代表的なつる植物をご紹介
つる植物でガーデニングを楽しむ方法はいろいろあります。涼し気な窓辺、カーテンのような軒先、庭先の目隠し用のフェンスなど、実用的な使い方もできますし、さまざまな種類の植物を寄せ植えすれば、美しいガーデニングスペースを楽しむことも可能です。
この夏のガーデニングにぜひつる植物を楽しもう
今回は、壁やフェンスを伝って伸びるつる植物のおすすめの種類や特徴などについてご紹介します。花を楽しむだけではなく、野菜などの実も楽しめる植物を選べば、鑑賞する喜びと味わう喜びを同時に満喫することも可能です。ぜひこの夏のガーデニングのアイデアとして参考にしてください。
つる植物を4種類に分類しよう
つる植物とは、植物が成長していく上で、ほかの樹木やものなどの支えが必要な植物のことで、つるを伸ばしていくという大きな特徴があります。このため、つる植物は、植木などにつるを絡ませたり、壁などに貼りついたりしながら、実に美しい姿に成長しくのです。
つる植物の4分類とは
このつる植物の特性は、つるの伸び方によって4種類に分類することができます。この分類を知っておくと、つる植物を利用して庭やベランダなどのガーデニングスペースをきれいにデコレーションすることが可能です。
その4分類とは、①らせん状に巻き付く種類、②根や吸盤を貼りつかせる種類、③ひげで絡みつく種類、④引っかけて伸びる種類となります。
①らせん状に巻き付く種類のつる植物3選
この種類のつる植物とは、子どもの頃に学校などで観察したアサガオなどに代表されるつる植物で、茎がらせん状に巻き付いて伸びていく種類です。支柱などを差しておけば、簡単にきれいに巻き付いて伸びていくので、その成長に合わせてさまざまな形を作ることができます。
グリーンカーテン、目隠し用のフェンス、支柱を使って好みの樹形づくりなどのためにつる植物を育ててみたいという方におすすめで、種類によっては手をかけずに簡単に仕上げることも可能です。
この種類のつる植物の代表例①:アサガオ
アサガオは、夏に育てたい人気の花で、さまざまな色や形の種類があります。春の終わりのころ、4月の終わりごろから5月にかけて種まきをすれば、夏の間、かわいらしいその姿を楽しむことができます。
アサガオは理想の形に仕立てやすい
小さな鉢植えで育てたいなら、支柱を鉢の縁に並べてつなげるあんどん仕立てが人気です。夏に市場に出回る鉢植えは、たいていあんどん仕立てとなっている場合が多く、そのまま育てていくことができます。
また、プランターをいくつか並べて、支柱を立てたり、ネットやヒモを張ったりして、夏の日よけにグリーンカーテンを作るのも人気。育てやすいため、失敗せずに楽しめます。
この種類のつる植物の代表例②: フジ
フジはマメ科の多年草で、日本固有の花です。うまく誘引すれば、美しい藤棚を作ることができ、観賞用としてもすばらしい植物となります。
鉢植えでも地植えでも、十分に水をやり、日当たりのよい場所で育てていけば、5月ごろから花が咲き始め、見事なガーデニングスペースとなります。ただし、フジは根を触られるのを嫌うため、地植えする際は場所をしっかりと選ぶようにしましょう。
フジの育て方のポイントは水やり
フジはどんどんつるを伸ばして生長していきます。とくに花が終わった後から大きく育っていくため、しっかりと誘因して好みの樹形を作っていきましょう。
7月ごろまでに剪定し、翌年の花に供え、夏にしっかりと水やりすることが大切です。
この種類のつる植物の代表例③:ツルウメモドキ
ツルウメモドキは、5月~6月ごろに花が咲くつる性植物の一種ですが、秋から冬の間に楽しめるかわいらしい実で知られています。はじめのうちは上に伸びますが、次第にまわりの植物や物に巻き付きながら成長するのが特徴です。
ツルウメモドキの名前の由来とは
ツルウメモドキの名前はウメモドキに似ているというのが由来で、ウメモドキの名前はウメに似ているというが由来です。ただし、名前は似ていても、ウメはバラ科、ウメモドキはモチノキ科、ツルウメモドキはニシキギ科と分類がと異なります。
また、ツルウメモドキは雌雄異株なので、雌株を育てなければ実を楽しむことはできません。苗木を購入したり、挿し木で増やしたりする際は注意しましょう。
②根や吸盤を張りつかせる種類のつる植物3選
このタイプに分類されるつる植物には、茎から根が出て壁などに貼りつきながら生長するアイビーなどのほか、枝の先に吸盤ができて、岩壁などを這うように生長するツタなどがあります。
この張り付きタイプのつる植物とは、誘因しなくてもどんどん伸びていきますが、壁などにどんどん伸びていくと、壁が傷むこともあるほか、無理に剥がそうとすると跡が残ることもあるため、ネットなどに這わせるようにするのがおすすめです。
この種類のつる植物の代表例①:アイビー
葉の模様がいろいろあり、寄せ植えなどでもよくつかわれるアイビーは、ウコギ科キヅタ属のつる植物です。耐陰性が強く、日陰でも生長し、室内のグリーンとして寄せ植えの鉢植えで飾るのも人気があります。育てやすいので、初心者の方にもおすすめです。
生命力が強いためまめな手入れが大切
しかし、生命力が強く、繁殖力も豊富で、成長速度も速いため、家の壁などに張り付かせようとすると、あっという間に壁を覆いつくしてしまい、壁を傷めてしまうことも。地植えで育てる場合は、植える場所をしっかりと考えてからにしましょう。後で取り除こうとすると、壁に跡が残ってしまいます。
この種類のつる植物の代表例②:ノウゼンカズラ
この種類に分類されるノウゼンカズラは、夏に明るいオレンジ色の花をつけ、大きく成長します。原産は中国で、寒さにも暑さにも強く、庭木としても人気が高い上、育てやすいのが特徴です。
日当たりのよい場所の棚やフェンスなどを利用すれば、明るいグリーンカーテンを作るのも可能です。小型の品種であれば、鉢植えとして楽しむこともできます。挿し木で増やすことができるので、さまざまな飾り方で楽しみましょう。
この種類のつる植物の代表例③:ツタ
ツタはブドウ科ツタ属の落葉性つる植物で、アイビーなどに似ています。しかし、ツタはまきひげの先が吸盤になって、壁などに吸着しながら這って伸びていくのが特徴です。
生命力が強く、成長速度も速いため、放っておくと葉やつるがどんどん伸びていきます。このため、きれいに保つために剪定して樹形を整えていくことが大切です。
ツタは植える場所をしっかりと考えたい
また、ツタは、風通しが悪いと、害虫がつきやすくなります。壁に這わせて育てようという方は、植える場所や管理方法をしっかりと考えてからにしましょう。植えた後に場所を変えるのはいささかむずかしくなります。小さく育てて寄せ植えで楽しむ育て方もおすすめです。
③ひげで絡みつく種類のつる植物3選
巻きひげと呼ばれる葉や茎の先から伸びる細いひげが、ほかの植物や壁などに絡みつきながら伸びていくのがこのタイプです。誘引しなくても、さまざまなものに絡みついて生長していきますが、誘引して育てていくと理想の形に仕上げることもできます。
この種類のつる植物は、フェンスやワイヤーなどを利用して、グリーンカーテンを作るのに向いています。花や実のなる種類の植物を選べば、育てる楽しみだけではなく、見て楽しみ、食して楽しむことも可能です。
この種類のつる植物の代表例①:キュウリ
家庭菜園でも人気の高いキュウリは、ひげで絡みつくつる植物の一種です。成長速度が速いという生育特性があり、種から育てても収穫まで2カ月程度と短く、収穫を楽しみながらつる植物を育てることができるというメリットがあります。
キュウリの育て方のポイントは梅雨時期の手入れ
キュウリは酸性土を好みませんので、野菜用の培養土でプランター栽培をするか、しっかりと耕して準備した畑で栽培しましょう。水を好みますが、梅雨時期は雨によって泥が跳ねかえり、病気にならないように注意する必要があります。
支柱に絡ませながら育てることができるので、夏の日よけとして窓辺で育てるのもおすすめです。
この種類のつる植物の代表例②:クレマチス
クレマチスは「つる」を意味するギリシア語がその名前の由来とされる多年草の植物です。イギリスなどでは、バラとの寄せ植えを楽しむ方が多く、つる植物の代表的な花のひとつとなっています。
クレマチスは、品種によって春から秋まで開花時期もそれぞれなので、楽しみ方も多様です。フェンス全体にその美しい花を伝わせるほか、アーチなどに絡めてかわいらしい花のトンネルを作ったり、鉢植えにバラと寄せ植えして自然に垂らして飾ったりと、さまざまな演出方法もできます。
この種類のつる植物の代表例③:ブドウ
つるを伸ばして生長するブドウは落葉性のつる植物で多年草の一種です。寒さや暑さに強く、乾燥にも強いため、水はけのいい土壌で育てます。
春に新芽が出てから秋に実を楽しむまで、その成長を楽しみながら鑑賞するのも楽しく、また、秋には収穫するという楽しみも満喫できるため、メリットの多い植物です。
ブドウのツルの誘因はいろいろできる
ブドウのつるの誘因の方法には、棚を作ってつるを絡ませながら育てる方法もありますが、支柱を立てて日除けのように育てたり、フェンスに絡ませて生長させたりと、さまざまな栽培方法があります。
いずれの方法も、楽しく育てていくことができるので、植える場所や育て方をしっかりと決めてから栽培しはじめるようにしたいです。
④引っかけて伸びる種類のつる植物3選
つる植物の中には、茎や枝のトゲを使って、植物や物に引っかかりながら伸びていく種類のものがあります。つるばらなどがその代表です。とくに誘因しなくても自然に伸びていきますが、誘引することで好みの樹形に整えることができます。この種類のつる植物は、基本的にトゲがあるため、扱いには気を付けるようにしましょう。小さくても刺さると痛くなることもあります。
この種類のつる植物の代表例①:つるバラ
つるバラは、数多く品種を有するバラの中でも、つるを絡ませて壁やフェンスなどを鮮やかに彩らせることのできる種類のバラです。特有のトゲで引っかけながら枝を伸ばしていき、花の大きさやつき方によって、大胆にも可憐にもその姿を楽しむことができます。
香りも強く、色もさまざまなで、しかも耐寒性も遺書性も強いため、育てやすい花としても有名です。新しい枝をどんどん増やし、好みの高さに支柱を立てて、理想の樹形に作っていきましょう。
この種類のつる植物の代表例②:ノイバラ
ツルグミは、枝がツル状に伸び、秋に花が咲き、春に赤い実がなるつる植物です。季節ごとに姿を変えるため、鑑賞しても目に楽しく、メリットの多い植物でもあります。
家のフェンスに巻きつけると、かわいらしい目隠しになり、とくに変わった生育特性もないため、初心者の方でも扱いやすい植物です。
剪定しながら育てると実がつきやすくなる
ツル踏みは、伸びてくるツルをうまく誘引して、気に入った樹形に作っていきましょう。剪定しながら育てていくと、春にたくさんの実を付けます。伸びすぎた枝や込み入った枝、傷んだ枝をカットして、通気性よく仕立てていきましょう。
この種類のつる植物の代表例③:ブーゲンビリア
夏になるとパッと目を引く鮮やかな花が咲き競うブーゲンビリアもつる植物の多年草です。原産地は南アメリカで、乾燥した環境を好み、南の国々で栽培されていますが、日本でも育てていくことができます。春になったらあまり多くの水を与えないように育てていくと、花芽がつくようになります。
花みたいに見えるけれど花ではない
なお、ブーゲンビリアの花は、花のように見える苞葉(ほうよう)という部分の中に、3つ小さく咲きます。この一風変わった花をたくさんつけるためにも、しっかりと管理して育てていきましょう。また、管理する際、トゲに注意して行いましょう。
つる植物とともにガーデニングを楽しもう
つる植物は、つるを伸ばしたり、トゲで引っかけたりしながら、ほかの植物や物に取りついて伸びていきます。その伸びる葉や枝をうまく誘引して、理想の樹形を作ることが可能です。育ててみたい種類を選び、ぜひつる植物の栽培をはじめてみましょう。
支柱やフェンス、アーチや壁など、つる植物のそばに立てて、さまざまな形に伸ばしていくと、見た目にもおもしろく、また美しいつる植物となるはずです。それぞれの植物に合った管理方法で、栽培しながら楽しみましょう。
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