも乾燥しやすいので、状態を見ながらあげてください。 冬の休眠期でも忘れずに。 暖かくなるにつれて回数も増え、夏場は朝夕の2回くらいが目安になります。
どの時期も、あげるときは鉢底から流れ出るくらいたっぷりと水遣りしましょう。 地植えの場合は、冬はほとんど水遣りしなくても大丈夫です。 株元にだけあげるよりも、根全体に水が行き渡るように、周囲にも水遣りします。
乾きすぎて、水枯れしそうな時は
バケツなどに水を張って、20分程度、鉢ごと水につけましょう。
ミニバラの育て方/肥料のあげ方
分量を守ってあげましょう
鉢で育てている場合、土の量が少ないために、一度にたくさんあげてしまうと肥料やけしてしまい、葉が黄色くなってしまったり、花が綺麗に咲かなかったりします。土が吸着できず、溶け出す肥料の濃度が高くなるためです。 規定の分量や希釈を守ることが大切です。
鉢植えと地植えでは、追肥のペースが違います
室内では土がすぐに乾燥することはないでしょうが、毎日のように水遣りをするでしょう。そのために肥料の流出も激しいので、少量ずつ、毎月与えるのが望ましいです。 土の上に置く置き肥や、液肥を組み合わせてあげるといいでしょう。
基本的には1〜2ヶ月に一回の置き肥、10日に一回の液肥です。 ただし、12月から翌年2月頃までは、バラは休眠する時期になります。 室内で育てていると、管理によって年中咲かせることができるので、これの限りではありませんが、基本的に休眠期間は肥料を与える必要はありません。
地植えの場合も、休眠期の12月から2月、開花期の5月と10月を除いて、毎月追肥すると良いでしょう。
ミニバラの育て方/剪定方法
花がら摘み
ミニバラは四季咲き性なので、年に数回、花を咲かせます。 綺麗な花をどんどん咲かせるためには、咲き終わった花は摘むこと。次の芽が出やすくなります。 また、しおれたままの花をつけていると、株が弱る原因になることもあります。早めに摘み取りましょう。 葉が5枚出ている、そのすぐ上で切ります。
切り戻し
花がほぼ咲き終えたら、全体を少し刈り込んで、切り戻しをしましょう。 この時も、葉が5枚出ているすぐ上で切るのが基本です。 春から秋までは、ひと月後には、また新たに花を咲かせます。 蕾がついていても、全て切ってしまう方がいいです。切り花として楽しみましょう。
ミニバラの育て方/病害虫について知ろう!
病害虫の被害に遭いやすいのは、普通のバラと変わりません。 害虫では、ハダニ、アブラムシ、ヨウトムシ、チュウレンジハバチ、ゾウムシ。 病気では、うどんこ病、黒点病が主なものです。 特に、ハダニとうどんこ病、黒点病は、被害にあうとみるみる広がり、葉が全て落ちてしまいます。
ハダニの被害
ハダニは、文字どおりダニの仲間で、草花や野菜、樹木にも寄生します。とても小さいので、肉眼で見ることは難しいですが、成虫は主に葉の裏に卵を産み付け、孵化した幼虫が、葉の養分を吸い取って成長するので、その跡が白や茶色っぽい斑点となって見えます。
それが原因で生育が悪くなりますので、予防と対策が大切です。 夏に多く見られますが、乾燥していると発生するので気をつけましょう。
ハダニ対策
花がらはこまめに摘みましょう。 ハダニは水に弱いので、鉢を逆さにして株を水に浸け、葉の裏にいるハダニを落とします。 この時、水にハダニ専用の薬剤を入れておくと効果的です。
また、ホースの先を指で押さえて圧をかけ、強い水流を作って、それで葉の裏を洗い流すようにします。 ハダニは1週間で孵化しますので、夏は週1回行うと予防効果が高くなります。 さらに、ハダニ専用の薬剤の散布で、より効果が出ます。
うどんこ病
うどんこ病とは、カビによる病気で、白く、粉がかかったような状態になります。空気感染しますので、見つけたら早めに対処しましょう。 風通しが悪かったり、湿気が残りやすい場所にあることが原因です。
黒点病
黒点病も、カビによる病気です。 葉に黒い斑点ができ、それが広がって、葉が落ちます。 葉が落ちると光合成ができなくなり、株が弱ってしまいます。 原因は湿気です。 また、水で感染しますので、葉に雨水などが残ると大量に発生しやすくなり、土が乾きにくくても広がりやすいようです。
うどんこ病・黒点病対策
うどんこ病も黒点病も、湿気が原因で発生する病気ですので、水はけのいい土を使う、株元の枝や密集した葉を取って風通しを良くするなど、環境を整えましょう。
また、病気になった葉は取り除いて、広がるのを防ぎましょう。 まずは予防。 梅雨前には薬剤の散布をし、雨の合間にも10日に一度くらいのペースで行いましょう。 あまりこまめに水遣りをすると、かえって病気のもととなります。
ミニバラの育て方/病気などで葉を落としてしまった時は
軽く剪定します。 ハダニの場合、枝にも残っている場合があるので、水を勢いよくかけて流します。 黒点病などの場合、残っている葉を摘み取り、落ちている葉も拾います。 その後で、薬剤を散布しましょう。 新芽が出てきて蕾をつけるようなら、すぐに花を咲かせないよう摘み、葉を増やしましょう。
ミニバラの育て方/下葉が枯れている、元気がない時は
下の葉が落ちてしまったり、株全体に元気がない時、栄養を行き渡らせようと切り戻しをしてしまうと、かえって弱ってしまうことがあります。 このような時は、切るのではなく、折り曲げて下さい。
これを折り曲げ剪定といい、元気な葉を切り落とさないことで、ダメージを減らします。 やり方は、株の半分ほどの高さのところで、枝を折り曲げます。 ポイントは、ねじりながら折り曲げることです。 完全に折ってしまうと、その先の葉が枯れてしまうので、注意しましょう。
1週間から10日ほどで、折り曲げた下から新たに芽が伸びてきます。 新芽が10センチほど伸びたら、折り曲げた枝は切って取り除きましょう。 病害虫が原因ではない場合、肥料が足りない可能性もあります。
バラは肥料が大好きな植物です。 鉢植えや、数個を寄せ植えにしていると特に、根をはるスペースが限られている上に、栄養も足りなくなってしまいます。3月から11月の成長期の間は、毎月一度は追肥しましょう。
ミニバラの育て方/寄せ植えは難しい?
株の大きさから、草花のように扱いがちですが、寄せ植えにするのはあまりはおすすめできません。 なぜなら、密植することによって、ハダニや黒点病の発生を抑えることが難しくなるからです。
ミニバラを綺麗に咲かせるには、日当たりと風通しの良い環境が必要です。 いくつもの株を寄せ植える、株と株の間を開けずに植えたりすると、どうしてもその環境が作れません。 もしハダニの被害にあっても、単植であれば対策もしやすいですが、寄せ植えでは簡単に効き目のある方法を取れず、夏頃には全ての葉が落ちてしまうこともあります。
なかなか時間が取れなかったり、薬剤散布のタイミングなどに慣れていない初心者の方は、一年草と割り切るか、単植で育てることをおすすめします。 枯れてしまわなければ、葉が落ちても再び芽を出しますから、短期間のものとし、寄せ植えを楽しむのもいいでしょう。 ミニバラの寄せ植えを室内に、観葉植物のように飾るのも素敵だと思います。
初心者にも育てやすい/人気の5種類を紹介
グリーンアイス
スイートチャリオット
チュチュオプティマ
コーヒーオベーション
スノーシャワー
最後に
バラというと、初心者には難しいのでは、なんて思われがちですが、植物って意外と強いです。もちろん綺麗に咲かせようとすれば、それなりに手はかかりますが、手をかけたらその分応えてくれます。 物言わぬ花でも、ただそこにあるだけで、ふと気持ちが優しくなる。 小さな鉢でも育てられますから、ちょっとした空間を彩って楽しんで下さいね。