バイモユリとは
バイモユリとは、アミガサユリやテンガユリといったいくつもの別名を持つ植物で不思議な模様を持っています。名前にもあるとおりユリ科の植物であり、中国原産の花です。標高の高い場所に自生しているだけでなく、原産地の中国では古くから薬効のある植物として栽培もされています。
日本には、約300年ほど前に薬効がある植物として中国から伝えられました。かつて栽培されていたバイモユリが、野生化している地域もあります。
バイモユリの特徴
バイモユリの大きな特徴とは、その花弁にある網目模様でしょう。外側から見るとわかりませんが、内側から見ると独特の網目模様がはっきりと見えるのでぜひ観察してみることをおすすめします。
世界に約130種類ほどあるバイモユリは、花自体はうつむきがちに咲きますが白や赤などもあり華やかな色合いを楽しめるでしょう。中には夏越しの難しい種類もあるので、住んでいる地域の気候に合わせて植える種類を選ぶ必要があります。
薬効がある
バイモユリは、漢方では薬効があるとされて薬に用いられていることはご存じでしょうか。その効果は主に席をとめる、咽頭通を和らげるなどで痰にも効能が認められています。そのほかに鎮痛作用や止血作用などもある、薬としてはかなり優秀な植物です。
ただし、アルカロイドを含むために副作用が確認されているので使用時には十分注意する必要があるでしょう。薬効があるからと安易に使うことのないように、気を付けてください。
バイモユリの育て方
バイモユリの育て方を詳しく知っておくことで、花が咲かない理由や管理のコツ、気を付けなくてはならない注意点なども理解することができます。ユリ科の植物であるバイモユリは育てるのも少々難しく、育て方を間違うと花が咲かないこともあるので気を付けてください。
注意点の前にまずはどのようにして育てるのか、苗の植え付けから増やし方まで細かく解説していくので、興味があるならぜひ育ててみましょう。
バイモユリの育て方①苗の植え付け
バイモユリとは、秋に植え付けして3月から4月ごろに開花する花です。地植えにするか鉢植えにするかで多少用土などは変わってきますが、植え付け自体は難しくありません。地植えにする場合は、土にあらかじめ腐葉土と元肥を混ぜて1週間くらい置いてから植え付けするといいでしょう。
元肥は、堆肥がおすすめです。ただし、堆肥を使用する場合には病気対策のためにも乾燥しきっていないものは避けて、完熟したものを使いましょう。
水はけが大切
ユリ科の植物であるバイモユリは、種ではなく球根を植えることになります。そのため、地植えと違って鉢植えにする場合には、市販の球根用培養土を使用するといいでしょう。水はけをよくするために、腐葉土や鹿沼土をブレンドするのもおすすめです。
植え付けの際には浅く植え付けるようにして、土は軽くかぶせてください。ただし、水やりの際には勢いよく水をやりすぎて球根が露出したということにならないようにしましょう。
栽培時には植え替えが必要
バイモユリを栽培する際には、元気がなくなってきたなら植え替えをする必要があります。これは、地植えでも鉢植えでも変わりありません。同じ場所でずっと育てていると、徐々に生育が悪くなってくるからです。元気に長く育てたいのであれば、植え替えは必須であるといえるでしょう。
とくに鉢植えの場合は、2年程度で植え替えをする必要があるでしょう。植え替えをしないと、花が咲かなくなることもあるので気を付けてください。
植え替え時は根を傷つけないように
植え替えのときには、根を傷つけないようにやさしくしてください。鉢植えの場合はそこまで難しくはありませんが、地植えの場合は、植え替えをするときに掘り起こす必要があるので、十分注意しましょう。根や球根を傷つけてしまうと、ひどいときには枯れてしまうこともあります。
バイモユリの育て方②肥料
植物を栽培するときには、必ずと言っていいほど肥料が必要になります。地植えの栽培なら効き目が遅い遅効性の化成肥料を、花が終わった後の5月ごろに施しましょう。鉢植え栽培も同じで、花が終わった後に効き目の遅い化成肥料を与えるようにします。
とくに鉢植えであれば有機肥料は害虫を呼び寄せてしまうこともあるため、必ず化成肥料にしましょう。もしくは即効性の液体肥料でも構いません。
夏は水やりにも注意
バイモユリは、夏には休眠する植物です。そのため、夏の休眠期は水をやりすぎることなく、土がからからに乾いてから水やりをするようにしてください。耐寒性はあっても耐暑性が弱いので、夏に水やりや置き場所などを工夫しましょう。
水やりだけでなく、置き場所にも注意が必要です。風通しが良くて、なおかつ日陰の場所に置いておくようにしましょう。日陰に置くのは強すぎる日差しが、葉を傷めてしまうからです。
バイモユリの育て方③開花時期
バイモユリの開花時期は、3月から4月にかけてです。開花時期は2か月ほどと長いので、しっかりと花を楽しむ余裕があります。鉢植えであっても冬の寒い時期にきちんと寒さを感じさせることで、美しい花を咲かせてくれるでしょう。
ただし、すぐに咲かなくても心配する必要はありません。植えてから2年から3年すると美しい花を楽しませてくれるからです。
花は切り取る
バイモユリの花は、花が終わったら切り取ってしまうのがいいでしょう。球根を分球すれば増やすことができるので、あえて体力を消耗する種を作らせることはありません。種ができてしまうと体力を使い果たして、次回花が咲かない可能性が高くなるからです。
バイモユリの育て方④増やし方
独特の模様が美しいバイモユリの増やし方は、主に分球です。球根であるため、ほかの植物の増やし方のように種をまくことはできません。花が終わった後に球根を掘って、冷暗所で保管しておくことでいつでも植えることができます。保管するときには土を落とし、バーミキュライトなどと一緒に入れておくといいでしょう。
分球は外して保管
球根を掘ったときに、もともとの球根の周りに分球がついていることがあります。バイモユリの増やし方は、この分球を外して保管しておくことです。次に植えるときに、本来の球根にプラスして分球を植え、また花が咲いて堀上げた時についた分球を、と繰り返していくことでどんどん増やすことができます。
バイモユリの管理のコツ
バイモユリの管理のコツを知っておくことで、現在バイモユリを育てているけどどうすればいいかわからないという人も多くいます。そんな人のために、わかりやすく管理のコツを並べてみました。とくに花が咲かないなどで困っている人は、きちんと見てくれるのがいいでしょう。
管理のコツを知っておこう
- 過湿に注意
- 耐寒性は強く耐暑性は弱いので夏に注意
- 寒さにあてるといい
日当たり
バイモユリとは基本的には直射日光が当たるような場所よりも、半日陰を好む植物です。半日陰は難しいということであれば、1日のうち何時間かを日陰に置いておくのでも構いません。とくに休眠期の夏場には、鋭い直射日光は危険であるため、外にはなるべく出さないようにしてあげるといいでしょう。
耐寒性が強い
バイモユリは秋植えの花だけあって、耐寒性が強く問題なく冬越しできます。ただし、暑さには弱いために、夏に気温が上がる地域であれば鉢植えにするほうがいいでしょう。鉢植えであれば、真夏の暑い時期を室内に入れて保護することができるからです。
花が咲かないときは
花が咲かないときには、さまざまな要因が考えられますが一番の問題は部屋の中で栽培しているときです。バイモユリとは、実は寒さに充てなくては花を咲かせることができない植物なので、冬には外に出す時間を作るといいでしょう。
また、球根を植えるのも秋がおすすめです。暖かくなってから植え付けたのでは、花が咲かないことがよくあります。また、夏場は半日陰か日陰の涼しい場所に置くようにしましょう。
バイモユリの種類
バイモユリの栽培方法から増やし方までを理解したところで、次はどのような種類があるのかを見てみましょう。バイモユリと一口に言ってもさまざまな種類があるので、自分が気に入った花をつける種類を植えて楽しんでください。
クロユリ
クロユリは、バイモユリの種類の中でもよく知られています。クロユリはその名の通り黒にも見える濃紫の花を咲かせる、ユリ科バイモ属の植物です。ただし、独特の香りがあるため香りが苦手であるなら栽培はやめておくほうがいいでしょう。群生すると非常に見ごたえのある花なので、庭の雰囲気に合うのならおすすめです。
フリチラリア・メレアグリス
バイモユリの仲間であるフリチラリア・メレアグリスは、市松模様のある少し変わった花です。花の色は赤紫であり、釣鐘上に下がってうつむきがちに咲きます。
もともと欧州や西アジアが原産の花であるためか、海外ではとても人気の高い植物といえるでしょう。育て方もそこまで難しくはないため、初心者だけどバイモユリを育ててみたいという人はぜひ試してみてください。
フリチラリア・インペリアリス
フリチラリア・インぺリアリスは、バイモユリの仲間の中でも特に華やかなオレンジ色の花を咲かせます。寒さには強いのですが逆に温暖な地域では育てづらいので、寒冷地でバイモユリを育てたいという人にはおすすめです。
何より、モグラを寄せ付けないという特徴的な球根の香りがあるため、野菜などと一緒に植えるとモグラ被害を減らすことができるでしょう。モグラに困っているのであれば、ぜひ試してみてください。
まとめ
バイモユリもその仲間も、すてきな花を咲かせるので庭に特徴的な花が欲しい、華やかな花が欲しいというときにはぜひ植えてみてください。保管にさえ気を付ければ、分球で増やすことができるので庭で育てるのにはおすすめです。
模様が独特なだけでなく香り高い花や色合いの変わった花など、さまざまな種類がありそれぞれ雰囲気が違うので、自分の庭に合った雰囲気のバイモユリを選んでみましょう。
バイモユリの仲間の育て方が気になる方はこちらもチェック!
バイモユリにはいくつかの種類があり、クロユリもその一つです。せっかくだからいくつか合わせて育ててみたい、という方のために当サイトではバイモユリの仲間のクロユリの育て方を詳しく解説した記事が掲載されています。クロユリの育て方もぜひ知りたい、という方はほかの記事も合わせてチェックしてみてください。

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